寝不足が続いて、疲れと眠気が抜けない。寝床に入る時間を早めた4週間の実験では、睡眠が平均47分増え、日中の眠気が軽くなっていた

夜遅くまで画面を見て、朝は同じ時間に起きる。そんな毎日が続くと、疲れや眠気が抜けなくなります。研究では、毎晩の寝床に入る時間を少しずつ早めると、4週間で睡眠が平均47分増え、日中の眠気が軽くなっていました。ただし、寝床にいる時間を延ばしても、その分すべてが睡眠になるとは限りませんでした。
3行でわかる
- 米国の、1晩の睡眠が6.5時間未満の18〜35歳30人が、寝床の時間を延ばす4週間の取り組みをすると、睡眠は平均47分増え、日中の眠気の点数が下がった。
- 増えた睡眠の多くは、寝る時間が平均52分早まったことによるもので、起きる時間はほとんど変わらなかった。
- 英国の比較実験では、寝床の時間は55分延びたが、実際の睡眠の増え方は21分だった。ふだん十分に寝ている人では、睡眠を延ばして疲れは減ったが、気分は変わらなかった。
01 結論から言うと寝不足の疲れは、睡眠を増やせば取り戻せる?
数週間かけて毎晩の睡眠を増やすと、日中の眠気は軽くなっていました。米国の30人の実験では、4週間で睡眠が平均47分増えました。ただし対照群のない小さな研究で、確かなことはまだ言えません。
ここで紹介するのは、週末にまとめて寝る「寝だめ」ではなく、平日を含めた毎晩の睡眠を少しずつ増やす方法です。研究では「睡眠延長」と呼ばれています。
実験では、寝床に入る時間を早めることで睡眠が増えていました。夜の画面の時間をどこで区切るかが、取り組みの中心になります。
02 研究とデータでわかっていること寝る時間を延ばすと、何がどれくらい変わった?
寝不足の若者30人では、4週間で睡眠が平均47分増え、日中の眠気の点数が8.3から3.4に下がりました。英国の比較実験では、寝床の時間を55分延ばしても、実際の睡眠の増え方は21分でした。
Stegman ら(ユタ大学、2026)[1]
1晩の睡眠が6.5時間未満の健康な若者30人が、2週間ふだんどおりに過ごしたあと、4週間、寝床にいる時間を2時間延ばすことを目指しました。毎晩30分ずつ延ばし、寝る時刻と起きる時刻は生活に合わせて個別に決めました。腕時計型の機器で測ると、睡眠は1晩平均5.5時間から6.3時間へ、平均47分増えました。寝つく時刻は平均1時29分から0時37分へ早まり、起きる時刻はほぼ変わりませんでした。日中の眠気の点数は8.3から3.4に下がり、睡眠の満足度もよくなりました。
対象: 米国ユタ州の18〜35歳30人(女性14人、睡眠障害や精神疾患の診断なし) / 限界: 比べる群のない実験で、研究に参加して記録をつけたこと自体の影響を区別できないと著者が書いています。寝る時刻の規則正しさは変わりませんでした。
Al Khatib ら(キングス・カレッジ・ロンドン、2018)[2]
1晩の睡眠が5時間以上7時間未満の大人42人を2つに分け、21人には約45分の個別相談で、寝床の時間を1〜1.5時間延ばす計画を立ててもらいました。4週間後、ふだんどおりの21人と比べて、寝床の時間は55分、実際の睡眠は21分増えていました。寝床の時間を延ばせた人は86%でしたが、睡眠そのものが増えたのは半数でした。機器で測った眠りの効率は下がった一方、本人が答えた睡眠の質はよくなっていました。
対象: 英国の18〜64歳で標準体重の健康な大人42人 / 限界: 主な目的は食事の変化を調べることで、日中の眠気や疲れの変化は報告されていません。
Mantua ら(ウォルター・リード陸軍研究所、2019)[3]
ふだん平均7.5時間ほど寝ている若い大人27人が、7晩続けて夜9時から朝7時まで10時間寝床にいると、睡眠は平均9.36時間になりました。頭の疲れの点数は下がりましたが、眠気や気分(落ち込み・不安・幸福感など)には、はっきりした変化はありませんでした。
対象: 米国の18〜39歳27人(女性11人、睡眠の問題や気分の不調がない人) / 限界: もともと十分に寝ている人の、1週間だけの実験です。寝不足の人に同じ結果が出るかはわかりません。
週末の寝だめで取り戻せるかは「平日の寝不足を、週末の寝だめで取り戻したい」、寝る前のスマホをやめた実験は「寝る前のスマホで眠れない」で整理しています。
03 まだわかっていないこと睡眠を増やせば、仕事の疲れや気分も戻る?
