考える力・集中

やっていることに意味を感じられないと、集中できないのはなぜ?5つの研究では、意味の通る動画のほうが集中して見られ、香港の191人の1週間の記録では、集中できていた時間ほど意味も感じられていた

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的指針0件を整理
森の中、苔に覆われた小道
Photo: W.carter / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

何のためにやっているのかわからない作業だと、いつのまにか別のことを考えている。気が散るたびに「自分は集中力がない」と責めてしまう。研究では、意味と集中は互いに影響し合っていました。意味の通るものほど集中して見られ、集中できていた時間ほど意味も感じられていたのです。

3行でわかる

  1. カナダと米国の実験では、同じ動きの動画でも、話の筋が通る動画のほうが、でたらめな動画より集中して見られていた。
  2. 香港の大学生など191人の1週間の記録では、ふだんより集中できていた時間ほど、していることに意味を感じていた。この関係は、勉強や仕事から娯楽まで10種類すべての活動で見られた。
  3. 集中できないときは、まず作業の目的を一行で書く。そのうえで、意味の見える部分から短く手をつけ、気がそれたら戻す。研究結果から考えられる工夫だ。

01 結論から言うと意味を感じないと集中できないのはなぜ?

意味は注意を引きつけて保つ働きがある、と考えられているためです。5つの研究をまとめた論文では、意味の通るものほど集中して見られ、日常でも集中できていた時間ほど意味が感じられていました。意味と集中は、互いに影響し合っていました。

ここでの「意味」は、話の筋が通っている、大切だと思える、目的があると感じる、という3つの感覚をまとめたものです。研究者らは、意味があると注意が向き、注意を向けることで意味が感じられる、という両方向の関係を考えました。

ただし、集中すれば何でも意味が感じられるわけではありませんでした。意味を見つけようがないものに集中しても、意味は増えなかったのです。気が散るのは、集中力が弱いからだけでなく、目の前の作業の意味が見えにくくなっている合図かもしれません。

02 研究とデータでわかっていること意味と集中は、どうつながっている?

実験では、意味の通る動画のほうが集中して見られていました。日常の記録では、集中できていた時間ほど、していることに意味を感じていました。一方で、集中すると意味が増えるのは、そのものに意味があるときに限られていました。

1,654人意味と集中の関係を調べた5つの研究の参加者の合計(2026年発表)
10種類香港の191人の1週間の記録で、集中と意味の結びつきが見られた日常の活動の数(すべての活動)
104人作業への興味と上の空の関係を調べた、日本の大学生(2020年発表)

Tam ら(2026)実験[1]

参加者は5分間の動画を見ました。同じ図形が動く動画でも、「三匹の子ぶた」の筋に沿って動き、音声もつながっている動画を見た組は、動きがでたらめで音声も切り貼りされた動画を見た組より、集中して見られたと答えていました。退屈やいやな気分も少なめでした。また、意味の通る動画では、集中するよう指示された組のほうが意味を感じていました。ところが、映像と関係のない講義の音声を重ねた動画では、集中した組のほうがかえって意味を感じていませんでした。

対象: 米国の大人402人と358人(オンラインの実験)、カナダの大学生378人と325人 / 限界: 集中と意味はどちらも本人の答えで測っています。意味の通る動画でも意味の評価は尺度の真ん中より低く、実験用の動画で調べた結果です。

Tam ら(2026)日常の記録[1]

参加者は1週間、1日5回、スマホのアプリで「この30分に何をしていたか」「それに意味を感じたか」「どのくらい集中できたか」に答えました。ふだんより集中できていた時間ほど、していることに意味を感じていました。この関係は、勉強・仕事、授業、運動、移動、食事、休息、人との交流、娯楽など、10種類すべての活動で見られました。結びつきが強めだったのは授業や運動で、弱めだったのは人との交流や娯楽でした。

対象: 香港大学で募集した18〜53歳の191人(平均23.1歳、97.9%が学生)、4,778回分の回答 / 限界: 記録から見た関連で、集中が意味を増やしたのか、意味が集中を高めたのかは、この部分だけでは区別できません。意味と集中は1つの質問ずつで測っています。

Kawagoe ら(2020)[2]

日本の大学生が、画面に出る数字に反応し続ける単調な課題を行い、途中で「いま課題のことを考えていたか」をたずねられました。課題に興味や楽しさを感じていた人ほど、上の空になることが少ない関係がありました。

対象: 日本の18〜24歳の大学生176人のうち、課題を行った104人 / 限界: 関連を調べたもので、原因と結果の向きはわかりません。興味や楽しさは課題のあとに一度だけたずねています。

He ら(2023)[3]

中国の大学生が3種類の注意の課題を行い、上の空になっていたか、それに気づいて注意を戻そうとどのくらい努力したかを答えました。課題に興味を持っていた人ほどやる気が高く、注意を戻そうとする努力も強く、上の空が少ないという、つながった関係が見られました。

対象: 中国の17〜29歳の大学生207人 / 限界: 個人差の関連を調べたもので、興味を高めると上の空が減るかを確かめた実験ではありません。大学生だけが対象です。

学ぶ目的が見えずに集中できないときの研究は「AIがあるのに勉強する意味がわからず、集中して学べない」で整理しています。

03 まだわかっていないこと仕事の作業でも、意味を感じれば集中が続く?

