午後になると眠くて頭が働かない。昼寝のあと注意力は上がり、10分の昼寝でも効果が出た実験があった

昼食のあと、画面の文字が頭に入ってこない。同じ行を何度も読み、まぶたが重くなる。午後の眠気は、やる気の問題ではありません。昼寝の実験をまとめた研究では、昼寝のあと注意力が上がっていました。10分の昼寝で、すぐに眠気が軽くなった実験もあります。
3行でわかる
- 働く年代の大人の実験11件(381人)をまとめた研究では、昼寝をした人たちで頭の働きが上がり、とくに注意力の改善が大きくなっていました。
- 前の晩の睡眠を約5時間に減らした実験では、眠っていた時間が10分の昼寝で、起きてすぐ眠気や作業成績が改善しました。
- 長めの昼寝のあとは、起きた直後にぼんやりする時間(睡眠慣性)が出やすくなります。厚生労働省の睡眠指針2014は、午後の早い時刻に30分以内の昼寝を勧めています。
01結論から言うと
午後の眠気で頭が働かないとき、短い昼寝は眠気と注意力を上げる手段として、複数の実験でそろって支持されています。目安は午後の早い時刻に30分以内。起きてすぐは大事な作業を避けます。
昼寝の研究で結果がそろっているのは、「眠気が軽くなる」「注意力や作業の成績が上がる」という点です。わかっている度の★★★は、この2つについての評価です。
一方で、気分への効果や、何分がいちばんよいかは、研究によって結果が分かれます。ここは★★☆くらいの確かさと考えてください。
もう1つ大事なのは、昼寝はあくまで「足りない分をしのぐ」手段だということです。午後の眠気が毎日続くなら、夜の睡眠が足りていない合図かもしれません。
02研究とデータでわかっていること
11件の実験のまとめでは、昼寝のあと頭の働き、とくに注意力が上がっていました。10分の昼寝はすぐに効き、30分の昼寝は起きた直後に一時的に成績が下がってから改善していました。
Dutheilら(2021年)[1]
日中に勤務する、働く年代の大人を対象にした昼寝の実験11件をまとめました。昼寝をしたグループでは、昼寝のあとに頭の働き全体が上がり、とくに注意力(覚醒度)の改善が大きくなっていました。改善は主に起きてから120分までに見られ、13時より前の早い時間の昼寝のほうが、13時以降より改善が大きくなっていました。効果は性別や年齢によって変わりませんでした。
対象: 18歳以上の381人。昼寝の長さは平均55.4分 / 限界: ほぼすべてが実験室の研究で、実際の職場での効果を確かめるには研究が足りないと著者ら自身が書いています。
BrooksとLack(2006年)[2]
前の晩の睡眠を約5時間に減らし、15時に昼寝をしてもらいました。眠っていた時間が5分・10分・20分・30分の昼寝と、昼寝なしを比べています。5分では効果はわずかでした。10分では起きてすぐ、眠気・疲れ・活力・作業成績のすべてが改善し、一部は155分後まで続きました。20分では改善が起きて35分後から現れました。30分では起きた直後に注意力と成績が一時的に下がり、そのあと改善しました。著者らは、調べた中では10分が全体としていちばん効果的だったとまとめています。
対象: ふだん昼寝をしない、よく眠れる健康な若い大人24人 / 限界: 少人数の実験です。「10分」は横になっていた時間ではなく、眠っていた時間です。
Leongら(2023年)[3]
ふだんの睡眠が短め(寝床にいる時間が6〜6.5時間)の若い大人に、昼寝なし・10分・30分・60分の昼寝を順番に試してもらいました。10〜60分のどの昼寝でも、眠気が軽くなり、前向きな気分が高まりました。注意力の改善は中程度で、作業の速さは改善しませんでした。30分と60分の昼寝のあとには一時的なぼんやり(睡眠慣性)が見られましたが、起きてから30分以内に解消しました。覚えた内容を記憶する力が上がったのは30分の昼寝だけでした。
対象: シンガポールの研究チームが調べた32人(平均25.6歳)。昼寝は13時半〜14時20分に開始 / 限界: 少人数で、ふだんの睡眠が短めの若い人に限った結果です。著者らは「はっきり勝つ長さはない」としたうえで、30分が実用性と効果のバランスがよいと述べています。
Hilditchら(2017年)[4]
「30分以内の昼寝なら、起きたあとのぼんやり(睡眠慣性)を避けられる」という、よく使われる助言の根拠を調べたレビューです。短い昼寝のあとに深い眠りに入るか、ぼんやりがどのくらい続くかは、研究によって結果が分かれていました。昼寝の前にどれだけ眠れていたか、何時に起きたかによって変わると考えられています。
対象: 30分以内の昼寝を調べた研究 / 限界: 午後の短い昼寝の研究は比較的そろっている一方、夜間の短い仮眠の研究はとても少ないとされています。
厚生労働省(2014年・2024年)[5][6]
「健康づくりのための睡眠指針2014」は、働く世代向けの項目で、夜に必要な睡眠がとれなかった日は、午後の眠気による仕事の問題を改善するのに昼寝が役立つとしています。そのうえで、午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝が、眠気による作業能率の改善に効果的だと書いています。2023年版の睡眠ガイドは、日中の眠気が慢性的な睡眠不足や睡眠障害などから来る場合もあるとし、睡眠を見直しても改善しなければ医師に相談するよう勧めています。
対象: 日本の成人向けの公的な指針 / 限界: 2014年の指針は2023年のガイドに改訂されています。2023年版の成人向けの章には、日中に働く人の昼寝の長さの目安は書かれていません。
03まだわかっていないこと
何分の昼寝がいちばんよいかは、まだ決着していません。気分への効果も研究によって差があり、実際の職場で昼寝をした場合の効果を確かめた研究も少ないままです。
- 11件のまとめでは、昼寝の長さによって成績の改善に差は見られませんでした。一方、24人の実験では10分、32人の実験では30分がよいとされ、最適な長さは研究ごとに違います。
- 気分については、32人の実験で前向きな気分は高まりましたが、嫌な気分が減ったのは10分の昼寝の1時点だけでした。昼寝で気分がよくなるかは、眠気ほどはっきりしていません。
