人とのつながり

自分は誰かの役に立てているのか不安。27件の実験では、小さな親切をした側の幸福感が少し上がっていた

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わかっている度 ★★☆ 中研究6本・公的データ1件を整理
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AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

調べものも下書きも、AIに任せれば早く終わる。便利になった一方で、「自分は誰かの役に立てているのだろうか」と感じることはありませんか。研究のまとめでは、人の役に立つ行動と幸福感には、弱いけれどはっきりした関連がありました。小さな親切をする実験でも、した側の幸福感が少し上がっていました。

3行でわかる

  1. 201件の研究のまとめでは、人の役に立つ行動と幸福感の関連は弱いながらも一貫していました。特に「生きがい・意味」の感覚と強く結びついていました。
  2. 27件の実験のまとめでは、親切な行動をした人の幸福感が少し上がっていました(効果は小〜中程度)。
  3. ただし大規模な追試では効果が小さかったり見られなかったりした条件もあり、ボランティアの実験でも心の健康への効果は確認されていません。

01結論から言うと

人の役に立つ行動は、幸福感を少し高めると考えられます。効果は小さく、何をどう測るかで大きさが変わります。大きな奉仕より、身近な人への小さな手助けから始めるのが現実的です。

ここでいう「人の役に立つ行動」は、親切・手助け・ボランティア・人のためにお金を使うこと、などを広く含みます。研究では「向社会的行動」と呼ばれます。

研究のまとめでは、こうした行動をよくする人ほど幸福感が高い傾向がありました。くじ引きで親切をする人としない人に分けた実験でも、した人の幸福感が少し上がっていました。

ただ、効果は「人生が変わる」ほど大きくはありません。気分を少し押し上げる、手軽な手段の1つと考えるのがちょうどよい大きさです。

02研究とデータでわかっていること

人の役に立つ行動と幸福感の関連は、20万人近くを含む研究のまとめで確認されています。親切の実験でも幸福感は少し上がりましたが、追試やボランティアの実験では効果がはっきりしない結果もあります。

201件人の役に立つ行動と幸福感の関連を調べた研究のまとめ(198,213人、2020年)
27件親切な行動をする実験のまとめ(4,045人、2018年)
136か国人のためにお金を使うことと幸福感の関連を調べた調査の範囲(2013年発表)
17.8%過去1年間にボランティア活動をした日本の10歳以上の人(2021年調査)

Huiら(2020年)[1]

201件・198,213人分の研究をまとめ、人の役に立つ行動と幸福感の関連を調べました。全体の関連は控えめ(相関係数 r=0.13)でした。楽しさや快さよりも、「生きがい・意味」に近い幸福感との関連が強く出ていました。組織を通したボランティアより、身近な人をふだん手助けするほうが、幸福感との関連が大きくなっていました。

対象: 201件の研究の参加者198,213人 / 限界: 調査研究が多く、関連を示したもので、どちらが原因かを確かめたものではありません。

Curryら(2018年)[2]

「親切な行動をする」グループと比較するグループに分けた実験27件をまとめました。親切をした人の幸福感は、小〜中程度(効果量 δ=0.28)上がっていました。性別・年齢・親切の種類による違いは見られず、都合のよい結果だけが発表される偏り(出版バイアス)の兆候も見られませんでした。

対象: 27件の実験・4,045人 / 限界: 著者自身が、どんな親切を誰にするのが効くのかなど、まだ調べられていない点が多いと述べています。

Dunn・Aknin・Norton(2008年)、Akninら(2013年)[3][4]

全国を代表する調査では、収入のうち人のために使う割合が大きい人ほど幸福感が高い関連がありました。くじ引きで「人のためにお金を使う」グループに分けた人は、「自分のために使う」グループより幸福感が高くなっていました。2013年の研究では、136か国の調査で、豊かな国でも貧しい国でも同じ方向の関連が見られました。

対象: 全国調査・臨時収入の使い道の追跡・実験(2008年)、136か国の調査とカナダ・ウガンダ・インド・南アフリカでの実験(2013年) / 限界: 初期の実験は参加者が少なめでした(次の追試を参照)。

Akninら(2020年)[5]

人数を増やし、手順を事前に登録した追試です。学生712人の実験では、見知らぬ困っている人のために買い物をした人のほうが、その場の幸福感が高くなりました。一方、成人1,950人に「人のためにお金を使った思い出」を書いてもらう実験では差が出ませんでした。手順を改めた5,199人の実験では差が出ましたが、小さなものでした。

対象: 学生712人、成人1,950人と5,199人 / 限界: 効果の大きさは、実際に行動するか思い出すだけか、といった手順で変わっていました。

Jenkinsonら(2013年)[6]

ボランティア活動と健康を調べた40本の論文をまとめました。長く追跡する観察研究では、ボランティアをする人で抑うつが少なく、生活満足度や幸福感が高い傾向がありました。しかし、くじ引きで分けた実験では、この結果は確認されませんでした。

対象: 実験は主に米国の50歳以上が対象 / 限界: 元気な人ほどボランティアをしやすいなど、観察研究では原因と結果を分けきれません。

総務省統計局(2022年公表)[7]

2021年の社会生活基本調査では、過去1年間にボランティア活動をした10歳以上の人は17.8%でした。2016年の26.0%から8.2ポイント下がっていました。年齢別では25〜29歳が10.1%で最も低くなっていました。

