考える力・集中

本が読めなくなった、長い文章に集中できない。米国では毎日読書する人が20年で28%から16%に減っていた

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わかっている度 ★★☆ 中研究1本・メタ分析1本・レビュー1本を整理出典照合済み(2026-10-03)
木のテーブルに置かれた開いた本とりんご
Photo: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

以前は1日で読めた本が、今は数ページで手が止まる。気づくとスマホを触っていて、「集中力がなくなったのかも」と不安になる。そう感じている人は少なくありません。研究では、読書をする人の割合は実際に減っていました。ただし、スマホで集中する力そのものが失われたとまでは、まだわかっていません。

3行でわかる

  1. 米国の約23万6千人の生活時間の調査では、楽しみのために読書をした人の割合は、2004年の28%から2023年は16%に減りました。
  2. 読書中にテレビ・音楽・メッセージなどの邪魔が入る実験32研究のまとめでは、邪魔があると文章の理解が下がっていました。
  3. たくさんのメディアを同時に使う人ほど集中が続きにくい傾向を示す研究はありますが、差が出ない研究も多く、原因かどうかはわかっていません。

01結論から言うと

本が読めなくなったと感じるのは、あなただけではありません。読書をする人は実際に減っています。ただし集中力が壊れたとは言えず、読む環境の邪魔を減らすことが手がかりになります。

米国の調査では、楽しみのために本や雑誌を読む人の割合が、20年かけて少しずつ減っていました。研究者は、読書がほかのメディアと時間を取り合っている可能性を挙げています。

一方で、読んでいる人の1日の読書時間は、むしろ少し長くなっていました。読む力が消えたのではなく、読む時間が生まれにくくなっている面がありそうです。

そして、読書の途中に別の刺激が入ると、内容が頭に入りにくくなることは、多くの実験で確かめられています。

02研究とデータでわかっていること

米国では、ある1日に楽しみの読書をした人の割合が20年で大きく減りました。読書中の邪魔は理解を下げます。メディアの使い方と集中の関係は、研究の結果がそろっていません。

28%→16%ある1日に楽しみのため読書をした人(米国の15歳以上、2004年→2023年)
1時間37分読書をした人の1日の平均読書時間(米国、2023年。2003年は1時間23分)
32研究読書中の邪魔で理解が下がった実験のまとめ(124実験、2025年発表)

Boneら(2025年)[1]

米国の生活時間の調査で、2003〜2023年の23万6,270人の1日の過ごし方を分析しました。楽しみのために読書(本・雑誌・新聞・電子書籍・オーディオブックを含む)をした人は、2004年の28%をピークに減り、2023年は16%でした。割合は1年あたり約3%ずつ(3ポイントずつではなく、割合に対して)減っていました。一方、読んだ人の読書時間は2003年の1時間23分から、2023年は1時間37分に増えていました。

対象: 米国の15歳以上23万6,270人(2020年を除く) / 限界: 調査した1日だけの行動で、なぜ減ったのかは調べていません。日本の人に同じ傾向があるかはこの研究からはわかりません。

Shen(2025年)[2]

読書中にテレビ、音楽、メッセージのやりとり、途中の割り込み、まわりの雑音などの邪魔が入る実験を集めたメタ分析です。32研究・124の実験をまとめると、邪魔があった人は、なかった人より文章の理解の点数がはっきり低くなっていました(効果の大きさは中程度から大きめ)。

対象: 2000〜2025年に発表された32研究(小学生から大人まで。124実験中106は大学生) / 限界: 研究ごとの結果のばらつきが大きく、邪魔の種類はテレビが最も多い(124実験中59)など偏りがあります。

UncapherとWagner(2018年)[3]

複数のメディアを同時に使うことが多い人の、注意や記憶を調べた研究をまとめたレビューです。同時に使うことが多い人ほど、注意を保ち続ける課題で成績が低い傾向が見られました。ただし差が出ない研究も多く、メディアの使い方が原因なのかはわかっていません。

対象: 既存研究のまとめ / 限界: 研究の数はまだ少なく、結果も一致していない、と著者自身が書いています。

03まだわかっていないこと

スマホを長く使うことで、長い文章を読む力そのものが落ちるのかは、まだわかっていません。読む機会が減ったことと、集中する力が落ちたことは、分けて考える必要があります。

  • 同じ人を長く追いかけ、スマホの使い方と読書の集中の変化を調べた研究はまだ少ない段階です。
  • 読書をする人が減った理由が、スマホなのか、忙しさなのか、読むものの変化なのかは、はっきりしていません。
  • 紹介した研究は米国や学生が中心で、日本の働く大人に同じ結果が当てはまるかはわかりません。

04今日からできるセルフケア

「集中力を取り戻す」より、「邪魔の入らない短い読書時間を作る」ほうが始めやすいです。スマホを離し、音を消し、10分から始めます。

1

読む間だけ、スマホを別の部屋に置く

実験では、読書中のメッセージのやりとりが理解を下げていました。読む10〜20分だけ、スマホを手の届かない場所に置きます。

目安 1回10〜20分

2

テレビと音楽を消す

まとめた実験で最も多かった邪魔はテレビでした。読むときは、つけっぱなしのテレビや動画を消して、静かな時間にします。

目安 読む間だけ

3

「1日10分」から始める

最初から1冊読み切ろうとせず、寝る前や朝の10分など、時間を決めて読みます。数ページで止まっても、その日は合格にします。

目安 1日10分・1週間

4

読みやすいものから選び直す

米国の調査では、雑誌や新聞、オーディオブックも楽しみの読書に数えられていました。短いエッセイや好きな分野の雑誌から始めても十分です。

目安 週1回・選ぶ時間5分

05よくある質問

本が読めなくなったのはスマホのせい?

スマホが原因だとはまだ言えません。米国では読書をする人の割合が20年で減っていますが、理由は調べられていません。ただ、読書中にメッセージなどの邪魔が入ると理解が下がることは、多くの実験で確かめられています。

長い文章に集中できないのは、集中力が落ちたから?

研究では、複数のメディアを同時に使うことが多い人ほど注意が続きにくい傾向も見られますが、差が出ない研究も多く、結論は出ていません。まずは読む環境の邪魔を減らして試してみるのが現実的です。

電子書籍やスマホで読むのはよくない?

読書中の邪魔の実験をまとめた研究では、紙で読んでもパソコンで読んでも、邪魔が入ると理解が下がる点は同じでした。紙と画面のどちらがよいかは、この記事の研究では比べていません。画面で読む場合は、通知を切っておくと邪魔が入りにくくなります。

オーディオブックで聞くのも読書になる?

米国の生活時間の調査では、オーディオブックを聞くことも楽しみのための読書に数えられていました。目で読むのがつらいときの入り口にできます。

出典

  1. Bone JK, Bu F, Sonke JK, Fancourt D (2025). The decline in reading for pleasure over 20 years of the American Time Use Survey. iScience, 28, 113288. https://doi.org/10.1016/j.isci.2025.113288
  2. Shen Y (2025). Distractions in digital reading: a meta-analysis of attentional interference effects. Frontiers in Psychology, 16, 1671214. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2025.1671214
  3. Uncapher MR, Wagner AD (2018). Minds and brains of media multitaskers: Current findings and future directions. Proceedings of the National Academy of Sciences, 115(40), 9889-9896. https://doi.org/10.1073/pnas.1611612115