寂しい夜、推しの配信や動画で気をまぎらわすのはあり?17件の研究のまとめでは、配信者への親しみは幸福感と結びつく一方、SNSのやめにくさとも結びついていた

誰とも話さなかった夜、気づけば推しの配信や好きな配信者の動画を開いている。画面の向こうの声に少し救われる一方で、「これで寂しさをごまかしていていいのかな」と引っかかる人もいるでしょう。研究から見えてくるのは、配信者への親しみには支えになる面と、やめにくさにつながる面の両方があるということです。
3行でわかる
- 17件の研究のまとめ(2026年)では、配信者やインフルエンサーへの親しみが強い人ほど、幸福感が高い関連があった。
- 同じまとめで、親しみが強い人ほどSNSをやめにくい傾向も強かった。落ち込みや不安などのつらさとは、はっきりした結びつきがなかった。
- 研究のほとんどは1回きりの調査で、配信を見ると寂しさが減るのかは、まだ確かめられていない。見る時間を決め、人への一歩につなげる使い方が無難。
01 結論から言うと寂しいとき推しの配信を見るのは、あり?
寂しい夜に推しの配信で気をまぎらわすのは、悪いことではありません。研究では配信者への親しみは幸福感と結びついていました。ただ、SNSのやめにくさとも結びついていたため、時間を決めて見るのが安心です。
画面の向こうの人に、相手は自分を知らないのに親しみを感じる。研究ではこれを「一方通行の親しみ(パラソーシャルな関係)」と呼びます。テレビの時代からある、ごく自然な心の動きです。
ライブ配信やショート動画では、コメントに名前を呼ばれたり、毎日のように顔を見たりできます。そのため、昔より「本当に知り合いのような」感覚を持ちやすくなっています。
02 研究とデータでわかっていること配信者への親しみと心の状態は関係ある?
関係はありました。配信者への親しみが強い人ほど、幸福感が高い一方で、SNSをやめにくい傾向も強めでした。また、孤独感が強い人ほど、配信者への親しみが強い傾向がありました。
Liら(2026年)[1]
SNSの配信者やインフルエンサーへの親しみと、心の状態との関係を調べた17件の研究(52の結果)をまとめた。親しみが強い人ほど、幸福感(相関0.42)や前向きな心の働き(0.25)が高かった。同時に、SNSをやめにくい傾向(0.33)も強かった。落ち込みや不安などのつらさとの結びつきは、はっきりしなかった。著者らは、配信者への親しみを「両刃の剣」と表現している。
対象: 2018〜2025年に発表された17件の研究。1件あたり124〜932人で、10代・大学生・若い大人が中心 / 限界: 17件中14件が1回きりの調査で、どちらが原因かは言えない。もともと幸福感が高い人ほど、配信者に親しみを持ちやすい可能性もある。
Kurtら(2026年)[2]
トルコの大学生に、よく見る配信者やインフルエンサーへの親しみと、孤独感、SNSのやめにくさ、生活への満足度を答えてもらった。孤独感が強い人ほど、配信者への親しみが強かった(相関0.50)。孤独感が強い人ほどSNSをやめにくく、生活への満足度が低く、それが親しみの強さにもつながる、という流れが統計の上で見られた。
対象: トルコの大学生674人(18〜33歳、平均21歳、65%が女性) / 限界: 大学生だけを集めた1回きりの調査で、寂しいから親しみが強まるのか、その逆なのかは区別できない。
Xieら(2025年)[3]
中国のショート動画の利用者に、先の見通しが持てない気持ち(絶望感の尺度)、配信者への親しみ、「自分らしさ」の感覚、幸福感を答えてもらった。先の見通しが持てない人ほど配信者への親しみが強く、親しみが強い人ほど「自分らしさ」の感覚や幸福感が高かった。この結びつきは、配信者を「自分に似ている」と感じる人で強めだった。
対象: 中国のショート動画の利用者2,902人(平均31.5歳、48%が女性、2021年3月の調査) / 限界: 1回きりの調査で、配信を見たことで気持ちが回復したとは言えない。著者らも、実験や追跡調査が必要だとしている。
03 まだわかっていないこと推しの配信で、寂しさは本当に減る?
