比べて落ち込む

SNSの幸せそうな投稿を見て、比べて落ち込む。「その人のために喜ぶ」練習をした大学生は、能力への自信が少し上がっていた

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わかっている度 ★☆☆ 低研究3本・公的指針0件を整理出典照合済み(2026-10-13)
花瓶に生けた白いチューリップ
Photo: Kotivalo / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

友達の旅行、合格、昇進。SNSで幸せそうな投稿を見るたびに、自分と比べて気分が沈む。そんなときに試せる方法の一つが、相手の喜びを一緒に味わう「ソーシャル・セイバリング」です。米国の大学生の小さな試験では、この練習をした人で能力への自信が少し上がりました。ただし、落ち込みの症状などは変わらず、効果はまだ限られています。

3行でわかる

  1. 米国の大学生55人の2週間の記録では、96%がSNSで人と比べ、比べたあと気分が悪くなった場面は約4割あった。
  2. 「その人のために喜ぶ」練習を1週間した人は、能力への自信が少し上がったが、落ち込みの症状や取り残される不安は変わらなかった。
  3. 楽しい気持ちを味わう練習全般では、20件の試験のまとめで前向きな気持ちを高め、落ち込みなどをやわらげる効果があった。

01 結論から言うとSNSで比べて落ち込んだら、その場で何ができる?

相手の喜びを想像して一緒に味わう練習は、試す価値があります。米国の大学生の試験では能力への自信が少し上がりました。ただし研究は1本の小さな試験で、落ち込みの症状は変わっていません。

人の幸せな投稿を見ると、つい「それに比べて自分は」と考えてしまいます。研究者たちは、この比べる見方を、相手のうれしさを想像して一緒に味わう見方に切り替えられないかと考えました。

うれしい気持ちを意識して味わい、長く保とうとする心の働きを、心理学では「セイバリング(味わうこと)」と呼びます。それを他人の喜びに向けたものが「ソーシャル・セイバリング」です。

02 研究とデータでわかっていること「一緒に喜ぶ」練習で、比べる苦しさは減る?

一部だけ変わりました。練習した大学生は能力への自信が上がりましたが、日々の比べたあとの気分、落ち込みの症状、取り残される不安には、練習しなかった人との差が出ませんでした。

96%2週間の記録で、SNSで人と比べたことがあった学生の割合。米国の大学生55人(2021年に調査)
約4割同じ記録で、比べたあとに気分が「悪くなった」と答えた場面の割合(436回中173回)
20件楽しい気持ちを味わう練習の試験をまとめた数。参加者は合計4,805人(2026年)

Andrade ら(2023年)[1]

人と比べやすい大学生を2つに分け、半分は8日目に「その人のために喜ぶ」方法の動画を見て、14日目まで1日5分ほど練習するよう求められた。練習した人は能力への自信(「うまくやれている」という感覚)が1〜5点で3.21点から3.52点に上がり、練習しなかった人は3.32点から3.35点でほぼ変わらなかった。

対象: 比べやすい傾向のある米国の私立大学の学生55人(平均19歳・78%が女性) / 限界: 小規模な試行で、落ち込みの症状・孤独感・取り残される不安・日々の比べたあとの気分には差がなかった。どのくらい練習したかは確かめられていない。

この研究では、美容・筋トレ・ダイエットの投稿を見た日は、比べて気分が悪くなりやすくなっていました。また、練習した人もしなかった人も、2週間後には比べる傾向が下がり、人とのつながりの感覚が上がっていました。研究者は、毎日SNSの使い方を記録したこと自体が影響した可能性を挙げています。

Chen ら(2026年)[2]

楽しい気持ちを意識して味わう練習の試験20件をまとめると、前向きな気持ちを高め、落ち込みや不安などの症状をやわらげる、中くらいの大きさの効果があった。練習の期間は中央値で14日だった。

対象: 大学生・高齢者・がんの患者など、合計4,805人 / 限界: 30%の試験はかたよりのおそれが高いと判定された。何もしない人と比べた試験のほうが効果が大きく見える傾向があった。他人の喜びに向ける練習に限ったまとめではない。

Klibert ら(2022年)[3]

人前で「自分の魅力」について話すストレスのあと、明るい内容の文章を15分かけてゆっくり味わった人は、何もしなかった人や、楽しい思い出を味わう方法などを試した人より、前向きな気持ちが高くなっていた。先の楽しみを想像した人との差ははっきりしなかった。

対象: 米国の大学生145人(18〜25歳) / 限界: 測ったのは練習の直後の1回だけで、効果がどれだけ続くかはわからない。小さなストレスの場面に限った結果。

03 まだわかっていないこと大人や仕事の比べ合いにも効く?

