SNSで他人と比べて落ち込む。やめるより「減らす」が合っているかもしれない理由

友人の楽しそうな投稿、同年代の活躍、きれいに加工された写真。見るたびに自分が小さく思えて、それでもまた開いてしまう。そんな「比べ疲れ」を感じている人は少なくありません。研究を見ると、すっぱりやめるより、量を減らす方が合っている可能性が見えてきます。
3行でわかる
- SNSで人と比べることと、ねたみや落ち込みには関連がありました。
- SNSの利用を減らした実験をまとめると、落ち込みが少し軽くなっていました。
- 完全にやめる実験だけでは、はっきりした効果は見られませんでした。
01結論から言うと
SNSで比べて落ち込むなら、すっぱりやめるより、時間を決めて減らす方が、研究から見て試しやすい方法です。減らした実験では、落ち込みが少し軽くなっていました。
SNSでは、他人の生活の「いいところ」だけが目に入りやすくなります。自分より上に見える人と比べることを、心理学では「上方比較」と呼びます。
比べてしまうのは、人として自然な心の動きです。だからこそ、比べないようにがんばるより、比べる場面そのものを少し減らす方が現実的です。
02研究とデータでわかっていること
SNSでの比較は、ねたみや落ち込みと関連していました。利用を減らす実験では落ち込みが軽くなり、完全にやめる実験では、はっきりした効果は見られませんでした。
Carraturoら(2023)[1]
SNSでの比較、ねたみ、落ち込み(抑うつ)の3つは、調べたすべての研究で互いに関連していました。また、時間の前後関係を調べた2本の研究では、落ち込みが比較やねたみの「結果」ではなく、むしろ「きっかけ」になっていました。
対象: 2012〜2022年に発表された9本の研究のまとめ / 限界: 多くは1回だけの調査で、前後関係を調べた研究は2本だけです。
Mayら(2025)[2]
SNSの利用を減らす、またはやめる実験をまとめると、落ち込み(抑うつ症状)が軽くなっていました。効果は小さめです。「減らす」実験だけをまとめると効果ははっきり見られ、「完全にやめる」実験だけでは、はっきりした効果は見られませんでした。
対象: ドイツ・米国・英国などの10本の実験、合計1,491人 / 限界: 期間は7〜21日と短く、「減らす」と「やめる」の差そのものは統計的に確かではありません。
Lemahieuら(2025)[3]
SNSを一時的にやめても、良い気分・いやな気分・生活の満足度のどれも、はっきりとは変わりませんでした。やめた期間の長さとも関係がありませんでした。
対象: 10本の研究、合計4,674人 / 限界: 研究ごとにやり方の違いが大きく、著者らも解釈には注意が必要だと述べています。
03まだわかっていないこと
SNSを減らした効果が何か月も続くのか、AIで作られた画像との比較で同じことが起きるのかは、まだわかっていません。
- 減らした状態を長く続けたときの効果(今ある実験は3週間以内)
- SNSを使いすぎて困っている人に、同じ方法が効くのか(まとめた実験には含まれていません)
- AIで作られた画像や投稿と比べて落ち込む場合の研究
04今日からできるセルフケア
やめるのではなく、1日の上限を決めて少し減らします。落ち込んでいる日はSNSを開く前に一度立ち止まり、比べてしまう相手は表示を減らします。
1日のSNSの時間に、今より少し短い上限を決める
スマホの利用時間の記録を見て、今の時間より短い上限を決めます。実験の多くは、ゼロにするのではなく「減らす」形でした。
目安 まず2〜3週間続けてみる
気分が落ちている日は、開く前に一呼吸おく
研究では、落ち込みが比較のきっかけになっていました。気分が沈んでいる日は、SNSの代わりに散歩や音楽など別のことを先にします。
目安 開く前に1分
比べてしまう相手は、表示を減らす
見るたびに落ち込むアカウントは、ミュートなどの機能で目に入る回数を減らします。関係を切らなくても、比べる場面を減らせます。
目安 5分で見直し
05よくある質問
SNSで他人と比べて落ち込むのをやめたい。SNSはやめるべき?
すっぱりやめなくても大丈夫です。10本の実験をまとめた研究では、SNSの利用を減らした実験で落ち込みが軽くなっていました。完全にやめる実験だけを見ると、はっきりした効果は見られませんでした。まずは1日の時間を少し減らすことから試せます。
人と比べてしまうのは、性格の問題?
比べてしまうのは、人として自然な心の動きです。研究では、落ち込んでいるときほど、SNSで比較やねたみが起きやすい関係も見られました。気分が沈んでいる日は、SNSを開く前に一呼吸おくのがおすすめです。
SNSをどのくらい減らせば効果がある?
何分にすれば良いという目安は、まだはっきりしていません。まとめた実験は7〜21日間で、減らし方も研究ごとに違いました。今の利用時間より少し短い上限を決めて、2〜3週間試してみてください。
つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。
出典
- Carraturo, F., Di Perna, T., Giannicola, V., Nacchia, M. A., Pepe, M., Muzii, B., Bottone, M., & Sperandeo, R. (2023). Envy, Social Comparison, and Depression on Social Networking Sites: A Systematic Review. European Journal of Investigation in Health, Psychology and Education, 13(2), 364. https://doi.org/10.3390/ejihpe13020027
- May, W., Malouff, J. M., Meynadier, J., & Morales Rodríguez, F. M. (2025). Reducing Social Media Use Decreases Depression Symptoms: A Meta-Analysis of Randomised Controlled Trials. European Journal of Investigation in Health, Psychology and Education, 15(11), 222. https://doi.org/10.3390/ejihpe15110222
- Lemahieu, L., Vander Zwalmen, Y., Mennes, M., Koster, E. H. W., Vanden Abeele, M. M. P., & Poels, K. (2025). The effects of social media abstinence on affective well-being and life satisfaction: a systematic review and meta-analysis. Scientific Reports, 15, 7581. https://doi.org/10.1038/s41598-025-90984-3