スマホを置いても、頭の片隅で新着や通知が気になるのはなぜ?ドイツの大学生532人の研究では、この「いつもオンラインの構え」が強い人ほどストレスが高めだった一方、つながりも感じていた

スマホは机に伏せてあるのに、新しいメッセージや通知のことが頭の片隅から離れない。研究では、この状態は「オンライン・ビジランス(いつもオンラインに注意が向いている構え)」と呼ばれ、ストレスの高さと関連していました。一方で、人とのつながりの実感とも関連していて、悪い面だけの心の動きではありませんでした。
3行でわかる
- ドイツの大学生532人の研究では、「いつもオンラインの構え」が強い人ほど、5日間の日記で答えたストレスが高めだった。
- 同じ研究で、この構えが強い人ほど、ネットでのやりとりで人とのつながりを感じる度合いも高かった。研究者は「よい面と悪い面の両方がある」と書いている。
- 英国の大学生の10日間の実験では、気づく練習と自分の状態の記録を続けた組で、この構えの点数が4段階で2.43から1.98に下がった。ただし途中でやめた人が多く、結果は慎重に見る必要がある。
01 結論から言うと新着が頭から離れないのは、おかしいこと?
おかしいことではありません。研究では、多くの人に見られる心の構えとして扱われています。ただし、この構えが強い人ほどストレスが高めという関連が、複数の調査で見られました。
ドイツの研究者たちは、この構えを3つに分けて測りました。1つ目は「気づくとネットのことを考えている」こと。2つ目は「メッセージが来るとすぐ全力で反応する」こと。3つ目は「今ネットで何が起きているかを見張り続ける」ことです。
スマホを持ち歩くのが当たり前になった今、こうした構えは珍しくありません。同じ論文の最初の調査では、ドイツのスマホ利用者229人のうち79.5%が「いつも」スマホを持ち歩いていると答えていました。AIのチャットや仕事のチャットが増えるほど、「何か来ているかも」と考える場面も増えやすいといえます。
02 研究とデータでわかっていること「いつもオンライン」は、心にどう関わる?
ストレスや不安の高さと関連していましたが、関連の強さは弱めから中くらいでした。つながりの実感と関連するよい面もあり、原因と結果の向きはまだわかっていません。
Reineckeら / ドイツ・マインツ大学ほか(2018年)[1]
ドイツの大学生532人が、平日5日間、寝る前にその日のストレスを日記で答えた。「いつもオンラインの構え」が強い人ほど、ストレスが高めだった(関連の強さ0.37)。同時に、ネットでのやりとりで人とのつながりを感じる度合いも高かった(0.38)。
研究者は、この構えには「よくない面とよい面の両方がある」と書いている。また、ここで見られたストレスは、ネット依存症で問題になるような生活の大きな支障に比べると、比較的軽いものだと説明している。
対象: ドイツの大学生532人(平均22.6歳、65.4%が女性) / 限界: 大学の授業の単位と引き換えに集めた学生で、ストレスが構えの結果なのか、ストレスが強い人がネットを気にしやすいのかは、この研究ではわからない。
Sabahら / アルジェリア・シュレフ大学ほか(2025年)[2]
アルジェリアの女子大学生438人の調査では、「いつもオンラインの構え」が強い人ほど、ストレス・不安・気分の落ち込みの点数が高い傾向があった。ただし関連の強さは0.16〜0.22と弱かった。
この構えは、人の反応や評価への敏感さ(ネットでも対面でも)と、より強く関連していた(0.47)。敏感さを考えに入れると、構えとストレスの直接の関連ははっきりしなくなった。研究者は、構えが人への敏感さを高め、それがつらさにつながるという流れを考えている。
対象: アルジェリアの女子大学生438人(2024年に調査) / 限界: 一度きりの調査で、原因と結果の向きはわからないと研究者自身が書いている。対象が女子学生に限られる。
Throuvalaら / 英国・ノッティンガム・トレント大学(2020年)[3]
英国の大学生を2組に分け、片方は10日間、瞑想の練習と、スマホの使い方や気分の記録を毎日続けた。最後まで答えた143人で比べると、練習した組では「いつもオンラインの構え」が4段階で2.43から1.98に下がり、比べた組は2.38から2.39でほぼ変わらなかった。
スマホに気が散る度合いも、練習した組では58.06点から39.70点に下がった(比べた組は59.72点から58.78点)。一方、無意識に手が伸びる習慣や、SNSに使う時間は、はっきりとは減らなかった。
対象: 英国の大学生(最後まで答えた143人、8割以上が女性) / 限界: 最初の252人のうち最後まで答えたのは56%だった。比べた組は何もしない組で、研究者は効果が大きく見えている可能性を挙げ、慎重に見るよう書いている。
03 まだわかっていないことこの構えを弱めれば、ストレスは減る?