- 11件のまとめはほぼすべて実験室の研究です。オフィスや在宅勤務の机で昼寝をした場合の効果は、まだ十分に調べられていません。
- 厚生労働省の睡眠ガイド2023の高齢者向けの章は、30分以上の昼寝を習慣にしている人は、昼寝の習慣がない人より将来の死亡リスクが1.27倍だったという報告を紹介しています。これは昼寝の習慣と死亡リスクの関連を示す報告で、短い昼寝を時々とることの影響を示すものではありません。
04今日からできるセルフケア
昼休みのうちに、アラームをかけて30分以内で目を閉じます。起きてすぐは軽い作業から始めます。午後の眠気が毎日続くなら、昼寝より先に夜の睡眠時間を見直します。
昼休みのうちに、アラームをかけて目を閉じる
午後の早い時刻のほうが、遅い時間より改善が大きかったという結果があります。研究の「10分」は眠っていた時間なので、寝つくまでの時間を見込んでアラームをかけ、30分を超えないようにします。
目安 昼休みなど午後の早い時刻・アラームは15〜20分後
起きてすぐは、軽い作業から始める
長めに眠ったあとは、起きた直後に頭の働きが一時的に落ちます。大事な判断や会議は少しあとに回し、メールの整理など簡単な作業から再開します。
目安 起きてから10〜30分
午後の眠気を1週間メモして、夜の睡眠を見直す
毎日の昼過ぎの眠気を5段階で書き、前の晩の睡眠時間と並べます。眠気が強い日が多いなら、昼寝でしのぐより夜の睡眠を増やすことが先です。
目安 1日1分・1週間
寝不足の翌日にイライラしやすい人は寝不足と気分の研究、眠気覚ましのコーヒーが増えている人はカフェインと睡眠の研究も参考になります。昼休みもパソコンの前で過ごしがちな人は昼休みの過ごし方の研究をどうぞ。
05よくある質問
昼寝は何分がいちばんいい?
午後の早い時刻に30分以内が目安です。厚生労働省の睡眠指針2014がそう勧めています。24人の実験では、眠っていた時間が10分の昼寝が全体としていちばん効果的でした。ただし、昼寝の長さで成績の差は見られなかったというまとめもあり、最適な長さは決まりきっていません。
30分以上寝てしまうと逆効果?
逆効果とまでは言えませんが、起きた直後はぼんやりしやすくなります。32人の実験では、30分と60分の昼寝のあとに一時的な頭の働きの低下(睡眠慣性)が見られ、起きてから30分以内に解消していました。起きてすぐ大事な作業をしないことが大切です。
昼寝をすると夜に眠れなくならない?
若い人や働き盛りの年代では、昼寝が夜の睡眠を妨げないという観察研究が、2023年の実験論文で紹介されています。一方、厚生労働省の睡眠ガイド2023は高齢者向けの章で、長い昼寝は夜間の良眠を妨げるとして、日中の長時間の昼寝を避けるよう勧めています。
毎日午後にひどく眠くなるのはなぜ?
厚生労働省の睡眠ガイド2023によると、日中の眠気は慢性的な睡眠不足や、睡眠障害などが原因の場合もあります。昼寝でしのぐ前に、まず夜の睡眠時間が足りているかを見直すことが基本です。
厚生労働省の睡眠ガイド2023は、睡眠時間や生活習慣を見直しても日中の眠気が改善しない場合は、医師に相談するよう勧めています。
無料ツール
セルフチェックで「今日やること」をまとめる
当てはまる悩みを選ぶだけ。診断はせず、記事の対策を一覧にします。
研究早見表でほかの悩み67件も見る
出典
- Dutheil F, Danini B, Bagheri R, Fantini ML, Pereira B, Moustafa F, Trousselard M, Navel V (2021). Effects of a Short Daytime Nap on the Cognitive Performance: A Systematic Review and Meta-Analysis. International Journal of Environmental Research and Public Health, 18(19), 10212. https://doi.org/10.3390/ijerph181910212
- Brooks A, Lack L (2006). A brief afternoon nap following nocturnal sleep restriction: which nap duration is most recuperative? Sleep, 29(6), 831-840. https://doi.org/10.1093/sleep/29.6.831
- Leong RLF, Lau T, Dicom AR, Teo TB, Ong JL, Chee MWL (2023). Influence of mid-afternoon nap duration and sleep parameters on memory encoding, mood, processing speed, and vigilance. Sleep, 46(4), zsad025. https://doi.org/10.1093/sleep/zsad025
- Hilditch CJ, Dorrian J, Banks S (2017). A review of short naps and sleep inertia: do naps of 30 min or less really avoid sleep inertia and slow-wave sleep? Sleep Medicine, 32, 176-190. https://doi.org/10.1016/j.sleep.2016.12.016
- 厚生労働省健康局 (2014). 健康づくりのための睡眠指針2014. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf
- 厚生労働省 (2024). 健康づくりのための睡眠ガイド2023(令和6年9月一部修正). https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf


