AI疲れ・情報疲れ

新しいAIの情報を見逃したくなくて、追うほど疲れるのはなぜ?SNSの研究では、「見逃す不安」が強い人ほど情報が多すぎると感じやすく、それがあとの疲れとつながっていた

約7分で読めます

わかっている度 ★☆☆ 低研究3本・公的指針0件を整理
夕暮れの引き潮の河口に広がる砂地と水面
Photo: Sergei Gussev / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

新しいAIツールやニュースが毎日のように出てきて、「見逃したら置いていかれる」と追いかけるほど、ぐったりする。そう感じる人は少なくありません。SNSの研究では、この「見逃す不安」が強い人ほど、情報が多すぎて処理しきれないと感じやすく、その感覚が疲れとつながっていました。疲れの正体は、意志の弱さより、処理できる量を超えた情報の多さにありそうです。

3行でわかる

  1. 中国の大学生743人を1か月おきに3回調べたSNSの研究では、「見逃す不安(FOMO)」が強い人ほど、1か月後に情報が多すぎると感じ、2か月後のSNS疲れも強い傾向があった。
  2. 見逃す不安と疲れの結びつきは、ストレスを感じる道より、「情報が多すぎる」と感じる道を通ったものが大きかった。659人の別の調査でも、疲れと最も強く結びついていたのは情報の多さの感覚だった。
  3. 「今この瞬間」に注意を向けやすい人では、見逃す不安と情報の多さの感覚の結びつきが見られなかった。ただし、AIの情報に絞った研究はまだほとんどない。

01 結論から言うと新しい情報を見逃したくないと、なぜ疲れる?

SNSの研究では、見逃す不安が強い人ほど「情報が多すぎて処理しきれない」と感じやすく、その感覚が疲れとつながっていました。疲れのおもな通り道は、情報の量の多さでした。

「見逃す不安(FOMO)」は、ほかの人が得ている大事な情報や楽しい経験を、自分だけ逃しているのではないかという落ち着かない気持ちです。この気持ちが強いと、新着を何度も確かめたくなります。

一方で、人が一度に処理できる情報の量には限りがあります。研究者は、確かめる回数が増えて受け取る情報が処理できる量を超えると、「多すぎる」という感覚が生まれ、それが疲れにつながると説明しています。AIの新しいツールやニュースを追うときも、同じしくみが働いている可能性があります。ただし、AIの情報で確かめた研究ではありません。

02 研究とデータでわかっていること見逃す不安と疲れは、どうつながっていた?

中国の大学生743人の研究では、見逃す不安が強い人ほど1か月後に情報が多すぎると感じ、2か月後の疲れも強い傾向がありました。SNS利用者659人の調査やポーランドの264人の調査でも、見逃す不安は疲れと結びついていました。

743人1か月おきに3回答えた、中国中部の4大学の学生(16〜24歳)
0.46「情報が多すぎる」感覚とSNS疲れの相関。見逃す不安と疲れの相関(0.20)の2倍以上(743人の研究)
0.618つの要因のうち、SNS疲れと最も強く結びついていた「情報の多さ」の係数(SNS利用者659人、2021〜2022年)
264人不安になりやすい人ほど疲れが強く、その間を見逃す不安がつないでいたポーランドの調査(14〜50歳)

Yaoら / 中国・河南大学(2025年発表)[1]

大学生に1か月おきに3回、紙の質問票に答えてもらいました。1回目に見逃す不安、2回目に「情報が多すぎる」感覚とストレス、3回目にSNS疲れを聞いています。見逃す不安が強い人ほど、あとで情報が多すぎると感じ、疲れも強い傾向がありました。

見逃す不安から疲れへの結びつきを道ごとに分けると、「情報が多すぎる」感覚を通る道が0.042、ストレスを通る道が0.013で、情報の多さを通る道のほうが大きく出ていました。また、ふだんから「今この瞬間」に注意を向けやすい人(マインドフルネスの傾向が高い人)では、見逃す不安と情報の多さの感覚、ストレスとの結びつきが統計的にはっきりしませんでした。

対象: 中国中部の1つの省の4大学の学生743人(16〜24歳、女性55%) / 限界: 本人の回答だけによる調査で、1回目の時点の疲れの強さはそろえていません。見逃す不安が疲れを生むという因果関係は確かめられていません。

Qinら / 中国・江西師範大学ほか(2024年)[2]

FacebookやInstagramなどを使う659人に、SNS疲れと関わりそうな8つの要因を同時に調べました。疲れと最も強く結びついていたのは「情報が多すぎる」感覚(係数0.612)で、見逃す不安(0.121)、やめられない使い方(0.108)も疲れと結びついていました。SNSを使いこなせるという自信は、疲れの少なさと結びついていました。人と比べる気持ちは、疲れとの結びつきがはっきりしませんでした。

