時間を見るだけのつもりが、ついスマホを触り続けてしまう。ドイツで募った6,615人の調査では、時刻を見たついでに使い続けることが多い人ほどスマホやネットをやめにくく、腕時計をしている人はやめにくさの点数が低かった

今何時だろうと思ってスマホを開いたら、通知が目に入り、メールを確かめ、気づけば10分たっていた。そんなことが一日に何度もあると、何もしていないのに疲れた気がします。研究では、「時刻を見る」という小さな動作が、思ったより長いスマホの時間の入り口になっているかもしれないことが見えてきました。
3行でわかる
- ドイツで募った16〜67歳の6,615人の調査では、時刻を見たついでに使い続けることが多い人ほど、ネットやスマホをやめにくい傾向が強かった。そうなることが「よく」ある人は約3割いた。
- アナログの腕時計をしている人は、腕時計をしていない人より、やめにくさの点数の平均が低かった。2014年のドイツとオーストリアの3,084人の調査でも、似た関連が出ていた。
- どちらも一度きりのアンケートで、腕時計に替えるとスマホの時間が減るかは、まだ確かめられていない。
01 結論から言うと時刻をスマホで見ると、使いすぎにつながる?
時刻を見たついでに使い続けてしまうことが多い人ほど、スマホやネットをやめにくい傾向がある、という関連は2つの調査で出ています。ただし、時刻をスマホで見ることが原因だと確かめた研究はまだなく、予防の効果も試されていません。
スマホの使いすぎを防ぐ方法というと、利用時間の制限や通知を切ることがよく挙げられます。ドイツの研究チームが注目したのは、もっと地味な機能でした。時計と目覚ましです。
時刻を知りたいだけでも、スマホの画面を開けば、通知やメッセージが一緒に目に入ります。研究チームは、時計の機能がほかのアプリへの「入り口」になっているのではないかと考えました。時刻を見る道具をスマホと分けておけば、その入り口を一つ閉じられる、という発想です。
02 研究とデータでわかっていること腕時計とスマホのやめにくさの研究は?
時刻を見たあと予定より長く使い続ける習慣は、やめにくさといちばん強く結びついていました。腕時計や目覚まし時計を使う人ほどやめにくさが低い関連もありましたが、その結びつきは小さめでした。
Wickord ら(2026)[1]
ネットとの付き合い方を見直すための研究用アプリの参加者に、腕時計や目覚まし時計の使い方と、ネットをやめにくい度合い(14問の質問票)を尋ねました。時刻を見たあと予定より長く使い続けることが多い人ほど、やめにくさの点数が高く、ほかの条件をそろえた分析でも強い手がかりのままでした。点数の平均は、アナログの腕時計の人が20.6点、スマートウォッチの人が22.2点、腕時計をしていない人が24.4点でした。起きてから最初に使うまでの時間が長い人ほど点数が低い関連もありましたが、その差は小さいものでした。
対象: ドイツの研究で募った、ドイツ語を話す16〜67歳の6,615人(平均28.3歳) / 限界: 一度きりのアンケートで、ネットの使い方を見直したい人が集まりやすい募り方でした。腕時計などとの関連は、年齢やほかの習慣をそろえた分析では、時刻を見たあとの使い続けほど強くありませんでした。
Montag ら(2015)[2]
科学展示の船に来た人に、腕時計や目覚まし時計を使っているか、余暇にスマホを週に何時間使うかを尋ねました。スマホを目覚まし代わりにしている人の余暇のスマホ時間は週約15時間で、そうでない人の約8時間より長く、腕時計をしていない人も長めでした。時刻を見るだけのつもりが脇道にそれることが「とてもよく」ある人は週約29時間で、「まったくない」人の約6時間の約5倍でした。
対象: 2014年にドイツとオーストリアを巡った科学展示の来場者3,084人(平均29.8歳) / 限界: 一度きりのアンケートで、時間も本人の回答です。スマホを持っていない人も約2割含まれていました。
Böttger ら(2023)[3]
スマホを使うことや、そばに置いてあることが、記憶や注意などの頭の働きに影響するかを調べた22件の研究(43の結果)をまとめました。全体として、頭の働きがわずかに下がる結果でしたが、その大きさは小さく、研究によって結果のばらつきも大きいものでした。
対象: 22件の研究(43の結果)のまとめ / 限界: 腕時計や時刻の確認を直接調べたものではなく、記憶や注意の種類によって影響の出方が違っていました。
ベッドの中でのスマホと睡眠の関係は「スマホを枕元に置いて寝ると、翌朝まで疲れが残る?」、使う時間を1日1時間減らした実験は「スマホを見る時間が長くて、心まで疲れそうで心配」で紹介しています。
03 まだわかっていないこと腕時計にすれば、スマホの時間は減るの?