まだはっきりしていません。実験は5分間の動画で調べたもので、仕事の作業で意味の感じ方を変えると集中が続くかを確かめた研究ではありません。日常の記録も、学生が中心の1週間のものでした。

  • 意味の感じ方を変えたときに、仕事や勉強の集中が実際に続くかは確かめられていません。
  • 意味の通る動画でも意味の評価は低めで、強い意味を感じる体験で同じ結果になるかはわかりません。
  • 集中は本人の答えで測っていて、視線や脳の働きなどの客観的な測り方は使っていません。
  • AIに作業を任せることで、残った作業の意味の感じ方や集中がどう変わるかを調べた研究は、この記事の出典にはありません。

04 今日からできるセルフケア意味を感じない作業に集中するには?

まず、その作業が何につながるのかを一行で書きます。次に、意味の見える部分から短い時間だけ手をつけます。気がそれたら、責めずに注意を戻します。研究で見えた意味と集中の関係から考えた工夫です。

1

作業の行き先を、一行で書く

「この資料は、明日の会議で〇〇さんが判断するため」のように、何に、誰につながるかを書きます。意味の通るものほど集中して見られていたので、作業の筋道を自分に見える形にします。

目安 1分

2

意味が見える部分から、15分だけ手をつける

作業の中で、つながりがわかりやすい部分を先に選び、15分だけ集中してみます。意味のあるものに集中すると意味が感じられやすかったので、集中と意味が互いに支え合う流れを小さく作ります。

目安 15分

3

気がそれたら、責めずに戻す

上の空に気づいたら「戻ろう」と心の中で言い、手元の一行目に目を戻します。興味を持てている人ほど注意を戻す努力が強く、上の空が少なかったという研究があります。

目安 気づくたびに数秒

4

意味が見つからない作業は、まとめて短く片づける

どう考えても意味が見えない作業は、無理に集中して意味を探そうとせず、時間を決めてまとめて片づけます。意味を見つけようがないものに集中しても、意味は増えなかった実験があるためです。

目安 1日1回・15分

作業の途中で集中が切れたときの戻り方は「作業中、気づくと別のことを考えている」も参考になります。

05よくある質問

意味を感じない作業に集中できないのは、自分の集中力が弱いせいですか?

集中力だけの問題とは限りません。カナダと米国の実験では、同じ動きの動画でも、話の筋が通るように作られた動画のほうが、でたらめな動画より集中して見られていました。やっていることに意味が感じられるかどうかで、集中のしやすさが変わると考えられます。

集中して取り組めば、どんな作業にも意味が感じられるようになりますか?

そうとは限りません。意味の通る動画では、集中した組のほうが意味を感じていましたが、映像と関係のない音声を重ねた動画では、集中した組のほうがかえって意味を感じていませんでした。集中して意味が感じられるのは、その作業の中に見つけられる意味があるときだ、と研究者らは考えています。

動画やSNSを集中して見れば、充実感は増えますか?

香港の191人の記録では、集中できていた時間ほど意味も感じられるという関係が、娯楽を含むすべての活動で見られました。ただし、その結びつきは娯楽の時間で最も弱く、授業や運動の時間で強めでした。娯楽に集中しても、ほかの活動ほどは意味の感じ方と結びつかない可能性があります。

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出典

  1. Tam, K. Y. Y., van Tilburg, W. A. P., Chan, C. S., & Inzlicht, M. (2026). Meaning and attention intertwined: Experimental and experience-sampling findings. Personality and Social Psychology Bulletin, 52(11), 3642–3658. https://doi.org/10.1177/01461672251383966
  2. Kawagoe, T., Onoda, K., & Yamaguchi, S. (2020). The association of motivation with mind wandering in trait and state levels. PLoS ONE, 15(8), e0237461. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0237461
  3. He, H., Chen, Y., Li, T., Li, H., & Zhang, X. (2023). The role of focus back effort in the relationships among motivation, interest, and mind wandering: an individual difference perspective. Cognitive Research: Principles and Implications, 8, 43. https://doi.org/10.1186/s41235-023-00502-0