AI疲れ・情報疲れ

AIやチャットに追われて気が張りっぱなし。音楽を聴くとストレスは下がる?104件の試験のまとめでは、心と体の両方で下がる方向だった

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わかっている度 ★★★ 高研究6本・公的指針0件を整理
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Photo: Lukas / CC0 / Stocksnap
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

チャットの通知やAIとのやりとりが続いて、一日じゅう気が張りっぱなし。手軽に落ち着く方法として、音楽を聴く人は多いはずです。104件のランダム化比較試験をまとめた研究では、音楽を聴いた人たちで、不安や落ち着かなさも、心拍や血圧も下がる方向でした。ただし、作業中のBGMは話が別です。

3行でわかる

  1. 104件の試験(9,617人)のまとめでは、音楽を使った取り組みで、心のストレス(不安・落ち着かなさ)と体のストレス(心拍・血圧・ホルモン)の両方が下がっていました。
  2. ただし研究の多くは手術前や検査中など医療の場面で、仕事や日常の場面の試験は1〜2割ほどでした。
  3. 作業中のBGMは、文章を読む作業を妨げ、記憶にも小さな悪影響がありました。落ち着くための音楽と、作業中の音楽は分けて考えるのが安全です。

01結論から言うと

音楽を聴くと、短時間のストレスや不安は下がりやすいことが、複数の研究のまとめでそろっています。ただし作業中に流すBGMは、読む作業や記憶の邪魔になることがあります。

ストレスを感じると、心では不安や落ち着かなさが強まり、体では心拍が上がるなどの反応が起きます。

音楽は、この両方に働きかける可能性がある、手軽な方法です。複数の研究のまとめが、同じ方向の結果を出しています。

一方で、「聴けば集中できる」とは限りません。落ち着くために手を止めて聴く時間と、作業しながら流すBGMは、研究では別のものとして扱われています。

02研究とデータでわかっていること

104件の試験のまとめで、音楽は心と体の両方のストレス反応を下げていました。手術前の不安を調べた26件のまとめも同じ方向でした。日常生活では、「落ち着くために」聴いたときにストレスが下がっていました。

104件音楽とストレスを調べたランダム化比較試験のまとめ(9,617人、2020年)
26件手術前の不安と音楽を調べた試験のまとめ(2,051人の患者、2013年)
10分ストレステストの前に音楽を聴いた時間(健康な女性60人、2013年)
55人ふだんの生活で1日4回、音楽とストレスを記録した大学生(2015年)

de Witteら(2020年)[1]

104件のランダム化比較試験をまとめました。音楽を使った取り組みを受けた人たちは、比べたグループより、心のストレス(その場の不安・落ち着かなさなど)が中程度、体のストレス(心拍・血圧・ストレスホルモン)が小〜中程度、下がっていました。体の指標では心拍で効果が大きく出ていました。場面(手術前後・検査中・医療以外)や研究の質で、効果に統計的な差は見られませんでした。

対象: 9,617人。体の指標の分析61件のうち医療以外の場面は10件、心の指標の分析79件のうち12件 / 限界: 著者らは、一部の分類は研究数が少なく、どんな音楽が効くかの分析は力が弱いと書いています。

Pelletier(2004年)[2]

音楽でストレスによる興奮状態(緊張して体が高ぶった状態)を下げる研究22件をまとめました。音楽を聴くだけの方法も、音楽を使ったリラクセーションも、興奮状態をはっきり下げていました。効果の大きさは、年齢、ストレスの種類、音楽の好み、音楽経験などによって違っていました。

対象: 22件の量的研究 / 限界: 録音された音楽を聴く研究に限られ、研究の質は評価されていません(後のde Witteらの論文による指摘)。

Bradtら(2013年、コクランレビュー)[3]

手術を待つ患者の不安について、録音された音楽を聴く取り組みを調べた26件の試験をまとめました。音楽を聴いたグループは、ふだんのケアだけのグループより不安が下がっていました。心拍と拡張期血圧にも小さな効果がありましたが、収縮期血圧や呼吸数には効果が確認できませんでした。

対象: 手術前の患者2,051人 / 限界: 多くの試験で、参加者が音楽を聴いたかどうかを隠せないため、偏りのリスクが高いと評価されています。

Thomaら(2013年)[4]

人前でのスピーチと暗算をするストレステストの前に、落ち着いた音楽、水のせせらぎの音、何も聴かない休憩のどれかを10分間とってもらいました。自律神経の指標(唾液のアミラーゼ)は、音楽のグループのほうが、何も聴かない休憩のグループより早く元に戻りました。一方、ストレスホルモン(コルチゾール)の反応は音楽のグループがいちばん高く、心拍や主観的なストレス・不安には差がありませんでした。

対象: 健康な女性60人(平均25歳) / 限界: 1回の実験室での研究で、音楽は1曲だけでした。効果は指標によって分かれていました。

Linnemannら(2015年)[5]

大学生が、ふだんの週と試験の週にそれぞれ5日間、1日4回、音楽を聴いたかとストレスを記録しました。音楽を聴いたあとは、主観的なストレスが低くなっていました。いちばんはっきりしていたのは「リラックスするため」に聴いたときで、その後のストレスが下がり、ストレスホルモンも低めでした。元気の出る音楽では自律神経の指標が上がり、落ち着いた音楽では下がっていました。

対象: 健康な大学生55人(唾液の測定は25人) / 限界: 生活の中の記録による関連で、くじ引きで条件を分けた実験ではありません。

Kämpfeら(2011年)[6]

大人を対象に、BGMの影響を調べた研究をまとめました。全体を平均すると効果はほぼゼロでした。細かく見ると、BGMは文章を読む作業を妨げ、記憶にも小さな悪影響がありました。一方で、気分の面にはよい影響があり、スポーツの成績も上がっていました。

