AIとの付き合い方

不安で頭がいっぱいのとき、AIをどう頼ればいい?中国の98人の実験では、自分にやさしい文章を10分書いてAIから共感の返事をもらった組で不安の点数が下がったが、書くだけの組との差ははっきりしなかった

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的指針0件を整理
大きな鉛筆を持つ手と、小さなメモ帳
Photo: Scott Brown / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

嫌なことがあって不安が収まらない夜、ついAIに「どうしたらいい?」と打ち込みたくなります。研究で試されたのは、答えをもらう前に、自分にやさしい文章を10分書くという順番でした。その後にAIの共感の返事を読んだ組で、不安の点数が下がっていました。

3行でわかる

  1. 中国の98人の実験では、自分にやさしい文章を10分書き、AIの共感の返事を読んだ組で、1回で不安の点数が下がっていた。
  2. ただし、書くだけの組との差ははっきりせず、組の分け方もくじ引きではなかった。
  3. 自分への思いやりを育てる練習そのものは、大学生の11件の試験のまとめで、不安を減らす結果がそろっていた。

01 結論から言うと不安なとき、AIに何をしてもらうといい?

先に自分で「自分へのやさしい文章」を書き、その感想をAIにもらう使い方が、研究で試されています。1回の実験で不安は下がりましたが、AIの返事が加わったことの効果は、まだはっきりしていません。

ここでいう「自分への思いやり」は、心理学でセルフ・コンパッションと呼ばれる考え方です。つらいとき、自分を責めるかわりに、親しい友だちにかけるような言葉を自分に向けます。

実験の流れは、AIにすべてを任せるものではありませんでした。書くのは自分で、AIは書いた文章に共感の感想を返す役でした。

02 研究とデータでわかっていることやさしい文章とAIの返事で、不安は下がった?

中国の研究では、10分の文章とAIの返事で不安の点数が約5点下がりました。書くだけの組では、はっきりした変化は見られませんでした。ただし2つの組の差は、統計的にははっきりしませんでした。

37.5→32.2AIの返事あり組の不安の点数(20〜80点)の平均。中国の研究、2025年発表
37.8→37.0書くだけの組の同じ点数。はっきりした変化なし
11件・803人大学生への自分への思いやりの練習を調べた試験のまとめ(2026年)
3〜8週間そのまとめに入った練習の期間

Kishimotoら / 北京師範大学・南開大学(2025年)[1]

嫌な出来事を10分書いたあと、自分にやさしい文章を10分書き、AIから共感の感想をもらった組で、その場の不安の点数が37.5点から32.2点に下がっていました。

自分にやさしい文章には、3つの問いかけがありました。同じことで困る人がほかにもいると考える。友だちにかけるような言葉を自分に向ける。起きたことを落ち着いて書き出す。

書くだけの組(37.8点→37.0点)と、昨日の出来事などを淡々と書いた組(38.5点→39.1点)では、はっきりした変化はありませんでした。書いたあとの不安は、AIの返事あり組のほうが淡々と書いた組より低かった一方、書くだけの組との差ははっきりしませんでした。

対象: オンラインで集めた18歳以上の98人(女性65%、中国語版の質問票)。分析は各組30人に合わせて実施 / 限界: 3つの組は時期をずらして順に集めており、くじ引きで分けた試験ではない。参加者は、返事がAIによるものだと知らされていなかった。

Sobhaniniaら / アルザフラー大学(2026年)[2]

大学生を対象に、自分への思いやりを育てる練習を調べたランダム化比較試験11件(803人)をまとめると、練習した組では比べた組より不安と気分の落ち込みが減っていました。

対象: 19〜28歳の大学生。瞑想・書く練習・ネットやアプリでの練習など、期間は3〜8週間 / 限界: 多くの試験は人数が少なく1施設だけで行われ、追跡期間も短い。AIを使った練習は含まれていない。

Jacques・Alves / ポルト大学(2026年)[3]

つらい出来事を、自分への思いやりの視点、または見方を変える視点で15分書いた大学生では、どちらの組でも、書き終えたあとの心拍数が書いている間より下がっていました。一方、1か月後の不安の点数に変化は見られませんでした。

対象: ポルトガルの大学生66人を2つの書き方にくじ引きで分けた / 限界: 書き終えたあとの心拍数は、書く前の安静時とほぼ同じ水準だった。書かない組がないため、書いたことの効果とは言い切れない。書いたのは1回だけ。

03 まだわかっていないことAIの返事は、書くだけより効く?

