考える力・集中

作業中に音楽を聴くと集中できる?読む作業では歌詞のある曲で理解が下がり、単調な作業では好きな曲で集中が続いていた

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的指針0件を整理出典照合済み(2026-10-13)
机の上のヘッドホン
Photo: European Parliament / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

集中したくて作業用のBGMを流したのに、気づくと歌を口ずさんで手が止まっている。そんな経験は珍しくありません。研究の答えは「作業の種類と曲の選び方しだい」です。文章を読んで理解する作業では、音楽は理解を少し下げ、歌詞のある曲ほど影響が大きめでした。一方、単調な作業では、好きな曲で「集中していた」と答える割合が増えた実験があります。

3行でわかる

  1. 65件の研究のまとめでは、音楽・雑音・話し声はどれも、読んだ内容の理解を少し下げていた。
  2. 歌詞のある曲は歌詞のない曲より邪魔になり、意味のわかる話し声と同じくらいだった。
  3. 単調な作業では、好きな曲を流すと「作業に集中していた」と答える割合が54%から62%に増えた。

01 結論から言うと作業中のBGMは、集中の助けになる?

作業によって逆になります。文章を読んで理解する作業では、音楽は理解を少し下げ、歌詞のある曲で影響が大きめでした。単調な作業では、好きな曲で「集中していた」と答える割合が増えていました。

頭の使い方が違うためだと考えられています。文章を読むときは、頭の中で言葉の意味を組み立てています。そこに歌詞という別の言葉が入ってくると、意味の処理がぶつかりやすくなります。

反対に、同じ動きをくり返すだけの作業では、退屈で気持ちがゆるみ、考えがそれやすくなります。好きな曲がほどよく気分を上げ、注意を作業に引き戻すのではないか、と研究者は考えています。

02 研究とデータでわかっていること音楽はどのくらい、読む作業の邪魔になる?

影響は小さいものの、はっきりマイナスの方向でした。65件の研究のまとめでは、音楽も雑音も話し声も読んだ内容の理解を下げ、歌詞のある曲は歌詞のない曲より邪魔になっていました。

65件読む作業と周りの音の研究をまとめた数。子どもと大人の研究を含む(2018年)
54%→62%好きな曲を流すと「作業に集中していた」と答えた回の割合。ロンドンの学生40人(2021年)
27%→18%同じ実験で「考えがそれていた」と答えた回の割合。無音のときと好きな曲のとき

Vasilev ら(2018年)[1]

周りの音が読む作業に与える影響を調べた65件の研究をまとめると、音楽・雑音・話し声はどれも、読んだ内容の理解を小さいながら確かに下げていた。影響は話し声がやや大きく、音楽と雑音は同じくらいだった。歌詞のある曲は歌詞のない曲より邪魔になり、意味のわかる話し声と同じくらいだった。

対象: 子どもと大人を対象にした、読む作業中に音を流す実験 / 限界: 研究どうしを比べた分析で、歌詞の有無などを同じ実験の中で直接比べたものではない。読む速さへの影響はごく小さかった。

この論文によると、子どもと大人で影響の大きさはほとんど変わりませんでした。著者らは、文章を理解しながら読むときは歌詞のある曲を避け、歌詞のない曲にするよう勧めています。また、職場で意味のわかる話し声が聞こえる環境は、読む作業の妨げになりうると指摘しています。

Sun ら(2024年)[2]

同じ曲の中国語版と英語版を流して文章を読ませると、どちらの歌も、音楽なしより理解の正答率が下がった。特に、文章と同じ言語の歌で大きく下がった。ふだん音楽を聴きながら読む人は、聴かない人より影響が小さめだった。

対象: 中国東部の大学生90人(音楽を聴きながら読む人45人・聴かない人45人) / 限界: 1グループ15人と小さく、使った曲は1曲。英語の力は測っていない。

Kiss と Linnell(2021年)[3]

画面の合図にボタンで反応し続ける単調な課題で、自分で選んだ好きな曲を流すと、「考えがそれていた」と答える割合が27%から18%に減り、「作業に集中していた」が54%から62%に増えた。ただし、反応の速さは無音のときと変わらなかった。

対象: ふだん音楽を聴きながら作業するロンドンの学生40人(19〜32歳) / 限界: 1回あたり約6分を5回くり返す単純な課題で、頭を使う作業では調べていない。

03 まだわかっていないこと仕事の場面でもBGMの効果は同じ?

