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手で書かなくなって、覚えられなくなった気がする。手書きのほうが記憶に残る?日本の39人の実験では脳の反応に差が出たが、覚えた単語の数は変わらなかった

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わかっている度 ★☆☆ 低研究3本・論評1本を整理
本棚に囲まれた書斎の机
Photo: Michael D Beckwith / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

メモはスマホ、資料はパソコン、文章の下書きはAI。ペンを持つのは書類にサインするときだけ、という人も増えました。そのせいで覚えられなくなったのでは、と不安になることがあります。研究の答えは「手書きで脳の反応が変わるという結果はあるが、覚えた量の差ははっきりしない」です。

3行でわかる

  1. 日本の大人の実験では、手書きで覚えた外国語の単語ほど脳の反応に差が出たが、直後に覚えていた数は書き方で変わらなかった。
  2. 米国の医学生68人では、手書き・パソコン・タブレットのどれでノートを取っても、思い出すテストの成績に差はなかった。
  3. パソコンのノートは語数が手書きの2倍以上だった。差が出るとすれば、道具より「写すか、まとめるか」かもしれない。

01 結論から言うと手書きのほうが記憶に残るのは本当?

手書きのほうがタイピングより記憶に残るかどうかは、研究ではまだ結論が出ていません。脳の反応には差が出ても、覚えた量のテストでは差がない研究が目立ちます。

「手で書くと覚えられる」という話には、脳波などで脳の反応を測った研究がよく引かれます。ただ、脳の反応が違うことと、実際に多く覚えられることは別の話です。

書かなくなって覚えにくくなったと感じるときは、書く道具そのものより、読み流す・写すだけで終わる、といった使い方が関わっているのかもしれません。

02 研究とデータでわかっていること手書きとタイピングで、覚えた量は変わった?

日本の大人の実験でも米国の医学生の研究でも、覚えた量やテストの成績は書き方で変わりませんでした。一方、脳の反応には手書きで差が出ていました。

297語 対 121語米国の医学生68人(2018年)がノートに書いた語数の中央値。パソコンと手書きで2倍以上の差でも、成績は変わらなかった
20語日本の大人39人の実験(2021年)で、10分かけて書いて覚えた外国語の単語。直後に覚えていた数は、手書き・タブレットにペン・キーボードで変わらなかった
36人ノルウェーの大学生の脳波の研究(2024年)。手書き中のほうが脳の領域どうしの連動が強かったが、覚えるテストはしていない

Iharaら(2021)[1]

日本語を母語とする大人が、インドネシア語の単語20語を、紙にペン・タブレットにペン・キーボードの3通りで10分ずつ書いて覚えました。直後に覚えていた単語の数は、書き方で変わりませんでした。一方、手書きで覚えた単語では、意味の理解に関わる脳波の反応(N400)の差が大きく出ました。紙にペンで書いたときは、キーボードより「活気」の気分も高めでした。

対象: 日本の右利きの大人39人(脳波の分析は33人) / 限界: 人数が少なく、測ったのは学習の直後だけ。

Wiechmannら(2022)[2]

米国の医学生を、手書き・パソコン・タブレットでノートを取る組に分け、同じ講義を見てもらいました。事実を思い出す問題でも、考え方を問う問題でも、成績に差はありませんでした。ノートの語数の中央値は、パソコンが297語、手書きが121語、タブレットが131.5語でした。

対象: カリフォルニア大学アーバイン校の医学生68人(2018年8月) / 限界: 講義を見た同じ日のテストだけで、日をおいた成績は調べていない。

Van der WeelとVan der Meer(2024)[3]

ノルウェーの大学生が、画面に出た単語をデジタルペンで筆記体で書くときと、キーボードで打つときの脳波を比べました。手書きのときのほうが、頭頂部や中央部の領域どうしの連動が強く出ていました。著者らは、手書きが学びを助ける証拠になると考えています。

対象: 大学生40人(分析は36人) / 限界: 知っている単語を書くだけで、覚えるテストはしていない。

PinetとLongcamp(2025)[4]

上の脳波の研究に対する論評です。実験に覚える作業が含まれていないこと、脳の連動が強いことが学びに有利だとはまだ確かめられていないことを挙げ、「手書きは学びを助ける」という結論は言いすぎだと指摘しています。手書きはタイピングより遅いので、頭に情報をとどめておく時間が長いだけかもしれない、とも述べています。

種類: 研究への論評(新しいデータはない)

なお、Iharaらが紹介している先行研究では、パソコンでノートを取った大学生は手書きの学生より、考え方を問う問題の成績が低かったという報告もあります。パソコンだと聞いたままを書き写しやすく、手書きだと自分の言葉でまとめ直すから、と説明されています。

03 まだわかっていないこと手書きの効果は、何が決め手なのか?