AIの返事を加えた効果は、まだわかっていません。研究は1本だけで、書くだけの組との差もはっきりしませんでした。何日もくり返したときの変化も調べられていません。

  • AIの返事あり組と書くだけの組の差が、偶然を超えるものかどうか。くじ引きで分けた試験での確かめ。
  • 返事がAIからだと知っていても、同じように不安が下がるのか。実験では知らされていなかった。
  • 1回で下がった不安が、翌日以降も続くのか。ポルトガルの研究では、1回の文章で1か月後の不安は変わらなかった。
  • 不安が強い人や、ふだんからAIに頼りがちな人でも、同じ結果になるのか。

04 今日からできるセルフケア不安で落ち着かないときの、AIの使い方は?

まず自分で10分書き、それからAIに感想だけを頼む順番が、研究の条件に近い使い方です。答えや解決策を求めるより、受け止めてもらう返事を選ぶのが目安です。

1

AIに打つ前に、3つの問いで10分書く

「同じことで困る人はほかにもいる?」「友だちなら何と声をかける?」「起きたことを落ち着いて書くと?」の順に、メモ帳に書きます。

目安 10分・1回

2

AIには「感想」だけを頼む

書いた文章を貼り、「アドバイスはいらないので、共感の感想を短く返して」と頼みます。答えの出ない不安を何度も聞き直す流れを防げます。

目安 1往復・3分

3

返事を読んだら、自分の文章で閉じる

最後に、自分で書いた「友だちへの言葉」をもう一度読み返して画面を閉じます。返事が合わなかった日も、ここだけは残せます。

目安 1分

AIに相談するときの返し方の頼み方は「落ち込んでAIに相談するとき、どんな返し方を頼めばいい?」でも紹介しています。同じ話をくり返してしまうときは「AIに愚痴を聞いてもらうほど、いやなことが頭から離れない」も参考になります。自分を責めてしまうときの書き方は「転職活動で不採用が続いて、自分を責めてしまう」にもまとめています。

05よくある質問

不安なとき、すぐAIに話しかけるのはよくない?

よくないとは言えません。ただ、紹介した実験では、先に自分で10分ほど書いてからAIの返事を読む流れでした。いきなり答えを求めるより、自分の言葉で書いてから読んでもらう形のほうが、研究の条件に近い使い方です。

自分にやさしくすると、甘えにならない?

研究で使われた書き方は、失敗をなかったことにするものではありません。同じことで困る人はほかにもいると考え、友だちにかけるような言葉を自分に向け、起きたことを落ち着いて書き出す、という3つの要素からできています。

AIの返事が的外れで、かえってモヤモヤしたら?

実験で書くだけの組とAIの返事をもらった組の差は、はっきりしませんでした。返事が合わないと感じたら、無理に読み込まず、自分で書いた文章を読み返すだけでも構いません。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Kishimoto T, Hao X, Chang T, Luo Z (2025). Single online self-compassion writing intervention reduces anxiety: With the feedback of ChatGPT. Internet Interventions, 39, 100810. https://doi.org/10.1016/j.invent.2025.100810
  2. Sobhaninia M, Rasuli R, Hosseinian S, Abdollahi A (2026). The role of self-compassion interventions in reducing anxiety and depression among university students: a systematic review and meta-analysis. BMC Psychology. https://doi.org/10.1186/s40359-026-05392-7
  3. Jacques T, Alves RA (2026). Effects of Reappraisal and Self-Compassion Expressive Writing on Emotion Regulation. Quarterly Journal of Experimental Psychology, 79(4), 1013-1022. https://doi.org/10.1177/17470218251392569