まだ確かめられていません。研究の多くは短い実験室の課題で、何時間も続く実際の仕事や、AIを使いながら考える作業でBGMがどう働くかは、ほとんど調べられていません。

  • 好きな曲で集中が増えた実験は40人・単純な課題1つだけで、成績そのものは上がっていなかった。
  • 文章を書く、企画を考える、プログラムを書くなど、読む以外の頭を使う作業での研究は少ない。
  • [1]が紹介している先行研究では、外向的な人は音楽に邪魔されにくいという説の結果は分かれていた。
  • 好きな曲と好きでない曲で影響が違うかも、先行研究で結果がそろっていない。

04 今日からできるセルフケア集中したいとき、BGMはどう選べばいい?

作業の種類で分けるのが研究に沿った使い方です。読んで理解する作業は無音か歌詞のない曲にし、単調な作業では好きな曲を流してみてください。

1

読んで理解する作業は、無音か歌詞のない曲にする

資料を読む、AIの答えを確かめるなど、内容をつかみたい時間だけ歌を止めます。音楽がほしいときは歌詞のない曲を選びます。

目安 読む作業の間だけ。曲を切り替えるのは10秒

2

文章と同じ言語の歌は、特に避ける

日本語の文章を読むなら日本語の歌、英語の資料なら英語の歌が、いちばん邪魔になりやすい組み合わせです。

目安 作業を始める前に1回確認

3

単調な作業には、好きな曲を30分ほど流す

データの入力や片付けなど、退屈で考えがそれやすい作業で試します。考えがそれる回数が減ったか、終わったあとに振り返ります。

目安 30分ほどのプレイリスト1本

4

話し声が聞こえる場所では、席を移すか読む作業を後に回す

意味のわかる話し声は、歌詞のある曲と同じくらい読む作業の邪魔になります。静かな場所に移れないときは、読む作業を静かな時間帯に回します。

目安 1日のうち読む作業をまとめる30分

ほかにも、ながら作業で頭に残らないときや、作業を中断されて戻れないときの研究もまとめています。気が張っていてリラックスしたいときの音楽の研究は音楽とストレスの記事にあります。

05よくある質問

歌詞のない曲なら、読む作業中に聴いても大丈夫?

歌詞のない曲のほうが、歌詞のある曲より邪魔になりにくいことがわかっています。ただし65件の研究のまとめでは、音楽全体として読んだ内容の理解を少し下げる方向でした。内容をしっかり理解したい文章は、無音で読むのがいちばん確実です。

いつも音楽を聴きながら勉強している人なら、影響はない?

中国の大学生90人の実験では、ふだん音楽を聴きながら読む人は、聴かない人より影響が小さめでした。それでも、文章と同じ言語の歌が流れると理解の正答率は下がっていました。慣れで影響がゼロになるとは言えません。

カフェの雑音や人の話し声は、音楽より邪魔になる?

65件の研究のまとめでは、読む作業への影響は人の話し声がいちばん大きく、雑音と音楽は同じくらいの小さな影響でした。意味が聞き取れる話し声は、聞き取れない話し声より邪魔になっていました。

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出典

  1. Vasilev, M. R., Kirkby, J. A., & Angele, B. (2018). Auditory Distraction During Reading: A Bayesian Meta-Analysis of a Continuing Controversy. Perspectives on Psychological Science, 13(5), 567–597. https://doi.org/10.1177/1745691617747398
  2. Sun, Y., Sun, C., Li, C., Shao, X., Liu, Q., & Liu, H. (2024). Impact of background music on reading comprehension: influence of lyrics language and study habits. Frontiers in Psychology, 15, 1363562. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2024.1363562
  3. Kiss, L., & Linnell, K. J. (2021). The effect of preferred background music on task-focus in sustained attention. Psychological Research, 85, 2313–2325. https://doi.org/10.1007/s00426-020-01400-6