連休や休みの時期、友達の旅行の投稿を見てうらやましくなりそう。3つの研究・計798人の調査と実験では、旅行や外食などの「体験」の投稿は、買った物の投稿よりうらやましさを強く感じやすく、その一因は自分にとって大事な分野だと感じやすいことだった

連休や長い休みの時期になると、SNSに友達の旅行やおいしそうな食事の写真が並びます。楽しそうでいいなと思う一方で、どこにも行けていない自分と比べて、少し沈んだ気持ちになる人は少なくありません。研究では、旅行や外食のような「体験」の投稿は、買った物の投稿より、うらやましさを強く感じさせやすいことがわかっています。その理由を知っておくと、前もって手を打ちやすくなります。
3行でわかる
- オランダと、ネットの調査サービスで集めた人の計798人の3つの研究では、旅行・外食・コンサートなどの「体験」の投稿のほうが、買った物の投稿よりうらやましさが強い傾向がありました。
- 理由の一部は、体験のほうが「自分にとっても大事なこと」と感じやすい点でした。物のほうが比べやすいから、という説明は支持されませんでした。
- SNSを数日やめる試験のまとめでは、気分への効果ははっきりしませんでした。やめるより、自分がうらやましくなりやすい分野を知り、見るタイミングを決めておくのが現実的です。
01 結論から言うと旅行の投稿が、物の投稿よりうらやましいのはなぜ?
旅行や外食のような体験は、多くの人にとって「自分にとっても大事なこと」だからです。計798人の3つの研究では、体験の投稿ほどうらやましさが強く、その差の一部は「自分にとっての大事さ」で説明されました。
うらやましさは、自分にとって大事なことで、相手が自分より恵まれていると感じたときに生まれやすい気持ちです。心理学では昔から、どうでもいい分野ではあまりうらやましくならない、と考えられてきました。
旅行や外食、ライブといった体験は、「どんな毎日を送りたいか」という自分らしさに近いものです。だから友達の旅行の写真は、新しいスマホの写真よりも、「自分はこういう時間を過ごせていない」という気持ちにつながりやすいのです。
もう1つの理由は、体験の投稿そのものが多いことです。人は体験の話をしたがり、見る側も体験の投稿を好みます。休みの時期にSNSを開けば、うらやましくなりやすい投稿に何度も出会うことになります。
02 研究とデータでわかっていること体験の投稿は、どのくらいうらやましさを強めた?
同じ55ドルのコンサートと音楽プレーヤーの投稿を比べた実験では、うらやましさの平均が2.08と0.86で、体験のほうがはっきり強くなりました。自分のタイムラインの実際の投稿で比べた研究では、差は小さく、はっきりとは言えない程度でした。
Lin・van de Ven・Utz / ドイツのライプニッツ知識メディア研究所ほか(2018)[1]
1つ目の研究では、オランダの大学の参加者172人に、自分のFacebookのタイムラインを見て、友達の体験の投稿と、買った物の投稿を1つずつ探してもらいました。10分のうちに体験の投稿に出会った人は98.8%、物の投稿は77.2%で、体験の投稿のほうがずっと多く流れていました。
両方を見つけた人で比べると、うらやましさは体験の投稿のほうがやや強めでしたが、統計的にははっきりした差とは言えない程度でした。一方で、「その分野は自分にとっても大事だ」と感じる度合いは、体験の投稿のほうがはっきり高くなりました。
2つ目の研究では、241人に、知り合いが55ドルのコンサートのチケットか、同じ55ドルの音楽プレーヤーを買ったという投稿を見せました。うらやましさの平均は、コンサートの組が2.08、音楽プレーヤーの組が0.86で、体験のほうがはっきり強くなりました。この差の一部は、「自分にとっての大事さ」で説明されました。
対象: 研究1はオランダの大学の参加者172人(平均21歳)、研究2はネットの調査サービスで集めた241人(平均32歳) / 限界: 研究2は想像した投稿への反応で、本当の友達の投稿ではありません。うらやましさの測り方は研究ごとに少し違います。
Lin ら / 同じ論文の3つ目の研究(2018)[1]
米国のFacebook利用者385人に、ふだん見る投稿の種類ごとに、どのくらいうらやましくなるかを答えてもらいました。うらやましさが最も強かったのは体験の投稿で、平均2.80でした。買った物の投稿は2.36、家族や恋人の投稿、見た目の投稿は、それより低めでした。
投稿する側の立場で答えた人は、反対に「物の投稿のほうがうらやましがられる」と予想していました(物3.06、体験2.72)。旅行の写真を載せる友達も、相手をうらやましがらせるつもりはないことが多い、ということになります。
また、論文が紹介している先行研究では、Facebookでうらやましさを感じた場面のうち、旅行やレジャーの投稿がきっかけだったものが62.1%、物の持ち物がきっかけだったものは5.9%でした。
対象: 米国のFacebook利用者385人(読む側197人、投稿する側188人) / 限界: 1回のアンケートで「ふだんの投稿」を思い浮かべて答えたもので、実際の投稿を見た反応ではありません。
Lei ら / 西南大学ほか(2026)[2]
ネットで自分より上の人と比べることと、心の状態を調べた研究54集団・3万6,583人分をまとめた研究です。比べることと心の不調との結びつきの平均は、相関係数0.33でした。結びつきが最も強かったのは、うらやましさや人の目を気にする不安などの気持ちで、0.44でした。
対象: 西洋と東洋の、10代から大人までの研究 / 限界: 比べたから落ち込んだのか、落ち込んでいるから比べるのかは、この結果だけでは決められません。著者らも両方の向きの可能性を挙げています。
Carraturo ら(2023) / Lemahieu ら(2025)[3][4]
SNSでの比較・うらやましさ・落ち込みを調べた9本の研究をまとめたレビューでは、どの研究でも3つの間に関連がありました。ただ、順番を確かめられた2本では、先に落ち込んでいる人ほど、あとで比べたりうらやましく感じたりしやすいという結果でした。
SNSをしばらくやめる試験10件・4,674人分のまとめでは、やめた組で、前向きな気持ち、いやな気持ち、生活の満足のどれにも、はっきりした効果は見られませんでした。やめる日数の長さとの関係もはっきりしませんでした。
対象: Carraturo らは2012〜2022年発表の研究9本、Lemahieu らはSNSをやめる試験10件 / 限界: どちらも、旅行や体験の投稿に絞ったまとめではありません。
03 まだわかっていないことうらやましさを防ぐ方法で、まだわからないことは?
