朝は頭が回らず、夜のほうがはかどる。英国の56人の実験では、夜型の人は朝8時の注意の課題で朝型より成績が8.4%低かった

朝いちばんの会議では言葉が出てこないのに、夜になると企画書がすらすら進む。それで「自分はだらしない」と責めていないでしょうか。頭が働く時間帯には人による違いがあり、夜型の人は朝に力を出しにくいことが実験で確かめられています。大事な考える作業をどこに置くかで、集中切れを前もって減らせます。
3行でわかる
- 英国の実験では、夜型の人は朝8時の注意の課題で朝型より8.4%、判断の課題で5.9%成績が低く、眠気も強かった。
- ポーランドの高校生の調査でも、夜型の生徒は朝1限の語彙テストで点が低く、午後には朝型との差がなかった。
- すべての課題で差が出るわけではない。自分の「冴える時間」を1週間メモし、考える作業をそこに置くのが手がかり。
01 結論から言うと朝に頭が回らないのは、怠けているから?
怠けているとは限りません。研究では、夜型の人は朝の早い時間に注意や判断の成績が落ちやすく、朝型の人との差が出ていました。頭が働きやすい時間帯は、人によってずれています。
人には、早く寝て早く起きるのが合う「朝型」と、遅く寝て遅く起きるのが合う「夜型」の違いがあります。これをクロノタイプ(朝型・夜型の体質)と呼びます。
研究のまとめでは、考える力の成績は「その人の朝型・夜型」と「テストを受けた時間帯」が合っているときに高くなりやすいと整理されています。夜型の人にとって朝8時は、ふだん起きる時間から間もない時間帯です。英国の実験では、成績は時計の時刻より「ふだん起きる時刻から何時間たったか」でよく説明できていました。
02 研究とデータでわかっていること夜型の人は、朝どのくらい集中しにくい?
英国の若い大人56人の実験では、夜型の人は朝8時に注意の課題で8.4%、判断の課題で5.9%、朝型より成績が低く、眠気も強くなっていました。高校生の調査でも、朝1限に同じ向きの差が出ていました。
Facer-Childs ら(2018)[1]
朝型25人と夜型31人に、14時・20時・翌朝8時の3回、注意の課題と判断の課題を受けてもらった。夜型の人は朝8時に、注意の課題で8.4%、判断の課題で5.9%、朝型より成績が低かった。朝8時の眠気も、夜型の人のほうが強かった。
夜型の人の注意の成績は、朝より夜のほうが高くなっていました。朝型の人は、判断の課題で朝がいちばんよく、午後や夜には下がっていました。参加者はふだんどおりの生活のまま測定を受けています。
対象: 英国の健康な大人56人(平均21.8歳、8割以上が運動を習慣にしている人) / 限界: 人数が少なく、若い運動習慣のある人が中心で、会社員や中高年にそのまま当てはまるとは限らない。
Jankowski ら(2023)[2]
高校の最終学年の生徒を、朝8時からの1限と、13時台からの7限で比べた。夜型の生徒の語彙テストの平均点は、1限では14.10点、午後は17.45点だった。朝型の生徒は、朝も午後も18点前後で変わらなかった。
朝1限では、朝型の生徒が夜型の生徒を大きく上回っていましたが、午後の授業では差がありませんでした。一方で、図形のパターンを見抜くテストでは、はっきりした差は出ていません。
対象: ポーランドの高校生198人(17〜20歳) / 限界: 同じ生徒を朝と午後で比べたのではなく、別のクラスを比べた一時点の調査。
Wiłkość-Dębczyńska・Liberacka-Dwojak(2023)[3]
朝型・夜型と時間帯、考える力の関係を整理した研究のまとめ。注意・記憶・思考など多くの働きで、朝型・夜型と時間帯が合っているときに成績が高くなりやすいと整理している。年齢による体内時計の違いも大きいとしている。
このレビューが紹介している研究では、60〜75歳の人は朝なら18〜24歳の人と同じくらい記憶の課題ができましたが、午後は若い人のほうが35%上回っていました。年齢を重ねるほど朝に力を出しやすい傾向があるということです。
対象: 既存の研究のまとめ(ナラティブレビュー) / 限界: 研究を系統的に集めて数値を統合したメタ分析ではない。
03 まだわかっていないこと時間割を変えれば、仕事の集中は上がる?
