仕事とAIの不安

仕事のチャット、すぐ返さないと不安になる。「即レスしなきゃ」の気持ちと疲れの研究

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的指針0件を整理出典照合済み(2026-10-03)
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Photo: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

チャットの通知が来ると、作業の途中でもすぐ返したくなる。返していないメッセージがあると落ち着かない。そう感じる人は少なくありません。研究では、この「すぐ返さなければ」という気持ちが強い人ほど、仕事のことを考え続けて、疲れを感じやすい関連がありました。

3行でわかる

  1. 「すぐ返さなければ」と感じる気持ちは、研究で「テレプレッシャー」と呼ばれ、休む時間にも仕事のことを考え続けることと関連していました。
  2. 「業務時間外も連絡に応じるのが当たり前」という職場の空気が強いほど、燃え尽きの症状が強い関連がありました。
  3. 会社のルールだけでは効果が限られ、上司の働きかけや、本人が境界を決める工夫を組み合わせたときに、小さな効果が見られました。

01結論から言うと

すぐ返さないと不安になるのは、あなたの性格だけのせいではありません。研究では、「すぐ返すべき」という職場の空気と、本人の「すぐ返さなければ」という気持ちの両方が、疲れと関連していました。

研究では、メッセージにすぐ返信しなければと感じ、そのことが頭から離れない状態を「テレプレッシャー」と呼びます。チャットやメールなど、文字でやりとりする道具が増えたことで注目されるようになりました。

ただし、これまでの研究の多くは、ある時点のアンケートや数日間の記録を分析したものです。「すぐ返そうとするから疲れる」という因果関係までは、まだはっきりしていません。

02研究とデータでわかっていること

「すぐ返さなければ」という気持ちが強い日ほど、休む時間にも仕事のことを考え続ける関連がありました。職場の「いつでも連絡がつくべき」という空気も、燃え尽きの症状と関連していました。

269人・1,256回分5日間の日記で、テレプレッシャーと仕事を考え続けることの関係を調べたベルギーの働く人の記録(2022年発表)
229人業務時間外の連絡を求める職場の空気と、燃え尽きの症状の関係を調べたオランダの働く人(2020年後半の調査)
12件・2,306人業務時間外の連絡を減らす取り組みの効果を調べた研究をまとめた数(2026年発表のレビュー)

Cambier・Vlerick(2022)[1]

働く人に5日間、毎日アンケートに答えてもらいました。休みの時間に「仕事のメッセージにすぐ返さなければ」と感じた日ほど、実際に仕事のメッセージに対応していて、仕事のことをもやもやと考え続ける傾向も強い関連がありました。

対象: ベルギーの働く人269人(1,256回分の回答) / 限界: SNSで募集した参加者で、5日間の自己評価の記録です。因果関係までは示していません。

Hendrikxら(2023)[2]

「業務時間外も同僚や上司からの連絡に応じるべき」という空気を強く感じている人ほど、燃え尽きの症状が強い関連がありました。この関係の一部は、本人のテレプレッシャーの高さと、仕事の進め方を自分で決められる度合い(自律性)の低さで説明されていました。

対象: オランダのさまざまな職場で働く229人(2020年後半の調査) / 限界: 1時点の調査で、高学歴の人が多い小さな集団です。著者らも、すべての働く人には一般化できないと述べています。

Nilsenら(2026)[3]

業務時間外の連絡を減らす取り組みを調べた12件の研究をまとめました。国の法律や会社のルールだけでは、効果は限られているか、見られませんでした。上司向けの取り組みや、仕事と私生活の境界の決め方をほかの工夫と組み合わせた取り組みでは、効果は小さいものの、仕事から気持ちを離しやすくなる変化が見られました。

対象: 12件の研究(合計2,306人。8件はドイツ) / 限界: 研究の数が少なく、著者らは研究の質を全体として「弱い」と評価しています。

このレビューが紹介している先行調査では、在宅で働ける立場にあるベルギー・フランス・イタリア・スペインの働く人のうち、67%が、ふつうの1週間のうち何日かは、契約上の勤務時間外に上司からメールや電話で連絡を受けていました。業務時間外の連絡は、多くの人に身近な問題です。

03まだわかっていないこと

返信を遅らせると疲れが減るのか、どのくらいの速さで返すのがよいのかは、まだ確かめられていません。日本の職場やチャットツールを対象にした研究も少ない状態です。

  • 「すぐ返そうとする」ことが疲れの原因なのか、もともと疲れている人ほどそう感じやすいのか
  • 返信の目安時間をチームで決めたとき、気持ちの負担がどれだけ変わるか
  • メールではなく、仕事用チャットの「既読」や在席表示が与える影響
  • 日本の職場での研究結果(今回整理した研究はヨーロッパが中心)

04今日からできるセルフケア

研究からは、本人の気持ちだけでなく、職場の空気やルールも関わっていることがわかります。自分でできる工夫と、チームで話し合える工夫を組み合わせるのが現実的です。

1

「本当に急ぎか」を確かめる習慣をつける

通知が来て返したくなったら、「これは今すぐ返さないと誰かが困るか」を1回だけ自分に問いかけます。急ぎでなければ、決めた時間にまとめて返します。

目安 1回10秒

2

チャットを見る時間を決める

たとえば「作業中は1時間に1回」「終業後は見ない」など、自分のルールを決めます。勤務時間外は、仕事用アプリの通知を切っておきます。

目安 設定5分

3

返信の目安をチームで共有する

「急ぎのときは件名や冒頭に書く」「急ぎでなければ当日中でよい」など、返信の目安を話し合って決めます。研究では、職場の空気が燃え尽きと関連していたため、1人で我慢するより共有するほうが助けになる可能性があります。

目安 打ち合わせで10分

05よくある質問

仕事のチャットにすぐ返さないと不安になるのはおかしい?

おかしくはありません。研究ではこの気持ちを「テレプレッシャー」と呼び、多くの働く人を対象に調べられています。また、「いつでも連絡に応じるべき」という職場の空気が強いほど、この気持ちも強い関連がありました。

休みの日に仕事のチャットを見てしまうと、どんな影響がある?

ベルギーの働く人269人の5日間の記録では、休みの時間に「すぐ返さなければ」と感じた日ほど実際に対応していて、仕事のことをもやもやと考え続ける傾向が強い関連がありました。ただし、因果関係まではわかっていません。

会社が「つながらない権利」のルールを作れば解決する?

ルールだけでは十分でない可能性があります。12件の研究のまとめでは、国の法律や会社のルールだけでは効果が限られていました。上司の働きかけや、本人が境界を決める工夫を組み合わせた取り組みで、小さな効果が見られました。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

出典

  1. Cambier, R., & Vlerick, P. (2022). When Thoughts Have No Off Switch: The Cost of Telepressure and Message-based Communication behaviour within Boundary-crossing Contexts. Occupational Health Science, 6(4), 545–564. https://doi.org/10.1007/s41542-022-00127-7
  2. Hendrikx, K., Van Ruysseveldt, J., Proost, K., & van der Lee, S. (2023). "Out of office": Availability norms and feeling burned out during the COVID-19 pandemic: The mediating role of autonomy and telepressure. Frontiers in Psychology, 14, 1063020. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2023.1063020
  3. Nilsen, W., Nordberg, T., Lescoeur, K., Ingelsrud, M. H., & Egeland, C. (2026). What do we know about limiting after-hours availability expectations and work-related connectivity? A systematic review of interventions and policies. Scandinavian Journal of Work, Environment & Health, 52(3), 206–218. https://doi.org/10.5271/sjweh.4277