考える力・集中

周りの話し声や物音で集中できない。ホワイトノイズを流すと効く?米国の大学院生39人の実験では小さめの音で注意の成績が少し上がったが、ADHDでない人を集めた研究のまとめでは逆に少し下がっていた

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わかっている度 ★☆☆ 低研究3本・公的指針0件を整理
静かな図書館の閲覧室
Photo: Diliff / CC BY 2.5 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

隣の席の打ち合わせ、電話の声、笑い声。自分の作業に戻ろうとしても、耳が勝手に拾ってしまう。そんなとき、「ホワイトノイズを流すと集中できる」という話を見かけます。研究を見ると、効いたという実験と、かえって少し下がったという研究のまとめがあり、結果は分かれていました。

3行でわかる

  1. 米国の大学院生39人の実験では、静かな個室でヘッドホンから小さめのホワイトノイズを流すと、注意を保つ課題の正答率が93.1%から95.2%に上がっていた。
  2. 一方、ADHDでない子どもや若い大人を対象にした11本の研究のまとめでは、ホワイトノイズやピンクノイズで課題の成績が少し下がっていた。
  3. イタリアの会社員など1,078人の調査では、周りの話し声のいちばんの影響として、約7割が「集中できなくなる」を挙げていた。音を足すなら小さめで、合わなければやめる。場所や作業を変えるのも手になる。

01 結論から言うとホワイトノイズで集中できる?

ホワイトノイズで集中できるかは、研究ではまだ結論が出ていません。小さめの音で注意の成績が少し上がった実験がある一方、ADHDでない人では成績が少し下がっていたという研究のまとめもあります。人によって合う・合わないがあると考えるのが妥当です。

ホワイトノイズは、すべての高さの音を同じ強さで混ぜた「ザー」という音です。話し声のように意味のある音を覆い隠す、という説明がよくされます。

ただ、研究で調べられてきたのは主に「音を足すと、頭を使う課題の成績がどう変わるか」です。周りの話し声を覆い隠す効果そのものを、ふつうの職場で確かめた研究は、今回は見つかりませんでした。

02 研究とデータでわかっていることホワイトノイズの研究では何がわかった?

米国の実験では、小さめの音で注意と発想の課題の成績が上がり、大きめの音では打ち間違いが増えていました。一方、ADHDでない人の研究のまとめでは、成績は少し下がっていました。話し声で集中しにくくなる人が多いことは、調査でも示されています。

93.1→95.2%静かな個室で小さめのホワイトノイズを流したときの、注意を保つ課題の正答率(米国の大学院生39人、2022年発表)
11本ADHDでない人(計335人)の研究をまとめると、ホワイトノイズ・ピンクノイズで課題の成績が少し下がっていた(2024年発表)
約7割周りの話し声のいちばんの影響に「集中できなくなる」を挙げた人(イタリアのオフィスで働く1,078人、2017年調査)

Awada ら(2022)[1]

ほかの人がいない静かな個室で、3つの条件を全員が順番に試しました。ヘッドホンから45デシベルのホワイトノイズを流す、65デシベルで流す、ヘッドホンをつけず部屋の音のまま(平均42.3デシベル)の3つです。45デシベルのときは、注意を保つ課題の正答率が部屋の音のままより高く(95.2%対93.1%)、言葉の連想の課題の正答率も高めでした(65.1%対50.8%)。65デシベルでは、覚えて照らし合わせる課題の成績は上がった一方、文章を打ち込む作業で打ち間違いが増え(平均10.8か所。45デシベルでは7.4か所、部屋の音のままでは7.3か所)、45デシベルのときより時間もかかりました。色の名前に惑わされずに答える課題では、どの条件でも差がありませんでした。

対象: 米国の南カリフォルニア大学の大学院生39人(平均約26歳、聴力に問題がなく、音に敏感でない人) / 限界: 人数が少なく、1回きりの実験です。話し声のする職場ではなく、静かな個室で行われました。

Nigg ら(2024)[2]

ホワイトノイズやピンクノイズを流したときと、音なし・小さな音のときとで、実験室の課題の成績を比べた研究をまとめました。ADHDと診断された人や不注意の傾向が強い人(13本、335人)では、成績が小さく上がっていました。一方、それぞれの研究でくらべる相手として参加した、ADHDでない人(11本、335人)では、成績が少し下がっていました。著者らは、ADHDでない人には役立っていなかったとまとめています。

対象: 子どもと大学生くらいまでの若い人を対象にした研究 / 限界: 実験室の課題での結果で、ふだんの仕事や勉強で同じになるかはわかりません。ADHDでない人で成績が下がった点は、さらに調べる必要があると著者らは書いています。

Di Blasio ら(2019)[3]

