考える力・集中

作業中、気づくと別のことを考えている。上の空になるのは、スマホで集中力が落ちたせい?中国の大学生165人の記録では、心がさまようのは日常の約4分の1で、集中しているときや得意な作業では少なかった

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的指針0件を整理
窓から光が差し込む静かな部屋
Photo: Tarasna0922 / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

資料を読んでいたはずが、気づくと週末の予定や昨日の会話のことを考えている。スマホやAIに慣れて、集中力が落ちたのではと不安になる人もいるかもしれません。結論から言うと、心がさまようのは誰にでも日常的に起きることで、中国の大学生165人の記録では、日常の約4分の1の時間で起きていました。

3行でわかる

  1. 中国の大学生165人の記録では、心がさまよっていたのは、問いかけの24.4%。多くはきっかけがあり、先のことや人のことを考えている場面が目立った。
  2. 目の前の作業に集中しているとき、得意な作業をしているとき、外の物に注意を向けているときは、上の空が少なかった。
  3. テレビやSNSを同時に使うことが多い人ほど上の空が多い、という関係は、オランダの261人の実験では見られなかった。

01 結論から言うと上の空になるのは、集中力が落ちたから?

集中力が落ちたせいとは言えません。心がさまようのは日常の約4分の1で起きる、ありふれた体験でした。スマホなどの「ながら使い」が多い人ほど上の空が多い、という結果も大きな実験では出ていません。

今していることとは別のことに考えが移る状態を、研究では「マインドワンダリング(心がさまようこと)」と呼びます。ぼんやりしているように見えて、実際には先のことを考えたり、人とのことを思い返したりしている場面が多いとわかっています。

一方で、心がさまよっている間は、目の前の作業の正確さが下がりやすいことも知られています。大事なのは、上の空を「なくす」ことより、どんなときに起きやすいかを知っておくことです。

02 研究とデータでわかっていること心がさまようのは、どんなとき?

中国の大学生165人の記録では、心がさまよっていたのは問いかけの24.4%でした。作業に集中しているとき、得意な作業のとき、気分が前向きなときは少なく、大事な作業のときはむしろ多くなっていました。

24.4%日常で心がさまよっていた割合(中国の大学生165人、3日間・1日6回の問いかけ、2012年発表)
88.2%心がさまよったとき、何がきっかけだったか本人がわかった割合(同じ調査)
40.5%場面を思い浮かべるタイプの上の空のうち、先のことを考えていた割合(同じ調査)
8.6%実験の作業中に「上の空だった」と答えた区切りの割合(オランダの261人、2020年発表)

SongとWang(2012)[1]

3日間、1日6回届く携帯のメッセージを合図に、その瞬間に心がさまよっていたかを記録してもらいました。心がさまよっていたのは平均24.4%で、人によって大きな差がありました。目の前の作業に集中しているとき、得意な作業をしているとき、外の物に注意を向けているとき、前向きな気分のときは少なく、大事な作業をしているときは多くなっていました。

中身で多かったのは、ある場面に自分を置いて思い浮かべるタイプ(60.8%)で、そのうち40.5%は先のこと、約7割は人についてのことでした。88.2%は本人がきっかけを思い当たり、6割ほどの場面では、さまよっていることに自分で気づいていました。

対象: 中国の大学生165人(18〜29歳、女性115人)。3日間、朝7時半から夜11時半まで1日6回の問いかけ / 限界: 大学生だけの記録で、働く人や年齢の高い人に当てはまるかはわからない。自分で振り返って答えた記録で、きっかけや内容は本人の受け止め方。

Wiradhanyら(2020)[2]

テレビ、SNS、メッセージ、音楽などを同時に使うことが多い人ほど、作業中に気が散りやすいかを調べました。図形の向きの変化を見分ける作業の途中で、何度か「今どのくらい作業に集中していたか」を答えてもらいました。全体では、上の空だった区切りは8.6%、集中していた区切りは83.4%でした。ながら使いが多い人でも、上の空の回数も、作業の成績も変わりませんでした。

対象: 大学生と一般の人261人(平均25歳) / 限界: 静かな部屋で短時間だけ行った実験で、日常の仕事中とは違う。ながら使いは短い質問票で測っていて、細かい違いをとらえきれていない可能性がある。これまでの研究でも結果は分かれている。

Smithら(2018)[3]