体験の投稿によるうらやましさを、前もって減らせる方法を直接試した研究は見当たりません。ここで紹介する工夫は、うらやましさが生まれる仕組みから考えたもので、効果はまだ確かめられていません。
- 研究の多くは2010年代のFacebookで行われており、写真や動画が中心の今のSNSでも同じかは確かめられていません。
- 対象はオランダと米国の人で、日本の人を対象にした同じ研究は見当たりません。
- 旅行の投稿で生まれたうらやましさが、そのあと何日も気分に残るのかは調べられていません。
- 見る時間を決める、ミュートするなどの工夫で、うらやましさが減るかを試した研究はまだありません。
04 今日からできるセルフケア友達の旅行の投稿で落ち込まないために、前もってできることは?
うらやましさは「自分にとって大事な分野」で強くなります。その分野を自分で知っておく、休みの時期は見るタイミングを決めておく、うらやましさを自分の次の予定に変える。この3つは、お金をかけずに試せます。
うらやましくなりやすい分野を1つ書き出す
旅行、外食、ライブ、家族のイベントなど、見るとざわつきやすい投稿の種類をメモします。研究では、自分にとって大事な分野ほどうらやましさが強くなっていました。先にわかっていれば、「これは自分が大事にしている分野だから揺れたんだ」と受け止めやすくなります。
目安 1回3分
連休や休みの時期は、SNSを見る時間帯を決めておく
疲れている夜や、予定のない休日の朝など、落ち込みやすい時間帯は避けて、「昼休みに10分だけ」のように決めます。SNSを完全にやめても気分がよくなるとは限らないため、やめるより、見るタイミングを選ぶほうが続けやすい方法です。
目安 休みの前日に1分で決める
うらやましさを「行きたい場所リスト」に変える
ざわついた投稿は、自分が本当にしたいことの手がかりでもあります。近所の公園、行ってみたかった店など、お金をかけずにできる小さな体験に置き換えて、1つだけ日付を入れます。
目安 1回5分、休みの前に1つ
うらやましさを前向きな力に変える考え方は同期や友達の成功を素直に喜べないときの記事、SNSから少し離れたときの変化はSNSで自分だけ取り残された気がするときの記事でも整理しています。自分が旅行の写真を載せる側のときの疲れはSNSで「よく見せたい」と思うと疲れる人の記事をどうぞ。
05よくある質問
友達の旅行の投稿を見て、うらやましくなるのは心が狭いから?
そうとは言えません。研究では、旅行や外食などの体験の投稿は、多くの人にとって「自分にとっても大事なこと」なので、買った物の投稿よりうらやましさが強くなりやすいことがわかっています。うらやましさは、自分が大事にしていることのサインでもあります。
うらやましくならないように、SNSをしばらくやめたほうがいい?
やめれば気分がよくなるとは限りません。SNSをやめる試験10件・4,674人分のまとめでは、前向きな気持ちやいやな気持ち、生活の満足に、はっきりした効果は見られませんでした。見る時間帯を決めるなど、使い方を選ぶほうが現実的です。
自分が旅行の写真を載せると、相手をうらやましがらせてしまう?
その可能性はあります。米国の385人の調査では、投稿する側は「物の投稿のほうがうらやましがられる」と予想していましたが、読む側は体験の投稿のほうを強くうらやましく感じていました。一方で、体験の投稿をした人のほうが、物の投稿をした人より好感を持たれていました。
つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。
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出典
- Lin R, van de Ven N, Utz S (2018). What triggers envy on Social Network Sites? A comparison between shared experiential and material purchases. Computers in Human Behavior, 85, 271-281. https://doi.org/10.1016/j.chb.2018.03.049
- Lei Y, Hu S, Sun Y, Zheng L (2026). "Looking up" linked to feeling down: a meta-analysis of online upward social comparison and psychological maladjustment. Frontiers in Psychology, 17, 1825169. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1825169
- Carraturo F, Di Perna T, Giannicola V, Nacchia MA, Pepe M, Muzii B, Bottone M, Sperandeo R, Bochicchio V, Maldonato NM, Scandurra C (2023). Envy, Social Comparison, and Depression on Social Networking Sites: A Systematic Review. European Journal of Investigation in Health, Psychology and Education, 13(2), 364. https://doi.org/10.3390/ejihpe13020027
- Lemahieu L, Vander Zwalmen Y, Mennes M, Koster EHW, Vanden Abeele MMP, Poels K (2025). The effects of social media abstinence on affective well-being and life satisfaction: a systematic review and meta-analysis. Scientific Reports, 15, 7581. https://doi.org/10.1038/s41598-025-90984-3