まだわかっていません。今回の研究のほとんどは1回きりの調査で、配信を見たことで寂しさが減ったのか、もともと元気な人が配信を楽しんでいるだけなのかは区別できていません。
- 配信を見る前と後で寂しさを比べた実験は、今回見つからなかった。17件のまとめに入った実験の研究は1件だけだった。
- 見る時間の長さと心の状態の関係は、今回の研究では調べられていない。
- 配信者への親しみが、友人や家族とのつながりの「代わり」になっているのか、「上乗せ」になっているのかは調べられていない。研究のまとめの著者らは、人とのつながりと置き換わると、かえって孤独が強まりうるという考え方も紹介している。
- 日本の人で同じ結果になるかはわからない。
04 今日からできるセルフケア推しの配信と上手に付き合うには?
配信を見ること自体はやめなくてかまいません。見る前に終わりの時間を決める、見たあとの気分を一言メモする、推しの話を誰か1人にする、の3つで、支えになる面を残しながら、やめにくさを防ぎます。
見る前に、終わりの時間を決めておく
研究のまとめでは、配信者への親しみが強い人ほどSNSをやめにくい傾向がありました。「この配信が終わったら閉じる」「0時になったら寝る」など、終わりを先に決めてから開きます。
目安 開く前に10秒
見たあとの気分を、一言だけメモする
閉じたあとに「少し楽になった」「余計に寂しくなった」などを一言書きます。研究のまとめでは、結びつきの強さが研究ごとに大きく違っていました。自分にとって支えになっているかは、自分の記録で確かめるのが確実です。
目安 1回30秒、1週間
推しの話を、誰か1人にしてみる
「昨日の配信、よかった」と友人や家族、同じ推しのファンに一言送ります。配信者への親しみが、人とのつながりの代わりではなく、会話のきっかけとして働くようにするための工夫です。
目安 週に1回、1分
寂しさそのものとの付き合い方は寂しさを押しのけず受け入れる練習の研究で、AIとの会話で寂しさをまぎらわすことについてはAIと話すと孤独はまぎれるかの研究で整理しています。
05よくある質問
寂しいときに推しの配信を見るのは、現実逃避でよくないこと?
よくないとは言えません。17件の研究のまとめでは、配信者への親しみは幸福感の高さと結びついていました。気をつけたいのは、見る時間が延びてやめにくくなることと、人とのつながりの代わりになりきってしまうことです。
推しの配信を見ても、かえって寂しくなるのはなぜ?
研究ではまだはっきりしていません。研究のまとめでは、配信者への親しみと、落ち込みや不安などのつらさとの間に、はっきりした結びつきは見られませんでした。見たあとに寂しさが強まる日が続くなら、見る時間や見る場面を変えてみるのも一つの方法です。
寂しい人ほど、推しにのめり込みやすい?
そういう傾向は報告されています。トルコの大学生674人の調査では、孤独感が強い人ほど配信者への親しみが強い関連がありました(相関0.50)。ただし調査は1回きりで、どちらが先かはわかりません。
推し活は、何時間までなら大丈夫?
研究で決まった目安はありません。今回の研究は「親しみの強さ」を測ったもので、見る時間の長さとの関係は調べていません。睡眠や予定に食い込むかどうかを、自分の目安にするのが現実的です。
つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。
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出典
- Li Y, Liu Z, Liu F. (2026). Parasocial Engagement With Social Media Influencers and Mental Health Outcomes: Systematic Review and Meta-Analysis. JMIR Mental Health, 13, e96331. https://doi.org/10.2196/96331
- Kurt IE, Bulut-Ateş F, Doğanülkü HA. (2026). Adaptation of Parasocial Relationships in Social Media Scale: its association with loneliness, social media use and life satisfaction. Frontiers in Psychology, 17, 1814389. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1814389
- Xie X, Lin Y, Bai Q. (2025). The recovery function of parasocial relationships for hopelessness on short-form video platforms: a moderated mediation study. BMC Public Health, 25(1), 3668. https://doi.org/10.1186/s12889-025-24830-6


