AIとの付き合い方

AIを控えると決めたのに、また頼ってしまった。174人の食事の記録の研究では、うまくいかなかった日のあとは「明日も頑張ろう」という気持ちが上がりにくく、できた日のあとほど上がっていた

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わかっている度 ★☆☆ 低研究3本・公的指針0件を整理
朝の光が差しこむ窓と白いカーテン
Photo: TWMEAU rOEPPOUL / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

「今週はAIに頼らず自分で書く」と決めたのに、気づけばまたAIを開いていた。そんな日は「やっぱり自分はだめだ」と、全部を投げ出したくなります。食事の記録の研究では、うまくいかなかった日のあとは「明日も頑張ろう」という気持ちが上がりにくく、できた日のあとほど上がっていました。立て直しの鍵は、逆戻りした自分を責めることより、次の小さな「できた」を作ることにありそうです。

3行でわかる

  1. オーストリアとドイツの174人の14日間の記録では、食事が目標どおりだった日のあとほど、次の日の「頑張ろう」という気持ちが上がり、うまくいかなかった日のあとは上がりにくかった。
  2. 減量に取り組む140人の記録では、つまずいたあとに自分にやさしくできた人ほど、その後の数時間、自分をコントロールできている感覚が高く、落ち込みも小さかった。
  3. AIの研究ではなく、食事やSNSの研究からの推測。AIを控える目標に同じことが当てはまるかは、まだ確かめられていない。

01 結論から言うとAIをまた使ってしまった日は、どう考えればいい?

1回の逆戻りで目標を捨てなくてよい、と考えられます。食事の研究では、つまずいた日のあとは頑張る気持ちが上がりにくく、そこから崩れやすい一方、自分にやさしくできた人ほど、つまずいたあとも自分をコントロールできている感覚を保っていました。

何かを控えようとしている人は、1回でも破ると「もう台無しだ」と感じやすくなります。この記事で紹介する食事の研究も、たった1回のつまずきが、悪い流れの入り口になりうると指摘しています。

ここで大事なのは、つまずき自体より、そのあとの受け止め方です。責めて落ち込むと、次の日の頑張る気持ちまで下がりやすくなります。反対に、次の日に小さくでも目標どおりにできると、その「できた」が次の頑張りを支えます。AIを控える目標でも、同じ考え方が手がかりになりそうです。

02 研究とデータでわかっていることつまずいた翌日、やる気はどう変わる?

食事の研究では、目標どおりにできた日のあとほど次の日の頑張る気持ちが上がり、できなかった日のあとは上がりにくい傾向がありました。つまずいたあとに自分にやさしくできた人は、落ち込みが小さく、自分をコントロールできている感覚が高めでした。

174人食事の目標と次の日の頑張る気持ちを、14日間スマホで記録した人数(オーストリアとドイツの大学などで募集、平均23歳前後)
1日6回減量に取り組む140人が、7日間答えた質問の回数。つまずいたあとの気持ちを調べた(2023年発表)
594人SNSを毎日使う人を、4か月おきに3回調べた人数(87%が英国、平均33.8歳)

van Alebeekら(2024年)[1]

体重を保つか減らしたいと考える174人が、14日間、1日4〜6回スマホで食事について答え、夜には次の日にどれだけ食事に気をつけるつもりかを答えました。その日の食事が目標どおりだったと感じた日のあとほど、次の日に気をつけるつもりの度合いが上がっていました。

目標どおりでなかった日のあとは、この上がり方が小さくなっていました。「失敗したら次は頑張る」という調整は見られず、成功が次の頑張りを呼ぶ形でした。この傾向は、ふだん食事の管理がうまくいっていないと感じている人で、特にはっきりしていました。研究者は、1回のつまずきが悪い流れの始まりになる危険を防ぐ工夫が必要だと述べています。

この論文が紹介している先行研究では、食べすぎたあとに罪悪感を強く感じたり、自分にやさしくできなかったりした人で、食事の計画を続けるつもりが下がっていました。

対象: オーストリアとドイツの大学などで募集した174人(2つの研究を合わせて分析。男性は1割余り) / 限界: 食事の研究で、測ったのは「気をつけるつもり」の自己申告。実際の行動が変わったかまでは調べていない。答えの尺度に上限と下限があり、変化は相対的にしか読めない。

Hagermanら(2023年)[2]

減量の取り組みに参加していた140人が、7日間、1日6回スマホで質問に答えました。食事の計画からはずれたあとに、自分を思いやる気持ちが強かった人ほど、落ち込みなどのいやな気持ちが小さくなっていました。

自分を思いやる気持ちの中でも、「友だちにするように自分にやさしくする」面が強かった人は、その後の数時間、体重の管理を自分でコントロールできている感覚が高めでした。一方、同じ日にもう一度計画からはずれるかどうかとは、関係が見られませんでした。研究者は、つまずいたあとの自分へのやさしさが、目標をあきらめるのを防ぐかもしれないと考えています。

対象: 減量の取り組みに参加していた140人 / 限界: 調査で、原因と結果の向きはわからない。もう一度つまずくのを減らす効果は見られなかった。食事の研究で、AIの利用ではない。

Duら(2021年)[3]

SNSを毎日使う594人を、4か月おきに3回調べました。ほかにやるべきことがあるのにSNSを使ってしまう失敗が多い人ほど、今していることに注意を向けられている感覚や、生き生きとした感覚が、8か月を通して低めでした。

また、生活に満足している度合いが高いと、4か月後にSNSの使いすぎの失敗が減る関係が見られました。ただし、この結果は分析のしかたによっては確かめられず、研究者自身も結論を強く言いすぎないよう慎重に書いています。

対象: ネットの調査に登録している16〜60歳の594人(87%が英国、女性73%) / 限界: 調査で、3回目まで答えたのは270人。SNSの研究で、AIの利用に同じ関係があるかはわからない。

03 まだわかっていないことAIを控える目標にも、同じことが当てはまる?

