パソコン作業で頭が疲れる。10分以内の短い休憩は効く?2,335人分の研究と、スマホを見ない休み方

画面に向かい続けて、夕方には頭がぼんやりする。そんな疲れを感じる人は少なくありません。研究をまとめると、10分以内の短い休憩でも、疲れは少し軽くなっていました。ただし、休憩中にスマホを見ると、頭の回復は小さくなった実験があります。
3行でわかる
- 10分以内の短い休憩を調べた22の実験グループ(2,335人)のまとめでは、疲れが少し減り、元気さが少し戻りました。
- 作業の成果への効果は全体としてははっきりせず、頭を使う作業では差がほぼ見られませんでした。休憩が長いほど成果は上がる傾向でした。
- 休憩中にスマホを使った組は、紙やパソコンで同じことをした組より、休憩後の成績が低くなりました。
01結論から言うと
10分以内の短い休憩でも、疲れは少し軽くなり、元気さは少し戻ります。ただし、頭を使う作業の成果まで戻すには、短い休憩だけでは足りない可能性があります。
研究では、10分以内の作業の中断を「マイクロブレイク(短い休憩)」と呼びます。席を立つ、伸びをする、窓の外を見る、といった小さな休みです。
短い休憩の効果は「気分の回復」ではっきり見られ、「仕事の成果」でははっきりしませんでした。頭が疲れたと感じたら、まず短く休み、それでも戻らないときは長めに休む、という分け方が研究と合っています。
02研究とデータでわかっていること
短い休憩は、疲れと元気さの両方で小さな効果がありました。一方、休憩中にスマホを使うと、休憩後の作業の成績は、紙やパソコンで休憩した場合より低くなりました。
Albulescuら(2022)[1]
10分以内の短い休憩を、休憩なしなどと比べた研究をまとめると、休憩した人は元気さが少し高く、疲れが少し低くなりました(効果の大きさはどちらも「小さい」程度)。作業の成果は全体としてははっきりした差がなく、事務的な作業や創造的な作業では効果があった一方、頭を強く使う作業では効果はほぼ見られませんでした。休憩が長いほど、成果は上がる傾向でした。
対象: 健康な働く人や学生を対象にした19本の論文・22の実験グループ(合計2,335人) / 限界: 疲れと元気さは本人の自己評価で測られています。休憩の長さは8秒〜10分と研究ごとにばらばらでした。
Kang・Kurtzberg(2019)[2]
難しいアナグラムを解く途中で、同じ「買い物リストを選ぶ」休憩を、スマホ・パソコン・紙のどれかで行いました。休憩後に解けた問題の平均は、スマホの組が6.38問、ほかの休憩の組が8.13問でした。休憩なしの組(5.32問)よりはスマホの組の方が多く解けました。
対象: アメリカの大学生414人 / 限界: 1回の実験室の実験で、休憩中の作業は決められたものでした。SNSや動画を見る休憩は調べていません。
Sharpeら(2025)[3]
大学の授業で、10分ごとに90秒の短い休憩を入れた回と、45分後に10分休む回を比べました。短い休憩を入れた回の方が、授業中に約10分ごとにくり返した小テストの平均の正答率が高い結果でした(約65%と約56%)。どちらの回も、時間がたつにつれて正答率は下がっていきました。
対象: イギリスの大学生253人 / 限界: 1つの大学の1つの授業での研究で、働く人のパソコン作業にそのまま当てはまるかはわかっていません。
03まだわかっていないこと
何分ごとに何分休むのが一番よいかは、まだ決まっていません。研究ごとに休憩の長さや中身がばらばらで、比べられる研究も多くありません。
- 最適な休憩の長さと間隔(研究では8秒〜10分と幅がありました)
- 歩く・ストレッチ・目を閉じるなど、休憩の中身による違い
- SNSや動画、AIとのチャットで休憩したときの影響
- 在宅勤務など、実際の職場で何週間も続けたときの効果
04今日からできるセルフケア
短い休憩をこまめに入れ、休憩中は画面から離れるのが試しやすい方法です。頭を使う作業でひどく疲れたときは、10分より長めに休むことも選択肢です。
作業の区切りで、1〜2分だけ画面から目を離す
メールを1本送った、資料を1枚作った、といった区切りで、席を立つ、伸びをする、窓の外を見る、のどれかをします。
目安 1回1〜2分・1時間に数回
休憩中はスマホを手に取らない
休憩用に、紙のメモを見る、お茶をいれる、といったスマホ以外の行動を1つ決めておきます。スマホは休憩の間だけ手の届かない場所に置きます。
目安 準備1分
考える仕事のあとは、長めの休憩も入れる
企画や文章づくりなど頭を強く使う作業を1時間ほど続けたら、10分以上の休憩を入れてみます。短い休憩で戻らない疲れは、長めの休みで様子を見ます。
目安 10〜15分・1日2〜3回
05よくある質問
パソコン作業の休憩は何分ごとに取ればいい?
研究では、一番よい間隔はまだ決まっていません。イギリスの大学の授業では、10分ごとに90秒の休憩を入れた回の方が、授業中にくり返した小テストの成績が高い結果でした。まずは作業の区切りごとに1〜2分休むことから試せます。
休憩中にスマホを見るのはだめ?
だめとまでは言えませんが、回復は小さくなる可能性があります。アメリカの大学生414人の実験では、スマホで休憩した組は、紙やパソコンで同じことをした組より休憩後の成績が低くなりました。ただし、休憩しない組よりは成績がよい結果でした。
短い休憩をとると、仕事の効率は上がる?
研究のまとめでは、疲れと元気さの回復ははっきりしていましたが、仕事の成果への効果は全体としてははっきりしませんでした。事務的な作業では効果があり、頭を強く使う作業では効果がほぼ見られませんでした。
出典
- Albulescu, P., Macsinga, I., Rusu, A., Sulea, C., Bodnaru, A., & Tulbure, B. T. (2022). "Give me a break!" A systematic review and meta-analysis on the efficacy of micro-breaks for increasing well-being and performance. PLoS ONE, 17(8), e0272460. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0272460
- Kang, S., & Kurtzberg, T. R. (2019). Reach for your cell phone at your own risk: The cognitive costs of media choice for breaks. Journal of Behavioral Addictions, 8(3), 395–403. https://doi.org/10.1556/2006.8.2019.21
- Sharpe, B. T., Trotter, M. G., & Hale, B. J. (2025). Sustaining student concentration: the effectiveness of micro-breaks in a classroom setting. Frontiers in Psychology, 16, 1589411. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2025.1589411