AI疲れ・情報疲れ

疲れて、趣味を楽しむ気力がなくなった。50歳以上8,780人の追跡では、趣味を始めた時期に落ち込みの症状が軽くなっていた

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的指針0件を整理出典照合済み(2026-10-10)
テーブルに並んだ絵の具やペンなどの画材
Photo: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

仕事や情報に追われる日が続いて、気づけば休日もスマホを眺めて終わる。前は楽しかった趣味に手が伸びなくなった、という人は少なくありません。結論から言うと、趣味を始めた時期に落ち込みの症状が軽くなっていた追跡研究があります。ただし、多くは50歳以上が対象で、疲れきった状態で無理に始めた場合の効果はわかっていません。

3行でわかる

  1. 英国の50歳以上8,780人を最長12年ほど追った研究では、同じ人の中で趣味を始めた時期に、落ち込みの症状が軽くなっていた。
  2. 16か国の65歳以上9万3,263人の研究でも、趣味がある時期ほど落ち込みの症状が少なく、幸福感と生活の満足度が高かった。
  3. 働く世代の研究はまだ少ない。疲れているときは休むのが先で、気力が戻ってきたら5分でできる小さな趣味から試すのが現実的。

01 結論から言うと疲れてやめた趣味、また始める意味はある?

意味がある可能性は高そうです。同じ人を何年も追った研究で、趣味を始めた時期に落ち込みの症状が軽くなる関連が、英国でも16か国でも見られました。ただし対象は主に50歳以上です。

疲れて趣味に手が回らなくなるのは、気力が減っているときの自然な反応です。「趣味もできない自分はだめだ」と責める必要はありません。

ここで紹介する研究は、同じ人の「趣味がある時期」と「ない時期」を比べる方法を使っています。生まれ持った性格や育ちなど、その人の変わらない特徴の影響を取り除けるのが強みです。それでも、趣味が落ち込みを減らしたのか、気分が上向いたから趣味を始められたのかを完全には分けられません。休むこと自体に罪悪感がある人は、休むことに罪悪感がある人の記事も参考になります。

02 研究とデータでわかっていること趣味と心の状態について、研究では何がわかっている?

50歳以上・65歳以上の追跡研究では、趣味を始めた時期に落ち込みの症状が軽くなっていました。働く世代では、趣味がある人ほど落ち込みが少ないという一時点の調査があります。

8,780人趣味と落ち込みの関係を2年ごとに追った、英国の50歳以上の参加者(2004/05〜2016/17年のデータ)
2.72趣味がなく落ち込みの症状があった人が、趣味を始めたときに症状から回復するオッズ比(同じ英国の研究)
9万3,263人16か国で趣味と心の状態を調べた、65歳以上の参加者(2023年発表)
90.0%同じ研究で、趣味があると答えた日本の65歳以上の割合(5万7,051人)

Fancourtら(2020)[1]

英国の50歳以上8,780人を2年ごとに調べ、同じ人の中で趣味の有無と落ち込みの症状の変化を比べました。趣味を始めると、落ち込みの症状が軽くなり、質問票で一定以上の落ち込みがあるオッズは30%低くなっていました(オッズ比0.70)。調査の初めに落ち込みの症状があり趣味がなかった人では、趣味を始めると症状から回復するオッズが2.72倍でした。結果は男女とも、初めに落ち込みがあった人でもなかった人でも同じ向きでした。

対象: 英国の加齢研究(ELSA)の50歳以上(52〜99歳、平均66.9歳)、2004/05〜2016/17年 / 限界: 関連を見た研究で因果関係は断定できない。参加者のほとんどが白人の英国人で、抗うつ薬の影響は分析できていない。落ち込みは診断ではなく質問票で測った。

Makら(2023)[2]

日本・英国・米国・中国と欧州12か国の、5つの追跡調査のデータを合わせて分析しました。同じ人の中で比べると、趣味がある時期ほど落ち込みの症状が少なく、自分で感じる健康・幸福感・生活の満足度が高い関連がありました。趣味がある人の割合は国によって違い、スペインの51.0%からデンマークの96.0%まで幅がありました。国の違いで説明できる部分は小さく(9%未満)、関連は国をまたいでおおむね共通していました。

対象: 16か国の65歳以上9万3,263人(日本は5万7,051人)を4〜8年追跡 / 限界: 関連は小さめで、因果関係は断定できない。参加者の多くは退職後の高齢者で、働く世代に当てはまるかはわからない。

Liら(2019)[3]

上海で働く2,985人に「決まった趣味や余暇の活動はあるか」を聞きました。趣味がある人では、一定以上の落ち込みの症状がある割合が16.4%(ない人は21.6%)、心の調子が低い人の割合が20.4%(ない人は30.7%)でした。年齢や働き方などをそろえても、趣味がある人で落ち込みのオッズは0.78、心の調子が低いオッズは0.62と低く、週60時間を超えて働く人でも同じ傾向でした。

