AIとの付き合い方

外国語で話すのが怖い。AI相手に練習すれば不安は減る?中国の大学生69人の実験では、話してみたい気持ちは高まったが、不安そのものの差ははっきりしなかった

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わかっている度 ★☆☆ 低研究3本・公的指針0件を整理
開いた辞書
Photo: Dr. Marcus Gossler / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

英語の会議や旅先、職場で外国の人と話す場面。言いたいことはあるのに、間違えたらどうしよう、と口が重くなる。AIなら笑われないし、何度でも練習できます。では、AIを相手に話す練習をすれば、話す怖さは減るのでしょうか。結論から言うと、AIとの練習で「話してみたい」という気持ちが高まった実験はありますが、不安そのものがはっきり減ったとまでは言えません。AIは本番の代わりではなく、本番に向かうための練習台として使うのが、今の研究に合った使い方です。

3行でわかる

  1. 中国の大学生69人の16週間の実験では、授業でAIと話す練習をした組は、最後に「話してみたい気持ち」が高く、退屈さが低くなりましたが、不安の差ははっきりしませんでした。
  2. トルコの大学生48人の実験では、AIが進行する話す試験の前は、人が進行する試験の前より不安がやや低めでした。ただ、不安が強い人はどちらでも強いままでした。
  3. 22件の研究のまとめでは、AIを使った学習で勉強の不安は下がる方向でしたが、外国語の不安と、会話型のAIに限ると、はっきりした効果は確かめられていません。

01 結論から言うと外国語を話す不安は、AIとの練習で減る?

減るとはまだ言い切れません。AIとの練習で話す意欲や楽しさが上がった実験はある一方、不安そのものの差ははっきりせず、研究のまとめでも効果は確かめられていません。

外国語を話すときの不安は、言語学習の研究で長く調べられてきたテーマです。人前で話すことや、間違いを見られることへの心配が中心にあります。

AIが相手なら、その「見られる」心配が小さくなるはずだ、という期待があります。実際に、AIとの練習を「緊張しない練習の場」と感じた学生の声は研究でも報告されています。[1]ただ、数字で測ると、不安が下がる効果は小さいか、はっきりしないものが多いのが現状です。

人と話す前にAIで言い方を何度も確かめてしまう悩みは、会議の前にAIで言い方を確かめる記事にまとめています。この記事は、外国語で話す怖さに絞って見ていきます。

02 研究とデータでわかっていることAIと話す練習で、何が変わった?

16週間の授業の実験では、AIと練習した組で話してみたい気持ちが高まり、退屈さが減りました。不安の点数も下がる向きでしたが、比べた組との差ははっきりしませんでした。

約160分16週間の授業でAIと話した合計時間(1回約5分×32回、中国の大学生、2026年発表)
3.68 対 3.32最後の時点の「話してみたい気持ち」(5段階、AIで練習した組 対 ふつうの授業の組、同じ実験)
98.5 対 102.9話す試験の前の不安の点数(AIが進行する試験 対 人が進行する試験、トルコの大学生48人、2025年発表)
22件AIを使った学習と勉強の不安を調べた研究のまとめ(2026年発表、うち外国語の不安の結果が16件)

Miao と Hu / 温州商学院など(2026年)[1]

スペイン語を初めて学ぶ大学生69人を、クラスごとに2組に分けました。片方は毎週の授業でAIと話す練習(1回約5分を2回)をし、もう片方はふつうの授業の話す活動をしました。16週目には、AIの組のほうが「話してみたい気持ち」が高く(5段階で3.68と3.32)、退屈さが低くなっていました。不安の点数はAIの組で2.87から2.72へ下がる向きでしたが、もう一方の組(2.90)との差は統計的にはっきりしませんでした。

対象: 中国の大学でスペイン語の初級授業をとる69人(平均19.2歳) / 限界: くじではなくクラス単位で分けた実験で、1学期だけの結果です。聞き取りでは、試験や先生の評価への不安は残ったと話す学生もいました。

Susoy / トカト・ガジオスマンパシャ大学(2025年)[2]

英語教師を目指す1年生48人が、AIが進行する話す試験と、人が進行する話す試験の両方を受けました。試験前の不安の点数は、AIの試験のほうが平均で約4.5点低めでした。試験の点数は2つの試験で差がありませんでした。また、人の試験では不安が強い人ほど点数が低かったのに、AIの試験ではその関係が見られませんでした。

対象: トルコの公立大学の英語教育学科1年生48人(18〜22歳) / 限界: 1つの大学の少人数の結果です。2つの試験の不安の点数は強く連動していて(相関0.918)、不安が強い人はAIの試験でも強いままでした。

