雑談が続かない、何を話せばいいかわからない。初対面の会話の研究では、相手の話を掘り下げて質問する人ほど好かれていた

職場の休憩や初対面の場で、何を話せばいいかわからず沈黙が怖い。そんな悩みは珍しくありません。結論から言うと、話題を探すより、相手の話に質問を重ねるほうが近道です。会話の実験では、相手の答えにもう一歩たずねる「掘り下げる質問」が多い人ほど、相手から好かれていました。
3行でわかる
- 初対面どうしの会話を調べた3つの研究で、質問、特に相手の答えを掘り下げる質問が多い人ほど、相手から好かれていた。
- 米国の646人を対象にした2025年の研究では、うなずきの言葉や掘り下げる質問が多い会話ほど、つながりを感じやすかった。
- 人は、知らない人との会話の気まずさを大きく見積もりがちだった。実際の会話は、本人が予想したより気まずくなかった。
01 結論から言うと雑談が続かないとき、何を話せばいい?
面白い話題を用意するより、相手の答えに「それでどうなったんですか」と質問を重ねるのが、研究で支持されているやり方です。掘り下げる質問が多い人ほど、相手から好かれていました。
雑談が苦手な人ほど、「何か面白いことを言わなければ」と考えがちです。けれど研究で相手の好感と結びついていたのは、話の上手さより、相手の話を聞いていることが伝わるふるまいでした。
相手の答えをもう一歩掘り下げる質問は、「ちゃんと聞いている」「わかろうとしている」というサインになります。研究者はこれを「応答性」と呼び、好かれるかどうかを左右していたと説明しています。
会話のあとに「変なこと言ったかも」と気になる人は、会議のあとの一人反省会の記事も参考になります。
02 研究とデータでわかっていること質問を増やすと、本当に好かれるの?
初対面の会話の実験では、質問、特に掘り下げる質問が多い人ほど好かれていました。ただし本人たちは、質問すると好かれるとは予想していませんでした。会話の気まずさも、実際より大きく見積もられていました。
Huangら(2017)[1]
初対面の2人の会話を調べた3つの研究で、質問を多くする人ほど、相手から好かれていました。特に効いていたのは、相手の答えを受けてたずねる「掘り下げる質問」でした。質問を増やすよう指示された人は、「よく聞いてくれる、わかってくれる」と受け止められていました。お見合いパーティーの会話の分析でも、掘り下げる質問の多い人ほど、相手から「また会いたい」と言われていました。
対象: オンラインでの初対面の会話と、対面のお見合いパーティーの会話 / 限界: 初対面の短い会話の研究で、長い付き合いの相手にも同じように効くかはわからない。参加者自身は、質問で好かれるとは予想していなかった。
Westら(2025、米国ノースカロライナ大学ほか)[2]
知らない人との会話を録画し、聞き方を数えた2つの研究です。10分の深い会話では、「なるほど」と相手を認める言葉や掘り下げる質問が多いほど、返事の間が短くなり、本人・相手・外から見た人のいずれもつながりを高く評価していました。短い雑談の研究でも、全体として聞き方の質が高いほど、相手からつながりを高く評価されていました。
対象: 米国の大学生・大学院生(分析対象300人、平均20歳)と、20〜65歳の働く大人。合計646人 / 限界: 会話の相手は訓練を受けた研究スタッフで、一般の人どうしの会話とは違う可能性がある。雑談の研究では、質問の数だけでは結果が一貫しなかった。
Kardasら(2022)[3]
知らない人どうしの会話を調べた一連の実験です。会話は、参加者自身が予想したより気まずくなく、つながりや幸せを多く感じられていました。特に、深い話をするときの気まずさを大きく見積もりがちでした。人は、相手が自分の話にどれだけ関心を持つかを低く見積もっていたためです。
対象: 知らない人と会話した実験の参加者 / 限界: 実験で用意された会話で、職場の雑談や偶然の出会いとは条件が違う。
Atirら(2022)[4]
知らない人と10分話してもらう実験で、参加者は会話から学べることを、実際に話したあとより少なく見積もっていました。最初の実験の206人には、「仕事は何をしているか」「休みの日の過ごし方」「家族のこと」というありふれた話題か、もっと面白い話題が渡されました。どちらの話題でも、学べることは予想より多いと感じられていました。
対象: 最初の実験は、米国シカゴの植物園で募った206人(平均33歳) / 限界: 「学べた」は本人の評価で、知識の量を測ったものではない。
研究を並べると、次のように整理できます。
- 好かれる人: 話が面白い人より、相手の答えを掘り下げてたずねる人。
- 話題: 仕事や休日のようなありふれた話題でも、会話から得るものは予想より多い。
- 気まずさ: 始める前の予想ほど、実際の会話は気まずくならないことが多い。
03 まだわかっていないこと質問ばかりだと、うっとうしくない?
質問の数がどこまで増えると逆効果になるのかは、まだわかっていません。研究の多くは米国の初対面の会話で、日本の職場の雑談や、長い付き合いの相手に同じように当てはまるかも確かめられていません。
- 研究の相手は、初対面の人や研究スタッフが中心で、上司や同僚との日々の雑談を直接調べた研究は少ない。
- 短い雑談では、質問の数だけでは相手の評価と一貫して結びつかなかった研究もある。数より、聞いていることが伝わるかが大事な可能性がある。
- 文化によって、質問の多さの受け止め方が違うかは、はっきりしていない。
04 今日からできるセルフケア会話が止まったら、その場で何をする?
相手の最後の答えから1つ言葉を拾い、「それって、どういうことですか」と掘り下げてたずねます。話題を用意するより、聞いていることを言葉で返すほうが、研究の結果に合っています。
相手の答えに、もう一歩だけたずねる
「週末は出かけました」と言われたら、「どこへ行ったんですか」「何がいちばんよかったですか」と、相手の言葉を使って掘り下げます。新しい話題を探さなくて済みます。
目安 1つの答えに1回の質問
「なるほど」「それは大変でしたね」と、受け止めを言葉にする
うなずくだけでなく、相手の話を認める短い一言を返します。2025年の研究では、こうした言葉と掘り下げる質問の多い会話ほど、つながりを感じやすかった。
目安 相手が話し終えるたびに一言
ありふれた話題から始めてよいと決めておく
仕事や休日の過ごし方など、平凡な話題でも、会話から得るものは予想より多いと感じられていました。最初の一言は「この後のご予定は」くらいで十分です。
目安 最初の一言は10秒
「思ったより気まずくない」と先に知っておく
人は会話の気まずさを大きく見積もりがちです。話しかける前に「予想より気まずくならないことが多い」と一度思い出してから始めます。人に頼みごとをする不安は質問するのが怖いときの記事でもまとめています。
目安 話しかける前に数秒
05よくある質問
雑談で沈黙が続くと、相手に嫌われる?
沈黙そのものが嫌われる原因かは、この記事で紹介した研究では調べていません。わかっているのは、相手の答えを掘り下げる質問が多い人ほど好かれていたこと、そして人は会話の気まずさを実際より大きく見積もりがちなことです。沈黙が来たら、相手の最後の言葉から1つ質問を作ってみてください。
質問ばかりすると、詮索していると思われない?
質問の数がどこまで増えると逆効果になるかは、まだわかっていません。研究で好かれていたのは、相手の答えを受けてたずねる「掘り下げる質問」でした。自分の聞きたいことを次々にたずねるより、相手の話に沿って聞くほうが、聞いていることが伝わります。
話のネタがないときは、どんな話題でもいい?
米国の実験では、仕事や休日の過ごし方、家族といったありふれた話題を渡された人も、会話から学べたことは予想より多いと感じていました。面白い話題を用意できなくても、相手に関心を向けてたずねることで会話は続けられます。
深い話をすると、引かれない?
知らない人どうしの実験では、深い話をするときの気まずさを、人は実際より大きく見積もっていました。深い話の相手のほうに、浅い話の相手よりつながりを感じていた実験もあります。ただし、話す内容と深さは、相手の反応を見ながら自分で選んで構いません。
無料ツール
セルフチェックで「今日やること」をまとめる
当てはまる悩みを選ぶだけ。診断はせず、記事の対策を一覧にします。
研究早見表でほかの悩み105件も見る
出典
- Huang K, Yeomans M, Brooks AW, Minson J, Gino F (2017). It doesn't hurt to ask: Question-asking increases liking. Journal of Personality and Social Psychology, 113(3), 430-452. https://doi.org/10.1037/pspi0000097
- West TN, Huston S, Chandler KR, Zhou J, Fredrickson BL (2025). High-quality listening behaviors linked to social connection between strangers. Communications Psychology, 3, 165. https://doi.org/10.1038/s44271-025-00342-2
- Kardas M, Kumar A, Epley N (2022). Overly shallow?: Miscalibrated expectations create a barrier to deeper conversation. Journal of Personality and Social Psychology, 122(3), 367-398. https://doi.org/10.1037/pspa0000281
- Atir S, Wald KA, Epley N (2022). Talking with strangers is surprisingly informative. Proceedings of the National Academy of Sciences, 119(34), e2206992119. https://doi.org/10.1073/pnas.2206992119


