AI疲れ・情報疲れ

寝不足の翌日、イライラして落ち込みやすい。154件の実験で、睡眠が減ると前向きな気分が減り不安が増えていた

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わかっている度 ★★★ 高研究4本・公的指針1件を整理
Bedroom window view of Seto Inland Sea in morning, Onomichi, Ikuchi Island, Japan
Photo: OKJaguar / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

夜遅くまで仕事の連絡やAIとのやりとりが続き、睡眠が削られた翌日。ちょっとしたことでイライラしたり、なんとなく気持ちが沈んだりしませんか。それは性格の問題ではなく、睡眠不足が気分に及ぼす、よく調べられた影響です。50年以上の実験をまとめた研究では、睡眠が減ると前向きな気分が減り、不安が増えていました。

3行でわかる

  1. 154件の実験をまとめた研究では、徹夜・短い睡眠・夜中に何度も起こされる、のどの形の睡眠不足でも、前向きな気分が減り、不安の症状が増えていました。
  2. 2日間睡眠を減らした実験では、怒りの気持ちが強まり、その多くは「眠気」で説明されていました。
  3. 眠りを改善する取り組みの65件の試験では、抑うつや不安の点数も下がっていました。厚生労働省は、大人は6時間以上を目安に睡眠を確保することを勧めています。

01結論から言うと

寝不足の翌日に気分が不安定になるのは、多くの実験で確かめられた現象です。前向きな気分が減り、不安が増えやすくなります。睡眠を取り戻すことが、いちばん確かな手がかりです。

睡眠不足になると、まず減りやすいのは「楽しい」「やる気がある」といった前向きな気分です。

同時に、不安を感じやすくなります。イライラについても、睡眠を減らす実験で怒りが強まった結果があります。

反対に、眠りがよくなると心の状態もよくなる、という試験の結果もそろっています。気分の波を自分の弱さのせいにする前に、まず前の晩の睡眠を振り返ってみる価値があります。

02研究とデータでわかっていること

睡眠不足は前向きな気分を減らし、不安を増やすことが、実験のまとめで示されています。眠りを改善すると抑うつや不安も軽くなる試験結果があり、日本では大人の約4割が6時間未満でした。

154件睡眠を減らす実験をまとめた研究の数(7〜79歳の健康な人5,717人、2024年)
142人2日間、睡眠を保つか減らすかに分けて怒りを調べた地域住民(2019年)
65件眠りの改善と心の状態を調べたランダム化比較試験(8,608人、2021年)
約4割1日の睡眠が6時間未満だった日本の大人(男性37.5%・女性40.6%、2019年調査)

Palmerら(2024年)[1]

50年以上にわたる「睡眠を実験的に減らす研究」154件をまとめました。徹夜、短い睡眠、夜中に何度も起こされる、のどの形の睡眠不足でも、前向きな気分が減り、不安の症状が増えていました。一方、嫌な気分(ネガティブな感情)や抑うつ症状への影響は、睡眠不足の種類によって結果が分かれていました。

対象: 7〜79歳の健康な人5,717人(1,338の効果量) / 限界: 実験室での短期間の睡眠不足が中心で、何週間も続く寝不足の影響はこのまとめだけではわかりません。

KrizanとHisler(2019年)[2]

地域住民142人を、2日間いつもどおり眠るグループと、睡眠を減らすグループにくじ引きで分けました。不快な雑音を聞きながら作業すると、睡眠を減らしたグループでは怒りの気持ちが強まりました。ふだんなら繰り返すうちに慣れて弱まる怒りが、慣れにくくなっていました。この影響の多くは、本人が感じる「眠気」で説明されていました。

対象: 地域住民142人 / 限界: 2日間の短い実験で、怒りは実験室の作業中に測ったものです。

Konjarskiら(2018年)[3]

ふだんの生活の中で、睡眠と気分を毎日記録した研究をまとめました。本人が感じる睡眠(質・長さ・寝つき)と日中の気分は、短い期間で見ると互いに関連していました。前の晩の眠りが翌日の気分と、日中の気分がその夜の眠りと結びつく、双方向の関係です。

対象: 健康な人や心の病気のある人を対象にした、日常生活での記録研究 / 限界: 本人の記録による関連で、どちらが原因かを確かめたものではありません。

Scottら(2021年)[4]

眠りを改善する取り組みを調べたランダム化比較試験65件をまとめました。眠りが改善したグループでは、抑うつ・不安・くよくよ考え続けること(反すう)・ストレスの点数が下がっていました。眠りがよくなった度合いが大きいほど、心の改善も大きくなっていました。

対象: 8,608人。72の比較のうち54は不眠の認知行動療法で、比較の約半数は体や心の病気をあわせ持つ人が対象 / 限界: 多くの試験で偏りのリスクが高いか不明と評価され、効果は時間とともに小さくなっていました。

厚生労働省(2024年)[5]

