仕事とAIの不安

AIを使うと仕事のやりがいが減る?3,562人の実験と、意欲を残す頼り方

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わかっている度 ★☆☆ 低研究3本・公的指針0件を整理
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Photo: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

AIのおかげで仕事は速くなった。でも、前ほど仕事が面白くない気がする。そう感じる人は少なくありません。研究では、AIを使うと作業の出来はよくなる一方で、そのあと一人で作業すると意欲が下がりやすい結果が出ています。ただし、AIの使い方によっては、仕事の意味を感じやすくなる関連も報告されています。

3行でわかる

  1. AIと一緒に作業すると、その場の文章の出来はよくなりました。
  2. ただ、AIと作業したあとに一人の作業へ移ると、意欲が下がり、退屈さが増えやすい結果でした。
  3. AIが判断や問題解決に一緒に関わっていると感じる人ほど、仕事の意味を感じる関連もありました。

01結論から言うと

AIを使うと必ずやりがいが減る、とは言えません。研究では、AIと一人の作業を行き来する場面で意欲が下がりやすく、AIとの関わり方で結果が変わる可能性が示されています。

ここで言う「やりがい」に近いのは、研究でいう内発的動機です。ほめられるためやお金のためではなく、作業そのものが面白いから取り組みたい、という気持ちのことです。

生成AIは文章を整えたり、案を出したりするのが得意です。その分、自分で考えて工夫する部分が減ると、作業の面白さも減るのではないか。この心配を確かめた研究が出てきています。

02研究とデータでわかっていること

イギリスの働く人などの実験では、AIと作業したあと一人で作業すると意欲が下がりやすい結果でした。一方、中国の会社員の調査では、AIをよく使う人ほど仕事の意味を感じる関連がありました。

3,562人AIと作業する実験4つに参加した、イギリス在住で英語が母語の大人の合計(2025年発表)
6.01→5.00一人で作業してからAIと作業した人の「自分で決めている感覚」(7段階の平均・実験4)
360人AIの使い方と仕事の意味を調べた、中国の知識系の業界で働く正社員(2026年発表)
192件仕事への意欲と働く人の心の状態の関係を調べた研究を、まとめて分析した数

Wuら(2025)[1]

生成AIと一緒に作業した人は、その場で書いた文章の出来がよくなりました。しかし、次に一人で別の作業をしたとき、出来がよくなる効果は続きませんでした。また、AIとの作業から一人の作業へ移った人は、一人で2つの作業をした人より意欲の下がり方が大きい傾向があり、退屈さも増えていました。逆に、一人で作業してからAIと作業した人は、「自分で決めている感覚」が7段階で平均6.01から5.00に下がりました。

対象: イギリス在住で英語が母語の大人、4つの実験で計3,562人(実験2〜4は働いている18〜60歳) / 限界: オンラインで続けて2つの作業をしただけの短い実験です。実験2では意欲の下がり方の差ははっきりせず、どの条件でも2つ目の作業では意欲が少し下がっていました。

Zhangら(2026)[2]

仕事でAIをよく使う人ほど、仕事に意味を感じ、仕事に熱心に取り組めている関連があり、それを通して仕事中の気分のよさとも関連していました。この関連は、AIが自分の判断や問題解決に一緒に関わっていると感じる程度が平均以上の人で見られ、その程度が低い人でははっきりしませんでした。

対象: 中国の知識系の業界(IT・金融など)で働き、仕事でAIを使っている正社員360人。2週間おきに3回調査 / 限界: アンケートによる調査で、AIを使うことが仕事の意味を高めた原因だとは言えません。

Hagger・McAnally(2026)[3]

192件の研究をまとめた分析では、作業そのものへの興味など、自分から進んで取り組む動機を持つ人ほど、仕事への熱意や心の健康、仕事の満足度が高い関連がありました。意欲が下がることは、気分の問題だけでなく、働きやすさとも関わっています。

対象: 世界の働く人を対象にした192件の研究(AIの研究ではありません) / 限界: まとめた研究はすべて相関を調べたもので、意欲が上がれば満足度が上がるという因果まではわかりません。

つまり、AIが「やりがいを奪う」かどうかは、まだ一つの答えに決まっていません。一人の作業との切り替え方や、AIとの関わり方が、意欲に影響している可能性があります。

03まだわかっていないこと

実際の職場で、AIを長い期間使い続けたときに、やりがいがどう変わるかはまだわかっていません。研究の多くは短い実験か、1つの国の調査です。

  • 数か月〜数年、職場でAIを使い続けたときの意欲の変化
  • どんな仕事なら、AIを使ってもやりがいが残りやすいのか
  • 日本の働く人での、AIの使い方とやりがいの関係
  • 意欲を保つための工夫が、実際に効果があるかどうか

04今日からできるセルフケア

研究で効果が確かめられた方法はまだありません。研究の著者らの提案をもとに、自分で決める部分を残し、作業の切り替えをゆるやかにする工夫を選びました。

1

AIに任せる作業と、自分でやりたい作業を分ける

今の仕事を書き出し、「面倒なのでAIに任せたい」「面白いので自分でやりたい」に分けます。研究の著者らも、AIとの作業と一人の作業の配分を自分で工夫することを勧めています。

目安 週1回・10分

2

最後の判断は自分がする

AIの案をそのまま使うのでなく、どれを使うか、どこを直すかを自分で決めます。自分で決めている感覚は、一人の作業からAIとの作業に移ると下がりやすいことが実験で示されています。

目安 1つの作業ごとに数分

3

AIのあとに一人の作業をするときは、区切りを入れる

AIとの作業から一人の作業に移るときは、短い休憩やメモで区切ります。意欲が下がったと感じても、自分のせいではなく、切り替えで起きやすい変化だと知っておくと、気持ちが楽になります。

目安 切り替えのたびに2〜3分

05よくある質問

AIを使うとやる気がなくなるのは本当?

一部の実験では、AIと作業したあとに一人で作業すると、意欲が下がりやすい結果でした。ただし、AIをよく使う人ほど仕事の意味を感じる関連を示した調査もあり、AIを使えば必ずやる気がなくなるとは言えません。

やりがいを守るには、AIを使わないほうがいい?

使わないことが正解とは言えません。イギリスの大人の実験では、AIを使うとその場の作業の出来はよくなりました。AIに任せる部分と自分でやる部分を分け、判断を自分で持つ使い方が考えられます。

AIを使った仕事のあと、一人の作業が退屈に感じるのは自分だけ?

あなただけではありません。3,562人の実験でも、AIと作業したあとに一人で作業した人は、退屈さが増える傾向がありました。切り替えの前に短い区切りを入れてみてください。

出典

  1. Wu, S., Liu, Y., Ruan, M., Chen, S., & Xie, X.-Y. (2025). Human-generative AI collaboration enhances task performance but undermines human's intrinsic motivation. Scientific Reports, 15, 15105. https://doi.org/10.1038/s41598-025-98385-2
  2. Zhang, C., Chen, S., Zhang, D., & Zhang, Q. (2026). The Impact of Artificial Intelligence Usage on Affective Work Well-Being: A Self-Determination Theory Perspective. Behavioral Sciences, 16(5), 670. https://doi.org/10.3390/bs16050670
  3. Hagger, M. S., & McAnally, S. K. (2026). Self-Determination Theory and Workplace Outcomes: A Meta-Analysis. Stress and Health, 42(1), e70151. https://doi.org/10.1002/smi.70151