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勉強した直後にスマホを見ると、覚えたことが消える?51件の研究のまとめでは、静かに休むと少し覚えていたが、教室に近い実験では差がなかった

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本(うち研究のまとめ1本)・公的指針0件を整理
机でノートに書き込む手とノートパソコン
Photo: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

勉強や仕事の資料を読み終えた瞬間、ついスマホやAIのチャットを開いてしまう。「せっかく覚えたことが消えてしまうのでは」と気になる人もいると思います。研究の答えは、静かに休むと少し覚えている傾向はあるものの、健康な大人では効果は小さく、文章を読む場面では差がない実験もある、というものでした。

3行でわかる

  1. 51件の研究のまとめでは、覚えた直後に静かに休むと、別の作業をするより少し多く覚えていた。ただし健康な若い〜中年の大人では効果は小さかった。
  2. 文章を読んで覚える研究に限ると効果はさらに小さく、大学生161人の実験では、読んだ後に8分休んでもSNSを見た人と差はなかった。
  3. スマホを見てしまっても、自分を責めるほどの差ではない。覚えたいことの直後に10分ほど何も入れない時間をつくるのは、お金のかからない小さな工夫として試せる。

01 結論から言うと勉強の直後にスマホを見ると、記憶は消える?

消えるとまでは言えません。51件の研究のまとめでは、静かに休んだほうが少し覚えていましたが、健康な大人では効果は小さく、文章を読んだあとにSNSを見ても差がなかった実験もあります。

覚えたばかりのことは、しばらくのあいだ不安定です。その間に頭を休めると、記憶が落ち着きやすいのではないか、と考えられてきました。研究では、覚えた直後の数分から数十分を「何もせず静かに過ごす」場合と「別の作業をする」場合で、あとからどれだけ思い出せるかを比べます。

この「静かに休むと覚えやすい」効果は、記憶の障害がある人や高齢の人では大きく出ていました。一方で、健康な若い大人では効果が出ない研究も多いことが、最新のまとめで整理されています。

02 研究とデータでわかっていること覚えた直後に休むと、どれくらい違う?

健康な若い〜中年の大人では、効果の大きさは0.20で、一般に「小さい」とされる水準でした。文章を読んで覚えた研究では0.13とさらに小さく、聞いて覚えた研究では0.38でした。

51件静かに休む効果を調べた研究のまとめ(142の結果を統合、2026年発表)
0.20健康な若い〜中年の大人での効果の大きさ(小さい水準)
0.13文章を読んで覚えた研究に限った効果の大きさ
161人文章を読んだ後の8分の過ごし方を比べた大学生(2026年発表)

Parra ら(2026)[1]

覚えた直後に静かに休む効果を調べた51件の研究(142の結果)をまとめると、全体では静かに休んだほうがよく覚えていました(効果の大きさ0.34)。ただし対象で大きく違い、記憶の障害(新しいことを覚えにくい健忘)がある人では1.18、健康な高齢者では0.57、健康な若い〜中年の大人では0.20でした。大人の研究では、新しい研究ほど効果が小さくなる傾向もありました。

対象: 記憶の障害がある人・高齢者・若い〜中年の大人を対象にした51件の実験 / 限界: 研究ごとの結果のばらつきが大きく、今後の研究で逆の結果が出る可能性も否定できないと著者は述べています。

同じまとめで、健康な大人の研究を条件別に比べると、次のようになっていました(数字は効果の大きさ。0.2前後が小さい、0.5前後が中くらいの目安です)。

休む時間は、研究でよく使われるのが8〜12分ほどでした。まとめの著者らは、自分たちの予備的な実験で、大学生の多くが「休む時間に宿題やスマホを使っていいか」と尋ね、10分じっと座ることにいら立つ様子だったとも書いています。

King と Nicosia(2022)[2]

オンラインで行った2つの実験で、覚えた直後の約9分を、画面の図形をながめてリラックスする「休み」、画面の数字が2つ前と同じかを判断し続ける課題、思い出を呼び起こす音を流す休み、のどれかで過ごしてもらいました。思い出せた量は、静かに休んだあとが最も多いという結果でした。

対象: 米国ワシントン大学(セントルイス)の学生。1つめの実験は154人 / 限界: 覚えたのは単語で、文章の理解は調べていません。自宅のパソコンで行われ、休み方は図形をながめる形でした。

Seban ら(2026)[3]