まだわかっていません。AIの使いすぎを控えようとした人が、つまずいたあとにどう立て直すかを調べた研究は見当たりません。ここで紹介したのは食事とSNSの研究で、AIに当てはめるのは推測です。

  • 食事の研究で見えた「できた日のあとほど頑張れる」流れが、AIを控える目標でも起きるかは確かめられていない。
  • 自分にやさしくすることで、次のつまずきそのものが減るかは、紹介した研究[2]でははっきりしなかった。
  • 紹介した研究[1]は、次の日に「気をつけるつもり」を測っただけで、実際の行動が変わったかは調べていない。
  • AIは仕事や勉強で役に立つ場面も多く、どこまで控えるのがよいかという目安そのものが、まだ定まっていない。

04 今日からできるセルフケア逆戻りしたあと、どう立て直す?

責める言葉を、友だちにかける言葉に置き換えることから始められます。次の日は、確実にできる小さな目標を1つだけ達成します。研究では、目標どおりにできた日のあとほど、次の日の頑張る気持ちが上がっていました。

新しい習慣が根づくまでの日数は、AIに何でも聞く癖を直したいときの記事にまとめています。AIへの頼りすぎが長引いたときの見通しは、頼りすぎが長引いたときの記事で読めます。

1

「友だちならどう言うか」で、自分に声をかける

AIを使ってしまったと気づいたら、「同じことを友だちが言ったら、何と返すか」を考え、その言葉を自分にかけます。研究では、つまずいたあとに自分にやさしくできた人ほど、自分をコントロールできている感覚が高めでした。

目安 1回1分

2

次の日は、確実にできる目標を1つだけ決める

「1日AIを使わない」ではなく、「朝のメール1通だけは自分で書く」のように、必ず達成できる大きさにします。研究では、目標どおりにできた日のあとほど、次の日の頑張る気持ちが上がっていました。

目安 1日1つ、5〜15分

3

「できた」をその日のうちに1行で書く

寝る前に、自分の手でできたことを1行メモします。つまずいた日の記憶だけが残ると、「全部だめだった」と感じやすくなるためです。

目安 寝る前に30秒

4

気持ちが満たされる時間を、週に1つ守る

散歩、料理、人と会うなど、AIと関係なく満たされる時間を予定に入れます。SNSの研究では、生活への満足が高い人ほど、のちに使いすぎの失敗が減る関係が見られました(確かな結論ではありません)。

目安 週1回、30分

AIを控えると決めたのに使ってしまったら、もうやめるしかない?

やめなくてよいと考えられます。食事の記録の研究では、うまくいかなかった日のあとは頑張る気持ちが上がりにくく、そこから崩れやすい傾向がありました。研究者は、1回のつまずきを悪い流れの始まりにしない工夫が大事だとしています。

自分にやさしくすると、甘えて同じ失敗を繰り返さない?

減量に取り組む140人の記録では、つまずいたあとに自分にやさしくできた人ほど、自分をコントロールできている感覚が高めでした。同じ日にもう一度つまずくかどうかとは関係が見られず、やさしさで失敗が増えるという結果は出ていません。

AIを完全にやめないと、立て直したことにならない?

そうとは言えません。AIの使い方の目安は研究でまだ定まっていません。役に立つ場面では使い、自分で決めた場面だけ控えるなど、達成できる目標に置き直すほうが、「できた」を積み重ねやすくなります。

この記事の研究は、AIについて調べたもの?

いいえ。紹介したのは、食事の管理とSNSの使いすぎについての研究です。AIを控える目標でも同じことが起きるかは、まだ確かめられていません。そのため、わかっている度は★1つにしています。

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出典

  1. van Alebeek H, Jones CM, Reichenberger J, Pannicke B, Schüz B, Blechert J (2024). Goal pursuit increases more after dietary success than after dietary failure: examining conflicting theories of self-regulation using ecological momentary assessment. International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity, 21, 24. https://doi.org/10.1186/s12966-024-01566-x
  2. Hagerman CJ, Ehmann MM, Taylor LC, Forman EM (2023). The role of self-compassion and its individual components in adaptive responses to dietary lapses. Appetite, 190, 107009. https://doi.org/10.1016/j.appet.2023.107009
  3. Du J, Kerkhof P, van Koningsbruggen GM (2021). The reciprocal relationships between social media self-control failure, mindfulness and wellbeing: A longitudinal study. PLOS ONE, 16(8), e0255648. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0255648