AIに頼るようになって、落ち込むと立ち直りにくくなった気がする。中国のAI利用者395人の調査では、頼る度合いが強い人ほど立ち直る力が低めで、周りの支えを感じる人ほど高かった

いやなことがあると、まずAIに話す。それが習慣になってから、前より落ち込みが長引く気がする。そんな心配を抱えている人は少なくありません。AIに頼ることと「立ち直る力」の関係について、2026年に出た研究から整理します。
3行でわかる
- 中国のAI利用者395人の調査では、AIに頼る度合いが強い人ほど、立ち直る力の得点が低めでした。
- ただし人づきあいの不安を考えに入れると、AIへの頼り方そのものとの結びつきは小さくなりました。
- 立ち直る力と強く結びついていたのは、周りに支えてくれる人がいるという感覚でした。
01 結論から言うとAIに頼ると立ち直りにくくなる?
AIに頼る度合いと立ち直る力には弱めの負の関連がありましたが、AIが原因かはわかっていません。立ち直る力とより強く結びついていたのは、周りの支えを感じられるかどうかでした。
ここでいう「立ち直る力」は、心理学でレジリエンスと呼ばれるものです。ストレスや失敗のあとに、もとの調子へ戻っていく力を指します。
研究では、AIへの頼り方と立ち直る力に関連はありました。一方で、その差の多くは「人と話すのが不安かどうか」と重なっていました。AIをやめるかどうかより、人とのつながりを少し取り戻すほうが、研究の結果に沿った打ち手です。
02 研究とデータでわかっていること研究では何が立ち直る力と関係していた?
AIに頼る人ほど立ち直る力は低めで、周りの支えを感じる人ほど高めでした。立ち直る力の練習は、試験のまとめで中程度の効果がありました。
Shenら(2026)[1]
AIへの頼り方は、情報集め・気持ちの支え・日々の決めごとをどれだけAIに任せているかで測りました。頼る度合いが強い人ほど立ち直る力が低めでした(相関 −0.525)。人と話すときの不安を考えに入れても負の関連は残りましたが、その大きさは小さいものでした。周りの支えを感じている人ほど立ち直る力は高く(相関 0.680)、支えを感じる人では、人への不安がAIへの頼りにつながりにくい傾向もありました。
対象: 直近6か月にAIチャットを使った中国の成人395人(ネット調査。26〜35歳が約58%、1日の利用は30分〜1時間が40%) / 限界: 1回きりの調査で、どちらが原因かはわからない。著者たちも、頼る度合いが高いこと自体を問題な使い方とはみなしていない。
Uğuzら(2026)[2]
さびしさを強く感じる人ほどAIへの頼り方が強い傾向がありました(相関 0.71)。周りの支えを感じている人ほど、AIへの頼り方は弱めでした(相関 −0.61)。さびしさとAIへの頼りの結びつきの一部は、周りの支えの感じ方で説明されました。
対象: トルコの18〜30歳の若い大人610人(ネット調査) / 限界: これも1回きりの調査で、因果関係は確かめられていない。
Joyceら(2018)[3]
立ち直る力を高める練習を試した11件のランダム化比較試験をまとめると、練習を受けた人は受けなかった人より、立ち直る力の得点が中程度高くなっていました(標準化平均差 0.44)。練習の中身は、認知行動療法(考え方のくせを見直す方法)、マインドフルネス、その組み合わせでした。
対象: 11件の試験の参加者 / 限界: 1件ごとの人数が少なく、1件ずつ見て効果がはっきりしたのは11件中4件だった。AIの利用者を対象にした研究ではない。
AIの話し相手と人の支えの違いについては、AIに慰めてもらっても物足りない理由でも整理しています。
03 まだわかっていないことAIへの頼りは原因なのか結果なのか?
まだ結論は出ていません。紹介した2つのAIの研究はどちらも1回きりの調査で、同じ人を時間を追って見た研究や、使い方を変えて試した研究はまだありません。
- AIに頼ったから立ち直りにくくなったのか、立ち直りにくい人がAIに頼りやすいのか(両方向の可能性がある)。
- 調査は中国とトルコのネット調査で、日本の人に同じ結果が出るかは確かめられていない。
- AIへの頼りを減らしたら立ち直る力が戻るのかを試した研究は見当たらない。
- 立ち直る力の練習の研究は、AIをよく使う人を対象にしたものではない。
04 今日からできるセルフケア立ち直る力を取り戻すには何から?
AIを手放すより、人の支えと自分で立て直す手順を少し足すことから始めます。どれもお金はかからず、1回5分以内でできます。
AIに話す前に、1人に短く連絡する
相談でなくてかまいません。「最近どう?」の一言で、支えてくれる人とのつながりを確かめます。研究で立ち直る力と強く結びついていたのは、この「支えがある感覚」でした。
目安 1日1通・1分
落ち込んだら「出来事・考え・別の見方」を書く
何があったか、そのときどう考えたか、別の見方はないかを3行で書きます。認知行動療法にもとづく、立ち直る力の練習でよく使われる考え方です。AIに答えを出してもらう前に、まず自分で書きます。
目安 1回5分
呼吸に注意を向けて、気持ちが落ち着くのを待つ
座って、息が入って出ていく感覚だけに注意を向けます。考えがそれたら、責めずに呼吸へ戻ります。マインドフルネスも、まとめの研究で効果が見られた練習の1つでした。
目安 1回3分
AIに相談したら、最後に「誰に話せるか」を考える
AIとのやりとりを、人に話す前の整理として使います。終わったら、この話を少しでも打ち明けられそうな人を1人思い浮かべます。人に弱みを見せることについてはAIになら話せるのに人には話せないときも参考になります。
目安 相談のあと1分
05よくある質問
AIに悩みを相談すること自体が、立ち直る力を弱めるのですか?
まだわかっていません。中国の395人の調査は1回きりのアンケートで、AIに頼ったから立ち直る力が落ちたのか、立ち直りにくい人がAIに頼りやすいのかは区別できません。著者たちも、点数が高いことがそのまま問題な使い方を意味するわけではないと書いています。
AIを使うのをやめたほうがいいですか?
やめる必要があるという研究結果はありません。研究で立ち直る力と強く結びついていたのは、AIの使用そのものより「周りに支えてくれる人がいる」という感覚でした。AIは使い続けながら、人とのつながりを少し足すことから始められます。
立ち直る力は、大人になってからでも伸ばせますか?
11件のランダム化比較試験をまとめた研究では、認知行動療法やマインドフルネスにもとづく練習を受けた人は、受けなかった人より立ち直る力の得点が中程度高くなっていました。ただし1件ごとの人数は少なく、効果がはっきりした試験は11件中4件でした。
つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。
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出典
- Shen, X., Liu, C., & Yan, J. (2026). AI Chatbot Dependence as an Indirect Link Between Social Anxiety and Psychological Resilience: The Moderating Role of Perceived Social Support. Behavioral Sciences, 16(9), 1505. https://doi.org/10.3390/bs16091505
- Uğuz, Ö., Doğan, S., & Güngör, D. (2026). Loneliness and AI chatbot dependence in young adults: the mediating role of perceived social support. BMC Psychology. https://doi.org/10.1186/s40359-026-04916-5
- Joyce, S., Shand, F., Tighe, J., Laurent, S. J., Bryant, R. A., & Harvey, S. B. (2018). Road to resilience: a systematic review and meta-analysis of resilience training programmes and interventions. BMJ Open, 8(6), e017858. https://doi.org/10.1136/bmjopen-2017-017858


