AI疲れ・情報疲れ

夕方になると画面の文字がかすんで、目がしょぼしょぼするのはなぜ?103件の調査のまとめでは画面を使う人の約7割に目の疲れなどの症状があり、画面で文章を読むとまばたきが半分以下に減っていた

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わかっている度 ★★☆ 中研究4本・公的指針0件を整理
机の上に置かれたノートパソコンと定規
Photo: Oli Dale olidale / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

朝はくっきり見えていた画面の文字が、夕方にはにじんで見える。目が乾いて、しょぼしょぼする。AIの答えを読み比べ、チャットを追いかける一日のあとに、そう感じる人は少なくありません。研究では、画面を長く見る人の目の不調はとてもよくあることで、まばたきの減り方に一つの理由があるとわかってきました。

3行でわかる

  1. 103件の調査(6万6千人あまり)をまとめると、画面を使う人のうち目の疲れ・かすみ・乾きなどの症状がある人は平均69%でした。
  2. 50人の実験では、文章を読むあいだはまばたきが大きく減り、画面で読むときは「閉じきらないまばたき」も増えていました。
  3. 別の49件の調査のまとめでは、画面との距離が近い人、休憩の習慣がない人、画面を長く使う人ほど、症状がある割合が高い傾向がありました。

01 結論から言うと画面を見続けると、なぜ目がかすむの?

画面に集中するとまばたきが減り、目の表面が乾きやすくなること、近くにピントを合わせ続ける負担がたまることが、主な理由と考えられています。多くは一時的な症状とされています。

画面を長く見たあとの目の疲れ・かすみ・乾き・頭痛などは、研究で「デジタル眼精疲労」や「VDT症候群(コンピュータビジョン症候群)」と呼ばれています。英国アストン大学の研究者のレビューは、症状が大きく2種類に分かれると整理しています。

一つは、ヒリヒリする・乾く・涙が出るといった、目の表面の乾きに近い症状です。もう一つは、目の奥が重い・かすむ・ピントが戻りにくいといった、近くを見続けるピント合わせの負担に近い症状です。どちらも多くは一時的ですが、毎日くり返すとつらさが積み重なります。

02 研究とデータでわかっていること画面の目の疲れは、どれくらいよくあること?

とてもよくあることです。103件の調査をまとめると平均69%に症状があり、ニューヨークの会社員の調査では約4割が「画面作業の半分以上の時間、目が疲れる」と答えていました。

69%103件の調査(6万6,577人)をまとめた、目の疲れなどの症状がある人の割合(2024年発表)
15.5回→6.5回景色を見るとき/パソコンで文章を読むときの1分あたりのまばたき(中央値、18〜74歳の50人、2015年)
39.8%直近1週間、画面作業の半分以上の時間「目が疲れる」と答えた人(ニューヨークの会社員520人、レビューが紹介する先行研究)
4.24倍画面との距離が近い人で、症状がある見込み(オッズ)が高かった倍率(4件の調査のまとめ、2022年発表)

Ccami-Bernal ら(2024)[1]

世界の103件の調査、計6万6,577人のデータをまとめると、画面を長く使うことによる目の症状(VDT症候群)がある人の割合は平均69.0%でした。女性は71.4%、男性は61.8%で、大学生では76.1%と高めでした。

ただし、調査によって12.1%から97.3%まで大きくばらつきました。103件のうち54件は、決まった質問票を使わず「症状が1つ以上あれば該当」としていました。決まった質問票を使った調査では割合が低めに出ていました。

対象: 働く人・大学生・子どもなどを調べた103件の調査(アジア62件、アフリカ21件、中南米11件、欧州9件) / 限界: 症状の数え方が調査ごとに違い、調査の多くがアジアとアフリカで行われていて、ほかの地域にそのまま当てはまるとは限らないと著者たちが書いています。

Argilés ら(2015)[2]

50人の顔を録画し、2m先の風景写真を眺めるときと、6分間文章を読むときのまばたきを比べました。読むときはどの条件でもまばたきが減り、パソコンでは1分あたり15.5回から6.5回、タブレットでは6回になっていました(中央値)。

紙の本で読んでもまばたきは減っていて(5回)、著者たちは「読むことの頭の負担」がまばたきを減らすと考えています。一方、まぶたが閉じきらない「不完全なまばたき」の割合は、画面で読むときにだけ増えていました。文字を3倍ほどに拡大した画面では、まばたきの減り方がいちばん小さくなりました(11.5回)。

対象: 目の健康に問題がなく、乾き目の症状がない18〜74歳の50人 / 限界: 6分間の実験室での読書で、一日の仕事の画面作業とは条件が違います。数値は中央値で、個人差が大きいものでした。

Sheppard・Wolffsohn / アストン大学(2018)[3]

画面の目の疲れに関する研究を整理したレビューです。このレビューが紹介している先行研究では、ニューヨークの会社員520人のうち、直近1週間に画面作業の半分以上の時間「目が疲れる」と答えた人が39.8%、「目が乾く」が31.5%、「画面の文字がかすむ」が17.3%でした。

また、16人の10代を対象にした先行研究では、画面か紙かよりも、読む文章の難しさのほうがまばたきの回数に大きく影響していました。レビューは、まばたきの回数だけでなく、閉じきらないまばたきのほうが目の乾きに関係している可能性があると述べています。

対象: 既存の研究を整理したレビュー / 限界: 体系的に研究を集めて数値をまとめた分析(メタ分析)ではありません。原因の詳しい仕組みはまだはっきりしないと著者たちが書いています。

Lema・Anbesu / サマラ大学(エチオピア、2022)[4]

49件の調査をまとめ、どんな人で症状が多いかを調べました。画面との距離が近い人は遠い人より症状がある見込み(オッズ)が4.24倍、休憩の習慣がない人は2.24倍、画面を長く使う人は2.02倍高い傾向がありました。

全体では、調査の対象者の平均66%に症状がありました。国による差が大きく、最も低かったのは日本の画面作業をする人561人の調査で12%でした。

対象: 20か国の49件の調査(計2万3,399人) / 限界: 一時点の調査や症例と対照を比べた研究が中心で、距離の近さや休憩のなさが症状の原因だとまでは言えません。英語の論文だけを集めています。

03 まだわかっていないこと目の疲れの原因は、もうはっきりしているの?

まだはっきりしていません。まばたきの減り方やピント合わせの負担が関わるとされますが、測った数値と本人のつらさが一致しないことも多く、仕組みの全体はわかっていません。

  • 症状の数え方が調査ごとに違い、「約7割」という数字には、軽い症状が1つあるだけの人も含まれています。
  • まばたきが減ること自体が症状の原因なのか、閉じきらないまばたきのほうが大事なのかは、研究が分かれています。
  • 画面との距離や休憩の習慣と症状の関係は、一時点の調査で見つかったもので、距離を離したり休憩を増やしたりすれば症状が減るかは、この調査からはわかりません。
  • AIとのチャットのような、読む・書くを細かくくり返す作業で、目の疲れ方が違うかは調べられていません。

04 今日からできるセルフケア画面の目の疲れを、どうやわらげる?

お金をかけずにできるのは、画面を少し離すこと、意識してしっかり閉じるまばたき、文字を大きく表示することです。どれも効果を確かめた研究は限られますが、試しやすい工夫です。

1

画面を、腕を伸ばしたくらいまで離してみる

49件の調査のまとめでは、画面との距離が近い人ほど症状がある割合が高い傾向でした。ノートパソコンやスマホを顔に近づけて読んでいないか、作業の始めに一度確かめます。

目安 作業の始めに10秒

2

ときどき、まぶたをしっかり閉じきるまばたきをする

画面で読むと閉じきらないまばたきが増えていました。区切りのいいところで、ゆっくり目を閉じて2秒ほど待ち、開ける動きを数回くり返します。効果を確かめた研究はまだ少ない工夫です。

目安 1時間に1回・5回ほど

3

画面の文字を一段大きく表示する

50人の実験では、文字を拡大した画面で読むとき、まばたきの減り方がいちばん小さくなっていました。長い文章やAIの答えを読むときは、表示の拡大を一段上げてみます。

目安 設定の変更に1分

「20分ごとに20秒、遠くを見る」休憩の研究はパソコンやスマホで目が疲れる。「20分ごとに20秒、遠くを見る」休憩は効く?、休憩のとり方そのものはパソコン作業の短い休憩は効く?、窓の外の緑を眺める研究は画面疲れと緑を眺めることで整理しています。

05よくある質問

夕方になると画面の文字がかすむのは、よくあることですか?

よくあることです。103件の調査をまとめた分析では、画面を使う人の平均69%に目の疲れ・かすみ・乾きなどの症状がありました。多くは一時的とされています。休んでも戻らない、急に見え方が変わったといったときは、眼科で相談できます。

画面を長く見る日は、休憩をとったほうがいいですか?

49件の調査のまとめでは、休憩の習慣がない人で症状がある見込みが2.24倍高い傾向がありました。ただ、これは一時点の調査での関係です。休憩のとり方を試した研究は「20分ごとに20秒、遠くを見る」休憩は効く?で整理しています。

紙で読めば、まばたきは減りませんか?

紙で読んでもまばたきは減っていました。50人の実験では、紙の本で読むときのまばたきは1分あたり5回(中央値)で、画面と同じように少なくなっていました。違いは、画面で読むときに閉じきらないまばたきが増えていた点です。

眼鏡やコンタクトが合っていないことも関係しますか?

関係する可能性があります。アストン大学のレビューは、わずかな乱視が補正されていないだけでも、画面を見るときの見え心地が悪くなるとした研究を紹介しています。103件の調査のまとめでも、コンタクトを使う人で症状の割合が高めでした。見え方が気になるときは、眼科で度数を確かめられます。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Ccami-Bernal, F., Soriano-Moreno, D. R., Romero-Robles, M. A., et al. (2024). Prevalence of computer vision syndrome: A systematic review and meta-analysis. Journal of Optometry, 17(1), 100482. https://doi.org/10.1016/j.optom.2023.100482
  2. Argilés, M., Cardona, G., Pérez-Cabré, E., & Rodríguez, M. (2015). Blink Rate and Incomplete Blinks in Six Different Controlled Hard-Copy and Electronic Reading Conditions. Investigative Ophthalmology & Visual Science, 56(11), 6679–6685. https://doi.org/10.1167/iovs.15-16967
  3. Sheppard, A. L., & Wolffsohn, J. S. (2018). Digital eye strain: prevalence, measurement and amelioration. BMJ Open Ophthalmology, 3(1), e000146. https://doi.org/10.1136/bmjophth-2018-000146
  4. Lema, A. K., & Anbesu, E. W. (2022). Computer vision syndrome and its determinants: A systematic review and meta-analysis. SAGE Open Medicine, 10, 20503121221142402. https://doi.org/10.1177/20503121221142402