AI疲れ・情報疲れ

画面の前で座りっぱなしで、気分も晴れない。運動は落ち込みと不安をやわらげる、と1,039件の試験のまとめが示していた

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わかっている度 ★★★ 高研究4本・公的指針1件を整理
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Photo: vastateparksstaff / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

一日中、画面の前に座って仕事をして、帰ってからもスマホを見ている。体はあまり動かしていないのに、気分は重く、なんとなく不安が消えない。そんなときに「運動したほうがいい」と言われても、本当に効くのか、何をどのくらいすればいいのかは迷うところです。運動と気分の関係は、心の健康の分野でも特に研究が多いテーマです。結論から言うと、運動は気分の落ち込みと不安をやわらげる方向で、たくさんの研究の結果がそろっています。

3行でわかる

  1. 1,039件の試験をまとめた研究では、運動は気分の落ち込みと不安の症状を、中くらいの大きさで改善していました。
  2. 歩く・走る、筋トレ、ヨガなど、どの種類にも効果がありました。強めの運動ほど効果が大きい傾向でした。
  3. WHOの目安は週150〜300分。ただし、その半分の量でも、うつのリスクが低い関連がありました。

01結論から言うと

運動は、気分の落ち込みと不安の症状をやわらげます。複数のメタ分析とWHOの指針で、結果の向きはそろっています。種類は選ばず、少しでも体を動かすことに意味があります。

メタ分析とは、同じテーマの研究をたくさん集めて、まとめて分析する方法です。運動と心の関係では、そのメタ分析がさらに何十本もあります。

それらをまとめた研究でも、落ち込み・不安・ストレスによる心のつらさのどれにも、運動の効果が見られました。対象は、健康な大人、うつ病などの診断がある人、体の病気がある人と幅広いものでした。

座りっぱなしの日の合間に歩く短い工夫は、散歩と気分の記事で紹介しています。この記事では、週単位で続ける「運動の習慣」に絞って、種類・強さ・量を整理します。

02研究とデータでわかっていること

運動のプログラムは、落ち込みと不安を中くらいの大きさで改善していました。歩く・走る、筋トレ、ヨガのどれにも効果があり、強めの運動ほど効果が大きい傾向でした。

12万8,119人運動と落ち込み・不安を調べた97本のレビューに含まれる1,039件の試験の参加者(大人、2023年発表)
25%低い週2.5時間の早歩きに当たる運動量の大人の、うつのリスク。運動しない大人と比べた追跡研究のまとめ(2022年発表)
週150〜300分WHOが大人にすすめる中くらいの強さの運動の量(2020年の指針)
週2日以上WHOが大人にすすめる、全身の筋肉を使う筋トレの回数(2020年の指針)

Singhら(2023)[1]

運動を増やすプログラムの効果を調べた、97本のレビュー(1,039件の試験、12万8,119人)をまとめました。ふだんどおりのケアと比べて、運動は落ち込み・不安ともに中くらいの改善を示しました。効果はどの種類の運動にもあり、落ち込みには筋トレ、不安にはヨガなど体と呼吸を合わせる運動の効果が大きく出ていました。強い運動ほど改善が大きい傾向もありました。

対象: 健康な大人、心の病気の診断がある人、体の病気がある人など幅広い大人 / 限界: 97本中77本のレビューは、質の評価が「非常に低い」でした。結果の向きはそろっていても、効果の大きさには幅があります。

Noetelら(2024)[2]

うつ病の基準に当てはまる人を対象にした218件の試験(1万4,170人)を比べました。偽薬やふだんのケアと比べて、効果が大きめだったのはウォーキングやジョギング、ヨガ、筋トレでした。歩くような軽い運動にも意味のある効果があり、走る・インターバルなど強めの運動では効果がさらに大きい傾向でした。筋トレとヨガは途中でやめる人が少なめでした。

対象: うつ病の基準に当てはまる大人の試験 / 限界: 偏りのリスクが低いと判断された試験は1件だけで、結果の確かさは「低い〜非常に低い」と評価されています。

Pearceら(2022)[3]

大人を3年以上追跡した15件の研究(19万1,130人)をまとめました。週2.5時間の早歩きに当たる運動量の人は、運動しない人よりうつのリスクが25%低い関連がありました。その半分の量でも18%低く、運動が少ない段階ほど、少し増やしたときの差が大きく出ていました。

対象: 3,000人以上・3年以上追跡した研究の大人 / 限界: 観察研究のため、運動がうつを防いだのか、元気な人がよく運動していたのかは区別しきれません。

Aylettら(2018)[4]

不安障害の診断がある人や、不安の点数が高い人を対象にした15件の試験(675人)をまとめました。有酸素運動をした組は、順番待ちの組より不安が軽くなっていました。強めの運動のプログラムは、軽めのプログラムより効果が大きくなっていました。

対象: 不安障害の診断がある人、または不安の点数が高い人の試験 / 限界: 試験の数が少なく、運動のやり方も試験ごとに大きく違っていました。

WHOの2020年の指針[5]も、大人の運動の効果として「不安と落ち込みの症状の軽減」を挙げています。そのうえで「少しでも動くほうが、まったく動かないよりよい」としています。

03まだわかっていないこと

運動が効く向きははっきりしていますが、効果の大きさ、いちばんよい量、長く続けたときの効果は、まだ確かではありません。AIやパソコン仕事の人に絞った研究もありません。

  • まとめに使われた試験やレビューには質の低いものが多く、効果の大きさは見積もりに幅があります。
  • 12週以内の短いプログラムのほうが、長いプログラムより効果が大きく出ていました。理由はわかっていません。
  • うつ病の人の試験のまとめでは、週あたりの運動量の違いによる効果の差は、はっきりしませんでした。
  • 生成AIを使う仕事や、長時間の画面仕事をする人に絞って、運動と気分を調べた研究は見つかりませんでした。

04今日からできるセルフケア

まずは週75分(WHOの目安の半分)を目標に、少し息が上がる強さで体を動かします。週2回の筋トレと、不安が強い日のヨガやストレッチを組み合わせます。

1

まずは目安の半分、週75分から始める

いきなり週150分を目指さなくて大丈夫です。推奨の半分の量でも、うつのリスクが低い関連がありました。1日15分の早歩きを週5日入れると届きます。

目安 1日15分・週5日

2

少し息が上がる強さを混ぜる

話はできるけれど歌うのはつらい、くらいの速さで歩きます。慣れてきたら、坂道や階段、軽いジョギングを数分ずつ混ぜます。強めの運動ほど効果が大きい傾向がありました。

目安 歩く時間のうち数分

3

週2回、自分の体重で筋トレをする

スクワット、壁に手をついた腕立て伏せなど、道具なしでできる運動でかまいません。筋トレは落ち込みへの効果が大きく、途中でやめる人も少なめでした。

目安 1回10分・週2日

4

不安が強い日は、ヨガやストレッチにする

不安には、ヨガなど体と呼吸を合わせる運動の効果が大きく出ていました。仕事のあと、ゆっくり息を吐きながら体を伸ばす時間を作ります。

目安 1回10〜15分

体を動かすことは、夜の眠りにも関わります。寝る前の過ごし方は寝る前のスマホと睡眠の記事、仕事中の短い休み方はパソコン作業の休憩の記事も参考になります。

持病がある人や、しばらく運動していなかった人は、無理のない強さから始めてください。通院中の人は、運動を治療の代わりにせず、主治医に相談しながら取り入れられます。

05よくある質問

運動すると、気分の落ち込みや不安は本当に軽くなる?

多くの研究で、軽くなる方向の結果がそろっています。97本のレビューをまとめた研究では、運動のプログラムは、ふだんどおりのケアと比べて、落ち込みと不安の症状を中くらいの大きさで改善していました。WHOの指針も、大人の運動の効果として不安と落ち込みの症状の軽減を挙げています。

どのくらい運動すればいい?

WHOの目安は、大人で週150〜300分の中くらいの強さの運動です。ただ、それより少なくても意味はあります。追跡研究のまとめでは、推奨の半分の量でも、まったく運動しない人よりうつのリスクが18%低い関連がありました。

ウォーキングでも効果はある?

あります。うつ病の基準に当てはまる人を対象にした試験のまとめでは、ウォーキングやジョギングは、ヨガや筋トレとともに効果が大きめの運動でした。歩くような軽い運動でも意味のある効果があり、強めの運動のほうが効果はさらに大きい傾向でした。

不安には、どんな運動が向いている?

97本のレビューのまとめでは、どの種類の運動も効果がありましたが、不安にはヨガなど体と呼吸を合わせる運動の効果がいちばん大きく出ていました。不安の強い人を対象にした別のまとめでは、軽い運動より強めの運動のほうが効果が大きくなっていました。

薬や通院の代わりに運動してもいい?

運動を治療の代わりにすることは、この記事ではすすめていません。研究は運動の効果を調べたもので、一人ひとりの治療をどうするかは別の話です。通院中の人は、運動を始めたいことを主治医に伝えて相談できます。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Singh, B., Olds, T., Curtis, R., et al. (2023). Effectiveness of physical activity interventions for improving depression, anxiety and distress: an overview of systematic reviews. British Journal of Sports Medicine, 57(18), 1203–1209. https://doi.org/10.1136/bjsports-2022-106195
  2. Noetel, M., Sanders, T., Gallardo-Gómez, D., et al. (2024). Effect of exercise for depression: systematic review and network meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ, 384, e075847. https://doi.org/10.1136/bmj-2023-075847
  3. Pearce, M., Garcia, L., Abbas, A., et al. (2022). Association Between Physical Activity and Risk of Depression: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Psychiatry, 79(6), 550–559. https://doi.org/10.1001/jamapsychiatry.2022.0609
  4. Aylett, E., Small, N., & Bower, P. (2018). Exercise in the treatment of clinical anxiety in general practice – a systematic review and meta-analysis. BMC Health Services Research, 18, 559. https://doi.org/10.1186/s12913-018-3313-5
  5. Bull, F. C., Al-Ansari, S. S., Biddle, S., et al. (2020). World Health Organization 2020 guidelines on physical activity and sedentary behaviour. British Journal of Sports Medicine, 54(24), 1451–1462. https://doi.org/10.1136/bjsports-2020-102955