人とのつながり

一人暮らしの寂しさに、ペットを飼えば孤独は防げる?24件の研究のまとめでは、飼い主のほうが孤独が少ないとは言い切れず、散歩などで近所の人と知り合う入り口にはなっていた

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わかっている度 ★☆☆ 低研究3本・公的指針0件を整理
日なたの芝生でくつろぐ猫
Photo: Mattkiska / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

在宅の仕事が増えて、帰っても話す相手がいない。犬や猫がいれば寂しくないかも、と考える人は少なくありません。ところが研究をまとめると、「ペットを飼っている人のほうが孤独が少ない」とは言い切れませんでした。一方で、ペットをきっかけに近所の人と知り合い、支え合うつながりが生まれることは報告されています。孤独を防ぐ手がかりは、ペットそのものより、その先の人とのつながりにありそうです。

3行でわかる

  1. 24件の研究のまとめでは、ペットの飼い主のほうが孤独が少ないという関連が見られた研究は一部だけだった。
  2. 米国の4,237人の追跡でも、条件をそろえると、ペットを飼うことで友人や家族に関わる孤独が和らぐ結果は出なかった。
  3. 4都市2,692人の調査では、飼い主は近所の人と知り合う割合が高く、飼い主の約40%がペットを通じて知り合った人から支えを受けていた。

01 結論から言うとペットを飼えば、孤独は防げる?

ペットを飼うだけで孤独が防げる、とは言い切れません。飼い主と飼っていない人の孤独を比べた研究の多くで、はっきりした差は出ていませんでした。ただし、ペットが近所の人と知り合うきっかけになることは報告されています。

孤独には大きく2種類あるとされます。一つは、友人や職場の仲間など、つながりの輪が足りないと感じる孤独です。もう一つは、家族やパートナーなど、心から近い相手がいないと感じる孤独です。

ペットは、そばにいてくれる相手にはなります。けれど、相談に乗ってくれたり、困ったときに手を貸してくれたりする人の代わりにはなりません。研究の結果が分かれるのは、この違いが関わっている可能性があります。

02 研究とデータでわかっていることペットを飼う人は、本当に孤独が少ない?

はっきり少ないとは言えません。24件の研究のまとめでは関連が見られた研究は一部で、米国の4,237人の追跡でも、条件をそろえると友人や家族に関わる孤独は変わりませんでした。近所づきあいのきっかけになる面は報告されています。

24件ペットと孤独・社会的な孤立の関係を調べた研究のまとめ。関連が見られたのは一部だった(2022年発表)
約40%ペットを通じて知り合った人から、何らかの支えを受けていた飼い主の割合(米国3都市とオーストラリア1都市、2015年発表)
3.10倍犬の散歩をする飼い主が、しない飼い主に比べて、ペットを通じて人と知り合っていたオッズの比(同じ調査)

Kretzler ら(2022)[1]

ペットを飼うことと、孤独や社会的な孤立との関係を調べた24件の研究をまとめた。新型コロナの流行前の大人では、ペット全般と孤独を調べた研究の多くで、はっきりした関連は見られなかった。英国の研究では、飼い主のほうが孤独と答える割合が高い結果も出ていた。流行後の研究では、孤独が低い方向の結果が多かった。

犬・猫・ほかの動物で、孤独との関係に違いはほとんど見られませんでした。このレビューが紹介している研究では、カナダで一人暮らしの人132人を調べたところ、ペットを飼っていることだけでは孤独に差がありませんでした。ただ、ペットを飼っていることと人からの支えが組み合わさると、孤独が低い方向に結びついていました。

対象: 24件の観察研究(大人の研究は平均25〜77歳) / 限界: 多くは一時点の調査で、ペットを飼ったから孤独が減ったのか、もともと孤独の少ない人が飼っているのかは区別できない。

Ogata ら(2023)[2]

米国の大人4,237人(飼っていない人657人、犬の飼い主1,761人、猫の飼い主1,819人)を、新型コロナの流行前から2021年まで最大6回調べた。犬の飼い主は孤独やストレスが下がる幅が大きかったが、ほかの条件の影響をそろえて分析すると、ペットを飼うことで和らぐ結果は出なかった。

友人や職場の人間関係が足りない孤独、家族との関係に関わる孤独、ストレスのどれも、飼い主と飼っていない人で差がありませんでした。恋人やパートナーとの関係に関わる孤独だけは、飼い主のほうが低くなっていました。

対象: 米国在住の18歳以上4,237人(ネットの調査参加者) / 限界: 流行前の気持ちは後から思い出して答えている。ネットで集めた人で、米国の大人全体を代表してはいない。