Wang ら / 華東師範大学など(2026年)[3]

AIを使った学習が勉強の不安を減らすかを調べた22件の研究(30の結果)をまとめました。全体では不安が下がる方向で、効果の大きさは中くらいでした。ただ、外国語の不安についての16の結果に絞ると、効果ははっきりしませんでした。会話型のAI(チャットボット)に絞った7つの結果でも、同じくはっきりしませんでした。

対象: 小学生から大学生までを対象にした11か国の研究22件 / 限界: この論文が紹介している研究の中には、12週間チャットボットと話す練習をした組で、話す力は伸びたのに外国語の不安はかえって高かったという結果もあります。研究ごとの違いが大きいまとめです。

03 まだわかっていないことAIでの会話練習について、まだわからないことは?

AIで練習した人が、人を相手にした本番でも不安が減るのかは、まだ確かめられていません。社会人や、自分で好きなだけ練習した場合の研究も少ないままです。

  • 測られたのは、授業の中や試験の場面での不安です。AIで練習したあと、人との会話や会議で不安が減るかは、追いかけられていません。
  • 研究の対象はほとんどが学生です。仕事で外国語を使う社会人の研究は、ほとんど見当たりません。
  • 授業で決められた時間だけ練習した研究が中心で、自分で何時間も練習した場合に、不安が減るのか、AIとしか話せなくなるのかはわかっていません。
  • AIとの練習で不安がかえって高まったという研究もあり、どんな人に向いていて、どんな人に向かないのかは、まだ整理されていません。

04 今日からできるセルフケアAIを練習相手にするなら、どう使えばいい?

AIは本番の練習台として短く使い、そのあと人と話す小さな本番を1つ入れること、不安の点数より「話してみたい気持ち」の変化を見ることの3つです。

1

次の本番で言いたいことを、AI相手に声に出して練習する

実験では、1回約5分の練習を週に2回、授業の中で続けていました。会議の自己紹介や旅先の注文など、近いうちに使う場面を1つ決め、その場面のやりとりだけを声に出して練習します。

目安 1回5分・週2回

2

練習のあと、人と話す小さな本番を1つ入れる

AIとの練習は、人に評価される不安までは消していませんでした。練習した一言を、同僚や先生、店員さんに実際に使ってみます。最初は短い一言で十分です。

目安 練習1回につき本番1つ

3

「話してみたい気持ち」を5段階でつける

研究で変化が出たのは、不安よりも、話してみたい気持ちや楽しさのほうでした。練習の前後に「今、話してみたいか」を1〜5でつけると、緊張が残っていても前に進んでいることがわかりやすくなります。緊張が見た目に出る心配は、緊張は外から思うほど見えないという記事も参考になります。

目安 前後に10秒ずつ

05よくある質問

AIとばかり話していると、人と話すのがもっと怖くならない?

その可能性を直接確かめた研究は、外国語の練習ではまだ見当たりません。別の研究では、AIに支えられていると感じる学生ほど、のちに人づきあいの不安がやや高かったという報告もあります(AIに話すほうが楽で人と話すのが緊張する記事)。AIでの練習は、人と話す本番とセットにするのが安心です。

AIの発音や文法の直しは、信じて大丈夫?

AIの直し方を学習者がどう感じたかの研究はありますが、直しがどれだけ正確かは、この記事で紹介した研究では測られていません。大事な場面で使う表現は、辞書や先生など別の情報でも確かめておくと安心です。

どのくらい続ければ、話すのが楽になる?

中国の実験では、10週目の時点では差が見られず、16週目になって話してみたい気持ちに差が出ていました。数週間で効果が感じられなくても、すぐにやめずに続けてみる価値はあります。ただし、不安そのものが減るかはまだはっきりしていません。

AIが相手でも緊張してしまう。自分はおかしい?

おかしくありません。トルコの実験では、人の試験で不安が強かった人は、AIの試験でも不安が強いままでした。相手がAIでも緊張するのは自然なことで、練習を重ねる中で少しずつ慣れていく段階だと考えられます。

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出典

  1. Miao Y, Hu P (2026). Artificial intelligence-assisted speaking in Spanish as a foreign language: effects on foreign language emotions and willingness to communicate. Frontiers in Psychology, 17, 1877956. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1877956
  2. Susoy Z (2025). Reducing anxiety and enhancing performance: the impact of AI chatbots versus human facilitation on EFL speaking assessment outcomes. Frontiers in Psychology, 16, 1745942. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2025.1745942
  3. Wang W, Diao L, Yu J (2026). Artificial intelligence and academic anxiety? a meta-analysis. BMC Psychology. https://doi.org/10.1186/s40359-026-05018-y