まだわかっていません。中心の研究は米国の大学生55人の1本だけで、社会人の仕事や収入の比べ合い、日本のSNS利用者で確かめた研究は見当たりません。

  • 練習した期間は1週間ほどで、何か月も続けたときの効果はわからない。
  • 参加者の多くは女性で、2021年のコロナ禍の時期だったため、SNSの使い方がふだんと違っていた可能性がある。
  • 日々の比べたあとの気分は変わらなかったため、その場の落ち込みを軽くするかどうかは確かめられていない。
  • 研究者はSNSで集めた一般の大人でも試そうとしたが、続けて回答した人が少なく、比べられなかった。

04 今日からできるセルフケア比べてしまう投稿を見たら、どうすればいい?

投稿を見た瞬間に、相手のうれしさを想像して味わう練習が一つの手です。あわせて、気分が下がりやすい投稿の種類を知り、1日1回SNSの使い方をふり返ってみてください。

1

幸せな投稿を見たら、相手の気持ちを3段階で想像する

①何がうれしい場面かを見る、②その人がどんな気持ちかを想像する、③喜びがわいたらそのまま感じてみる。研究の練習はこの流れでした。

目安 1投稿につき30秒、1日あわせて5分ほど

2

気分が下がりやすい投稿の種類をメモする

見た目・筋トレ・ダイエットの投稿の日は、比べて気分が悪くなりやすかった研究があります。自分の場合はどの種類かを書き出し、見る量を調整します。

目安 1週間、気づいたときに1行

3

1日1回、SNSで比べたかと気分をふり返る

研究では、毎日記録しただけの人でも比べる傾向が下がっていました。寝る前に「今日比べたか・そのあとの気分」を一言で残します。

目安 1日2分

4

落ち込んだあとは、好きなものを15分ゆっくり味わう

好きな文章を一行ずつゆっくり読み返し、わいてくる気持ちを味わいます。人前で話すストレスのあと、明るい文章を15分味わった人で前向きな気持ちが高かった実験があります。

目安 15分

比べてしまう相手が身近な友達のときは同期や友達の成功を素直に喜べないとき、自分を責めてしまうときは自分への思いやりの研究も参考になります。SNSとの距離の取り方はやめるより減らす研究にまとめています。

05よくある質問

人の幸せを素直に喜べない自分は、性格が悪い?

そうとは言えません。米国の大学生55人が2週間記録した研究では、96%がSNSで人と比べたことがあり、比べたあと気分が悪くなった場面は約4割ありました。比べてしまうのはよくあることです。

喜べないのに、無理に喜ぼうとすると逆につらくならない?

無理に喜ぶ効果は調べられていません。研究の練習は、相手の気持ちを想像し、喜びがわいたらそれを許す、という形でした。どうしても喜べない日は、自分を責めずに画面を閉じて構いません。

比べて落ち込むなら、SNSはやめたほうがいい?

この研究はSNSをやめる方法ではなく、使い方を変える方法を調べたものです。やめるか減らすかの研究は別の記事にまとめています。どちらが合うかは人によって違います。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Andrade, F. C., Erwin, S., Burnell, K., Jackson, J., Storch, M., Nicholas, J., & Zucker, N. (2023). Intervening on Social Comparisons on Social Media: Electronic Daily Diary Pilot Study. JMIR Mental Health, 10, e42024. https://doi.org/10.2196/42024
  2. Chen, P.-H., Tung, H.-H., Wu, Y.-C., & Sie, J. (2026). Effectiveness of savoring interventions: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Applied Psychology: Health and Well-Being, 18(2), e70134. https://doi.org/10.1111/aphw.70134
  3. Klibert, J. J., Sturz, B. R., LeLeux-LaBarge, K., Hatton, A., Smalley, K. B., & Warren, J. C. (2022). Savoring Interventions Increase Positive Emotions After a Social-Evaluative Hassle. Frontiers in Psychology, 13, 791040. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.791040