昼休みもパソコンの前で食べてしまう。食後に15分歩くかリラックス法をした日は、夕方の集中と疲れが違っていた

気づけば今日も、キーボードの横でお弁当を食べながらメールを読んでいた。昼休みが終わったのに、休んだ気がしない。午後になると頭が重い。そんな日が続いていませんか。昼休みの過ごし方を調べた研究は多くはありませんが、手がかりになる結果がいくつか出ています。
3行でわかる
- フィンランドの研究では、昼食後に15分、公園を歩くかリラックス法をした日は、夕方の集中や疲れがよい方向に違っていました。
- テレビなどを見ながら食べる実験では、そのあとの食事で食べる量が増えやすくなっていました。
- 「デスクで食べること」そのものと疲れを直接比べた研究は、まだほとんどありません。
01結論から言うと
昼休みに15分だけ仕事から離れる時間をつくると、午後の疲れや集中が違ってくる可能性があります。ただし、デスクで食べること自体の影響は、まだはっきりわかっていません。
研究で手がかりが多いのは、昼休みに「何をしたか」です。昼食のあとに公園を歩く、深呼吸や筋肉をゆるめる練習をする。そうした日は、仕事のことを頭から離せたり、楽しいと感じたりしやすく、それが夕方の状態と関わっていました。
パソコンの前で食べながら仕事を続けると、こうした「離れる時間」がつくりにくくなります。休んだ気がしないのは、気の持ちようではなく、休みの中身の問題かもしれません。
02研究とデータでわかっていること
昼休みに短い散歩やリラックス法をした日は、夕方の状態がよい傾向でした。画面などに気を取られて食べると、あとで食べる量が増えやすいこともわかっています。
Sianojaら(2018)[1]
昼休みに15分の活動を、10営業日続けてもらいました。公園を歩いた日は、昼休みを楽しめたことを通じて、夕方の集中が高く、疲れが少なくなっていました。
リラックス法をした日は、仕事から気持ちを離せたことを通じて集中が高くなっていました。リラックス法は、夕方の緊張感や疲れの少なさとも直接関わっていました。
対象: 公園散歩51人、リラックス法46人。同じ研究プロジェクトの計画論文[2]によると、対象はフィンランドの知識労働者で、活動は昼食のあとに行いました。リラックス法は、深呼吸、筋肉を順にゆるめる練習、マインドフルネスにもとづく受け入れの練習が中心です / 限界: 同じ人の「した日」と「しなかった日」を比べた分析で、期間は5週間です。
Krajewskiら(2010)[3]
コールセンターで働く人を、昼休みに20分の「筋肉を順にゆるめるリラックス法」をするグループと、「おしゃべり」をするグループに分けました。昼休み直後と午後の緊張感やしんどさが減ったのは、リラックス法のグループだけでした。
対象: コールセンターの14人、6か月間 / 限界: 人数がとても少なく、ほかの職場に当てはまるかはわかりません。
YunとBeehr(2023)[4]
昼食や昼寝の「質」がよかった日は、仕事への前向きさ(ワーク・エンゲージメント)が高く、頭の疲れが少ない傾向がありました。それが創造性の高さと関連していました。前向きさを通じたつながりは、主に昼寝ではなく昼食の質によるものでした。
対象: 韓国の建設現場で働く230人、2時点の日々の質問票を合計1,598件 / 限界: 調査による関連で、因果関係は確かめられていません。食事の質は本人の評価です。
Robinsonら(2013)[5]
食事中の注意と食べる量を調べた24件の実験をまとめました。気が散った状態で食べると、その場で食べる量はやや増え、そのあとの食事で食べる量はさらに大きく増えていました(効果量 0.39と0.76)。
気を散らすものは、テレビやラジオ、読書、コンピューターのゲームなどでした。食べたものの記憶をはっきりさせると、あとで食べる量は減っていました。
対象: 実験室での研究が中心。年齢がわかる21件の平均は21.8歳 / 限界: 職場でパソコン作業をしながら食べる場面を直接調べたものではありません。
Lyubykhら(2022)[6]
知識労働者の休憩についての研究83件を整理したレビューです。休憩は「だれが始めるか」「長さ」「回数」「何をするか」「どう感じたか」の5つの特徴で分けて考えられる、と提案しています。
対象: 観察研究と介入研究83件 / 限界: 研究どうしの結果を数字で統合したものではありません。
03まだわかっていないこと
「デスクで食べる人は疲れやすい」と言い切れる研究は、まだありません。昼休みの研究は人数が少なく、国や職種も限られています。
- デスクで食べる日と、席を離れて食べる日を直接比べ、午後の疲れを測った研究は見つかりませんでした。
- 昼休みの研究は、フィンランドの知識労働者やコールセンターの14人など、人数や職種が限られています。日本の職場で同じ結果になるかはわかっていません。
- 公園散歩とリラックス法のどちらが向いているかは、人によって違う可能性があります。2つの研究[1][3]は、どちらも効果のしくみが少しずつ違っていました。
- 「気が散ると食べすぎる」という結果[5]は、主に若い人の実験室での結果です。パソコン作業をしながら食べる場合に同じことが起きるかは、確かめられていません。
04今日からできるセルフケア
毎日でなくてかまいません。食べる間だけ画面を閉じる、食後に15分だけ仕事から離れる。研究から考えられる、お金のかからない工夫です。
食べている間だけ、画面を閉じる
席を移れない日も、メールやチャットの画面を閉じて、食べているものに目を向けます。気が散った状態で食べると、あとで食べる量が増えやすいことがわかっています[5]。
目安 食事のあいだ10〜15分
食後に15分、外を歩く
近くの公園や木のある道を、景色を見ながらゆっくり歩きます。研究[1]では、歩くこと自体を楽しめたかどうかが、夕方の集中や疲れと関わっていました。
目安 15分・週に何日かでも
歩けない日は、静かな場所で体をゆるめる
ゆっくり深呼吸をしてから、肩や手に数秒ぐっと力を入れ、ふっと抜くのを順にくり返します。研究[1][3]で使われたリラックス法を、簡単にしたやり方です。
目安 10〜20分
昼休みは「仕事を考えない時間」と決める
研究[1]では、リラックス法の効果は、昼休みに仕事から気持ちを離せたことを通じて表れていました。午後の段取りは、昼休みの前か後に回します。
目安 昼休みの前に1分、やることをメモ
05よくある質問
昼休みにパソコンの前で食べるのは体に悪い?
デスクで食べること自体が心身にどう影響するかを直接比べた研究は、まだほとんどありません。ただ、気が散った状態で食べると、あとで食べる量が増えやすいという実験のまとめ[5]はあります。
昼休みは何分くらい仕事から離れればいい?
フィンランドの研究[1]では、昼食後の15分の公園散歩やリラックス法で、夕方の集中や疲れに違いがみられました。コールセンターの研究[3]では、20分のリラックス法が使われていました。
同僚とおしゃべりするのも休憩になる?
コールセンターの14人の研究[3]では、おしゃべりのグループでは午後の緊張感が減らず、減ったのはリラックス法のグループだけでした。ただ人数が少なく、雑談が休憩にならないとまでは言えません。
昼寝とランチ、どちらが午後に効く?
韓国の建設現場で働く人の調査[4]では、仕事への前向きさを通じた創造性との関連は、主に昼寝ではなく昼食の質によるものでした。昼寝との比較は、この1つの調査の結果です。
出典
- Sianoja M, Syrek CJ, de Bloom J, Korpela K, Kinnunen U (2018). Enhancing daily well-being at work through lunchtime park walks and relaxation exercises: Recovery experiences as mediators. Journal of Occupational Health Psychology, 23(3), 428-442. https://doi.org/10.1037/ocp0000083
- de Bloom J, Kinnunen U, Korpela K (2014). Exposure to nature versus relaxation during lunch breaks and recovery from work: development and design of an intervention study to improve workers' health, well-being, work performance and creativity. BMC Public Health, 14, 488. https://doi.org/10.1186/1471-2458-14-488
- Krajewski J, Wieland R, Sauerland M (2010). Regulating strain states by using the recovery potential of lunch breaks. Journal of Occupational Health Psychology, 15(2), 131-139. https://doi.org/10.1037/a0018830
- Yun M, Beehr T (2023). Eating versus sleeping: Lunchtime meals and naps relation to afternoon creativity at work. Applied Psychology: Health and Well-Being, 15(4), 1319-1335. https://doi.org/10.1111/aphw.12438
- Robinson E, Aveyard P, Daley A, et al. (2013). Eating attentively: a systematic review and meta-analysis of the effect of food intake memory and awareness on eating. The American Journal of Clinical Nutrition, 97(4), 728-742. https://doi.org/10.3945/ajcn.112.045245
- Lyubykh Z, Gulseren D, Premji Z, et al. (2022). Role of work breaks in well-being and performance: A systematic review and future research agenda. Journal of Occupational Health Psychology, 27(5), 470-487. https://doi.org/10.1037/ocp0000337