Wood ら(2015)[3]

米国3都市とオーストラリア1都市の住民2,692人に電話で調査した。飼い主は飼っていない人より、近所の人と知り合っている割合が高かった(オッズ比1.61)。飼い主の約40%が、ペットを通じて知り合った人から、話を聞いてもらう・情報をもらうなどの支えを受けていた。

犬の飼い主では、散歩をする人のほうが、しない人よりペットを通じて人と知り合っていました(オッズ比3.10)。自由回答では、ペットが会話のきっかけになったという声がくり返し出ていました。

対象: 4都市の18歳以上の住民2,692人(同じ地域に1年以上住む人) / 限界: 一時点の調査で、ペットの影響かどうかは確かめられない。研究費はペットフード会社の関連機関が出していた。

03 まだわかっていないことペットを飼い始めると、孤独は減る?

まだ結論は出ていません。飼い始める前と後を追った研究はわずかです。カナダで犬を飼い始めた人を8か月追った研究では、ある質問では孤独が下がりましたが、よく使われる孤独の尺度では差がありませんでした。

  • 研究の多くは一時点の調査です。ペットを飼うと孤独が減るのか、孤独の少ない人がペットを飼いやすいのかは区別できていません。
  • 日本の働く世代や、在宅勤務の一人暮らしの人を対象にした研究はほとんどありません。
  • 新型コロナの流行中は関連が強まったように見えましたが、それが今も続くのかはわかっていません。

04 今日からできるセルフケア孤独を防ぐには、何から始める?

ペットだけに期待せず、人と会う機会と組み合わせるのが手がかりです。研究では、ペットと人からの支えが組み合わさったときに孤独が低い方向に結びつき、散歩のように外で人と出会う場面がつながりを生んでいました。

1

自分の寂しさが「どの相手がいない」寂しさか書き出す

「話せる友人がいない」「家族と距離がある」「パートナーがほしい」のどれに近いかを、メモに一行書く。足りない相手がわかると、ペットで埋まるものと、人とのつながりが必要なものを分けて考えられます。

目安 5分・1回

2

飼っているなら、散歩や外出を「あいさつの場」にする

毎日同じ時間・同じ道を歩くと、顔なじみができやすくなります。会ったら「こんにちは」と一言だけ交わす。研究では、散歩をする犬の飼い主ほど、ペットを通じて人と知り合っていました。

目安 1日1回・15分

3

飼う前に、人と話す予定を一つ決めておく

ペットを迎えるか迷っている人は、それとは別に、週1回だれかと話す予定を入れておく。一人暮らしの人の研究では、ペットと人からの支えが組み合わさったときに、孤独が低い方向に結びついていました。

目安 週1回・10分の通話でも

店員さんとのひとことのような小さな会話の効果はゆるいつながりと気分の研究、属するグループの多さは居場所を増やす研究でも紹介しています。ひとりの時間を楽しみながら孤独を防ぐには自分で選んだひとり時間の研究も参考になります。

05よくある質問

犬と猫では、孤独への効果は違う?

研究のまとめでは、犬・猫・ほかの動物の間で、孤独との関係にほとんど違いは見られませんでした。ただし、近所の人と知り合うきっかけという点では、散歩をする犬の飼い主で人と知り合う割合が高くなっていました。

寂しいから飼う、という理由で飼ってもいい?

研究は、飼うべきかどうかには答えていません。わかっているのは、ペットを飼っているだけで孤独が少ないとは言い切れないことです。世話の時間や費用、住まいの条件など、長く一緒に暮らせるかを考えたうえで決めるのが現実的です。

ペットがいると寂しさがまぎれるのは、気のせい?

気のせいとは言えません。米国の追跡研究では、恋人やパートナーとの関係に関わる孤独は、飼い主のほうが低くなっていました。一方で、友人や家族に関わる孤独には差がなく、ペットが和らげやすい寂しさとそうでない寂しさがあるようです。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Kretzler B, König HH, Hajek A (2022). Pet ownership, loneliness, and social isolation: a systematic review. Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology, 57(10), 1935. https://doi.org/10.1007/s00127-022-02332-9
  2. Ogata N, Weng HY, McV Messam L (2023). Temporal patterns of owner-pet relationship, stress, and loneliness during the COVID-19 pandemic, and the effect of pet ownership on mental health: A longitudinal survey. PLoS ONE, 18(4), e0284101. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0284101
  3. Wood L, Martin K, Christian H, et al. (2015). The Pet Factor - Companion Animals as a Conduit for Getting to Know People, Friendship Formation and Social Support. PLoS ONE, 10(4), e0122085. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0122085