考える力・集中

AIと一緒に解くと、実力以上にできた気になる?中国の大学生342人の実験では、AIに相談した組は自信が上がり、AIの答えが間違っていた問題でも平均62.4%でその答えに乗っていた

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的指針0件を整理
白い机に置かれたノートパソコンと黄色い花
Photo: www.Pixel.la Free Stock Photos / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

AIに聞きながら資料を作ると、すらすら進んで「わかっている」感じがする。でもあとで一人になると、同じことが説明できない。そんな経験はないでしょうか。研究では、AIに相談すると正答も自信も上がる一方で、AIの間違いにも乗りやすく、自分がどれだけAIに頼ったかを少なく見積もりやすいことがわかってきました。仕組みを知っておくと、手応えと実力のずれに気づきやすくなります。

3行でわかる

  1. 中国の大学生342人の実験では、AIに相談した組は最後の答えへの自信が100点満点で76.1点と、AIなしの組の68.4点より高かった。
  2. 同じ組は、AIの答えが間違っていた問題でも平均62.4%でその答えに乗り、自分が頼った度合いを実際より少なく感じる傾向があった。
  3. 決める前に「自分の理由は?」など3つの問いに答えた組では、間違いに乗る割合が39.7%に下がり、正答率は下がらなかった。

01 結論から言うとAIと一緒だと、実力以上にできた気になる?

なりやすい、という実験結果があります。AIに相談すると正答率も自信も上がりますが、AIの間違った答えにも乗りやすくなり、自分がどれだけAIに頼ったかは実際より少なく感じやすい傾向がありました。

AIの答えは、文章がなめらかで、筋道立てて説明してくれます。そのため、中身が正しいかどうかとは別に「納得できた」という感じが生まれやすいと考えられています。

手応えが増えること自体は悪いことではありません。気をつけたいのは、手応えのどこまでが自分の力で、どこからがAIの力なのか、本人には見分けにくいことです。うまくいったら自分の力、間違えたらAIのせい、と受け止めやすい傾向も報告されています。

02 研究とデータでわかっていることAIに相談すると、自信と正しさはどう変わる?

中国の大学生342人の実験では、AIに相談した組は正答率も自信も上がりましたが、AIの答えが間違っていた問題でも平均62.4%でその答えに乗っていました。決める前に3つの問いに答えた組では、39.7%に下がりました。

76.1点AIに相談した組の、最後の答えへの自信(100点満点)。AIなしの組は68.4点(中国の大学生、2026年)
62.4%AIの答えが間違っていた問題で、その答えに乗った割合の平均(AIに相談した組)
39.7%同じ割合。決める前に3つの問いに答えた組
−0.38点AIの文章をほぼそのまま使った人が、AIなしで書いた次の文章で、論理の評価がAIを使わなかった人より低かった差(7点満点、659人)

Ren(2026)[1]

大学生を「AIなしで解く」「ChatGPTに相談してから答える」「相談したあと3つの問いに答えてから決める」の3組に分け、論理や確率の問題、表やグラフの読み取り、情報の信頼性の判断など24問を解いてもらった。最後の答えへの自信は、AIなしの組68.4点、相談した組76.1点、問いに答えた組72.3点だった。正答率は順に65.8%、72.4%、75.1%だった。

AIの最後の答えは、3問に1問ほど(33.3%)が間違っていました。相談した組は、そうした間違った答えにも平均62.4%で乗っていました。3つの問いに答えた組では39.7%で、AIの答えが正しいときは、どちらの組もよく従っていました。

相談した組では、AIの答えに合わせた実際の割合に比べて、本人が感じている頼り具合が低めでした。また、うまくいけば自分の力、間違えればAIや問題の難しさのせい、と受け止める傾向の指標は、相談した組が0.42、問いに答えた組が0.21でした。

対象: 中国の1つの大学の学部生342人(18〜24歳、各組114人、2026年3〜4月) / 限界: 短い問題を解くその場の判断を調べた実験で、長い学習や仕事、ほかの国の人に同じ結果が出るかはわからない。

Liu ら(2026)[2]

意見文を書く課題で、「先に自分の立場と骨組みを書いてからAIに聞く」「AIの文章をほぼそのまま使う」「AIを使わない」の3組に分けた。15〜20分後、全員がAIなしで別の意見文を書いた。AIの文章をほぼそのまま使った組は、AIを使わなかった組より論理の評価が0.38点(7点満点)低かった。先に自分で書いた組は、AIを使わなかった組を下回らなかった。

差は小さめで、測ったのは直後の1回だけです。それでも、同じAIを使っても「先に自分で考えたかどうか」で、AIを離れたあとの力に差が出ていました。

対象: 中国語を話す学生と若手社会人659人(平均24.6歳) / 限界: 直後の影響だけを測っており、長く続く力の低下を示したものではない。先に書く組は手間や時間も多く、何が効いたかは切り分けられていない。

Al-Anezi(2026)[3]

医療で生成AIを使う場面を調べた29件の研究をまとめたレビュー。AIで診断の正確さや作業の効率が上がる一方、10件の研究でAIの答えをそのまま信じてしまう「自動化バイアス」が、9件で医師の技能が落ちる心配が取り上げられていた。

対象: 医療分野の29件の研究 / 限界: 多くは観察研究やシミュレーション、考え方を論じたもので、数値を統合したメタ分析ではない。

03 まだわかっていないことAIでわかった気になるのは、長く続く?

まだ結論は出ていません。紹介した実験は、短い問題や文章を、その場や直後で測ったものです。何か月もAIと学んだり働いたりしたとき、自信と実力のずれがどう変わるかは確かめられていません。

  • 2つの実験は、どちらも中国の若い人が対象です。年齢や国、仕事の種類が違う人で同じ結果になるかはわかっていません。
  • 問いに答える方法の効果は、1つの大学の1回の実験で示されたものです。毎日の仕事で続けたときの効果は調べられていません。
  • AIの性能は変わり続けています。AIの答えが間違う割合が変われば、乗ってしまう割合や自信の上がり方も変わる可能性があります。

04 今日からできるセルフケア手応えと実力のずれを防ぐには?

AIの答えを受け取る前に自分の考えを一行書き、受け取ったあとに「根拠はどこか」「何があれば反対するか」を確かめるのが手がかりです。実験では、この問いに答えてもかかる時間は1問あたり平均で約18秒増える程度でした。

1

AIに聞く前に、自分の答えと理由を一行書く

「たぶんAだと思う。理由は〜」と、メモに一行だけ書いてからAIに聞く。あとでAIの答えと比べると、どこが自分の考えだったかがはっきりします。

目安 1回30秒

2

「なめらかさではなく、根拠はどこ?」と問う

AIの説明のうち、数字や出典など確かめられる根拠がある部分と、言い方がもっともらしいだけの部分を分けて見る。根拠のない部分は、自分で確かめるまで保留にします。

目安 1回1分

3

「何があればAIに反対するか」を一つ決めておく

「自分の計算と合わなければ採用しない」のように、AIの答えを退ける条件を先に決める。迷ったときに、なんとなく乗ってしまうのを防げます。

目安 1回30秒

4

週に1回、AIなしで同じ種類の作業をしてみる

ふだんAIと進めている要約やメールを、1本だけAIなしで書いてみる。うまくできた部分と詰まった部分が、今の自分の実力の目安になります。

目安 週1回・15分

AIの答えをつい信じてしまう仕組みは専門家にも起きる「自動化バイアス」の記事、先に自分で考える効果は先に自分で答えを出してから見る学習の研究でも紹介しています。AIと意見が違うと不安になる人はAIに反対されると答えを変えてしまう実験も参考になります。

05よくある質問

AIを使うと、頭が悪くなるの?

そう言い切れる研究はありません。AIの文章をほぼそのまま使った人は、直後にAIなしで書いた文章の論理の評価が少し低くなっていましたが、先に自分の考えを書いてからAIに聞いた人は下がっていませんでした。長く使ったときの影響はまだわかっていません。考える力とAIの関係はChatGPTと考える力の記事でも整理しています。

自分がAIに頼りすぎているか、自分でわかる?

わかりにくい、という結果が出ています。大学生の実験では、ChatGPTに相談した組は、実際にAIの答えに合わせた割合に比べて、本人が感じている頼り具合が低めでした。決める前に3つの問いに答えた組では、感じ方と実際がより近くなっていました。

AIの答えを疑うようにすると、正しい答えまで捨ててしまわない?

実験では、そうなっていませんでした。3つの問いに答えた組は、AIが間違っていたときに乗る割合が下がる一方、AIが正しいときはよく従い、正答率は75.1%と、相談しただけの組の72.4%より低くありませんでした。

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出典

  1. Ren S (2026). College students' metacognitive awareness of generative-AI reliance: an experimental study of decision confidence and attribution bias. Frontiers in Psychology, 17, 1926110. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1926110
  2. Liu C, Guo J, Gao R, Chen X, Zhu Q, Chang P (2026). Borrowed or kept? How self-generation-first and direct-adoption AI workflows shape immediate unaided reasoning. Frontiers in Psychology, 17, 1910545. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1910545
  3. Al-Anezi FM (2026). Generative Artificial Intelligence in Healthcare: Automation Bias, Deskilling, and Cognitive Implications – A Systematic Review. Journal of Healthcare Leadership. https://doi.org/10.2147/JHL.S590498