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スクショしたのに、中身をまったく覚えていないのはなぜ?米国の大学生の実験では、スクショした絵は、ただ見た絵より正しく選べた割合が約22ポイント低かった

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的指針0件を整理
天窓から光が入る博物館の展示ホール
Photo: Diliff / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

気になった記事も、AIの答えも、会議の画面も、とりあえずスクショ。あとでアルバムを開くと、撮ったことすら覚えていない。物覚えが悪くなったのかと不安になる人もいるかもしれません。結論から言うと、米国の大学生の実験では、スクショした絵は、ただ見た絵より正しく選べた割合が約22ポイント低く、写真を撮った場合より下がり方が大きい結果も出ていました。

3行でわかる

  1. 撮ったものほど覚えていない現象は「写真による記憶の低下」と呼ばれ、くり返し確かめられている。米国の大学生39人の実験では、ただ見た絵は76%を正しく選べたが、スクショした絵は54%だった。
  2. 操作がかんたんなスクショのほうが、写真より下がり方が大きかった。研究者は、手間で注意が割かれるからではなく、「保存したから覚えなくていい」と頭が手を離すためではないかと考えている。
  3. オンライン講義の実験では、撮ったほうが覚えていた内容もあった。どの場面でもスクショが悪いとは言えず、ふだんの記憶力が落ちるかも調べられていない。

01 結論から言うとスクショしたものを覚えていないのはなぜ?

保存したことで、頭が「覚えなくていい」と手を離すためだと考えられています。米国の実験では、スクショした絵は、ただ見た絵より正しく選べた割合が約22ポイント低くなっていました。物覚えが悪くなったというより、保存が記憶の代わりをした状態です。

心理学では、撮影したものほど後で覚えていない現象を「写真による記憶の低下(フォト・テイキング・インペアメント効果)」と呼びます。美術館の展示や絵の画像を使った実験で、くり返し確かめられてきました。

なぜ起きるのかには、2つの説があります。1つは、撮る操作に注意をとられ、見ることがおろそかになるという説。もう1つは、記憶をスマホに任せたり、撮った時点で体験から気持ちが離れたりするという説です。今回の実験は、後者に近い結果でした。

記録に任せると覚えにくくなる話は、スマホに頼って物忘れが増えた気がするときの記事でも整理しています。

02 研究とデータでわかっていることスクショと写真で、覚え方は違う?

違いました。大学生39人の実験では、正しく選べた割合が、ただ見た絵で76%、写真に撮った絵で63%、スクショした絵で54%でした。自分のスマホでスクショした実験でも、ただ見た絵より低くなっていました。

76%と54%ただ見た絵と、スクショした絵を正しく選べた割合。米国の大学生39人の実験(2025年発表)
63%同じ実験で、写真に撮った絵を正しく選べた割合。スクショよりは高かった
31%と19%スマホの中のスクショと写真のうち、「覚えておいてもらうため」に保存したものの割合。米国の大学生306人

Lurie ほか / 米ビンガムトン大学(2025)[1]

大学生に「絵の感じ方の研究」と伝えて画面の絵を見てもらい、15枚ずつのまとまりごとに、ただ見る・写真に撮る・スクショするを切り替えました。20分後、それぞれの絵を、似た2枚の絵と並べて選んでもらうと、ただ見た絵は76%、写真は63%、スクショは54%を正しく選べました。

自分のスマホに表示した絵をスクショした実験(28人)でも、ただ見た絵69%に対してスクショした絵は54%でした。自分のスマホで写真を撮った場合と、慣れない端末で撮った場合の差はありませんでした。操作がかんたんなスクショのほうが下がり方が大きく、端末の慣れでも差が出なかったことから、研究者は注意が割かれることだけでは説明できないと考えています。

別の306人の調査では、最近のスクショの約31%、写真の約19%が「スマホに覚えておいてもらうため」に保存されていました。

対象: 米国の大学生(4つの研究。実験は1回あたり28〜39人) / 限界: 実験は人数が少なく、絵を覚える課題に限られる。保存した画像を見返す場面は調べていない。

Soares & Storm / 米ミシシッピ州立大学など(2022)[3]

絵を1回撮る、5回撮る、撮らずに見る、を比べた3つの実験です。5回撮っても、撮らずに見た絵より細かいところを覚えていませんでした。5枚とも違う撮り方をするよう指示した場合も同じでした。

対象: 米国の大学生 / 限界: 実験室で絵を見る課題で、旅行や仕事の場面にそのまま当てはまるとは限らない。

Trego ほか / 米カリフォルニア大学リバーサイド校など(2025)[2]

