AI疲れ・情報疲れ

画面と情報で疲れた夜、焚き火の動画を見ると落ち着く?米国の大学の実験では、音つきの炎の映像を15分見たあとに血圧が下がったが、音を消した映像では下がらなかった

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わかっている度 ★☆☆ 低研究3本・公的指針0件を整理
暖炉の中で燃える薪の炎
Photo: USDAgov / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

一日じゅう画面の文字とチャットを追いかけて、夜になっても頭がざわざわしている。そんなときに、パチパチと燃える焚き火の動画を流す人は少なくありません。「炎のゆらぎで癒される」とよく言われますが、研究で確かめられているのはどこまででしょうか。調べてみると、実験はまだごく少なく、しかも「音」が大事かもしれないという意外な結果が出ていました。

3行でわかる

  1. 米国の大学の実験では、音つきの炎の映像を15分見たあとに、上の血圧が平均で約6下がっていた。音を消した炎の映像や、炎の静止画を逆さにした画像では、逆に少し上がっていた。
  2. ただし、音つきの回は見る前の血圧がもともと高めだった。実験は1人の研究者による3つだけで、気分や疲れそのものは測っていない。
  3. 自然の映像の研究でも、「見たあと楽になった」と感じる一方で、体のストレス反応にははっきりした差が出なかった実験がある。試すなら、音つきで10〜15分、ほかの画面を閉じて見るのが研究の条件に近い。

01 結論から言うと焚き火の動画で、疲れた頭は落ち着く?

落ち着く方向の結果は出ています。米国の大学の実験では、音つきの炎の映像を15分見たあとに血圧が下がっていました。ただし実験はごく少なく、見る前の血圧の差もあり、まだ確かとは言えません。

焚き火や暖炉の火を眺めると落ち着く、というのは多くの人の実感です。研究者の間でも、人類が長く火を囲んで暮らしてきたことと関係があるのではないか、という仮説があります。ただ、その実感を実験で確かめた研究は意外なほど少ないのが現状です。

わずかな実験からわかってきたのは、炎の動きを見るだけでなく、パチパチという音も合わせた「まるごとの体験」のほうが、体の落ち着きと結びついていたということです。よく言われる「炎のゆらぎ」だけで説明できる結果ではありませんでした。

02 研究とデータでわかっていること音つきと音なしで、何が違った?

音つきの炎の映像を15分見ると血圧が下がり、音を消した映像では下がりませんでした。自然の映像の研究のまとめでも、見たあとに不安が下がる傾向はありますが、研究の質は低いと評価されています。

約6音つきの炎の映像を15分見たあとに下がった上の血圧(mmHg)の平均。音なしと比較用の画像では約3上がった(米国の大学の60人、2014年発表)
226人炎の映像と血圧を調べた3つの実験の参加者の合計(米国、大学生が中心、2014年発表)
0.82自然の映像やVRを見る前と後で、不安が下がった度合い(効果の大きさ)。21件・1,471人の研究のまとめで、証拠の確かさは「非常に低い」(18〜60歳の健康な大人、2025年発表)
164人10分の自然の映像を見ても、室内の映像と比べてストレス反応にはっきりした差がなかった実験の参加者(オーストリアの18〜38歳、2026年発表)

Lynn(2014年)[1]

暗くした部屋で、ほかの機器の電源を切ってもらい、パソコンの画面で暖炉か焚き火の映像を見てもらった。見る前と後に血圧を測り、条件を変えて3つの実験を行った。最後の実験では、1人が「音つきの炎」「音を消した炎」「焚き火の静止画を逆さにした画像」の3つを、順番を入れ替えて15分ずつ見た。

音つきの炎では、上の血圧が平均5.9、下の血圧が3.0下がっていた。音を消した炎(上の血圧が約3.3上昇)と逆さの画像(約3.2上昇)では、逆に上がっていた。5分ずつ見た前の実験では差がはっきりせず、映像を長くした実験で差が出ていた。感想を答えた人のうち、音つきの炎がいちばんリラックスできたと答えた人は38%だった。

対象: 米国アラバマ大学で募集した人。3つの実験で計226人、最後の実験は60人(女性53人、大学生が76%) / 限界: 音つきの回は、順番を入れ替えていたのに、見る前の血圧がほかの回より高く、下がり幅が大きく出た可能性がある。測ったのは血圧で、気分や疲れの感じ方は測っていない。

Chenら(2025年)[2]

画面の映像、360度の映像、VRのゴーグルで自然の景色を見る研究24件をまとめた。見る前と後を比べると、不安(21件、1,471人)、ストレス(6件)、落ち込み(9件)の点数がいずれも下がっていた。10〜15分見た研究で、不安が下がる度合いが大きめだったが、見た時間による差は統計的にははっきりしなかった。

対象: 18〜60歳の健康な大人の研究 / 限界: 比べる組のない研究も含めて、見る前と後の変化を集めている。24件中10件は偏りの危険が高く、証拠の確かさはすべて「非常に低い」と評価された。焚き火の映像の研究は含まれていない。

