考える力・集中

動画を倍速で見ないと落ち着かない。速く見ると時間は節約できるが、満足感と覚えている量は少し下がっていた

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わかっている度 ★★☆ 中研究4本を整理出典照合済み(2026-10-03)
映写機にかけられたフィルムのリール
Photo: DiscoA340 / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

ドラマもニュースも学びの動画も、気づけば1.5倍や2倍で見ている。普通の速さに戻すと、もどかしくて落ち着かない。そんな人は少なくありません。倍速で見ること自体が悪いわけではありません。研究では、速く再生しても理解が大きく崩れない場面がある一方で、頭の負担が増え、満足感が下がる傾向も見えてきました。

3行でわかる

  1. 学びの動画の実験12本をまとめた研究では、速く再生すると頭の負担が増え、内容を覚えている量と満足感が少し下がっていました。
  2. 大人を対象にした実験では、1.25倍や1.5倍で見ると映像や音が不自然に感じられ、満足感がやや下がっていました。一方、クイズの成績には差がありませんでした。
  3. 倍速を使う気持ちには、「効率がよい」と感じることと、倍速への好意的な気持ちが大きく関わっていました。倍速をやめるより、目的によって速度を使い分けるのが現実的です。

01結論から言うと

倍速で見るのは悪い習慣ではありませんが、代わりに失うものもあります。速く見ると頭の負担が増え、満足感や覚えている量が少し下がる傾向があるので、目的によって速さを使い分けるのがおすすめです。

速く再生すると、同じ時間でより多くの情報が流れ込みます。頭の中で処理する量が増えるため、内容を整理したり味わったりする余裕が減ります。

ただし、影響はいつも大きいわけではありません。知っている内容や、流れをつかむだけでよい動画なら、速く見ても困らない場面があります。

「倍速でないと落ち着かない」と感じるときは、速さそのものより、時間を無駄にしたくない気持ちが強く働いているのかもしれません。

02研究とデータでわかっていること

速く再生すると頭の負担が増え、覚えている量と満足感が少し下がっていました。ただ、短い動画のクイズや医学生の講義では、成績に差が出ない結果もあり、影響は場面によって変わります。

12本動画の再生速度と学びの関係を調べた実験論文の数(2025年発表のまとめ)
g=-0.41速く再生したときの、内容を覚えている量の下がり幅(同じまとめ。0.2が小、0.5が中程度の目安)
360人倍速を使う理由を調べたオンライン調査の回答者数(18〜25歳が75.6%、2025年発表)

Huangら(2025年)[1]

学びの動画の再生速度を変えた実験論文12本(中国語8本、英語4本)をまとめました。速く再生すると、頭の負担が増え(g=0.59)、内容を覚えている量が下がり(g=-0.41)、学びの満足感も下がっていました(g=-0.24)。学んだことを新しい問題に応用する力の差は、はっきりしませんでした。

対象: 12本の実験論文の参加者 / 限界: 研究の数が少なく、結果が大きく見える方向の偏り(出版バイアス)の可能性も指摘されています。娯楽の動画は対象外です。

Yuehら(2025年)[2]

大人に料理の作り方の動画を1倍・1.25倍・1.5倍のいずれかで見てもらう実験などを、事前に計画を登録したうえで3つ行いました。速く再生すると映像や音が不自然に感じられ、満足感はやや下がっていました。一方、この動画のチャンネルをもっと見たい・人に勧めたいという気持ちや、クイズの成績には、速さによる差がありませんでした。

対象: オンラインで募集した大人(平均年齢約48歳)と大学生 / 限界: 1本ずつの短い動画での結果で、長い作品やドラマでも同じかはわかりません。

Merhavyら(2023年)[3]

医学生66人が、講義動画を1.5倍または2倍で見て、前後のテストで比べました。集中や記憶の定着に、1.5倍と2倍の間で大きな差は見られませんでした。

対象: カリブ海の医学部の学生66人 / 限界: 1倍で見る比較の組がなく、オンラインで実施したため見ている様子を確かめられていません。この点は別の研究者からも指摘されています。

He・Yu(2025年)[4]