「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、大人は6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保することを勧めています。適正な睡眠時間には個人差があるため、日中の眠気や、睡眠で休めた感覚(睡眠休養感)に合わせて自分に必要な時間を探すよう書かれています。ガイドが紹介する日本の調査では、睡眠休養感が低い人ほど抑うつの度合いが強い傾向がありました。

対象: 日本の成人向けの公的な指針 / 限界: 気分の安定に必要な睡眠時間を個人ごとに示すものではありません。

03まだわかっていないこと

睡眠不足でイライラ(嫌な気分)が増えるかは、実験のまとめでは結果が分かれています。何晩の回復で気分が戻るのか、夜のAIやスマホ利用との関係も、まだはっきりしていません。

  • 154件のまとめでは、嫌な気分や抑うつ症状への影響は睡眠不足の種類によって分かれていました。イライラが増えるかどうかは、人や状況による部分があります。
  • 何晩しっかり眠れば気分が元に戻るのかは、今回調べた範囲でははっきりした答えが見つかりませんでした。
  • 仕事やAIの利用で睡眠が削られたときに特有の影響があるかは、調べた研究がまだありません。

04今日からできるセルフケア

まず平日の睡眠を6時間以上に近づけます。寝不足の日はイライラを眠気のせいと気づき、大事な判断を後に回します。朝の気分と睡眠を記録し、自分に必要な睡眠時間を探します。

1

寝る時刻を15分だけ早める

平日の睡眠を6時間以上に近づけることを目標に、寝る時刻を少しずつ前にずらします。眠りがよくなった度合いが大きいほど心の改善も大きいという結果があり、小さな前進にも意味があります。

目安 毎晩15分・1週間ごとに見直す

2

寝不足の日は「いまのイライラは眠気から」と言葉にする

寝不足の日の怒りの多くは眠気で説明されていました。腹が立ったら、それを心の中で言葉にし、急ぎでない返信や大事な判断は、眠ったあとに回します。

目安 気づいたとき・数秒

3

朝に「睡眠時間」と「気分」を一言メモする

毎朝、前の晩の睡眠時間と、今の気分を5段階で書きます。1〜2週間続けると、何時間眠れば自分の調子がよいかが見えてきます。

目安 毎朝1分・2週間

4

休日の寝だめを、平日を見直す合図にする

休日に長く寝ないともたないのは、平日の睡眠が足りないサインとされています。休日の起きる時刻を大きく遅らせず、その分を平日の就寝に回します。

目安 週1回・5分で予定を見直す

寝る前のスマホで寝つけない人は寝る前のスマホと寝つきの実験、やめたいのに夜更かししてしまう人はリベンジ夜更かしの研究も参考になります。休日も仕事が頭から離れない人は仕事から心を離す研究をどうぞ。

05よくある質問

寝不足だとイライラするのは気のせい?

気のせいとは言い切れません。142人を2日間の睡眠制限と通常睡眠に分けた実験では、睡眠を減らした人たちで怒りの気持ちが強まり、その多くは眠気で説明されていました。

何時間寝れば気分は安定する?

必要な睡眠時間には個人差があり、気分が安定する時間を研究で一律に決めることはできません。厚生労働省の睡眠ガイド2023は、大人は6時間以上を目安に必要な睡眠を確保することを勧めています。

休日に寝だめすれば取り戻せる?

睡眠ガイド2023によると、寝だめで眠りをためることはできず、平日の日中の眠気も完全には解消できないとの報告があります。休日に長く寝ないともたないなら、平日の睡眠が足りていないサインとされています。

睡眠が改善すると、気分も本当によくなる?

65件のランダム化比較試験をまとめた研究では、眠りを改善する取り組みを受けた人たちで、抑うつ・不安・ストレスの点数が下がっていました。眠りがよくなった度合いが大きいほど、心の改善も大きくなっていました。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Palmer CA, Bower JL, Cho KW, Clementi MA, Lau S, Oosterhoff B, Alfano CA (2024). Sleep loss and emotion: A systematic review and meta-analysis of over 50 years of experimental research. Psychological Bulletin, 150(4), 440-463. https://doi.org/10.1037/bul0000410
  2. Krizan Z, Hisler G (2019). Sleepy anger: Restricted sleep amplifies angry feelings. Journal of Experimental Psychology: General, 148(7), 1239-1250. https://doi.org/10.1037/xge0000522
  3. Konjarski M, Murray G, Lee VV, Jackson ML (2018). Reciprocal relationships between daily sleep and mood: A systematic review of naturalistic prospective studies. Sleep Medicine Reviews, 42, 47-58. https://doi.org/10.1016/j.smrv.2018.05.005
  4. Scott AJ, Webb TL, Martyn-St James M, Rowse G, Weich S (2021). Improving sleep quality leads to better mental health: A meta-analysis of randomised controlled trials. Sleep Medicine Reviews, 60, 101556. https://doi.org/10.1016/j.smrv.2021.101556
  5. 厚生労働省 (2024). 健康づくりのための睡眠ガイド2023(令和6年9月一部修正). https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf