スマホを枕元に置いて寝ると、翌朝まで疲れが残る?フィンランドの75人の記録では、ベッドの中でスマホを使った時間が長い夜ほど寝つくまでが長く、ベッドの外での使用では睡眠の質の低下は見られなかった

寝る前に少しだけのつもりでスマホを開き、夜中に目が覚めてはまた手に取り、朝は起きてすぐ画面を見る。枕元にスマホがあると、一日の終わりと始まりがずっとつながっているように感じることがあります。研究で疲れと寝つきに関わっていたのは、スマホを使う時間の長さだけでなく、ベッドの中で使っているかどうかでした。
3行でわかる
- フィンランドの75人の記録では、ベッドの中でスマホを使った時間が長い夜ほど、寝つくまでの時間と夜中に起きている時間が長かった。ベッドの外での使用では、睡眠の質の低下は見られなかった。
- ベルギーの大人844人の調査では6割が寝室に携帯電話を持ち込み、寝る前の使用が多い人ほど昼間の疲れが強い関連があった。
- どれも「関連」の研究で、眠れないからスマホを見るという逆向きの可能性も残る。寝室の外に置く効果を確かめる試験は、まだ進行中だ。
01 結論から言うと枕元のスマホは、疲れの原因になる?
ベッドの中でスマホを使う時間が長いほど、寝つくまでが長く、昼間の疲れも強い傾向は複数の研究で見られています。ただ、スマホが原因だと確かめた試験はまだなく、「関連がある」までが今わかっていることです。
スマホと睡眠の話では、画面の光(ブルーライト)がよく取り上げられます。けれども研究を並べると、もう一つの手がかりが見えてきます。それが「どこで使うか」です。
フィンランドの研究では、同じスマホの使用でも、ベッドの中と外で睡眠との関わり方が違っていました。夜中にスマホが鳴る、目が覚めたついでに開く、といったことも、枕元に置いてあるからこそ起きやすいことです。予防として手をつけやすいのは、使う時間を我慢することより、置き場所を変えることかもしれません。
02 研究とデータでわかっていることベッドの中のスマホと睡眠の研究は?
ベッドの中での使用が長い夜ほど寝つきが遅い関連、夜中に使って眠りが途切れる人ほど睡眠が短い関連、寝る前の使用が多い人ほど昼間の疲れが強い関連が、それぞれ別の国の研究で見られています。
Kheirinejad ら(2023)[1]
スマホのアプリの使用記録と、指輪型の機器で測った睡眠を組み合わせて調べました。ベッドの中でスマホを使った時間が長い夜ほど、寝つくまでの時間、夜中に起きている時間、夜の平均心拍数が増え、心拍の変動(回復の目安)が小さくなる関連がありました。おおよそ、ベッドの中で5分使うごとに寝つきが約4分、10分使うごとに起きている時間が約9分長くなる計算でした。一方で、ベッドの外での使用では睡眠の質の低下は見られませんでした。
対象: フィンランドで募った75人の分析(参加者は18〜61歳、平均27歳)。2019年11月〜2020年4月に数か月ずつ記録 / 限界: 人数が少なく、ベッドの中で使うから眠りが悪いのか、眠れないから使うのかはわからないと著者らが書いています。
Rod ら(2018)[2]
スマホの操作の記録を4週間集め、本人が答えた就寝時間の中にスマホの操作がどれだけ入り込むかを調べました。就寝から3〜5時間後の真夜中に操作があった人は12%を超え、平日に6時間続けてスマホに触れない時間がとれなかった夜(眠りが途切れた夜)が1晩以上あった人は41%でした。4晩以上あった人は、途切れなかった人より本人が答えた睡眠時間が平均48分短くなっていました。ただし、不安や気分の落ち込み、疲れなどの心身の症状には、はっきりした差は見られませんでした。
対象: デンマークの工科大学の学生815人(平均21.6歳、女性23%)。調査は2013年に始まった研究の一部 / 限界: 一度きりの比較で、眠れない人が暇つぶしにスマホを使っている可能性もあると著者らは書いています。
Exelmans・Van den Bulck(2016)[3]
大人に電子機器の使い方と睡眠を尋ねた調査です。10人に6人が携帯電話を寝室に持ち込んでいました。寝る前の使用が多い人ほど、起きる時間が遅く、不眠の得点が高く、昼間の疲れが強い関連がありました。年齢による違いもあり、使用が多いほど疲れが強い関連は、41.5歳以下の比較的若い人で見られました。
対象: ベルギー(フランドル地方)の18〜94歳の大人844人 / 限界: 一度きりのアンケートで、使用時間も睡眠も本人の回答です。スマホを持っていたのは回答者の半数でした。
寝る前のどのくらい前にやめるとよいかは「寝る前のスマホで眠れない」、画面の光の影響は「夜のスマホのブルーライトで眠れなくなる?」で整理しています。
03 まだわかっていないことスマホを寝室の外に置けば、疲れは減るの?
まだ確かめられていません。今ある研究はどれも、使っている人とそうでない人を比べた「関連」の研究です。寝室の外に置く効果を、くじ引きで組を分けて確かめる試験はデンマークで計画され、結果はまだ出ていません。
- ベッドの中で使うから眠りが悪くなるのか、眠れないからスマホを見るのか、向きはまだ区別できていません。
- デンマークの研究では、眠りが途切れる人に心の不調の差は見られませんでした。睡眠の短さが、どの程度その後の疲れや気分につながるかは、はっきりしていません。
- デンマークの大学の研究チームは、13〜24歳の仲間グループを対象に、スマホを1日1時間にし、画面の機器を寝室の外に置く4週間の試験を計画しています(2026年登録)。大人の働く世代で同じことを調べた試験は見当たりませんでした。
- 朝起きてすぐスマホを見ることだけを取り出して、その日の気分や疲れとの関係を調べた査読研究は、今回の調査では見つかりませんでした。
04 今日からできるセルフケア枕元のスマホを手放すには、何から始める?
使う時間を我慢するより、ベッドの中に持ち込まない仕組みを先に作るほうが手軽です。充電する場所を変え、夜の通知を止め、見たいものはベッドに入る前に見終えることから始められます。
充電する場所を、ベッドから手の届かない所に移す
机や棚など、起き上がって数歩歩かないと取れない場所に充電器を置きます。フィンランドの研究の著者らは、スマホをベッドだけでなく寝室の外に置くことをいちばんに勧めていました。
目安 最初に1回、5分
夜のあいだは通知を止める
スマホの「おやすみ」や「集中」の設定で、寝る時間帯の通知が鳴らないようにします。デンマークの研究者らは、夜中に届くメッセージに反応して眠りが途切れる可能性を挙げていました。
目安 設定は1回、5分
見たいものは、ベッドに入る前に見終える
動画やSNSは、ソファや机など寝床の外で区切りをつけてから寝室に向かいます。フィンランドの研究では、ベッドの外での使用では睡眠の質の低下は見られませんでした。
目安 寝る前に毎晩
夜中に目が覚めたら、画面以外ですごす
時刻を確かめたくなったら、スマホでなく時計を見られるようにしておきます。真夜中の操作があった人は12%を超えていました。手に取らない理由を、前もって一つ作っておくのが目的です。
目安 時計を置くのは1回
通知を減らした1日の変化は「通知が気になって集中できない」で、寝る時間を削ってまで見てしまうときの話は「寝る時間を削ってまでスマホを見てしまう」で紹介しています。
05よくある質問
スマホを目覚まし代わりにしていても大丈夫ですか?
目覚ましとして使うこと自体を分けて調べた研究は、今回見た中にはありませんでした。研究で寝つきの遅さと関わっていたのは、ベッドの中で画面を使っていた時間です。フィンランドの研究の著者らは、できれば目覚まし時計を使い、スマホのアラームを使うときは機内モードか「おやすみ」の設定にして手の届かない所に置くことを勧めていました。
寝る前にスマホを見るなら、ベッドの外ならいいのですか?
フィンランドの75人の記録では、ベッドの外での使用では睡眠の質の低下は見られませんでした。ただ、1本の研究で人数も少ないため、ベッドの外なら何時間でもよい、とまでは言えません。寝る直前に見る時間そのものを短くした実験は、別の記事で紹介しています。
夜中に目が覚めてスマホを見てしまうのは、体に悪いですか?
デンマークの大学生815人の研究では、夜中にスマホを使って眠りが途切れた夜が多い人ほど、本人が答えた睡眠時間が平均48分短い関連がありました。一方で、心の不調の症状には差が見られませんでした。眠れないからスマホを見るという逆向きの可能性もあり、体に悪いとまでは言い切れません。
つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。
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出典
- Kheirinejad, S., Visuri, A., Ferreira, D., & Hosio, S. (2023). “Leave your smartphone out of bed”: quantitative analysis of smartphone use effect on sleep quality. Personal and Ubiquitous Computing, 27(2), 447–466. https://doi.org/10.1007/s00779-022-01694-w
- Rod, N. H., Dissing, A. S., Clark, A., Gerds, T. A., & Lund, R. (2018). Overnight smartphone use: A new public health challenge? A novel study design based on high-resolution smartphone data. PLoS ONE, 13(10), e0204811. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0204811
- Exelmans, L., & Van den Bulck, J. (2016). Bedtime mobile phone use and sleep in adults. Social Science & Medicine, 148, 93–101. https://doi.org/10.1016/j.socscimed.2015.11.037
- Schmidt-Persson, J., Gejl, A. K., Philipsen, K. B., Johansen, M. S., Mathiesen, J., Taylor, R., Flensborg-Madsen, T., Kristensen, P. L., & Grøntved, A. (2026). Effects of reducing screen media use on mental health, sleep, physical activity, heart rate variability, and behavioral patterns in peergroups of young people: a study protocol for a cluster-randomized controlled trial. BMC Psychology, 14, 1098. https://doi.org/10.1186/s40359-026-04827-5


