AIとの付き合い方

AIを使わないと、取り残されて毎日が楽しくなくなる?香港の1,800人の調査では、生活の満足度とつながっていたのは使う時間より使いこなす力のほうで、その差も小さかった

約6分で読めます

わかっている度 ★☆☆ 低研究3本・公的指針0件を整理
鉢植えの植物が並ぶ窓辺と廊下
Photo: Antonio260 / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

周りがAIを使いこなしているのを見ると、使っていない自分だけが取り残されて、毎日がつまらなくなるような気がするかもしれません。けれども、AIを使う時間の長さと生活の満足度の関係は、研究では小さなものでした。大きく関わっていたのは、使う時間より「使いこなせている」という感覚のほうです。

3行でわかる

  1. 香港で無作為に選んだ1,800人の調査では、この1年間に生成AIを使った人は38.5%で、65歳以上では85.5%が使っていませんでした。
  2. 1日2時間を超えて使う人は、使わない人より生活の満足度が少し高かったものの、35点満点で1.6点の差でした。AIを使いこなす力を考えに入れると、使う時間との直接の関係は見られませんでした。
  3. 一度きりの調査で、原因と結果の向きはわかりません。新しい技術への不安は昔からくり返されてきたことも知っておくと、焦りとの距離がとりやすくなります。

01 結論から言うとAIを使わないと、毎日の満足度は下がる?

研究からは、そうとは言えません。香港の1,800人の調査では、AIを使う時間と生活の満足度の直接の関係は見られず、つながりがあったのは使いこなす力の自己評価のほうで、その関係も小さめでした。

ここでいう「使いこなす力」は、研究では「AIリテラシー」と呼ばれます。AIのしくみをある程度わかっていて、目的に合わせて使い、答えをうのみにせず確かめられるかを、本人に答えてもらって測ったものです。

「使わないと取り残される」という焦りは、AIの話題があふれる中では自然なものです。焦りへの向き合い方はAIについていけない焦りの記事、学び始める年齢については40代・50代からAIを学ぶ記事でも整理しています。

02 研究とデータでわかっていることAIを使う人と使わない人で、何が違った?

長く使う人ほどAIを役に立つと感じ、使いこなす力の自己評価も高い傾向でした。生活の満足度の差は小さく、使いこなす力を通した弱いつながりだけが残りました。年代による満足度の差は見られませんでした。

38.5%この1年間に生成AIを使った人の割合。香港の17〜95歳1,800人、2024年2〜4月の調査
85.5%同じ調査で、65歳以上のうちこの1年間生成AIを使わなかった人の割合
1.6点1日2時間を超えて使う人と使わない人の生活の満足度の差(5〜35点の尺度)

Fong ほか / 香港大学ほか(2026年)[1]

香港の18の地区から住まいを無作為に選び、1世帯1人に、生成AIを1日どのくらい使ったか、AIを役に立つと思うか、使いこなす力、生活の満足度を答えてもらいました。1日2時間を超えて使う人は、使わない人より生活の満足度が1.6点高くなっていました。ただし、使いこなす力を一緒に分析すると、使う時間と満足度の直接の関係ははっきりしなくなり、「使いこなす力が高い人ほど満足度が高い」という中くらいの関係が残りました。生活の満足度は、若い世代・中年・65歳以上の間で差がありませんでした。

対象: 香港に住む17〜95歳の1,800人(平均49.3歳)、2024年の一度きりの調査 / 限界: 満足している人ほどAIを使う、という逆の向きもありえると著者ら自身が書いています。使う時間は本人の答え1問だけで、何に使ったかは調べていません。

Montag・Becker / マカオ大学・香港大学(2026年)[2]

生成AIが心の不調を引き起こすのかを論じた論評です。AIを使うことだけで心の不調が起きると言うのはおそらく言い過ぎで、遺伝や性格、ストレス、周りの支えなどがからみ合うと述べています。また、仕事の道具として使うのか、人づきあいの代わりとして使うのかなど、使う目的によって結びつくものが違う可能性を挙げています。

種類: 研究者の論評(新しいデータを集めた研究ではありません) / 限界: 研究がまだ少ない分野で、著者らも答えの出ていない問いだとしています。

Orben / ケンブリッジ大学(2020年)[3]

小説やラジオ、スマホなど、新しい技術が出るたびに社会が強い不安を抱いてきた歴史を整理した論文です。不安が広がり、研究が追いつく前に次の技術が現れて、また同じ心配がくり返される流れを、4つの段階として示しています。

種類: 理論をまとめた論文 / 限界: 生成AIそのものを調べたものではなく、心配がすべて的外れだという意味でもありません。

03 まだわかっていないことAIと心の満足度で、わかっていないことは?

