AI疲れ・情報疲れ

ショート動画を見ていると、気づいたら1時間たっている。56人の実験では、動画中の時間の感覚は読書と変わらず、1週間の視聴時間はむしろ多めに見積もっていた

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わかっている度 ★☆☆ 低研究3本・公的指針0件を整理出典照合済み(2026-10-14)
棚に置かれた2つの砂時計
Photo: Aaaatu / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

寝る前に少しだけのつもりでショート動画を開いたら、気づけば1時間。「動画を見ていると時間の感覚がおかしくなるのでは」と不安になる人は多いはずです。ところが、時間の見積もりを確かめた小さな実験では、動画を見ている間の時間の感覚は、文章を読んでいるときとほとんど変わりませんでした。研究はまだ少ないものの、問題は時間の感覚そのものより、止めるきっかけがないことにあるのかもしれません。

3行でわかる

  1. 中国の大学生56人の実験では、約16分のショート動画の視聴時間を、ほぼ正確に見積もっていました。約5分のときはやや長めに見積もり、読書のときと差はありませんでした。
  2. 同じ56人は、1週間のショート動画の視聴時間を、平均で実際より多めに見積もっていました(見積もりの平均約937分、記録の平均約779分)。
  3. 17件の研究のまとめでは、時間を忘れるほどの没入感が不安や落ち込みと関連していましたが、ほとんどが一時点の調査で、因果はわかっていません。

01 結論から言うとショート動画を見ると、時間の感覚は狂う?

研究では、そうとは言い切れません。大学生56人の実験では、ショート動画を見ている間の時間の見積もりは、文章を読んでいるときと差がありませんでした。ただし研究はまだ少なく、結論は出ていません。

ショート動画は、1本が数十秒から数分と短く、次の動画が自動で流れてきます。そのため「時間を忘れさせる仕組みがあるのでは」と心配されてきました。下で紹介する実験の論文が紹介している先行研究では、同じ長さでもゲームの時間は読書より短く見積もられやすかったと報告されています。

そこで、ショート動画でも同じことが起きるのかを確かめた実験があります。結果は意外なもので、動画を見た時間の見積もりは、読書をした時間の見積もりと差がありませんでした。むしろ、1週間に動画を見た時間は、実際の記録より多めに見積もっていました。

つまり「気づいたら1時間」は、時間の感覚が大きく狂った結果というより、区切りがないまま見続けた結果である可能性があります。ただし、これは小さな実験1本の結果で、寝る前の疲れた状態などは調べられていません。

02 研究とデータでわかっていること動画を見た時間を、人はどのくらい正確に見積もれる?

約16分の視聴時間はほぼ正確に、約5分の視聴時間はやや長めに見積もられていました。読書でも同じ傾向で、動画だけが特別にずれるという結果は出ませんでした。

0.98倍約16分ショート動画を見た後の「見積もった時間÷実際の時間」の平均(中国の大学生、2025年発表)
1.21倍約5分見た後の同じ比率の平均。短いときはやや長めに見積もった
937分1週間のショート動画の視聴時間の見積もりの平均(記録の平均は779分)
17件18〜29歳を対象にした、ショート動画と心の健康の研究のまとめ

Jiangら(2025年)[1]

大学生56人を、約16分(16分9秒)と約5分(5分23秒)の2つのグループに分け、自分のスマホでショート動画を見る時間と、公開記事を読む時間を同じ長さだけ過ごしてもらい、それぞれ何分だったかを見積もってもらいました。約16分の動画の見積もりは実際の0.98倍で、実際とはっきりした差はありませんでした。約5分では1.21倍で、やや長めに見積もっていました。読書の見積もりと動画の見積もりに差はなく、ショート動画を問題のある使い方をしている程度とも、時間のずれは関連していませんでした。1週間の視聴時間は、スマホの利用記録と比べると、平均で多めに見積もっていました。

対象: 中国・江蘇省の大学の学生56人(17〜25歳、平均20.3歳) / 限界: 人数が少なく、実験室での短い時間の結果です。スマホの時計が目に入った可能性も研究者は挙げています。寝る前や1時間を超える視聴は調べていません。

Szaboら(2026年)[2]

ハンガリーのスマホ利用者100人の、8日間の利用記録を集めました。記録された利用時間のおよそ8割は娯楽のためのアプリで、半分以上がSNSでした。スマホへの依存傾向の得点は、記録された利用時間とは弱い関連にとどまった一方、「自分はどのくらい使っていると思うか」とは、よりはっきり関連していました(相関0.41)。

対象: ハンガリーの学生や職員など18歳以上の100人(平均24.4歳) / 限界: 一時点の調査で、因果はわかりません。依存傾向や使っている感覚はどちらも自己申告のため、関連が強めに出た可能性があると研究者自身が述べています。