手書きに覚えやすさの差があるとしても、それが手の動きのためか、書くのが遅くてまとめ直すためかは、まだわかっていません。

  • ここで紹介した実験はどれも数十人規模で、覚えたかどうかを調べたのは学習の直後か同じ日だけ。
  • 漢字や長い文章の理解など、日本語の大人の日常に近い場面を調べた研究は、今回調べた範囲では見当たらなかった。
  • 手で書かない生活が何年も続くと記憶力が落ちるのか、を追った研究も、今回調べた範囲では見当たらなかった。

04 今日からできるセルフケア覚えたいことを書くときのコツは?

道具を変えるより、聞いたまま写さずに要点を自分の言葉でまとめることを優先する。手書きは、気分が乗るなら気軽に使えばよい道具です。

1

要点を自分の言葉で3行にまとめる

会議や講義のメモは、全部を打ち込むより、終わったあとに要点を3行で書き直します。パソコンのノートは語数が多くなりやすいので、まとめ直す時間を別に取ります。

目安 1回5分

2

本当に覚えたいことだけ、紙に手で書く

新しい用語や外国語の単語など、覚えたいものだけ手で書いてみます。日本の実験では、紙にペンで書くときのほうが「活気」の気分が高めでした。

目安 1日10分

3

書いたあと、見ないで思い出してみる

手書きでもタイピングでも、書きっぱなしにせず、メモを閉じて内容を口に出したり書き出したりします。覚えたかどうかを、書き方ではなく思い出せるかで確かめます。

目安 翌日に3分

記録に任せると覚えにくくなる条件はスマホと物忘れの研究で、AIに任せる前に「あとで思い出す」と決めておく方法はAIに任せたことを覚えていない悩みの記事で整理しています。

05よくある質問

手書きのほうが、タイピングより記憶に残る?

研究ではまだ結論が出ていません。日本の大人の実験では、手書きで覚えた単語に脳の反応の差が出ましたが、直後のテストで覚えていた単語の数は書き方で変わりませんでした。米国の医学生68人でも、ノートの取り方で成績に差はありませんでした。

パソコンでノートを取ると、何がよくない?

米国の医学生の研究では、パソコンで取ったノートの語数は中央値297語で、手書きの121語の2倍以上でしたが、成績の差はありませんでした。打てる量が多いぶん、聞いたままを写しやすい点には注意できます。

手書きすると脳が活発になるって本当?

ノルウェーの大学生36人の脳波の研究では、手書き中のほうが脳の領域どうしの連動が強く出ました。ただし覚えるテストはしておらず、別の研究者からは、学習に有利だとまでは言えないという指摘が出ています。

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出典

  1. Ihara AS, Nakajima K, Kake A, Ishimaru K, Osugi K, Naruse Y (2021). Advantage of Handwriting Over Typing on Learning Words: Evidence From an N400 Event-Related Potential Index. Frontiers in Human Neuroscience, 15, 679191. https://doi.org/10.3389/fnhum.2021.679191
  2. Wiechmann W, Edwards R, Low C, Wray A, Boysen-Osborn M, Toohey S (2022). No difference in factual or conceptual recall comprehension for tablet, laptop, and handwritten note-taking by medical students in the United States: a survey-based observational study. Journal of Educational Evaluation for Health Professions, 19, 8. https://doi.org/10.3352/jeehp.2022.19.8
  3. Van der Weel FR, Van der Meer ALH (2024). Handwriting but not typewriting leads to widespread brain connectivity: a high-density EEG study with implications for the classroom. Frontiers in Psychology, 14, 1219945. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2023.1219945
  4. Pinet S, Longcamp M (2025). Commentary: Handwriting but not typewriting leads to widespread brain connectivity: a high-density EEG study with implications for the classroom. Frontiers in Psychology, 15, 1517235. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2024.1517235