何週間も疲れが抜けない、燃え尽きた感じが続く。回復は月単位で進み、対策の効果は小さくても続いていた

週末に休んでも疲れが抜けない。そんな状態が何週間も続き、仕事に気持ちが向かなくなっている。それは気合いが足りないからではありません。研究では、燃え尽きた状態からの回復は数日ではなく月単位で進み、スウェーデンの患者さんの研究では、受診までの期間が1年を超えた人は、回復が遅れがちでした(18か月後には差ははっきりしなくなっていました)。
3行でわかる
- WHOは燃え尽き(バーンアウト)を病気ではなく、対処しきれなかった慢性的な職場のストレスから生じる「仕事に関する現象」と定義しています。
- ストレス対策やリラクセーションなどの取り組みは、疲れ切った感じを小さいながら減らし、効果は6か月以上続いていました。
- 専門外来の患者を追った研究では、18か月後も3人に1人に症状が残り、受診までに1年以上症状が続いた人は回復が遅れがちでした。
01 結論から言うと燃え尽きた感じが続くとき、回復できる?
燃え尽きた感じからの回復は、数日の休みで終わるものではなく月単位で進みます。対策の効果は小さめですが長く続きます。重い患者さんの研究では、受診が遅れた人ほど回復に時間がかかる傾向もありました。
WHOの定義では、燃え尽きの特徴は3つです。エネルギーが尽きた感じ(疲れ切っている)、仕事から心が離れる・仕事に否定的になる、仕事の効力感が下がる、の3つです。
このうち研究で比較的よく減らせていたのは、1つめの「疲れ切った感じ」でした。
一方で、回復には時間がかかります。焦って一気に戻そうとするより、小さな手を長く続け、つらさが続くなら早めに誰かに相談するほうが、研究の結果に沿っています。
02 研究とデータでわかっていること燃え尽きからの回復について、研究で何がわかっている?
対策の研究のまとめでは、疲れ切った感じは小さいながら減り、効果は6か月以上続いていました。ただし回復には時間がかかり、専門外来の患者では18か月後も3人に1人に症状が残っていました。
世界保健機関 WHO(2019年)[1]
国際疾病分類ICD-11で、燃え尽き(burn-out)を「うまく対処できなかった慢性的な職場のストレスから生じる症候群」と定義しました。病気(医学的な状態)としては分類せず、「仕事に関する現象」として、健康状態に影響する要因の章に置いています。
対象: 国際的な分類の定義 / 限界: 仕事の場面に限った概念で、生活の他の場面の疲れにはこの言葉を使わないとされています。
Maricuţoiu, Sava, Butta(2016年)[2]
比較グループのある対策研究をまとめました。疲れ切った感じ(情緒的消耗)は34件の研究で小さいながら減っていました(効果量d=0.17)。認知行動的な取り組みとリラクセーションは、この疲れ切った感じだけに効いていました。効果は終了後6か月以上たっても確認されました。
対象: 働く人を対象にした比較研究 / 限界: 効果は小さく、仕事への否定的な気持ちや効力感の低下には有意な効果がありませんでした。
Awa, Plaumann, Walter(2010年)[3]
燃え尽きを防ぐ取り組み25件を調べたレビューです。80%の取り組みで燃え尽きが減っていました。本人向けの取り組みは6か月以内の短期で効き、本人向けと職場(組織)向けを組み合わせた取り組みは12か月以上効果が続いていました。どの場合も、効果は時間とともに弱まっていました。
対象: 1995〜2007年に発表された25件の研究 / 限界: 予防の取り組みが中心で、すでに燃え尽きた人の回復を調べたものではありません。
Ahola, Toppinen-Tanner, Seppänen(2017年)[4]
燃え尽きた状態にある働く人を対象にした対策を調べました。条件を満たした14件の研究(18の取り組み)は内容がばらばらで、結果も分かれていました。本人向けの4件のランダム化比較試験をまとめると、疲れ切った感じや仕事への否定的な気持ちへの効果は見られませんでした。
対象: 燃え尽きた状態の働く人の比較研究14件 / 限界: 燃え尽きの定義や測り方がそろっておらず、職場向けを組み合わせた取り組みや職場復帰はまとめて分析できませんでした。
Gliseら(2012年)[5]
ストレスによる疲弊でスウェーデンの専門外来に紹介された232人を、18か月の治療のあいだ追いました。強い燃え尽き症状がある人の割合は93%から33%に下がりましたが、3人に1人は18か月後も症状が残っていました。受診までに症状が1年以上続いていた人は、6か月・12か月の時点で回復しにくい傾向がありました。
対象: 平均43歳、68%が女性の患者 / 限界: 治療を受けた重い状態の人たちで、比較グループはありません。18か月時点では症状の期間による差ははっきりしませんでした。
Bennett, Bakker, Field(2018年)[6]
仕事後の4つの回復体験(仕事から頭を離す・くつろぐ・新しいことに挑む・時間の使い方を自分で決める)の研究をまとめました。仕事から頭を離すこと(心理的距離)は、くつろぐことや時間を自分で決めることよりも、疲労の少なさと強く関連していました。4つの回復体験は、Sonnentagらが2007年に作った質問紙で測られるものです[7]。
対象: 54サンプル・合計26,592人 / 限界: 相関研究のまとめで、頭を離すと疲れが減るという因果を確かめたものではありません。
03 まだわかっていないこと燃え尽きの回復で、まだわかっていないことは?
