AI疲れ・情報疲れ

画面と情報で頭が疲れたとき、窓の外の緑を眺めると楽になる?28件の研究のまとめでは、自然が見える窓と心身の状態のよさに関連があり、実験の研究ほど結果がはっきりしていた

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的指針0件を整理
衛星から見た、森に覆われた米国ブルーリッジ山脈の緑
Photo: MODIS Land Rapid Response Team, NASA GSFC / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

AIの答えを読み、チャットを返し、資料を確かめる。画面の文字を追い続けた午後、頭がぼんやりして何も入ってこなくなることがあります。「疲れたら窓の外の緑を見るといい」とよく言われますが、本当でしょうか。研究のまとめでは、窓から自然が見えることと心身の状態のよさには関連があり、写真や動画の自然でもストレスは下がっていました。

3行でわかる

  1. 東京大学などが28件の研究をまとめると、窓から自然が見えることと、心身の状態のよさには関連があった。実験の研究ほど、結果ははっきりしていた。
  2. 英国の大学職員の実験では、自然の写真を10分見た日は、街並みの写真を見た日より、ストレスのあとの心拍の落ち着きを示す指標が高かった。
  3. 10本の研究のまとめでは、写真や動画の自然でも、ストレスの下がり方は実際の自然と同じくらいだった。

01 結論から言うと画面で頭が疲れたとき、緑を眺めると楽になる?

楽になる可能性があります。28件の研究のまとめでは、窓から自然が見えることと心身の状態のよさに関連があり、短い時間で変わる体の指標で特にはっきりしていました。外に出られないときは、自然の写真でも代わりになりうると考えられています。

画面の前では、細かな文字や通知に注意を向け続けています。自然の景色は、目を向けても頭を使って読み解く必要がありません。研究者たちは、こうした景色がストレスからの回復を助けるのではないかと考え、調べてきました。

ただし、多くの研究は、窓から緑が見える人と見えない人を比べた調査です。「眺めたから楽になった」とまで言える実験は、まだ多くありません。

02 研究とデータでわかっていること窓の外の緑には、どんな効果がある?

東京大学などの28件の研究のまとめでは、窓から自然が見えることと心身の状態のよさに関連がありました。結果がはっきりしていたのは、実際に景色を見せて比べた実験と、心拍などの体の指標でした。

28件窓から見える自然と健康の関係をまとめた研究の数。104の結果を分析(2025年発表)
10分英国の大学職員23人が、自然か街並みの写真を見た時間(2013年発表)
886人写真や動画の自然と、実際の自然を比べた10本の研究の参加者の合計(2024年発表)

Sogaら / 東京大学・英国エクセター大学(2025年)[1]

窓から自然が見えることと健康の関係を調べた28件の研究(104の結果)をまとめました。全体として、自然が見えることと心身の状態のよさには、はっきりした関連がありました。気分の落ち込みや不安が少ない、ストレスが低い、生活への満足度が高いといった結果が報告されていました。

関連の強さは研究の種類で違いました。実際に景色を見せて比べた実験は、ふだんの暮らしを調べた調査より、関連が2倍以上強く出ていました。心拍などの体の指標は、気分などの心の指標より強く、体の健康の指標ではほとんど関連が見られませんでした。庭や街路樹など、人の手が入った身近な緑で関連が強めでした。

対象: 28件の研究。住まい、職場、病院、学校などで、子どもから大人まで / 限界: 研究の多くは見える人と見えない人を比べた調査で、因果はわからない。発表されやすい結果に偏りがあり、それを補正すると関連は弱まった(ただし残った)。

Brownら / 英国・エセックス大学(2013年)[2]

大学の職員が、1週間あけて2回、実験室に来ました。1回は木や草地などの自然の写真を、もう1回は家やビルなどの街並みの写真を、30秒ずつ切り替えながら10分見ました。そのあと、数字を覚えて書き出す5分の課題で、緊張する場面をつくりました。

課題の最中の心拍や血圧の上がり方は、どちらの日も同じでした。違いが出たのは課題のあとです。自然の写真を見た日は、体を落ち着かせる神経の働きを示す指標が、街並みの日より高くなっていました。自己評価も、自然の日は少し上がり、街並みの日は少し下がっていました。

対象: 英国の大学の職員25人(19〜65歳、分析は23人) / 限界: 人数が少ない。写真を見たのは課題の前で、疲れたあとに見た場合は調べていない。いやな気分の変化には、2つの条件で差が見られなかった。

Fanら / マレーシア・マラヤ大学(2024年)[3]

写真、動画、360度の映像などの「画面の中の自然」と、実際の自然を比べた10本の研究(合計886人)をまとめました。どちらでもストレスは下がり、下がり方に差はありませんでした。アンケートで測っても、心拍などの体の指標で測っても、映像の没入感の強さが違っても、結果は同じでした。

対象: 10本の研究の参加者886人 / 限界: 研究の数が少なく、研究ごとの偏りの大きさもまちまちだった。実際の自然と同じ内容の映像を比べた研究に限られる。

03 まだわかっていないこと何分眺めれば、頭の疲れは取れる?

まだわかっていません。どのくらいの時間、どんな緑を眺めるとよいかを比べた研究は足りていません。今回整理した研究では、画面作業で疲れたあとに眺めて、仕事の効率が戻るかは調べられていません。

  • 28件の研究のまとめでも、眺める時間や回数と効果の関係は、データが足りず分析できなかった。
  • 英国の実験は写真を見たあとに緊張する課題をした順番で、疲れたあとに見たときの効果とは別の話。
  • 多くの研究は心拍などの短い時間の変化や気分を調べたもので、毎日の疲れや仕事ぶりが変わるかはわからない。
  • 画面の中の自然を調べたまとめは10本と少なく、どんな写真や映像がよいかまでは比べられていない。

04 今日からできるセルフケア画面で疲れたその場で、緑をどう取り入れる?

画面から目を離して、窓の外の木や空を数分ぼんやり眺めます。緑が見えない場所なら、自然の写真を1枚決めておき、疲れたときに開きます。仕事の合間にも、外の緑に目をやる回数を増やします。

1

窓の外の緑を、ぼんやり眺める

画面から顔を上げ、窓の外の木や植え込み、空を眺めます。何かを読み取ろうとせず、葉の揺れや雲の動きを目で追うだけにします。研究では、庭や街路樹のような身近な緑で関連が強めでした。

目安 2〜5分・疲れを感じたとき

2

緑が見えないなら、自然の写真を1枚決めておく

森や草地、海など、気持ちが落ち着く写真を1枚決めて、すぐ開ける場所に置いておきます。開くときはほかのアプリを閉じ、その写真の中にいるところを思い浮かべます。英国の実験でも、参加者は景色の中にいると想像するよう言われていました。

目安 3〜10分

3

緑の見える席や向きを選ぶ

席を選べるなら、窓の外に緑が見える場所に座ります。選べないときは、休憩のたびに窓のそばまで歩いて外を見ることにします。体を動かすことにもなります。

目安 休憩のたびに1回

耳から入る刺激で疲れているときは鳥の声や水の音を聞いた研究を、休憩の取り方そのものを知りたいときは10分以内の短い休憩の研究を参考にしてください。

05よくある質問

窓の外に緑が見えない部屋では、どうすればいいですか?

自然の写真や動画で代わりになる可能性があります。10本の研究のまとめでは、写真や動画などの自然を見たときのストレスの下がり方は、同じ内容の実際の自然と同じくらいでした。英国の実験でも、使われたのは木や草地の写真でした。

何分くらい眺めればいいですか?

はっきりした目安はわかっていません。28件の研究のまとめでは、どのくらいの時間眺めるとよいかを比べられるデータが足りませんでした。英国の実験では、30秒ずつ切り替わる自然の写真を10分間見ていました。

街並みやビルの景色を眺めるのでは、だめですか?

英国の実験では、街並みの写真を見た日は、自然の写真を見た日より、ストレスのあとの心拍の落ち着きを示す指標が低くなっていました。画面から目を離すだけでも休憩になりますが、選べるなら緑や空のある景色にします。

スマホで自然の写真を見るのでもいいですか?

10本の研究のまとめでは、写真や動画などの自然でも、ストレスは実際の自然と同じくらい下がっていました。ただ、スマホを開くとほかの通知や投稿に目が移りやすいので、写真を1枚だけ開くなど、見るものを決めておきます。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Soga M, Gaston KJ (2025). Health benefits of viewing nature through windows: A meta-analysis. BioScience. https://doi.org/10.1093/biosci/biaf089
  2. Brown DK, Barton JL, Gladwell VF (2013). Viewing nature scenes positively affects recovery of autonomic function following acute-mental stress. Environmental Science & Technology. https://doi.org/10.1021/es305019p
  3. Fan L, Baharum MR (2024). The effects of digital nature and actual nature on stress reduction: A meta-analysis and systematic review. Internet Interventions. https://doi.org/10.1016/j.invent.2024.100772