まだわかっていません。今ある研究は、腕時計を使う人と使わない人を比べた一度きりのアンケートです。くじ引きで組を分け、腕時計や目覚まし時計に替えてもらって変化を確かめた試験は、今回の調査では見つかりませんでした。
- 腕時計をするからスマホを使わなくなるのか、もともとスマホをあまり使わない人が腕時計をしているのか、向きは区別できていません。年齢が高い人ほど腕時計をする人が多く、その影響も残ります。
- 使用時間は本人の回答で、実際の記録とずれる可能性があると、研究チーム自身が書いています。
- 2つの研究はどちらもドイツ語圏で行われました。日本の働く世代で同じ関連が見られるかは、確かめられていません。
- やめにくさの点数と、疲れや気分の落ち込みとの関係は、これらの研究では調べられていません。
04 今日からできるセルフケア時刻の確認からスマホに流れないためには?
効果はまだ試されていませんが、お金をかけずにできる工夫はあります。時刻を見る道具をスマホと分けること、朝の最初の数分をスマホなしで始めること、時刻を見たあと続けてしまった回数に気づくことから始められます。
時刻はスマホ以外で見られるようにする
家にある腕時計をつける、机や壁の時計が目に入る位置で作業するなど、時刻を知るためにスマホを開かなくて済むようにします。研究では、アナログの腕時計の人でやめにくさの点数がいちばん低めでした。
目安 最初に1回、5分
起きてから最初の15分は、スマホを開かない
カーテンを開ける、水を飲む、顔を洗うなど、先にやることを1つ決めておきます。調査では7割以上の人が起きて15分以内にスマホを使っていました。目覚ましを別の時計にできるなら、それも一つの方法です。
目安 毎朝15分
「時刻だけのはずが続けた」回数を数えてみる
1日だけ、時刻を見るつもりで開いたのに別のことをしてしまった回数を、紙に正の字で数えます。責めるためではなく、入り口がどこにあるかに気づくためです。多いと感じたら、手順1から試します。
目安 1日、気づいたときに数秒
通知を減らした日の変化は「通知が気になって集中できない」、スマホがそばにあるだけで集中しにくくなるかは「スマホが近くにあるだけで集中できない?」で整理しています。
05よくある質問
スマホを目覚まし代わりにするのは、やめたほうがいいですか?
ドイツとオーストリアの3,084人の調査では、スマホを目覚まし代わりにしている人は、余暇のスマホ時間が週に約15時間で、そうでない人の約8時間より長い関連がありました。ただ、目覚ましを替えると使用が減るかを試した研究はまだありません。替えるかどうかは、朝そのまま画面を見続けてしまうことが多いかで決めるとよいでしょう。
スマートウォッチでも同じ効果がありますか?
ドイツの6,615人の調査では、やめにくさの点数の平均は、アナログの腕時計の人が20.6点、スマートウォッチの人が22.2点、腕時計をしていない人が24.4点でした。スマートウォッチは腕時計なしよりは低かったものの、アナログより高めでした。著者らは、通知が届くことが関係しているかもしれないと書いています。
時刻を見るだけなら、スマホでも問題ないのでは?
時刻を見るだけで終われるなら、問題はありません。研究でやめにくさと強く結びついていたのは、時刻を見たあと、メールなどを確かめて予定より長く使い続けてしまう習慣でした。そうなることが多いと感じる人ほど、時刻を見る道具を分ける工夫が試しやすいでしょう。
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出典
- Wickord, L.-C., Bischof, A., Kannen, C., Löchner, D., Salbach, H., Mößle, T., Zumrode, L., Wölfling, K., Rumpf, H.-J., & Montag, C. (2026). Association of Internet use disorder and the use of traditional watches. Addictive Behaviors Reports, 23, 100685. https://doi.org/10.1016/j.abrep.2026.100685
- Montag, C., Kannen, C., Lachmann, B., Sariyska, R., Duke, É., Reuter, M., & Markowetz, A. (2015). The importance of analogue zeitgebers to reduce digital addictive tendencies in the 21st century. Addictive Behaviors Reports, 2, 23–27. https://doi.org/10.1016/j.abrep.2015.04.002
- Böttger, T., Poschik, M., & Zierer, K. (2023). Does the Brain Drain Effect Really Exist? A Meta-Analysis. Behavioral Sciences, 13(9), 751. https://doi.org/10.3390/bs13090751