Steiningerら(2026年)[3]

湖のほとりの草地や木々が朝から夕方へ移る、自然の音つきの映像(10分)か、室内の映像を、暗算で失敗を指摘され続けるストレスの課題の前か後に見てもらった。ストレスの感じ方、唾液のストレスホルモン、心拍などをくり返し測った。

参加者は、自然の映像のほうが「回復できた」「ストレスに対処するのに役立った」と評価していた。一方で、ストレスの感じ方、ホルモン、心拍の変化には、室内の映像と比べてはっきりした差がなかった。小さい〜中くらいの効果がある可能性は否定できない、と著者らは書いている。

対象: オーストリアのウィーン大学で募集した18〜38歳の164人(平均24.6歳、女性83人) / 限界: 実験室で、作られたストレスに対して1回だけ見た結果。焚き火の映像ではない。

03 まだわかっていないこと焚き火の動画は、毎晩見ても効くの?

まだわかっていません。焚き火の映像を調べた実験は、今回見つかった範囲では1人の研究者による3つだけです。毎晩見続けたときの効果や、疲れの感じ方への影響は調べられていません。

  • 音つきの炎で血圧が下がったのは、見る前の血圧が高めだった影響もありうる。著者も、見る順番の入れ替えでは説明できないとしている。
  • 測ったのは血圧で、「疲れがとれた」「頭がすっきりした」という感じ方は測られていない。
  • よく言われる「炎の1/fゆらぎ」の効果は、今回の研究では確かめられていない。音を消して炎の動きだけを見た場合は、血圧ははっきり下がらなかった。
  • 参加者は米国の大学生が中心で、日本の人や、画面の仕事で疲れた働く人で同じ結果になるかはわからない。

04 今日からできるセルフケア焚き火の動画を試すなら、どう見る?

音つきで10〜15分、ほかの画面と通知を閉じて見ます。見る前と後に、自分の落ち着き具合を1〜10で書いて、合うかどうかを確かめます。どれもお金をかけずにできます。

1

音つきで、10〜15分見る

音を消して流しておくのではなく、パチパチという音も聞こえる状態で見ます。米国の実験では、音つきの炎を15分見たときだけ血圧が下がり、5分では差がはっきりしませんでした。

目安 1回10〜15分

2

部屋を少し暗くして、ほかの画面を閉じる

スマホの通知を切り、チャットや別のタブを閉じて、映像だけを見ます。実験でも、暗くした部屋で、ほかの機器の電源を切り、何もせずに見てもらっていました。

目安 見る前に1分

3

見る前と後の落ち着き具合を、1〜10で書く

「落ち着いた気がする」と、体の反応が一致しないこともあります。オーストリアの実験では、自然の映像を「役に立った」と感じても、ストレス反応の差ははっきりしませんでした。数日書いてみて、自分に合うかを確かめます。

目安 1回30秒・前後に2回

自然の景色を窓から眺める方法は窓の外の緑を眺める記事に、鳥の声や水の音を聞く方法は自然の音でストレスを下げる記事にまとめています。

05よくある質問

焚き火の動画を見ると、本当にリラックスできる?

米国の大学の実験では、音つきの炎の映像を15分見たあとに血圧が下がっていました。ただ、音つきの回は見る前の血圧がもともと高めで、その分を割り引いて読む必要があります。研究は1人の研究者による3つの実験だけで、まだ確かとは言えません。

音を消して流しておくだけでもいい?

この実験では、音を消した炎の映像を15分見ても、血圧は下がっていませんでした。著者は、音がないと周りの物音や自分の考えに気が向きやすかったのではないかと考えています。見るなら、パチパチという音もつけるほうが研究の条件に近くなります。

「炎の1/fゆらぎで癒される」というのは本当?

今回紹介した研究では、炎のゆらぎそのものの効果は確かめられていません。むしろ音を消して炎の動きだけを見た場合は、血圧ははっきり下がりませんでした。

自然の動画を見るのと、どちらがいい?

比べた研究はまだありません。自然の映像の24件の研究をまとめた分析では、見る前より見た後に不安が下がっていましたが、証拠の確かさは「非常に低い」と評価されています。好きなほうを試して、自分に合うかを確かめるのが現実的です。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Lynn CD (2014). Hearth and Campfire Influences on Arterial Blood Pressure: Defraying the Costs of the Social Brain through Fireside Relaxation. Evolutionary Psychology, 12(5), 983–1003. https://doi.org/10.1177/147470491401200509
  2. Chen L, Yan R, et al. (2025). Virtual nature, real relief: how exposure to virtual natural environments reduces anxiety, stress, and depression in healthy adults. npj Digital Medicine. https://doi.org/10.1038/s41746-025-02057-4
  3. Steininger MO, Nitschke JP, Schenk L, White MP, Lamm C (2026). Brief virtual nature exposure and acute stress: inconclusive evidence regarding stress reactivity, recovery, and emotion regulation. Journal of Environmental Psychology. https://doi.org/10.1016/j.jenvp.2026.103181