人とのつながり

孤独な時期が長引いて、近所にも知り合いがいない。米英豪の4,284人の実験では、週1回近所の人に小さな親切をした組で、米国と英国の孤独が少し下がっていた

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花が飾られた小さな町の商店街
Photo: Ken Lund from Reno, Nevada, USA / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
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人と会わない時期が長く続いて、気づけば近所に顔見知りもいない。誰かに声をかけてほしいけれど、自分から誘うのは気が重い。結論から言うと、米国・英国・オーストラリアの4,284人の実験では、近所の人に週1回小さな親切をした組で、米国と英国の孤独が少し下がっていました。効果は小さく、オーストラリアでは差が見られませんでした。

3行でわかる

  1. 2020年に3か国で行われた実験では、「近所の人に、週に1回以上親切をする」を4週間続けた組で、米国と英国の孤独が、待っていた組より少し下がりました。
  2. 親切は自分で選び、あいさつや声かけ、ちょっとした手伝い、地域の活動への参加など、お金のかからないものが中心でした。米国とオーストラリアでは、近所の知り合いが6人以上いる人も増えていました。
  3. 一方で、英国の7,146人の調査では、この1年にボランティアをしたかどうかと孤独の間に関連は見られませんでした。「誰かのために動く」だけで孤独が消えるとは、まだ言えません。

01 結論から言うと孤独が長引いたとき、近所の人への親切は効く?

米英豪の実験では、近所の人に週1回小さな親切をした組で、米国と英国の孤独が少し下がっていました。効果は小さく、国によっては差がなく、4週間後までしか調べていません。わかっている度は中くらいです。

孤独をやわらげる方法というと、「誰かに支えてもらう」ことを思い浮かべがちです。この実験は逆に、「自分が誰かを少し支える側に回る」ことで、つながりを取り戻せるかを調べました。研究者は、声をかける、手を貸すといった親切が、人との接点を自然に増やすと考えていました。

誘うより、親切のほうが始めやすい人もいるはずです。断られる心配が少なく、相手の予定に合わせる必要もないからです。ただし効果は小さめで、気持ちの落ち込みそのものは変わっていませんでした。孤独から立て直す方法のひとつとして読んでください。

02 研究とデータでわかっていること週1回の親切で、孤独はどのくらい変わった?

4週間の実験で、孤独の下がり方は米国と英国で小さいながらはっきりし、オーストラリアでは差がありませんでした。気分の落ち込みや生活の質には差がなく、近所の知り合いの数や、近所との関係のよさには一部で変化がありました。

4,284人米国・英国・オーストラリアの18〜90歳。2020年7〜9月に、親切をする組と待つ組にくじで分けた
約3回4週間に実際にした親切の平均回数(米国3.01回、英国2.78回、オーストラリア2.58回)
52.2%米国で親切をした組のうち、4週間後に近所の知り合いが6人以上いた人の割合。待っていた組は43.5%

Limら(2025年) [1]

3か国で同じ形の実験を行い、くじで「親切をする組」と「待つ組」に分けました。親切をする組には、4週間、週に1回以上、近所の人に親切をしてもらいました。中身は自分で選びます。例として、近所の人の様子を気にかける・話を聞く、地域のお店や病院などの情報を教える、ごみ出しや買い物を手伝う、地域の清掃や活動に加わる、あいさつや立ち話を重ねる、が挙げられていました。毎週メールで思い出してもらいました。

対象: 近所の人どうしがつながるネットの掲示板を使う、米国・英国・オーストラリアの18〜90歳4,284人(米国は約9割が女性) / 限界: 新型コロナの外出制限があった時期で、国によって制限の強さが違いました。

Limら(2025年) [1]

4週間後、孤独の点数は米国と英国で、親切をした組のほうが待った組より下がっていました。効果の大きさは小さめでした。英国で答えた人の平均は、親切をした組が49.30点から46.82点に、待った組は49.75点から49.80点でした。オーストラリアでは差がありませんでした。米国とオーストラリアでは人づきあいの不安が、オーストラリアではストレスも下がりましたが、気分の落ち込み、生活の質、前向きな気分には、どの国でも差がありませんでした。

対象: 上と同じ実験 / 限界: 4週間後に答えなかった人が4〜5割ほどいました。研究者は、外出制限が最も強かったオーストラリアでは、親切をしにくかった可能性を挙げています。

Keyesら(2026年) [2]

英国の文化やスポーツへの参加の調査(2019〜2020年)を分析し、この1年にボランティアをしたかどうかと、心の状態の関係を調べました。ボランティアをした人は「人生にやりがいがある」と感じる点数がわずかに高い一方、不安はやや高めでした。孤独とは関連が見られませんでした。

対象: 英国の成人7,146人 / 限界: 1回でもしたかどうかだけを見ており、回数や中身は区別していません。孤独は「どのくらい孤独を感じるか」の1問だけで測っていました。

El-Ostaら(2026年) [3]

イングランドの16歳以上を対象にした大規模な調査で、孤独と関わる要因を調べました。16〜25歳の若い人、ひとり身の人、仕事のない人、障害のある人で孤独が強い傾向があり、友だちの数が多い人ほど孤独は弱い傾向がありました。近所への信頼やお互いさまの関係は、年齢の高い人や結婚している人で強めでした。

対象: 2023年3〜7月に回答したイングランドの135,725人 / 限界: 自分から応募した人の調査で、国全体の割合は表しません。関連を見たもので、原因と結果は言えません。

03 まだわかっていないこと親切の効果は、ずっと続く?

