仕事中にガムを噛むと、集中できる?英国の実験では「頭がすっきりした感じ」は高まったが、注意力のテストの結果は良い面と悪い面が混ざっていた

午後になると頭がぼんやりして、画面の文字が入ってこない。そんなとき、ガムを噛むと集中できると聞いたことがあるかもしれません。英国の実験では、ガムを噛んだ人の「頭がすっきりした感じ」は高まっていました。ただ、注意力のテストの成績は、良くなった面と悪くなった面が混ざっていました。眠気覚ましの一つとしては試せますが、集中力が上がると言い切れる段階ではありません。
3行でわかる
- 英国の大学の実験では、ガムを噛んだ人は噛まない人より「頭がすっきりした感じ」が高かった。ミント味かどうかは関係なかった。
- 同じ論文の注意力のテストでは、噛んだ人の反応が一部で遅くなる一方、終盤の見まちがいは減っていた。良い面と悪い面の両方が出ていた。
- 英国の大学職員126人をくじで分けた1日の実験では、噛んだ組で「うっかりミス」や「仕事の遅れ」の自己評価が少なかった。ただし研究の数は少なく、ガム会社の支援を受けた研究もある。
01 結論から言うとガムを噛むと、仕事に集中できる?
ガムを噛むと「頭がすっきりした感じ」が高まる結果は、複数の実験でそろっています。一方、注意力のテストの成績は実験によって一定せず、集中力が上がるとまでは言えません。
ガムと頭の働きの研究は、80年以上前から続いています。中心にあるのは、噛むことで目が覚めた感じになるかどうかです。この点は、比較的結果がそろっています。
ただし「目が覚めた感じ」と「作業の成績」は同じではありません。英国の実験では、すっきりした感じが高まっても、注意力のテストでは反応が遅くなった場面がありました。眠気が出やすい単調な作業のときに、自分で試してみる道具の一つ、と考えるのがよさそうです。
02 研究とデータでわかっていることガムを噛むと、頭の働きはどう変わる?
噛んだ人は「頭がすっきりした感じ」が高く、職場の実験では「うっかりミス」の自己評価も少なめでした。注意力のテストは、反応が遅くなった場面と、見まちがいが減った場面の両方がありました。
Allen・Smith / 英国・カーディフ大学(2015年)[1]
4つの研究をまとめた論文です。主に学生の大人100人の実験では、ガムを噛んだ組は、噛まない組より「頭がすっきりした感じ」が高めでした。ミント味のガムでも、味のないガムの素材でも、差はありませんでした。不安の強さは変わりませんでした。
大人56人の実験では、噛んだときに、すっきりした感じがはっきり高まりました。一方、注意力のテストでは、4分目に反応が遅くなり、最後の1分では見まちがいが減っていました。研究者は、速さと正確さのどちらかを取る形になった可能性を挙げています。
大学職員126人の実験では、くじで分けた一方の組に、1日に1箱(10粒)を好きなときに噛んでもらいました。噛んだ組は、仕事のストレス、疲れ、気が散る感じ、「うっかりミス」、仕事の遅れの自己評価が少なめでした。ただし差は小さく、不安や落ち込みの点数には差がありませんでした。
職員30人が、噛む日と噛まない日の両方を体験した実験では、「うっかりミス」の自己評価は噛んだ日に少なめでした。一方、疲れやストレスの差は出ず、心拍数も変わりませんでした。
対象: 英国の大学の学生と職員 / 限界: 職場の結果は本人の自己評価で、仕事の成果を測ったわけではない。どの組が噛んでいるかは本人にもわかっている。筆頭著者の博士課程はガム会社の研究所の支援を受けていた(論文に記載)。
Espinozaら / チリ・バルパライソ大学ほか(2025年)[2]
健康な大人30人が、課題の前に1分ガムを噛んだ日と、噛まずにすぐ始めた日とで、注意と記憶の課題を比べました。噛んだあとは、正確さが上がり、反応も速くなっていました。
速さと正確さを合わせた効率の指標は、少し前に見た位置を覚えておく記憶の課題で14%、まれに出る図形に反応する注意の課題で3.6%よくなっていました。ガムは、なじみのある味の影響を避けるために研究者が作ったものでした。
対象: チリの21〜60歳の大人30人(女性が半数) / 限界: 人数が少ない。噛まない日は休まずすぐ課題を始めたため、「1分間手を止めたこと」の影響と区別できない。課題の直後だけを測った。
Smith / 英国・カーディフ大学(2016年)[3]
ガムとストレスの研究を整理した論文です。人前での発表などでストレスをかけた実験では、ガムで不安が下がった研究と、下がらなかった研究があり、結果は食い違っていました。
この論文が紹介している先行研究では、大学職員101人が2週間ガムを噛んだ期間に、噛まなかった期間より、不安や落ち込み、仕事のストレスの自己評価が低くなっていました。働く人2,248人の調査では、ガムを噛む人に「とても強いストレス」と答える人が少なかったものの、これは調査の時点での関連で、ガムが原因かはわかりません。
対象: 実験・調査・職場の介入研究 / 限界: 著者自身の研究の紹介が中心で、決まった手順で論文を集めたまとめではない。
Allamら / イタリア・ミラノ大学ほか(2025年)[4]
口の健康以外の目的でガムを調べた研究260件を分類しました。多かったのはスポーツ、禁煙、手術後の回復の研究でした。頭の働きを調べた研究は19件、不安やストレス、気分を調べた研究は14件で、まだ少ないとまとめています。
対象: 5つのデータベースから集めた260件の研究 / 限界: 効果の大きさを統合したものではなく、研究の分布を整理したもの。このまとめ自体も、ガム会社の資金を一部受けた博士課程の研究として行われた(論文に記載)。
03 まだわかっていないことガムの集中効果は、どこまで確かめられている?
仕事の成果そのものが上がるかは、まだ確かめられていません。研究の数は少なく、本人の自己評価に頼った結果が中心です。ここで紹介した研究にも、ガム会社の支援を受けたものがあります。
- 職場の研究は「うっかりミスが少ないと感じた」などの自己評価で、ミスの数や仕事の量を直接数えたものではない。
- 噛む・噛まないは本人にわかるため、「噛めば集中できるはず」という思い込みの影響を取り除けない。
- 何分、何粒、どのくらいの硬さがよいかは決まっていない。英国の実験では、噛む速さや強さで気分は変わらなかった。
- ガムが不安やストレスを下げるかを調べた2022年のメタ分析(研究をまとめた分析)は、出版社の調査で出版の過程が組織的に操作された兆候が見つかり、2023年に撤回された[5]。この分析の数字は使えない。
- 研究は主に英国やチリの大人で、日本の職場で同じ結果になるかは確かめられていない。
04 今日からできるセルフケア集中が切れたとき、ガムをどう試す?
眠気が出やすい単調な作業の前に、数分噛んでみます。効いたかは「すっきりした感じ」とミスの数で自分で確かめ、合わなければ別の方法に切り替えます。
単調な作業の前に、まず1分噛む
チリの実験では、課題の前に1分噛んだあとで成績がよくなっていました。メールの整理やデータ入力など、眠くなりやすい作業の前に試します。会議や接客の場では避け、一人で作業する時間に使います。
目安 作業の前に1分〜数分
噛む日と噛まない日を、1行メモで比べる
英国の2つの職場の実験で、どちらも差が出たのは「うっかりミス」の感じ方でした。夕方に「すっきり度(5段階)」と「今日のうっかりミスの数」を1行書き、噛んだ日と比べます。思い込みも入るので、数日ずつ続けてから判断します。
目安 1日1行・数日ずつ
合わないときは、ほかの目の覚まし方に切り替える
あごが疲れたり、かえって気が散ったりするなら、無理に続けません。英国の実験でも、注意力のテストで反応が遅くなった場面がありました。短い昼寝や水分をとるなど、別の方法もあります。
目安 違和感があればその日から
午後の眠気には10分の昼寝でも注意力が上がった実験を、画面作業でぼーっとするときは水分不足と注意の働きの研究を、作業中の音が気になるときは音楽と集中の研究を参考にしてください。
05よくある質問
ガムを噛むと、本当に集中力が上がるのですか?
「頭がすっきりした感じ」が高まる結果は複数の実験でそろっています。一方、注意力のテストの成績は、実験によって上がったり、一部で遅くなったりと一定しません。集中力が上がると言い切れる段階ではありません。
どのくらい噛めばいいですか?
決まった目安はありません。チリの実験では課題の前に1分噛み、英国の職場の実験では1日に1箱(10粒)を好きなときに噛んでもらっていました。まずは作業の前に数分噛んで、自分に合うかを確かめるのが現実的です。
ミント味でないと効果はないのですか?
英国の実験では、ミント味のガムと、味のないガムの素材とで、頭がすっきりした感じの上がり方に差はありませんでした。研究者は、味よりも噛む動きそのものが関わっている可能性を挙げています。
ガムでストレスも減りますか?
2週間ほど続けて噛んだ職場の研究では、ストレスの自己評価が下がったと報告されています。一方、その場のストレスについては結果が分かれていました。ガムと不安・ストレスを調べたメタ分析の1本は、出版社の調査で2023年に撤回されています。
無料ツール
セルフチェックで「今日やること」をまとめる
当てはまる悩みを選ぶだけ。診断はせず、記事の対策を一覧にします。
研究早見表でほかの悩み250件も見る
出典
- Allen AP, Smith AP (2015). Chewing gum: cognitive performance, mood, well-being, and associated physiology. BioMed Research International. https://doi.org/10.1155/2015/654806
- Espinoza S, et al. (2025). Chewing modulates theta oscillation and functional connectivity of the frontocentral cortex in attention and working memory. Scientific Reports. https://doi.org/10.1038/s41598-025-27606-5
- Smith AP (2016). Chewing gum and stress reduction. Journal of Clinical and Translational Research. https://doi.org/10.18053/jctres.02.201602.002
- Allam A, et al. (2025). Chewing Gum and Health: A Mapping Review and an Interactive Evidence Gap Map. Nutrients. https://doi.org/10.3390/nu17172749
- Journal of Healthcare Engineering (2023). Retracted: The Effects of Chewing Gum on Reducing Anxiety and Stress: A Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials(撤回のお知らせ). https://doi.org/10.1155/2023/9834258