まだわかっていません。日中の眠気が軽くなった研究は、比べる群のない30人の実験です。十分に寝ている人では、睡眠を延ばしても気分は変わりませんでした。日本の働く大人での研究も見当たりませんでした。
- 米国の30人の実験には比べる群がなく、眠気が軽くなったのが睡眠の増加によるものか、記録をつけて研究者と話したことによるものかは区別できません。
- 紹介した研究は、睡眠障害や精神疾患の診断がない、健康な人が対象です。眠りたくても眠れない状態が続く人に、同じ方法が合うかはわかりません。
- どの研究も数週間までで、睡眠を増やした生活が何か月も続くのか、その後の疲れや仕事にどう影響するのかは調べられていません。
04 今日からできるセルフケア寝不足を立て直すには、何から始める?
起きる時間はそのままにして、寝床に入る時間を少しずつ早めることです。実験でも、増えた睡眠の多くは寝る時間を早めた分でした。延ばした時間がすべて睡眠になるとは限らないため、数週間単位で見ていきます。
寝床に入る時間を、30分だけ早める
米国の実験では、一度に2時間ではなく、毎晩30分ずつ寝床の時間を延ばしていました。まず今夜の目標を「いつもより30分早く横になる」にします。
目安 1回30分、慣れたら次の30分
寝る1時間前に、画面を閉じる時刻を決めておく
米国の実験では、寝る1時間前の電子機器の光を避けることなどを、寝床の時間を延ばすためのコツとして伝えていました。この工夫だけの効果は調べられていませんが、寝る時間を早める区切りになります。
目安 寝る60分前
週末も、起きる時間を平日と大きく変えない
米国の実験では、週末も含めて毎日同じ時刻に寝起きすることも、寝床の時間を延ばすためのコツとして伝えていました。この工夫だけの効果は調べられていません。
目安 毎日ほぼ同じ時刻
2週間ごとに、日中の眠気をふり返る
米国の実験では、睡眠が増えた変化は最初の2週間で見られ、日中の眠気も数週間かけて確かめていました。1日ごとの上下より、2週間単位で「昼間に眠くなる回数」が減ったかを見ます。
目安 2週間に1回、1分
夜の自由時間を削れずに寝るのが遅くなるときは「夜の自由時間を取り戻したくて寝るのが遅くなる」、何週間も疲れが抜けないときは「燃え尽きた感じが続く」も参考になります。
05よくある質問
寝不足は、何日で取り戻せますか?
研究では、日数ははっきりしていません。米国の寝不足の若者30人の実験では、寝床の時間を延ばし始めて最初の2週間で睡眠が増え、4週間の終わりには日中の眠気の点数が8.3から3.4に下がっていました。1晩や週末だけでなく、数週間単位で考えるのが研究の結果に合っています。
毎日何時間寝ればいいですか?
米国の30人の論文では、米国の睡眠学会などの指針として、18〜60歳の大人は1晩7〜9時間の睡眠を定期的にとることが勧められていると紹介されています。実験の参加者は、4週間後も平均6.3時間で、7時間には届いていませんでしたが、眠気は軽くなっていました。
早く布団に入っても眠れないときは、どうすればいいですか?
英国の実験では、寝床の時間を延ばせた人は86%いましたが、睡眠そのものが増えたのは半数で、寝床で起きている時間が増えていました。いきなり大きく早めず、30分ずつ試すのが一つの方法です。眠れない状態が続くときは、医療機関に相談できます。
つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。
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出典
- Stegman, A. P., Kubicki, M., Mallender, Z., Zimmerman, G. A., Sundar, K. M., Baron, K. G., Reisdorph, N., Wright, K. P., & Depner, C. M. (2026). From yawn to dawn: the effects of a sleep extension intervention on objective and subjective dimensions of sleep health in adults with habitual short sleep. Sleep Advances, 7(1), zpag003. https://doi.org/10.1093/sleepadvances/zpag003
- Al Khatib, H. K., Hall, W. L., Creedon, A., Ooi, E., Masri, T., McGowan, L., Harding, S. V., Darzi, J., & Pot, G. K. (2018). Sleep extension is a feasible lifestyle intervention in free-living adults who are habitually short sleepers: a potential strategy for decreasing intake of free sugars? A randomized controlled pilot study. The American Journal of Clinical Nutrition, 107(1), 43-53. https://doi.org/10.1093/ajcn/nqx030
- Mantua, J., Skeiky, L., Prindle, N., Trach, S., Doty, T. J., Balkin, T. J., Brager, A. J., Capaldi, V. F., & Simonelli, G. (2019). Sleep extension reduces fatigue in healthy, normally-sleeping young adults. Sleep Science, 12(1), 21-27. https://doi.org/10.5935/1984-0063.20190056