まだわかっていません。実験は4週間後までで、その後も孤独が下がったままかは調べられていません。外出制限のあった時期の結果で、ふだんの暮らしで同じになるかもわかっていません。

  • 実験の参加者は、もともと近所とつながる掲示板を使い、地域に関心のある人でした。年齢の高い人も多く、近所に知り合いのまったくいない若い人に同じ効果があるかはわかりません。
  • 親切をしたほうがよいのか、親切をきっかけに会話が増えたのがよいのか、仕組みはまだ調べられていません。
  • 何回くらい親切をすると効果が大きくなるのかは、わかっていません。研究者は、外出制限のために回数を多く勧められなかったと述べています。
  • 日本で同じ実験は見つかりませんでした。

04 今日からできるセルフケア孤独から立て直すには、何から始めればいい?

近所の人への小さな親切を、週に1回だけ決めて始めます。中身は自分で選び、4週間続けて記録します。どれもお金をかけずにでき、実験の内容をもとにした工夫です。気が重い日は、あいさつだけでも十分です。

1

今週の「小さな親切」をひとつ決める

実験では、親切の中身を自分で選んでいました。あいさつに一言そえる、エレベーターで扉を押さえる、地域のお店で「おいしかった」と伝える、など負担の小さいものから選びます。

目安 週1回・数分

2

曜日を決めて、4週間は続ける

実験の参加者は、毎週メールで思い出していました。スマホのカレンダーに「土曜の朝:近所に一言」のように入れておくと、思い出しやすくなります。

目安 4週間

3

できた親切と、その後のやりとりを1行メモする

「パン屋さんに声をかけた。笑ってくれた」のように書き残します。あいさつを返してくれる人、立ち話ができる人が何人いるかを、ときどき数えてみます。

目安 1日1分

4

地域の活動を一つ探して、加わってみる

実験の例には、地域の清掃やお店の応援など、近所の活動に加わることも入っていました。掲示板やお知らせで、短い時間で参加できる行事を一つ探します。

目安 月1回

親切をする側の幸福感を調べた研究は 誰かの役に立てているか不安なときの記事、近くの活動やグループを通じてつながり直す実験は 孤独が長引いたときの記事 にまとめています。昔の友達に連絡したいときは 昔の友達に連絡する記事 も参考になります。

05よくある質問

近所の人に親切をすると、孤独は減る?

減ったという実験があります。米国・英国・オーストラリアの4,284人の実験では、近所の人に週1回以上親切をした組で、4週間後の孤独が米国と英国で待っていた組より少し下がりました。オーストラリアでは差がなく、効果は小さめでした。

どんな親切をすればいい?

実験では中身を自分で選んでいました。例として、近所の人を気にかけて話を聞く、地域の情報を教える、ごみ出しや買い物を手伝う、地域の活動に加わる、あいさつや立ち話を重ねる、が挙げられていました。お金のかかるものは前提にしていません。

ボランティアを始めれば、孤独はなくなる?

まだ言えません。英国の成人7,146人の調査では、この1年にボランティアをしたかどうかと孤独の間に関連は見られませんでした。「人生にやりがいがある」と感じる点数はわずかに高めでした。回数や中身は区別していない調査です。

親切をしても、気分の落ち込みは軽くならない?

この実験では、気分の落ち込みや生活の質に差は見られませんでした。変わったのは孤独や、近所の知り合いの数などでした。落ち込みが続くときは、親切だけで何とかしようとせず、相談できる人や窓口を頼ってください。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Lim MH, Hennessey A, Qualter P, Smith BJ, Thurston L, Eres R, Holt-Lunstad J (2025). The KIND Challenge community intervention to reduce loneliness and social isolation, improve mental health, and neighbourhood relationships: an international randomized controlled trial. Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology, 60(4), 931-942. https://doi.org/10.1007/s00127-024-02740-z
  2. Keyes H, Gradidge S, Ryan C, Lee EM (2026). Volunteering Predicts Mixed Outcomes on Subjective Wellbeing. Behavioral Sciences, 16(9), 1610. https://doi.org/10.3390/bs16091610
  3. El-Osta A, Al-Ammouri M, Alaa A, Altalib S, Tristán-López A, Majeed A (2026). Factors associated with loneliness and social capital in a large volunteer sample of adults in England. BMC Global and Public Health, 4, 96. https://doi.org/10.1186/s44263-026-00335-1