説明文を読んだ直後の8分を、目を閉じてリラックスする練習(自律訓練法)、自分のSNSを見る、計算問題、別の文章を読む、のどれかで過ごしてもらいました。読んだ直後と1週間後のテストで、休んだ組がほかの組より成績が良いことはありませんでした。1週間後の事実を問うテストの正答率は、休んだ組が約15%、SNSを見た組が約18%で、統計的にはっきりした差はありませんでした。

対象: スロバキアとチェコの研究チームが調べた大学生161人(平均22歳) / 限界: 1回の実験で、休み方は自律訓練法の1種類だけでした。説明文の理解のように、単語の暗記とは違う学び方での結果です。

スマホに記録を任せると覚えにくくなる条件については「スマホに頼って物忘れが増えた気がする」、AIの要約だけで済ませる読み方については「長い文章を読まずに、AIの要約だけで済ませてしまう」でも整理しています。

03 まだわかっていないことふだんの勉強でも、休むと覚えやすい?

まだはっきりしません。効果が確かめられたのは主に単語などを覚える実験室の研究で、文章を理解する勉強や教室に近い場面では、差が出なかった実験が複数あります。

  • 文章を読んで理解する勉強や、仕事の資料のように複雑な内容で、休むことが役立つかは結果が分かれています。
  • 自宅でいつものようにSNSや動画を見る場合と、静かに休む場合を、長い期間で比べた研究は見当たりませんでした。
  • AIのチャットで別の話題を調べることが、直前に覚えたことにどう影響するかを調べた研究は見当たりませんでした。
  • 目を閉じたほうがいいのか、開けていてもいいのかは、研究ごとにやり方が違い、比べられていません。

04 今日からできるセルフケア覚えたいことを残すには、直後に何をする?

覚えたいことの直後に、10分ほど新しい情報を入れずに過ごしてみることです。効果は小さいので、スマホを見てしまっても自分を責めなくて大丈夫です。研究の条件をもとに、お金をかけずにできる工夫を3つ挙げます。

1

覚えたいことの直後は、10分だけ何も入れない

大事な部分を読み終えたら、窓の外をながめる、目を閉じて座るなど、新しい情報を入れずに過ごします。研究でよく使われる休みの長さは8〜12分ほどでした。

目安 1回10分

2

聞いて覚えたあとから試す

講義や会議、音声の学習のように、耳で聞いて覚えたあとから取り入れます。健康な大人の研究では、聞いて覚えた場合の効果(0.38)が、読んで覚えた場合(0.13)より大きく出ていました。

目安 聞いて学んだ日に1回

3

休むなら、スマホを手の届かない所に置く

休む10分は、スマホを別の部屋やかばんの中に置きます。研究のまとめの著者は、休む時間にスマホの呼吸アプリを使った未発表の研究で差が出なかった理由として、スマホ自体が邪魔になった可能性を挙げています(確かめられたわけではありません)。

目安 休む前に10秒

休憩の取り方そのものに迷うときは「休憩のタイミングがわからず、集中が続かない」も参考になります。

05よくある質問

勉強の直後にスマホを見ると、覚えたことを忘れてしまう?

忘れるとまでは言えません。51件の研究のまとめでは、静かに休んだほうが少し多く覚えていましたが、健康な若い〜中年の大人では効果は小さめでした。大学生161人の実験では、説明文を読んだ後の8分にSNSを見た人と、目を閉じて休んだ人で、1週間後の成績にはっきりした差はありませんでした。

覚えた後は何分休めばいい?

決まった答えはありません。研究でよく使われる休みの長さは8〜12分ほどで、数分から1時間までの研究があります。どの長さが最もよいかを比べた結論は出ていません。

年齢によって、休む効果は違う?

違いがありました。51件の研究のまとめでは、効果の大きさは健康な若い〜中年の大人で0.20、健康な高齢者で0.57、記憶の障害がある人で1.18でした。年齢が上がるほど、覚えた直後に静かに過ごす工夫が役立ちやすい可能性があります。

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出典

  1. Parra D, Zhang Z, Radvansky G (2026). Should we all just take 10? A meta-analysis of wakeful rest. Psychonomic Bulletin & Review, 33, 49. https://doi.org/10.3758/s13423-025-02778-3
  2. King O, Nicosia J (2022). The effects of wakeful rest on memory consolidation in an online memory study. Frontiers in Psychology, 13, 932592. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.932592
  3. Seban P, Šikl R, Prošek T, Urban K (2026). Wakeful rest and memory consolidation in an ecologically valid educational setting: no benefit over distractor tasks. Psychological Research, 90, 42. https://doi.org/10.1007/s00426-026-02265-x