AIに頼りすぎる状態が長引いて、もう抜け出せない気がする。カナダの成人を5年追った研究では、ネットのチャットにのめり込んで困った人の4人に3人近くが、その年だけで終わっていた

減らそうと何度も決めたのに、気づけばまたAIに話しかけている。この状態が何か月も続いて、もう抜け出せないのではと不安になっていませんか。AIそのものの長い追跡研究はまだありません。ただ、ネットのチャットやゲームへののめり込みを何年も追った研究では、多くの人で時間とともに軽くなっていました。
3行でわかる
- カナダの成人を5年追った研究では、ネットのチャットへののめり込みで困ったと答えた144人のうち73.6%は、5年のうち1年だけの報告だった。
- ゲームの研究のまとめでは、問題のある使い方の基準を満たした人のうち、1年後も満たしていたのは43〜45%、2年後は34〜38%。ただし重い人ほど続きやすかった。
- AIへの依存の研究は、37本のうち多くが一時点の調査で、長く続くかどうかはまだわかっていない。
01 結論から言うとAIへの依存は、ずっと続くもの?
ずっと続くと決まったものではありません。AIの長期の研究はまだありませんが、ネットのチャットやゲームへののめり込みは、何年か追うと多くの人で軽くなっていました。一方、重い人では続きやすい傾向もありました。
「依存」という言葉には、一度なったら自力では抜け出せないという印象があります。しかし、ネットのチャットや買い物、ゲームなど行動へののめり込みについては、時間とともに軽くなる人が多いという研究が重なってきています。
ここで紹介する研究の多くは、AIが広まる前のネットのチャットやゲームが対象です。AIでも同じかはわかっていないため、見通しを考えるための近い分野の手がかりとして読んでください。その場でやめられないときの工夫はAIとのチャットがやめられないときの記事にまとめています。
02 研究とデータでわかっていることネットやゲームへののめり込みは、何年たつとどうなる?
カナダの5年の追跡では、ネットのチャットへののめり込みを報告した人の7割以上が1年だけで、困りごとの点数も下がっていました。ゲームの研究のまとめでは、1〜2年後も続いていたのは3分の1から半分ほどでした。
Konkolÿ Thegeら(2015)[1]
カナダ・オンタリオ州の成人4,121人を、2006年から5年間、毎年調べました。「のめり込みすぎて、この12か月に大きな問題が起きた活動はあるか」と尋ね、ネットのチャット、ゲーム、買い物、運動など6つの行動を追いました。ネットのチャットでは、5年のうちに一度でも問題を報告した144人のうち、73.6%は報告が1回だけで、5回とも報告した人は1人でした。1年目に報告した62人の困りごとの点数の平均は、3.48から2年目に1.25、5年目に0.73へと下がっていました。
6つの行動のどれでも、点数は時間とともに下がり、男女で下がり方に差はありませんでした。ネットのチャットで支援を求めた人は、各年の平均で16%と少なく、著者らは、変化の多くは専門的な支援によらない自然な回復と考えられるとしています。
対象: カナダの成人(平均46.1歳)。のめり込みは本人の自己申告で判断 / 限界: 調査はAIが広まる前で、AIとの会話は含まれない。点数の変化を分析した人数は少なく、10代や治療を受けている人には当てはまらない可能性がある。別の行動に移った可能性は調べていない。
Sunら(2025)[2]
問題のあるゲームの使い方やゲーム障害を、時間をおいて追った研究を集めて分析しました。最初に基準を満たした人のうち、1年後も満たしていたのは43〜45%、2年後は34〜38%でした。3分の1から半分ほどが続き、残りは基準を下回っていたことになります。一方、最初の症状が重い人ほど、あとでも重い傾向がありました。治療を受けている人を含む1件の研究では、続いていた割合は78%と高めでした。
対象: 割合の分析は18件の追跡研究で、主に10代 / 限界: ゲームの研究で、大人やAIの使い方にそのまま当てはまるかはわからない。研究によって基準や測り方が違う。
Dagninoら(2026)[3]
AIの問題のある使い方を調べた査読研究37本を整理しました。「やめられない使い方」「考える作業を任せすぎる使い方」「気持ちの面で頼る使い方」の3つに分けられ、研究ごとに定義や測り方がばらばらでした。研究の多くはある時点での調査で、孤独がAIへの頼りすぎにつながるのか、その逆なのかも区別できないとしています。
対象: 生成AIや会話AIの使い方を調べた37本(中国の研究が17本で最多) / 限界: 研究の多くが一時点の自己申告の調査で、時間とともにどう変わるかはわかっていない。
3つの研究を並べると、行動へののめり込みは「一度なったらずっと」とは限らず、多くの人で波のように軽くなっていることが見えてきます。ただ、重い状態は続きやすく、AIについての長期のデータはまだありません。
03 まだわかっていないことAIへの依存でも、同じように軽くなる?
