AIとの付き合い方

AIで書いたメッセージ、バレたらどう思われる?用件の連絡なら信頼はほぼ変わらず、お見舞いの言葉では「本物らしさ」が下がっていた

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わかっている度 ★★☆ 中研究4本を整理出典照合済み(2026-10-05)
German standard envelope
Photo: Frank C. Müller, Baden-Baden / CC BY-SA 2.5 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

AIに下書きしてもらったメールやメッセージを送ったあと、「AIで書いたってバレたら、手抜きだと思われるかも」と不安になる。そんな人は少なくありません。研究では、用件の連絡ならAIを使っても信頼はほとんど変わりませんでした。気になるのは、お祝いやお見舞いのような気持ちを伝える文のほうです。

3行でわかる

  1. 米国の1,637人の実験では、AIの手伝いを受けて書いた文でも、受け取った人の信頼はほとんど変わりませんでした。AIを使ったと伝えても同じでした。
  2. お見舞いの手紙の実験では、本人が書いていないと知ると「本物らしさ」の評価が大きく下がりました。AIでも、知らない人の代筆でも同じでした。
  3. 用件の文はAIに任せ、気持ちを伝える文には自分の言葉を一言入れる。この使い分けが、研究から考えられる工夫です。

01結論から言うと

初対面の相手との用件のやりとりなら、AIで書いたと知られても信頼はほとんど下がらないという実験があります。下がりやすいのは、気持ちを伝える文で「本人が書いていない」と知られたときです。

「AIを使ったら嫌われる」と一律に心配する必要はなさそうです。研究で評価が下がったのは、AIそのものというより「あなた自身の言葉ではない」と受け取られた場面でした。

お見舞いの手紙の実験では、AIが書いた場合も、花屋が代わりに書いた場合も、同じように評価が下がっていました。相手が見ているのは道具よりも、あなたがどれだけ関わったかなのかもしれません。

02研究とデータでわかっていること

用件のやりとりでは、AIの使用を伝えても信頼に意味のある差は出ませんでした。気持ちを伝える文では、本人が書いていないと知ると評価が下がりました。

1,637人AIの手伝いを伝えても信頼がほぼ変わらなかった実験の参加者(米国、2025年発表)
3.78→2.08お見舞いの手紙がAI作と知ったあとの「本物らしさ」の評価(5段階、40人、2025年発表)
0.22相手のAI使用の「予想」と「実際」の相関。弱い関連でした(オンラインの作業者、2023年発表)

Purcellら(2025)[1]

2人1組で、報酬につながるポイントをやりとりするゲームで、片方が「信頼してほしい」というメッセージを書きました。半分の人はAIの文章候補を使え、残りは自分だけで書きました。AIの手伝いの有無を相手に伝えても伝えなくても、相手が送ったポイントや「どれくらい信頼するか」の評価に、意味のある差はありませんでした。

AIを使った人は、短い時間で同じくらいの信頼を得ていました。AIを使った文は温かみのある言葉が多い一方、「本心らしさ」を示す言葉の指標はわずかに低めでした。

対象: 米国のオンライン参加者1,637人(2つの実験の合計) / 限界: 初対面どうしの1回きりのやりとりで、親しい人との関係は調べていません。

DorigoniとGiardino(2025)[2]

入院中の女性に友人から花束と一緒に届いた手紙を、参加者に読んでもらい、そのあとで「本人が書いた」「AIで書いた」「花屋が代わりに書いた」のどれかを知らせました。AIで書いたと知った人では、「本物らしさ」の評価が5段階で3.78から2.08に下がりました。花屋の代筆でも3.80から2.15に下がり、本人が書いたと知った人では3.83から4.35に上がっていました。

対象: イタリアの研究チームがオンラインで集めた120人(各条件40人) / 限界: 架空の場面を読んで答える実験で、人数も多くありません。

Hohensteinら(2023)[3]

チャットでAIの返信候補(短い定型文)を使える人と使えない人に分けた実験です。相手が実際に候補を多く使うほど、相手を協力的だと評価していました。一方、相手が候補を使っていると「思う」ほど、相手を協力的でないと評価していました。この「思う」と実際の使用の関連は弱いものでした(相関0.22)。

対象: オンラインの作業者438人(219組) / 限界: 見知らぬ人どうしの短い話し合いで、いまの文章生成AIではなく短い返信候補の研究です。

Purcellら(2026)[4]

英国の477人に、こっそりAIを使う場合と、使うと伝える場合を並べて見せると、こっそり使うほうが受け入れにくいと答えました。ただし、米国の765人で片方だけを見せた実験では、この差ははっきりしませんでした。米国の調査では、人々は自分より他人のほうがAIを使うだろうと考えていました(100点満点で自分40、他人71)。