Arouchら(2026年)[3]

18〜29歳を対象に、ショート動画と考える力・心の健康の関係を調べた17件の研究をまとめました。ショート動画を多く使う人ほど注意が途切れやすいなどの関連が報告され、時間を忘れるほどの没入感は、不安や落ち込み、注意がそれやすいこと、やめにくい使い方と関連していました。一方、短く楽しい動画で一時的に気分が上がったという実験もありました。

対象: 中国・米国・英国など8か国・地域の17件の研究(2014〜2024年) / 限界: 17件のうち9件は一時点の調査で、自己申告が多く、研究の質の確かさは限られています。どちらが原因かはわかっていません。

03 まだわかっていないこと寝る前に長く見る場合も、同じことが言える?

まだわかっていません。時間の見積もりを確かめた実験は約16分までで、寝る前の疲れた状態や1時間を超える視聴、自動で次の動画が流れ続ける場面は調べられていません。

  • ショート動画と時間の感覚を直接確かめた実験は、まだごく少数です。ここで紹介した実験は56人と小さく、この論文が紹介している先行研究では、ふだんよく見る人ほど動画を見た時間を長めに見積もっていたと報告されています。
  • 没入感と不安や落ち込みの関連は、ほとんどが一時点の調査です。動画のせいで気分が落ち込むのか、落ち込んでいる人が動画に没頭しやすいのかは、わかっていません。
  • 研究のまとめは、区切りの合図や、無限スクロールに「ひと手間」を加える工夫を試す価値があるとしていますが、効果を確かめた研究は含まれていませんでした。

04 今日からできるセルフケア「気づいたら1時間」を減らすには?

時間の感覚に頼らず、外から区切りを入れることが手がかりになります。実際の記録を1週間確かめ、見る前に終わりの時刻を決め、見終わったあとの気分を振り返ります。いずれも効果を確かめた試験はまだありません。

1

スマホの利用記録で、実際の時間を確かめる

スマホの利用時間の画面を開き、ショート動画のアプリの1週間の時間を見ます。実験では、平均すると実際の記録より多めに見積もっていました。思っていたより短い場合も、長い場合もあります。数字を責める材料にせず、次に何分にするかを決める材料にします。

目安 週1回・3分

2

見始める前に、終わりの合図を用意する

実験の研究者は、利用時間のお知らせを設定して時間の感覚を補うことを提案しています。見始める前にタイマーを15分にかけるなど、時間の感覚の外に区切りを置きます。寝る前の夜更かしについてはリベンジ夜更かしの記事も参考になります。

目安 1回15分まで

3

見終わったら、気分を一言で振り返る

スマホへの依存傾向は、記録された時間より「自分はどのくらい使っていると思うか」とより関連していました。見終わったら「すっきり」「だるい」など気分を一言だけメモします。だるさが続く日が多ければ、見る時間帯を変えるきっかけになります。集中への影響はショート動画と集中力の記事で紹介しています。

目安 1回30秒

05よくある質問

ショート動画を見ると、時間があっという間に過ぎるのはなぜ?

大学生56人の実験では、約16分の視聴時間はほぼ正確に見積もられていて、読書と差がありませんでした。時間の感覚が大きく狂うというより、1本が短く次々と流れるため止めるきっかけがないことが、長く見続ける一因と考えられます。ただし研究はまだ少なく、はっきりした結論は出ていません。

自分が思うより、実際はもっと長く見ている?

この実験では逆で、1週間の視聴時間を、平均すると実際の記録より多めに見積もっていました(見積もりの平均約937分、記録の平均約779分)。人によって大きく違うため、スマホの利用記録で一度確かめると、自分の実際の時間がわかります。

ショート動画は心の健康に悪い?

18〜29歳の17件の研究のまとめでは、時間を忘れるほどの没入感が不安や落ち込みと関連していました。一方、短く楽しい動画で一時的に気分が上がったという実験もあります。多くが一時点の調査で、動画が原因かどうかはわかっていません。

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出典

  1. Jiang Y, Yan Z, Yang Z. (2025). Losing Track of Time on TikTok? An Experimental Study of Short Video Users' Time Distortion. Behavioral Sciences, 15(7), 930. https://doi.org/10.3390/bs15070930
  2. Szabo A, Járai R, Tabi N, Montvai D, Bulgay C, Podstawski R, Somogyi A. (2026). Objective and perceived smartphone use volume, addiction risk, and deprivation feelings. Addictive Behaviors Reports, 24, 100750. https://doi.org/10.1016/j.abrep.2026.100750
  3. Arouch S, Edgcumbe D, Pezaro S, Maravic Da Silva K. (2026). Short-form video, cognitive and mental health outcomes: a systematic review. BMJ Public Health, 4, e004086. https://doi.org/10.1136/bmjph-2025-004086