まだ結論は出ていません。時間帯と成績の関係は示されていますが、働く人が作業の時間を入れ替えて、集中や疲れがどう変わるかを確かめた研究は多くありません。
- 紹介した実験は若い人が中心で、人数も少なめです。会社員や中高年の仕事の場面で同じ差が出るかは、確かめられていません。
- 高校生の調査では、語彙のテストには差が出ても、図形のテストには出ませんでした。どの作業で時間帯の影響が大きいかは、まだはっきりしていません。
- 夜型の人の朝の不調には、体質だけでなく、朝早く起きることによる寝不足が混ざっている可能性があります。
04 今日からできるセルフケア考える作業は、何時にやるといい?
自分の「冴える時間」に、考える作業を置くのが手がかりです。夜型なら、朝は決まった手順の作業や確認にあて、企画や判断は昼以降に回します。まずは1週間、時間帯ごとの冴え具合を記録します。
1週間、冴え具合を時間帯ごとにメモする
朝・昼過ぎ・夕方の3回、「頭の冴え」を5段階でスマホのメモに書く。休日の自然な寝起きの時間も一緒に書いておくと、自分が朝型か夜型か見当がつきます。
目安 1回10秒・1日3回を7日間
いちばん冴える2時間に、考える作業を1つ置く
企画・文章・判断など頭を使う作業を、記録で冴えていた時間帯に予定として入れる。夜型の人は、朝いちばんは返信や整理など決まった手順の作業にあてます。
目安 1日1枠・2時間
朝に大事な予定がある日は、前日に準備を終える
朝の会議や試験は動かせないことも多いもの。前日の冴えている時間に資料や答えの準備を済ませ、朝は確認するだけにしておきます。
目安 前日に15〜30分
寝る時間と起きる時間が毎日ずれていて昼間に頭が働かないときは寝起きの時間がバラバラで昼間に頭が働かないとき、午後の眠気には短い昼寝の研究も参考になります。新しい時間割を続けるには「いつ・どこで・何を」を決める計画が使えます。
05よくある質問
夜型は、努力で朝型に変えられる?
この記事で紹介した研究は、朝型・夜型を変える方法は調べていません。朝型・夜型には生まれつきの面と、光など環境の影響の両方があるとされています。まずは今の自分の「冴える時間」を知り、考える作業をそこに置く方法から試せます。
朝に大事な試験や会議があるときは、どうすればいい?
夜型の人は朝に眠気が強く、成績も落ちやすい傾向がありました。前日のうちに準備を済ませ、朝は考えるより確認するだけで済む状態にしておくと、朝の不利を小さくできます。睡眠時間を削らないことも大切です。
年をとると朝型になるって本当?
研究のまとめでは、年齢によって体内時計に大きな違いがあると整理されています。このレビューが紹介している研究では、60〜75歳の人は朝なら18〜24歳と同じくらいの記憶の成績でしたが、午後は若い人のほうが35%上回っていました。
無料ツール
セルフチェックで「今日やること」をまとめる
当てはまる悩みを選ぶだけ。診断はせず、記事の対策を一覧にします。
研究早見表でほかの悩み210件も見る
出典
- Facer-Childs ER, Boiling S, Balanos GM (2018). The effects of time of day and chronotype on cognitive and physical performance in healthy volunteers. Sports Medicine - Open, 4, 47. https://doi.org/10.1186/s40798-018-0162-z
- Jankowski KS, Díaz-Morales JF, Vollmer C (2023). Chronotype, time of day, and performance on intelligence tests in the school setting. Journal of Intelligence, 11(1), 13. https://doi.org/10.3390/jintelligence11010013
- Wiłkość-Dębczyńska M, Liberacka-Dwojak M (2023). Time of day and chronotype in the assessment of cognitive functions. Advances in Psychiatry and Neurology (Postępy Psychiatrii i Neurologii), 32(3), 162-166. https://doi.org/10.5114/ppn.2023.132032