対象: 日本の10歳以上(2020年10月〜2021年10月の1年間) / 限界: 新型コロナの流行期と重なる調査で、低下の理由はこの数字だけではわかりません。

03まだわかっていないこと

AIに仕事を任せることで「役に立っている感覚」が減るのか、親切で取り戻せるのかを調べた研究は、まだ見つかりませんでした。効果がどれくらい続くかもはっきりしていません。

  • AIの利用と「人の役に立てている感覚」の関係を直接調べた研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。
  • 親切による幸福感の上昇がどれくらい続くかは、今回調べた範囲でははっきりした答えが見つかりませんでした。
  • ボランティアは、観察研究では心によい結果と結びついていましたが、実験では確認されていません。
  • お金の追試では、思い出すだけの条件で効果が出ないこともありました。どんな形の親切が効きやすいかは、まだ研究の途中です。

04今日からできるセルフケア

身近な人への小さな手助けを1日1つ試します。手助けのあとに自分の気分をメモし、誰かのためにしたことを書き出します。無理のない範囲で続けることが大切です。

1

身近な人に小さな手助けを1つする

同僚の質問に答える、家族の用事を1つ引き受ける、などで十分です。201件のまとめでは、組織を通した活動より、身近な人へのふだんの手助けのほうが幸福感との関連が大きくなっていました。

目安 1日1回・数分

2

手助けのあとに、気分を一言メモする

手助けの前後で、気分を5段階で書きます。効果は小さいため、1回で大きな変化を期待せず、1〜2週間の流れで見ます。合わないと感じたら、別の方法に切り替えてかまいません。

目安 1回30秒・2週間

3

自分のための出費の一部を、たまに誰かのために使う

家族や友人へのちょっとした差し入れなど、負担にならない範囲で十分です。人のためにお金を使うと、その場の幸福感が上がった実験があります。お金がかからない手助けでもかまいません。

目安 週1回・無理のない範囲で

4

「今日、誰かのためにしたこと」を書き出す

寝る前に、今日だれかの役に立ったことを1つ書きます。AIが進めてくれた仕事の中にも、相手に合わせて自分が判断したこと、声をかけたことがあるはずです。

目安 寝る前2分

手助けは、頼まれて初めてできるものでもあります。人に頼むのが怖い人は、頼まれた側は思ったより快く引き受けていた研究も参考になります。AIで仕事の手応えが減ったと感じる人はAIと仕事のやりがいの実験、人とのつながり全体についてはつながりと健康の研究のまとめをどうぞ。

05よくある質問

人に親切にすると、本当に自分も幸せになる?

少し幸せになる、というのが研究の答えです。27件の実験をまとめた研究では、親切をした人の幸福感が小〜中程度上がっていました。ただし大きな変化ではなく、追試では効果が小さい条件もありました。

ボランティアをすると心の健康によい?

観察研究では、ボランティアをする人ほど抑うつが少なく、満足度が高い傾向がありました。ただし実験では確認されておらず、元気な人ほど参加しやすいだけの可能性も残ります。

自分のためと人のため、お金はどちらに使うと幸せ?

人のために使ったほうが、その場の幸福感が高かった実験があります。712人の追試でも同じ結果でした。ただ、思い出してもらうだけの実験では差が出ないこともあり、効果は控えめです。

人の役に立とうとして疲れてしまうのはおかしい?

おかしくありません。ボランティアのまとめの著者は、活動が多すぎると負担になりうるとも指摘しています。研究で見られた効果は小さな親切でも得られたもので、無理を重ねる必要はありません。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Hui BPH, Ng JCK, Berzaghi E, Cunningham-Amos LA, Kogan A (2020). Rewards of kindness? A meta-analysis of the link between prosociality and well-being. Psychological Bulletin, 146(12), 1084-1116. https://doi.org/10.1037/bul0000298
  2. Curry OS, Rowland LA, Van Lissa CJ, Zlotowitz S, McAlaney J, Whitehouse H (2018). Happy to help? A systematic review and meta-analysis of the effects of performing acts of kindness on the well-being of the actor. Journal of Experimental Social Psychology, 76, 320-329. https://doi.org/10.1016/j.jesp.2018.02.014
  3. Dunn EW, Aknin LB, Norton MI (2008). Spending money on others promotes happiness. Science, 319(5870), 1687-1688. https://doi.org/10.1126/science.1150952
  4. Aknin LB, Barrington-Leigh CP, Dunn EW, Helliwell JF, Burns J, Biswas-Diener R, Kemeza I, Nyende P, Ashton-James CE, Norton MI (2013). Prosocial spending and well-being: Cross-cultural evidence for a psychological universal. Journal of Personality and Social Psychology, 104(4), 635-652. https://doi.org/10.1037/a0031578
  5. Aknin LB, Dunn EW, Proulx JDE, Lok I, Norton MI (2020). Does spending money on others promote happiness?: A registered replication report. Journal of Personality and Social Psychology, 119(2), e15-e26. https://doi.org/10.1037/pspa0000191
  6. Jenkinson CE, Dickens AP, Jones K, Thompson-Coon J, Taylor RS, Rogers M, Bambra CL, Lang I, Richards SH (2013). Is volunteering a public health intervention? A systematic review and meta-analysis of the health and survival of volunteers. BMC Public Health, 13, 773. https://doi.org/10.1186/1471-2458-13-773
  7. 総務省統計局 (2022). 令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の概要. https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/pdf/gaiyoua.pdf