すでに燃え尽きた人に効く方法は、研究の結果が分かれていてまだ決まっていません。燃え尽きの定義や測り方もそろっておらず、生成AIの導入による疲れとの関係を調べた研究も見当たりませんでした。
- 予防の取り組みには効果が見られる一方、すでに燃え尽きた人を対象にした研究のまとめでは、本人向けの対策の効果は見られませんでした。
- 燃え尽きは診断名ではないため、研究ごとに定義や測り方が違い、結果を比べにくい状態です。
- どれくらいの期間で回復するかは、重い状態の患者の研究が中心で、職場で働き続けている人の回復の道すじはよくわかっていません。
- AIの導入や情報量の増加が燃え尽きにつながるか、そこからどう回復するかを調べた研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。
04 今日からできるセルフケア燃え尽きた感じが続くとき、今日から何ができる?
まず1日の中に、仕事から頭を離す時間とくつろぐ時間を小さく作ります。疲れのもとを書き出して職場で相談できる形にし、つらさが長引くなら早めに誰かに相談します。
仕事の終わりに「頭を離す合図」を決める
仕事を終えたら、明日やることを1行メモして閉じ、通知を切ります。仕事から頭を離せている人ほど疲労が少ないという関連がありました。
目安 毎日終業時・3分
くつろぐ時間を毎日少しだけ確保する
ゆっくりした呼吸や散歩など、体をゆるめる時間を決まった時刻に入れます。研究では、リラクセーションの取り組みで疲れ切った感じが減っていました。1回で効くことは期待せず、続けることを優先します。
目安 1日10分・決まった時刻に
疲れのもとを3つ書き出し、職場で相談できる形にする
仕事の量・締め切り・やりとりの多さなど、疲れのもとを3つ書きます。予防の研究では、本人向けと職場向けを組み合わせた取り組みほど効果が長く続いていました。上司や同僚に1つだけでも相談します。
目安 週1回・10分
2週間、朝の疲れを5段階で記録する
毎朝、疲れの重さを5段階でメモします。よくならない、または悪くなっていると気づいたら、一人で抱えずに相談する合図にします。
目安 毎朝1分・2週間
休みのあとすぐ疲れが戻るときは休暇の効果は消えるのか、の研究、休日も仕事が頭から離れないときは仕事から心を離す研究、休むことに罪悪感があるときは休む罪悪感の研究も参考になります。寝不足が続いている人は睡眠と気分の研究もどうぞ。
05よくある質問
燃え尽き症候群は病気なの?
WHOは燃え尽き(バーンアウト)を病気(医学的な状態)としては分類していません。国際疾病分類ICD-11では、うまく対処できなかった慢性的な職場のストレスから生じる「仕事に関する現象」と定義しています。
燃え尽きから回復するまで、どれくらいかかる?
一律には言えません。スウェーデンの専門外来に紹介された人を18か月追った研究では、強い燃え尽き症状のある人の割合は93%から33%に下がりましたが、3人に1人は18か月後も症状が残っていました。
休みを取れば燃え尽きは治る?
休むことだけで回復するかを確かめた研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。研究では、休みの量より、仕事のあとに頭を仕事から離せているかが疲労の少なさと関連していました。
自分でできる対策に効果はある?
ストレス対策やリラクセーションなどの対策は、疲れ切った感じ(情緒的消耗)を小さいながら減らし、効果は6か月以上続いていました。一方、燃え尽きた状態の人に限った研究では効果がはっきりしませんでした。
つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。
無料ツール
セルフチェックで「今日やること」をまとめる
当てはまる悩みを選ぶだけ。診断はせず、記事の対策を一覧にします。
研究早見表でほかの悩み81件も見る
出典
- World Health Organization (2019). Burn-out an "occupational phenomenon": International Classification of Diseases. https://www.who.int/news/item/28-05-2019-burn-out-an-occupational-phenomenon-international-classification-of-diseases
- Maricuţoiu, L. P., Sava, F. A., & Butta, O. (2016). The effectiveness of controlled interventions on employees' burnout: A meta-analysis. Journal of Occupational and Organizational Psychology, 89(1), 1-27. https://doi.org/10.1111/joop.12099
- Awa, W. L., Plaumann, M., & Walter, U. (2010). Burnout prevention: A review of intervention programs. Patient Education and Counseling, 78(2), 184-190. https://doi.org/10.1016/j.pec.2009.04.008
- Ahola, K., Toppinen-Tanner, S., & Seppänen, J. (2017). Interventions to alleviate burnout symptoms and to support return to work among employees with burnout: Systematic review and meta-analysis. Burnout Research, 4, 1-11. https://doi.org/10.1016/j.burn.2017.02.001
- Glise, K., Ahlborg, G., & Jonsdottir, I. H. (2012). Course of mental symptoms in patients with stress-related exhaustion: does sex or age make a difference? BMC Psychiatry, 12, 18. https://doi.org/10.1186/1471-244X-12-18
- Bennett, A. A., Bakker, A. B., & Field, J. G. (2018). Recovery from work-related effort: A meta-analysis. Journal of Organizational Behavior, 39(3), 262-275. https://doi.org/10.1002/job.2217
- Sonnentag, S., & Fritz, C. (2007). The Recovery Experience Questionnaire: Development and validation of a measure for assessing recuperation and unwinding from work. Journal of Occupational Health Psychology, 12(3), 204-221. https://doi.org/10.1037/1076-8998.12.3.204