AIを使うことが満足度を高めるのか、満足している人が使うのかは、まだわかっていません。何のために使うかで結果が変わるのかも、確かめた研究はまだ少ない段階です。

  • 香港の調査は一度きりで、時間を追って同じ人を調べた研究ではありません。
  • 使う目的(仕事・勉強・話し相手など)ごとの違いは、この調査では調べていません。
  • 日本の人を対象に、生成AIの利用と生活の満足度の関係を調べた研究は、今回見つかりませんでした。
  • 調査に答えなかった人には、AIに関心が薄い人が多かった可能性があり、利用の割合が高めに出ているかもしれないと著者らは書いています。

04 今日からできるセルフケア取り残される焦りと、どう付き合う?

使う時間で自分を測らず、何のために使いたいかを決めること、答えを確かめる小さな習慣をつけること、新しい技術への焦りは多くの人がくり返してきたと知ることが、研究から考えられる手がかりです。

1

「何のために使うか」を1行で決める

使う時間の長さより、使い方が大切だと考えられています。「メールの下書きに使う」「使わない」など、今の自分に必要な使い道を1行で書いておきます。

目安 1回3分

2

答えを1つ、別の情報で確かめてみる

使いこなす力には、答えをうのみにせず確かめることも含まれます。AIの答えのうち大事な1点だけ、公的機関のページや本など別の情報で確かめる練習をします(AIの答えを信じすぎない記事)。

目安 1回5分、週に1回

3

焦りを感じたら「新しい技術の不安はくり返されてきた」と思い出す

ラジオやスマホのときも、社会は同じように心配してきました。焦りを感じたら、自分の暮らしで本当に困っていることがあるかを、紙に1つ書き出して確かめます。

目安 焦りを感じたときに1分

05よくある質問

AIを使わない人は、使う人より不幸なの?

そうとは言えません。香港の1,800人の調査では、1日2時間を超えて使う人の生活の満足度が使わない人より少し高かったものの、35点満点で1.6点ほどの差でした。使う時間との直接の関係は、使いこなす力を考えに入れると見られなくなりました。

AIを使いすぎると、心に悪い?

まだ結論は出ていません。2026年の論評では、AIを使うことだけで心の不調が起きると言うのは言い過ぎで、遺伝や性格、ストレス、周りの支えなど多くの要因が関わると述べています。何のために使うかによって、結びつくものが違う可能性も指摘されています。

年をとってからAIを使い始めても遅くない?

この調査では、65歳以上の85.5%がこの1年間AIを使っていませんでしたが、生活の満足度は若い世代と変わりませんでした。使うかどうかは、自分の暮らしに役立つかで決めてよいと考えられます。

無料ツール
セルフチェックで「今日やること」をまとめる
当てはまる悩みを選ぶだけ。診断はせず、記事の対策を一覧にします。
研究早見表でほかの悩み210件も見る

出典

  1. Fong, T. C. T., Chan, C. H., Kwok, A. P. K., Chan, R. T. H., Tang, R. L. M., Wen, M., & Yip, P. S. F. (2026). Relationship Between Generative AI Use and Life Satisfaction and the Mediating Role of AI Literacy Among Hong Kong Adults: Cross-Sectional Study. Journal of Medical Internet Research, 28, e88362. https://doi.org/10.2196/88362
  2. Montag, C., & Becker, B. (2026). Is generative AI use causing mental health problems? BMC Global and Public Health, 4, 83. https://doi.org/10.1186/s44263-026-00320-8
  3. Orben, A. (2020). The Sisyphean Cycle of Technology Panics. Perspectives on Psychological Science, 15(5), 1143–1157. https://doi.org/10.1177/1745691620919372