オンライン調査の回答者360人に、倍速を使う理由を尋ねました。倍速を使いたい気持ちに最も関わっていたのは、「効率よく見られる」と感じることと、倍速への好意的な気持ちでした。内容の質が高い動画でも、倍速で見る人は少なくありませんでした。

対象: 中国の研究者によるオンライン調査の360人(18〜25歳が75.6%) / 限界: 1回の調査で、倍速の使用が心や理解にどう影響するかは調べていません。

03まだわかっていないこと

倍速で見る習慣が、長い目で見て集中力や楽しむ力に影響するのかは、まだわかっていません。娯楽の動画での研究もほとんどありません。

  • 研究の多くは学びの動画や短い動画です。ドラマや映画を倍速で見たときの楽しさや記憶の研究は、ほとんど見つかりませんでした。
  • 倍速で見る習慣が、長い期間で集中力を下げるのかどうかを追いかけた研究はありません。
  • 「倍速でないと落ち着かない」という気持ちそのものを調べた研究も、まだ少ない段階です。

04今日からできるセルフケア

見る目的で速さを決める、覚えたい動画は見終わってから要点を思い出す、好きな作品は普通の速さで見る時間をつくる、の3つです。どれもお金をかけずにすぐできます。

1

見る前に「目的」で速さを決める

流れをつかむだけの動画は倍速、覚えたい・楽しみたい動画は1倍か少し速いくらい、と決めておきます。研究では、速く見ると覚えている量と満足感が少し下がっていました。

目安 動画ごと・5秒

2

覚えたい動画は、見終わったら要点を3つ思い出す

速く見ると頭の負担が増えます。見終わったあと、画面を閉じて要点を3つ書き出すと、理解できていない所に気づけます。研究で確かめた方法ではありませんが、すぐにできる確認です。

目安 1本ごと・2分

3

好きな作品は、普通の速さで1本見る

速く見ると、映像や音が不自然に感じられ、満足感がやや下がっていました。週に1本、楽しみにしている作品を普通の速さで見る時間をつくります。

目安 週1回

4

「急いでいる理由」を一度書き出す

倍速を使う気持ちには「効率よく見たい」という思いが大きく関わっていました。落ち着かないと感じたら、空いた時間に本当は何をしたいのかを書いてみます。急ぐ必要がない場面に気づくきっかけになります。

目安 一度・5分

05よくある質問

動画を倍速で見るのは悪いこと?

悪いことではありません。短い動画や講義では、速く見ても成績に差が出なかった研究もあります。ただ、12本の研究のまとめでは、速く見ると覚えている量と満足感が少し下がる傾向がありました。

倍速で見ると内容は頭に入らない?

学びの動画の研究では、速く再生すると覚えている量が少し下がっていました。一方、医学生が1.5倍と2倍で見比べた研究では大きな差はありませんでした。覚えたい動画は速さを抑えるのが無難です。

普通の速さで見ると落ち着かないのはなぜ?

この気持ちを直接調べた研究はまだ少ない状態です。倍速を使う理由を調べた調査では、「効率よく見られる」と感じることと、倍速への好意的な気持ちが大きく関わっていました。

何倍速までなら大丈夫?

研究で決まった目安はありません。大人の実験では1.25倍や1.5倍でも満足感がやや下がっていました。覚えたい内容か、流し見でよい内容かで決めるのがおすすめです。

出典

  1. Huang G, Du Y, Yang H (2025). Facilitating or hindering learning - a meta-analysis of acceleration on video learning. Frontiers in Psychology, 16, 1427609. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2025.1427609
  2. Yueh R, Lim J, Li Y, Dorri R (2025). Balancing speed and experience: the cognitive and affective impacts of playback acceleration in digital media consumption. Frontiers in Psychology, 16, 1664580. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2025.1664580
  3. Merhavy ZI, Bassett L, Melchiorre M, Hall MPM (2023). The impact of lecture playback speeds on concentration and memory. BMC Medical Education, 23, 515. https://doi.org/10.1186/s12909-023-04491-y
  4. He Y, Yu J (2025). Exploring the use of double-speed video playback in a fast-paced society through structural equation modeling. Scientific Reports, 15. https://doi.org/10.1038/s41598-025-09525-7