対象: 大人が参加したBGMの研究 / 限界: 著者らは、効果量を計算できる研究が少なく、細かい効果を見つけにくかったと書いています。

de Witteらの表を数えると、場面の内訳は次のとおりでした(この記事での整理)。

03まだわかっていないこと

仕事中や日常の場面での試験は少なく、どんな曲を、何分、どのくらいの頻度で聴くのがよいかも、まだはっきりしていません。AIや情報の多さによる疲れに限った研究も見つかりませんでした。

  • 104件のまとめのうち、医療以外の場面の試験は1〜2割でした。場面による差は見られませんでしたが、仕事中の緊張に同じだけ効くかは、直接の試験が少ない状態です。
  • 曲の速さ・歌詞の有無・自分で選ぶかどうかで、効果に統計的な差は見られませんでした。どんな音楽が向いているかは、まだ決められていません。
  • 音楽療法士による音楽療法の試験は少なく、自分で聴く方法と比べてどちらが優れているかは、まだわかっていません。
  • チャットやAIの利用によるストレスに、音楽がどう働くかを直接調べた研究は、今回の調査では見つかりませんでした。

04今日からできるセルフケア

気が張ってきたら、作業の手を止めて10分ほど落ち着いた音楽を聴きます。「落ち着くため」と目的を決めて聴き、文章を読む作業中は音楽を止めます。

1

張りつめたら、手を止めて10分だけ聴く

チャットやAIの画面から離れ、ゆっくりした曲を聴きます。ストレスの実験でも、作業をせずに10分間聴いていました。60〜80拍くらいのゆっくりした曲で効果が大きい傾向もありました。

目安 1回10分・張りつめたとき

2

「落ち着くために聴く」と決めてから再生する

ふだんの生活の研究では、リラックスのために聴いたときにストレスがいちばん下がっていました。なんとなく流すのではなく、目的を決めて、落ち着いた曲を選びます。

目安 再生する前に数秒

3

読む・覚える作業中は音楽を止める

BGMは文章を読む作業を妨げ、記憶にも小さな悪影響がありました。長い文章やAIの回答を読み込むときは無音にし、音楽は休憩や移動、体を動かす時間に回します。

目安 読む作業のたびに

4

聴く前と後で、気持ちを5段階でつける

効き方は人によって違います。聴く前と後の「張りつめ具合」を1〜5でメモすると、自分に合う曲と時間が見えてきます。

目安 1回10秒・1週間

音楽以外の手軽な方法としては、ゆっくりした呼吸の研究やマインドフルネス瞑想の研究もあります。作業しながら別のことをする影響はながら作業の研究、休憩の取り方は短い休憩の研究が参考になります。

05よくある質問

作業中に音楽を聴くと、集中の邪魔になる?

作業の種類によります。BGMの研究をまとめた分析では、全体を平均すると効果はほぼゼロでしたが、細かく見ると、BGMは文章を読む作業を妨げ、記憶にも小さな悪影響がありました。一方で、気分の面やスポーツの成績にはよい影響が見られました。

どんな音楽を選べばいい?好きな曲でもいい?

104件の試験のまとめでは、自分の好きな曲を持ち込んだ場合と、研究者が選んだ曲の場合で、効果に統計的な差は見られませんでした。1分間に60〜80拍のゆっくりした曲で効果が大きい傾向はありましたが、はっきりした差ではありませんでした。

歌詞のある曲でも、ストレスは下がる?

104件の試験のまとめでは、歌詞の有無で効果に統計的な差は見られませんでした。ただし、歌詞のある曲だけを使った研究は少なく(不安などの分析で5件)、まだはっきりしたことは言えません。

音楽療法と、自分で音楽を聴くのは違うもの?

音楽療法は、訓練を受けた音楽療法士が一人ひとりに合わせて行うものです。104件の試験のまとめでは、音楽療法と、それ以外の音楽を聴く取り組みとの間で、効果に統計的な差は見られませんでした。ただし音楽療法の試験は少なく、どちらが優れているかはまだ決められないと著者らは書いています。

何分くらい聴けばいい?

何分が最適かは、まだわかっていません。104件の試験のまとめでは、聴く時間の長さで効果に差は見られませんでした。ストレスの実験では10分間聴く方法が使われていました。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. de Witte M, Spruit A, van Hooren S, Moonen X, Stams GJ (2020). Effects of music interventions on stress-related outcomes: a systematic review and two meta-analyses. Health Psychology Review, 14(2), 294-324. https://doi.org/10.1080/17437199.2019.1627897
  2. Pelletier CL (2004). The effect of music on decreasing arousal due to stress: a meta-analysis. Journal of Music Therapy, 41(3), 192-214. https://doi.org/10.1093/jmt/41.3.192
  3. Bradt J, Dileo C, Shim M (2013). Music interventions for preoperative anxiety. Cochrane Database of Systematic Reviews, CD006908. https://doi.org/10.1002/14651858.CD006908.pub2
  4. Thoma MV, La Marca R, Brönnimann R, Finkel L, Ehlert U, Nater UM (2013). The effect of music on the human stress response. PLoS One, 8(8), e70156. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0070156
  5. Linnemann A, Ditzen B, Strahler J, Doerr JM, Nater UM (2015). Music listening as a means of stress reduction in daily life. Psychoneuroendocrinology, 60, 82-90. https://doi.org/10.1016/j.psyneuen.2015.06.008
  6. Kämpfe J, Sedlmeier P, Renkewitz F (2011). The impact of background music on adult listeners: A meta-analysis. Psychology of Music, 39(4), 424-448. https://doi.org/10.1177/0305735610376261