2〜5人の部屋と、それより大人数の広い部屋で働く人に、同僚の会話や電話、笑い声といった「自分と関係のない話し声」の影響を聞きました。いちばんの影響として「集中できなくなる」を挙げた人は、2〜5人の部屋で69%、大人数の部屋で66%でした。対処として、ヘッドホンで音楽を聴いたり周りの音を消したりする人は22%と32%、休憩する・場所や作業を変える・ドアを閉める・在宅で働くといった工夫をする人は34%と23%、同僚に声を小さくしてもらうよう頼む人は22%と20%でした。

対象: イタリアの企業・研究機関・大学で働く1,078人(2017年のオンライン調査) / 限界: 答えた人の感じ方を聞いた調査で、どの対処が集中に効いたかを確かめたものではありません。

作業中の音楽については「作業中に音楽を聴くと集中できる?」、バイノーラルビートについては「集中したくてバイノーラルビートを聴くのは効く?」で整理しています。

03 まだわかっていないこと話し声のある職場でも、ホワイトノイズは効く?

話し声のある職場や自宅で、ホワイトノイズが集中を助けるかは、まだわかっていません。小さめの音で成績が上がった実験は静かな個室でのもので、人数も少なめでした。どの音量なら合うのかも、確かめられていません。

  • 米国の実験と研究のまとめで、ADHDでない人への結果が逆になっていて、研究の結果は分かれています。
  • 米国の実験は、話し声がない静かな部屋で行われました。話し声を覆い隠したときの効果は、この実験からはわかりません。
  • 長い時間や、何日も続けて流したときの影響を調べた研究は、今回は見つかりませんでした。
  • 日本の職場や、在宅勤務の家庭の音で調べた研究も見当たりませんでした。

04 今日からできるセルフケア話し声で集中できないとき、何をする?

音を足すなら小さめから試し、音なしのときと比べて決めます。合わないと感じたらやめてかまいません。音に頼らず、場所や作業の順番を変えたり、ひとこと頼んだりする方法もあります。お金をかけずにできる工夫を3つ挙げます。

1

音を足すなら小さめで、音なしと比べる

流すなら、周りの話し声よりはっきり小さい音量から始めます。同じような作業を、音ありと音なしで1回ずつして、進み具合と疲れ方を比べます。米国の実験では、大きめの音で打ち間違いが増えていました。

目安 作業2回分で試す

2

話し声の多い時間は、場所か作業を変える

静かな場所に移れるなら移ります。移れないときは、話し声の多い時間帯に、メールの整理など頭をあまり使わない作業を回します。イタリアの調査でも、場所や作業を変える工夫をする人が多くいました。

目安 1日の予定を見直すときに1分

3

「集中したい時間」を、ひとこと伝える

「11時まで集中したいので、打ち合わせは向こうの席でお願いできますか」のように、時間を区切って頼みます。イタリアの調査では、5人に1人ほどが同僚に声を小さくしてもらうよう頼んでいました。

目安 ひとこと・1回

集中が途切れたあと作業に戻るのが難しいときは「作業を中断されると、元に戻れない」も参考になります。

05よくある質問

ホワイトノイズとピンクノイズ、ブラウンノイズは何が違いますか?

ホワイトノイズはすべての高さの音を同じ強さで含み、テレビの砂嵐のように聞こえます。ピンクノイズやブラウンノイズは低い音が強めで、雨や滝の音のように聞こえることがあります。紹介した研究のまとめでは、ブラウンノイズを調べた研究は1本も見つかりませんでした。

ADHDの人には、ホワイトノイズが合うのですか?

ADHDと診断された人や、不注意の傾向が強い子どもと若い大人を対象にした13本の研究のまとめでは、実験室の課題の成績が小さく上がっていました。ただし、日常の仕事や勉強で同じ効果があるか、どの音量がよいかはまだわかっていません。この記事は診断や治療の助言ではありません。

音楽を流すのと、どちらがいいですか?

比べた研究は限られています。音楽については、読む作業では歌詞のある曲で理解が下がった研究があります。どちらを使う場合も、音なしと比べて自分の作業が進むかで決めるのが確かです。

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出典

  1. Awada, M., Becerik-Gerber, B., Lucas, G., & Roll, S. (2022). Cognitive performance, creativity and stress levels of neurotypical young adults under different white noise levels. Scientific Reports, 12, 14566. https://doi.org/10.1038/s41598-022-18862-w
  2. Nigg, J. T., Bruton, A., Kozlowski, M. B., Johnstone, J. M., & Karalunas, S. L. (2024). Systematic review and meta-analysis: Do white noise or pink noise help with task performance in youth with attention-deficit/hyperactivity disorder or with elevated attention problems? Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry, 63(8), 778–788. https://doi.org/10.1016/j.jaac.2023.12.014
  3. Di Blasio, S., Shtrepi, L., Puglisi, G. E., & Astolfi, A. (2019). A cross-sectional survey on the impact of irrelevant speech noise on annoyance, mental health and well-being, performance and occupants' behavior in shared and open-plan offices. International Journal of Environmental Research and Public Health, 16(2), 280. https://doi.org/10.3390/ijerph16020280