講義の動画を見ながら、スライドを撮る・メモを取るを組み合わせた3つの実験です。対面で行った実験(216人)では、撮ったスライドの内容の正答率が20%、撮らなかった内容が23%でした。オンラインで行った実験(192人)では、スライドに書かれた内容は撮ったほうがむしろ覚えていました。メモを取ったときは、対面とオンラインのどちらでも成績が上がっていました。

対象: 米国の大学生(3つの実験で計454人) / 限界: 5分ほどの短い講義で、テストの前に写真やメモは見返していない。オンラインの実験は、指示に従わなかった人が多く除かれている。

03 まだわかっていないことスクショを続けると、記憶力は落ちていく?

まだわかっていません。研究でわかっているのは、撮ったものをその場で覚えにくくなることまでです。スクショを続けた人のふだんの記憶力が落ちるかどうかを長く追った研究は、ここで紹介したものにはありません。

  • 長い目で見た影響。どれも数十分以内のテストで、何か月もスクショを続けたときの変化は調べていません。
  • 見返したときの効果。テストの前に保存した画像を見返す場面は調べていないため、見返せば覚え直せるかはわかりません。
  • なぜスクショで下がり方が大きいのか。「スマホに任せた」ためか、体験から気持ちが離れるためか、研究者自身も区別できていないとしています。
  • 場面による違い。オンライン講義では撮ったほうが覚えていた結果もあり、どんな場面で下がり、どんな場面で下がらないかは研究が続いています。

04 今日からできるセルフケア覚えておきたいものは、どう残せばいい?

撮る前に、「あとで見られればいいもの」か「覚えておきたいもの」かを分けることから始められます。覚えたいものは撮らずに見る時間を作り、学ぶ場面ではメモを添えます。お金はかかりません。

1

撮る前に「任せる」か「覚える」かを決める

料金表や予約番号のように、あとで見られればよいものは安心してスクショで任せます。覚えておきたいものだけ、次の2つの工夫を使います。

目安 1回3秒

2

覚えたいものは、撮らずに見る時間を作る

実験では、ただ見た絵のほうが、撮った絵よりよく覚えていました。気に入った景色や作品は、撮る前か撮ったあとに、スマホを置いて少しのあいだ眺めます。

目安 30秒ほど

3

学ぶ場面では、スクショに一言のメモを添える

講義や研修でスライドを撮るときは、要点を自分の言葉で一言メモします。講義の実験では、メモを取ったときに成績が上がっていました。

目安 スライド1枚につき1行

AIに任せたことを覚えておくコツは、AIに任せたことを、あとで何も覚えていないときの記事で紹介しています。

05よくある質問

スクショすると、記憶力そのものが落ちる?

そこまでは言えません。実験でわかったのは、スクショしたその絵を覚えにくくなることです。ふだんの記憶力が下がるかどうかは調べられていません。保存した画像を見返せば、中身は確かめられます。

写真を何枚も撮れば、覚えていられる?

そうとは限りません。米国の3つの実験では、同じ絵を5回撮っても、撮らずに見た絵より覚えていない結果でした。5枚とも違う撮り方をするよう指示しても、同じ傾向でした。

授業のスライドは、撮らないほうがいい?

場面によります。対面の講義の実験(216人)では、撮ったスライドの内容のほうが覚えていませんでした。一方、オンラインの実験(192人)では、スライドに書かれた内容は撮ったほうがむしろ覚えていました。どちらの実験でも、メモを取ったときは成績が上がっていました。

スクショをやめないといけない?

やめる必要はありません。大学生306人の調査では、スクショの約3割は「スマホに覚えておいてもらうため」でした。あとで見られればよい情報は任せてかまいません。覚えておきたいものだけ、撮らずに見る時間を作るのが一つの方法です。

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出典

  1. Lurie, R., Fabrizio, S. P., & Westerman, D. L. (2025). The cost of saving: How photos and screenshots impair memory. Memory & Cognition, 53(7), 2301–2311. https://doi.org/10.3758/s13421-025-01711-2
  2. Trego, M. M., Soares, J. S., & Ditta, A. S. (2025). Snap & Write: Examining the Effect of Taking Photos and Notes on Memory for Lecture Content. Behavioral Sciences, 15(5), 561. https://doi.org/10.3390/bs15050561
  3. Soares, J. S., & Storm, B. C. (2022). Does taking multiple photos lead to a photo-taking-impairment effect? Psychonomic Bulletin & Review, 29(6), 2211–2218. https://doi.org/10.3758/s13423-022-02149-2