対象: 英国の18〜75歳477人(2021年)、米国の18〜93歳765人(2022年) / 限界: 例を見て答える調査で、実際の受け取り方を測ったものではありません。

4つの研究を、メッセージの場面で並べるとこうなります。

03まだわかっていないこと

家族や友人、職場の同僚のように続いていく関係で、AIで書いたと知られたときに何が起きるかは、まだ研究がほとんどありません。日本での研究も見つかりませんでした。

  • 研究の多くは初対面の相手か、架空の場面です。長く続く関係で、同じ結果になるかはわかっていません。
  • どのくらい自分で手を入れれば評価が保たれるかは、確かめられていません。Purcellらの探索的な分析では、AIが書いた割合が少ないほど、相手が送ったポイントがわずかに多い傾向がありました。ただし差は小さく、「どれくらい信頼するか」の評価では差がありませんでした[1]。
  • AIを使う人が増えるにつれて、受け止め方が変わる可能性があります。今回の研究は2023〜2026年に発表されたものです。
  • 日本の人を対象にした、同じような実験は見つかりませんでした。

04今日からできるセルフケア

送る前に「用件か、気持ちか」を仕分ける。気持ちを伝える文には自分の言葉を一言入れる。この2つが、研究から考えられるお金のかからない工夫です。

1

送る前に「用件か、気持ちか」を仕分ける

初対面の相手との用件のやりとりでは、AIの手伝いを伝えても信頼はほぼ変わらなかったという実験があります[1]。お礼・お祝い・お見舞い・お詫びは「気持ち」の箱に入れます。

目安 送る前に10秒

2

気持ちの文には、自分しか書けない一言を足す

相手との思い出や、最近のできごとを一言だけ足します。お見舞いの実験では、本人が書いたと知ったときに本物らしさの評価が上がっていました[2]。

目安 1通につき1〜2文

3

「バレたかも」と思ったら、事実を1つ思い出す

相手の予想と実際のAI使用の関連は弱いという研究があります[3]。また、AIの使用を伝えても信頼がほぼ変わらなかった実験もあります[1]。

目安 不安が浮かんだときに1回

4

迷ったら、隠すより短く伝える

「下書きにAIを使いました」と一言添えるだけで十分です。職場にAIのルールがあれば、それに合わせます。英国の調査で並べて比べたときは、こっそり使うより伝えるほうが、受け入れやすさの評価が高くなっていました[4]。

目安 必要な場面で1文

2〜4の組み合わせで、受け取る人の評価がどれだけ変わるかを直接試した研究はまだありません。研究の結果から考えられる工夫として紹介しています。

05よくある質問

AIで書いたメールは、相手にバレるもの?

はっきりとはわかっていません。2023年発表の実験では、相手がAIの返信候補をどれくらい使ったかの予想と、実際に使った量の関連は弱いものでした(相関0.22)。ただしこれは短い返信候補の研究で、いまの文章生成AIで同じかは確かめられていません。

AIを使ったと正直に伝えたら、信頼は下がる?

用件のやりとりでは、ほとんど下がらなかったという実験があります。米国の1,637人の実験では、AIの手伝いを受けたと伝えても、相手の信頼に意味のある差は出ませんでした。ただし1回きりのやりとりの研究です。

お礼やお見舞いのメッセージもAIで書いていい?

書いてはいけないという研究はありません。ただ、お見舞いの手紙の実験では、本人が書いていないと知ると「本物らしさ」の評価が5段階で3.78から2.08に下がりました。花屋が代筆した場合も同じように下がっていたので、自分の言葉を一言入れるのが一つの手です。

みんなAIでメッセージを書いているの?

実際の利用率はこの記事の研究ではわかりません。米国の765人の調査では、人々は「自分より他人のほうがAIを使うだろう」と考えていました(100点満点で自分40、他人71)。自分だけが使っていると思い込む必要はなさそうです。

出典

  1. Purcell ZA, Jakesch M, Dong M, Nussberger AM, Köbis N (2025). Writing with AI boosts trust-building efficiency. iScience, 28(12), 114092. https://doi.org/10.1016/j.isci.2025.114092
  2. Dorigoni A, Giardino PL (2025). The illusion of empathy: evaluating AI-generated outputs in moments that matter. Frontiers in Psychology, 16, 1568911. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2025.1568911
  3. Hohenstein J, Kizilcec RF, DiFranzo D, et al. (2023). Artificial intelligence in communication impacts language and social relationships. Scientific Reports, 13, 5487. https://doi.org/10.1038/s41598-023-30938-9
  4. Purcell ZA, Dong M, Nussberger AM, Köbis N, Jakesch M (2026). People have different expectations for their own versus others' use of AI-mediated communication tools. British Journal of Psychology, 117, 548-566. https://doi.org/10.1111/bjop.12727