1日20回、5日間、スマホに届く問いかけで「考えが自由に動き回っていたか」を答えてもらいました。考えは朝のうちはまとまっていて、昼ごろに最も自由に動き、午後は落ち着き、夜にまた自由になる、という一日の波がありました。別の調査の記録を分析し直しても、同じ傾向が見られました。

対象: カナダの大学生108人(答えた回数が少ない人を除いた数) / 限界: 「自由に動く考え」は、作業と関係ないことを考える「上の空」とは測り方が違い、同じものではない。大学生だけの記録。

3つを並べると、上の空は誰にでも日常的に起きることで、起きやすさは作業への集中度や時間帯によって変わることが見えてきます。ながら作業そのものの影響は、ながら作業で集中できないときの記事で、スマホが手元にない時も通知が気になる状態は、頭の片隅で新着が気になる理由の記事で整理しています。

03 まだわかっていないことスマホやAIで上の空は増えている?

まだはっきりしていません。ながら使いが多い人ほど上の空が多い、という結果は研究によって分かれていて、生成AIを使うようになってから増えたかを調べた研究は見つけられませんでした。

  • 日常の上の空の記録は大学生を対象にしたものが多く、働く人の仕事中の割合はこの記事の研究からはわからない。
  • ながら使いと上の空の関係は、関係があったとする研究と、なかったとする研究に分かれている。
  • スマホやAIを長く使い続けることで、上の空の起きやすさが変わるかを長い期間追った研究は少ない。
  • 上の空の割合は、問いかけの仕方や「上の空」の定義によって大きく変わる。

04 今日からできるセルフケア上の空とうまく付き合うには?

上の空は責めるより、起きやすい場面を知って使い分けるほうが現実的です。きっかけに気づく、大事な作業は手を動かす形にする、考えが動きやすい時間をアイデア出しに回す、といった工夫から試せます。

1

気づいたら「どこに行っていた?」を一言メモする

上の空に気づいたら、考えていた中身を「来週の予定」「昨日の会話」のように一言だけ書きます。多くの上の空にはきっかけがあり、先のことを考えている場面も多いので、書き出しておけば、その件はあとで落ち着いて考えられます。

目安 10秒・気づいたときに

2

大事な作業は、手と目を使う形にする

外の物に注意を向けているときは上の空が少なめでした。大事な資料は指でなぞりながら読む、要点を手で書き出すなど、目と手を作業に向ける形にしてみます。

目安 作業のはじめの5分

3

考えが動きやすい時間を、アイデア出しに回す

カナダの記録では、考えは朝にまとまり、昼や夜に自由に動きやすい傾向がありました。自分がどの時間に上の空になりやすいか3日ほどメモし、その時間は企画や考えごと、まとまる時間は細かい作業に回します。

目安 1日3回のメモを3日間

05よくある質問

上の空になるのは、集中力が弱い証拠?

そうとは限りません。中国の大学生の記録では、心がさまようのは日常の約4分の1の時間で起きる、ありふれた体験でした。先のことや人のことを考えている場面が多く、ほとんどは何かのきっかけがあって始まっていました。

スマホやSNSのせいで、上の空が増えた?

はっきりとはわかっていません。オランダで行われた261人の実験では、テレビやSNSを同時に使うことが多い人でも、作業中に上の空になる回数は多くありませんでした。ただし1回の実験で、長い期間の変化は調べていません。

上の空はやめたほうがいい?

場面によります。細かい作業や運転のように注意が必要な場面では、ミスにつながりやすくなります。一方、心がさまよう間に先のことを考えている場面も多く、研究者は、先に備える役目もあると考えています。

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出典

  1. Song, X., & Wang, X. (2012). Mind wandering in Chinese daily lives: an experience sampling study. PLoS ONE, 7(9), e44423. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0044423
  2. Wiradhany, W., van Vugt, M. K., & Nieuwenstein, M. R. (2020). Media multitasking, mind-wandering, and distractibility: A large-scale study. Attention, Perception, & Psychophysics, 82(3), 1112–1124. https://doi.org/10.3758/s13414-019-01842-0
  3. Smith, G. K., Mills, C., Paxton, A., & Christoff, K. (2018). Mind-wandering rates fluctuate across the day: evidence from an experience-sampling study. Cognitive Research: Principles and Implications, 3, 54. https://doi.org/10.1186/s41235-018-0141-4