まだわかっていません。今回調べた研究は、関連を見た調査と、1つの小さな実験だけです。構えが弱まったことでストレスが減るのかは、確かめられていません。
- ストレスがこの構えを強めるのか、構えがストレスを強めるのか、向きはわかっていない。
- 調べられたのは主に大学生で、働く大人や、AIのチャットを仕事でよく使う人での研究は見当たらなかった。
- 英国の実験は10日間で、途中でやめた人も多かった。効果がどのくらい続くかもわからない。
- AIのチャットの返事を待つことが、この構えを強めるかどうかを調べた研究は、今回の調査では見つからなかった。
04 今日からできるセルフケア新着が気になるとき、何ができる?
「気になっている」と気づいて名前をつけることから始められます。英国の実験で構えが弱まった組は、自分の状態に気づく練習と記録を続けていました。お金をかけずにできる形にすると次の3つです。
「今、新着が気になっている」と心の中で言う
スマホに手が伸びそうになったら、すぐ開かずに、気になっている自分に気づいて言葉にします。英国の実験では、自分の気持ちへの気づきが高まったことが、気が散りにくくなったことと結びついていました。
目安 1回10秒
1日1回、スマホの使い方と気分をメモする
寝る前に「今日いちばん気になったのはどの通知か」「そのときの気分」を1行ずつ書きます。英国の実験で練習した組も、使い方と気分の記録を続けていました。
目安 1日2分・10日間
作業中はスマホを視界の外に置く
見えるところにあると、それだけで気になりやすくなります。置き場所の研究はスマホが近くにあるだけで集中できない?、通知を切った実験は通知をオフにした1日の研究で整理しています。
目安 集中したい30分だけ
鳴っていないのに振動した気がする場合は幻の振動の記事、仕事のチャットにすぐ返さないと不安な場合は即レスの不安の記事も参考になります。
05よくある質問
スマホを見ていない時も新着が気になるのは、依存症ですか?
この記事では診断はできません。研究者は、この構えは多くの人に見られるもので、依存症のような生活の大きな支障とは別だと説明しています。ただ、つらさや生活への支障が続くときは、相談窓口や医療機関に相談できます。
通知をすべて切れば、気にならなくなりますか?
通知を切るだけで頭の中の「気になる」が消えるかは、この記事で調べた研究では確かめられていません。研究で下がっていたのは、気づく練習や自分の状態の記録を10日間続けた組でした。
「いつもオンラインの構え」は悪いことばかりですか?
悪いことばかりではありません。ドイツの研究では、この構えが強い人ほど、ネットでのやりとりで人とのつながりを感じる度合いも高い傾向がありました。
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出典
- Reinecke L, Klimmt C, Meier A, Reich S, Hefner D, Knop-Huelss K, Rieger D, Vorderer P (2018). Permanently online and permanently connected: Development and validation of the Online Vigilance Scale. PLoS ONE, 13(10), e0205384. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0205384
- Sabah A, Alduais A, Aljaberi MA, Manouchehri M (2025). Online and Offline Social Sensitivity as Mediator Between Online Vigilance and Depression, Anxiety, and Stress Among Algerian Female Students. PsyCh Journal, 14(4), 473-482. https://doi.org/10.1002/pchj.70017
- Throuvala MA, Griffiths MD, Rennoldson M, Kuss DJ (2020). Mind over Matter: Testing the Efficacy of an Online Randomized Controlled Trial to Reduce Distraction from Smartphone Use. International Journal of Environmental Research and Public Health, 17(13), 4842. https://doi.org/10.3390/ijerph17134842