対象: 上海の会社員など2,985人(18〜60歳、平均31.0歳)、2018年 / 限界: 一時点の調査で、趣味が心の状態をよくしたのか、調子のよい人が趣味を続けられているのかは区別できない。

3つを並べると、趣味と落ち込みの少なさの関連は、国や年代をまたいで同じ向きに出ていると言えます。とくに英国の研究は、すでに落ち込みの症状があった人でも、趣味を始めた時期に回復しやすかった点で、「立て直す」場面の参考になります。

03 まだわかっていないことどんな趣味を、どのくらいすればいい?

どの種類の趣味が、どのくらいの頻度でよいのかは、まだ結論が出ていません。働く世代で、趣味を始めたときの変化を追った研究も少ない状況です。

  • 研究の多くは趣味の「有無」だけを聞いていて、種類・頻度・時間の違いはわかっていない。
  • 追跡研究の対象は主に50歳以上・65歳以上で、働く世代の結果は一時点の調査にとどまる。
  • 人と一緒にする趣味と一人の趣味で違いがあるかは、英国の研究の著者らも今後の課題としている。
  • スマホで動画を見ることを趣味と数えた場合の結果や、AIや情報による疲れに絞った研究は見当たらない。

04 今日からできるセルフケア疲れたままでも、趣味を取り戻すには?

まず休み、気力が少し戻ってから、前に楽しめていたことを5分だけ再開します。続けやすくするために、時間と場所を先に決め、画面を見ない趣味を1つ選ぶのが手がかりになります。

1

「前に楽しかったこと」を3つ書き出す

新しい趣味を探すより、以前に夢中になれたことを思い出すほうが負担は小さくて済みます。料理、散歩、楽器、手芸など、小さなことで構いません。

目安 3分

2

そのうち1つを、5分だけやってみる

最初から1時間やろうとすると、疲れているときは腰が重くなります。5分で終えてよいと決めてから始めます。紹介した研究が比べていたのは主に趣味の有無で、長さや頻度の違いは調べられていません。

目安 5分、週1〜2回から

3

「いつ・どこで」を先に決めておく

「土曜の朝食のあと、台所でパンをこねる」のように決めておくと、気力が少ない日でも始めやすくなります。やり方は「いつ・どこで・何を」を決める計画の記事にまとめています。

目安 1分

4

誰かと一緒にできる趣味も候補に入れる

人とのつながりそのものも心の支えになります。属するグループが多い人ほど落ち込みにくかった研究は居場所の記事で紹介しています。英国の研究では人づきあいの量をそろえても関連が残っていたので、一人の趣味でも構いません。

目安 月1回の集まりから

05よくある質問

趣味がないと落ち込みやすいの?

趣味がない人が必ず落ち込むわけではありません。上海の会社員など2,985人の調査では、趣味がある人で一定以上の落ち込みの症状がある割合が16.4%、ない人で21.6%でしたが、一時点の調査で因果関係はわかりません。

疲れているのに、趣味をする元気がありません。

まず休むことが先です。研究で比べられていたのは「趣味があるかどうか」で、疲れきった状態で無理に始めた場合の効果は調べられていません。気力が少し戻ってから、5分でできる小さなものから試すのが現実的です。

スマホで動画を見るのも趣味に入る?

研究では「趣味や娯楽があるか」を本人に聞いていて、何を趣味と数えるかは本人の判断でした。どの種類の趣味が心によいかを比べた研究はまだ少なく、画面を見る時間と手を動かす趣味の違いもわかっていません。

何歳でも効果がある?

わかっている研究の多くは50歳以上や65歳以上が対象です。働く世代では上海の一時点の調査があるだけで、若い人や働く世代で趣味を始めたときの変化を追った研究は少ない状況です。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Fancourt D, Opher S, de Oliveira C (2020). Fixed-Effects Analyses of Time-Varying Associations between Hobbies and Depression in a Longitudinal Cohort Study: Support for Social Prescribing? Psychotherapy and Psychosomatics, 89(2), 111–113. https://doi.org/10.1159/000503571
  2. Mak HW, Noguchi T, Bone JK, et al. (2023). Hobby engagement and mental wellbeing among people aged 65 years and older in 16 countries. Nature Medicine, 29(9), 2233–2240. https://doi.org/10.1038/s41591-023-02506-1
  3. Li Z, Dai J, Wu N, et al. (2019). Effect of Long Working Hours on Depression and Mental Well-Being among Employees in Shanghai: The Role of Having Leisure Hobbies. International Journal of Environmental Research and Public Health, 16(24), 4980. https://doi.org/10.3390/ijerph16244980