対象: オンラインで集めたSNS利用者659人(26〜45歳が約75%、2021年2月〜2022年3月) / 限界: 疲れを感じやすそうな人を選んで集めた、1回だけの調査です。国や地域は論文に書かれていません。

Świątekら / ポーランド・シュチェチン大学(2021年)[3]

ふだんから不安を感じやすい人ほど、SNSでの頭・気持ち・行動の疲れが強い傾向がありました。そして、その結びつきの間を、見逃す不安がつないでいました。

対象: 中高生から大人まで264人(14〜50歳、平均23.8歳、女性85%) / 限界: 1回だけの調査で、疲れが先に不安を強めている可能性も残っています。

情報の多さそのものとSNS疲れの研究は「情報が多すぎて疲れる。AIのニュースを追いきれないときの、情報の減らし方」で詳しく整理しています。

03 まだわかっていないことAIの情報を追う疲れも、同じしくみなの?

まだわかっていません。紹介した研究はすべてSNSを対象にしたもので、AIの新しいツールやニュースを追うことに絞って、見逃す不安と疲れを調べた研究はほとんど見当たりません。

  • 3本とも本人の回答による調査で、見逃す不安が疲れを生むのか、疲れている人が見逃す不安を感じやすいのかは区別できていません。
  • 743人の研究は中国の大学生、264人の研究は女性が85%と、対象に偏りがあります。働く大人で同じ結果になるかはわかりません。
  • マインドフルネスの傾向は、ふだんの性格に近いものとして測られました。練習でその傾向を高めると疲れが減るかは、この研究では確かめていません。
  • 見逃す不安がある程度あることは、大事な連絡を逃さないために役立つ面もある、と研究者は書いています。どこからが多すぎるのかの目安は、まだありません。

04 今日からできるセルフケア見逃す不安で疲れないためには、どうする?

研究で疲れと最も結びついていたのは、情報が多すぎるという感覚でした。追う範囲と回数を先に決めて、受け取る量を処理できる範囲に収めることが手がかりになります。

1

「本当に見逃したら困る情報」を3つだけ書く

仕事で使うツールの更新など、逃すと実際に困るものを紙に3つ書きます。それ以外は「あとで知っても間に合う情報」と決めておきます。

目安 1回5分

2

新着を確かめる時間を1日1〜2回にまとめる

確かめる回数が増えるほど、受け取る情報は増えます。昼休みと夕方など、見る時間を決めて、それ以外はアプリを開かないようにします。

目安 1回15分まで

3

開く前に、いまの体の感覚に10秒だけ注意を向ける

新着が気になったら、すぐ開かずに呼吸や足の裏の感覚に注意を向けます。「今この瞬間」に注意を向けやすい人では、見逃す不安と情報の多さの結びつきが見られませんでした。

目安 気になったとき・10秒

追いかける範囲の決め方は「AIについていけない焦りがつらい」、新着が頭から離れないしくみは「スマホを置いても、頭の片隅で新着や通知が気になるのはなぜ?」も参考になります。

05よくある質問

新しい情報を見逃したくない気持ちは、なぜ疲れにつながる?

SNSの研究では、見逃す不安が強い人ほど「情報が多すぎて処理しきれない」と感じやすく、その感覚がSNS疲れとつながっていました。中国の大学生743人の研究では、ストレスを感じる道より、情報が多すぎると感じる道を通った結びつきのほうが大きく出ていました。

AIの情報を追って疲れるのは、自分が弱いから?

そうとは言えません。研究では、見逃す不安と疲れの結びつきは、情報が多すぎると感じる度合いを通していました。人が一度に処理できる情報の量には限りがある、という考え方で説明されています。

AIの情報そのものを調べた研究はある?

見逃す不安と疲れの研究は、ほとんどがSNSを対象にしたものです。AIの新しいツールやニュースを追うことに絞って、見逃す不安と疲れを調べた研究は、まだほとんど見当たりません。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

無料ツール
セルフチェックで「今日やること」をまとめる
当てはまる悩みを選ぶだけ。診断はせず、記事の対策を一覧にします。
研究早見表でほかの悩み258件も見る

出典

  1. Yao X, Zhao J, Zhang H, Chao W, Wang M (2025). The Antecedents and Buffer of Social Media Fatigue: A Moderating Role of Dispositional Mindfulness. PsyCh Journal, 15(1), e70062. https://doi.org/10.1002/pchj.70062
  2. Qin C, Li Y, Wang T, Zhao J, Tong L, Yang J, Liu Y (2024). Too much social media? Unveiling the effects of determinants in social media fatigue. Frontiers in Psychology, 15, 1277846. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2024.1277846
  3. Świątek AH, Szcześniak M, Bielecka G (2021). Trait Anxiety and Social Media Fatigue: Fear of Missing Out as a Mediator. Psychology Research and Behavior Management, 14, 1499–1507. https://doi.org/10.2147/PRBM.S319379