わかっていません。AIの使い方を何年も追った研究はまだ見当たらず、ネットのチャットやゲームの結果がAIにも当てはまるかは確かめられていません。
- AIへの依存は、まだ正式な診断名になっておらず、研究ごとに定義が違う。
- AIは仕事や勉強にも使うため、遊びのチャットやゲームより減らしにくい可能性があるが、確かめた研究はない。
- 軽くなった人が、別の行動にのめり込むようになっていないかは調べられていない。
- どんな人が軽くなりやすく、どんな人が続きやすいかの手がかりは、症状の重さ以外にはまだ少ない。
04 今日からできるセルフケア長引くAI依存から抜け出すには、何から始める?
「ずっとこのまま」と決めつけず、困っていることを1つに絞って、月ごとの変化を記録します。困りごとが重い、または悪くなっているときは、早めに人に相談します。
「この1年で困ったこと」を1つ書く
研究では「のめり込んで問題が起きたか」で判断していました。使う時間の長さより、寝る時間が減った、人と話さなくなったなど、困っていることを1つ書き出します。
目安 5分
月に1回、前の月と比べる
研究の人たちは、年単位で少しずつ軽くなっていました。毎日の増減ではなく、1か月前と比べて困りごとが減ったかを、1〜5の点数でメモします。
目安 月1回・3分
逆戻りした日を、失敗と数えない
何年も追った研究でも、報告は出たり消えたりしていました。使いすぎた日があっても、また次の日から戻せば十分です。新しい習慣が根づくまでの期間は習慣を直す期間の記事にまとめています。
目安 使いすぎた翌日に1回
重い・悪くなっているときは、人に話す
ゲームの研究では、症状が重い人ほど続きやすい傾向がありました。困りごとの点数が下がらない、生活に支障が出ているときは、信頼できる人や相談窓口に話してみます。
目安 2か月続けて下がらないとき
05よくある質問
AIへの依存は自然に治る?
AIについての長い追跡研究はまだありません。近い分野では、カナダの成人を5年追った研究で、ネットのチャットへののめり込みを報告した人の73.6%が、5年のうち1年だけの報告でした。ただし、重い場合は続きやすいとする研究もあります。
AI依存は病気?診断名はある?
2026年時点で、AIへの依存は正式な診断名になっていません。37本の研究を整理したまとめでは、研究ごとに定義や測り方がばらばらで、まだ共通の枠組みがないとされていました。
何年も続いていたら、もう手遅れ?
手遅れと決める研究はありません。ゲームの研究のまとめでは、問題のある使い方が1〜2年後も続いていた人は3分の1から半分ほどで、続いた場合でも減らし方を工夫する余地があります。生活への支障が続くときは、医療機関に相談できます。
AIに慰めてもらわないと落ち着かないときは、自分で立て直すコツの記事も参考にしてください。
つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。
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出典
- Konkolÿ Thege B, Woodin EM, Hodgins DC, Williams RJ (2015). Natural course of behavioral addictions: a 5-year longitudinal study. BMC Psychiatry, 15, 4. https://doi.org/10.1186/s12888-015-0383-3
- Sun AP, Ho CH, Kuss DJ, Cross CL (2025). The temporal stability of problematic gaming and gaming disorder: A systematic review and meta-analysis. Addictive Behaviors Reports, 21, 100592. https://doi.org/10.1016/j.abrep.2025.100592
- Dagnino FM, Fante C, Guerrieri V, Passarelli M (2026). Addicted, attached, or just delegating? A scoping review on "problematic artificial intelligence use". Frontiers in Psychology, 17, 1900953. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1900953


