人とのつながり

失恋から立ち直れない。カナダの若者196人の追跡では、別れの1か月後に自分を責める対処が多い人ほど、3か月後も落ち込みが強かった

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的指針0件を整理
夕暮れの静かな湖
Photo: Aslam Karachiwala / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

別れてから何週間もたつのに、気持ちが戻らない。そんな自分を「いつまで引きずっているんだ」と責めてしまう人は少なくありません。研究では、失恋のあとの落ち込みは多くの人で時間とともに軽くなっていました。そして、長引くかどうかには、別れのあとの「自分の責め方」や「考え込み方」が関わっていました。

3行でわかる

  1. カナダの18〜25歳196人の追跡では、別れの1か月後に「自分を責める・自分のことばかり考え込む」対処が多い人ほど、1か月後と3か月後の落ち込みと不安が強かった。
  2. 反対に、受け入れる・見方を変える・前向きさを保つといった対処が多い人ほど、落ち込みが少なかった(不安とのはっきりした関連はなかった)。
  3. オランダの女性87人を30週間追った研究では、半分近くの38人は落ち込みが低いまま、41人は途中で回復し、強い落ち込みが続いたのは8人だった。

01 結論から言うと失恋から立ち直れないのは、おかしいこと?

おかしいことではありません。失恋のあとに落ち込むのはよくあることで、多くの人は時間とともに軽くなっていました。長引きやすさには、自分を責めて同じことを考え込む対処が関わっていました。

失恋は、生活の中の大きなストレスの一つです。ドイツの調査では、同居していない恋人と別れたあと、生活の満足度が下がっていました。落ち込むのは、心が弱いからではありません。

一方で、回復の速さには人によって大きな差がありました。カナダの研究では、その差に「別れたあと、どう向き合ったか」が関わっていました。とくに、自分を責めること、自分の気持ちや欠点ばかりを繰り返し考えること(研究では「自己懲罰的な対処」と呼びます)が、あとの落ち込みと結びついていました。

02 研究とデータでわかっていること立ち直りが遅れやすいのは、どんなとき?

自分を責めて考え込む対処が多いと、1か月後も3か月後も落ち込みと不安が強い関連がありました。受け入れて見方を変える対処は、落ち込みの低さと結びついていました。強い落ち込みが30週間続いた人は少数でした。

196人交際中から追跡し、1年の間に別れを経験したカナダ・ケベック州の18〜25歳(2020年に募集)
87人中8人別れから30週間、強い落ち込みが続いたオランダの18〜34歳の女性(2018〜2020年)
87人中41人同じ研究で、落ち込みが強かったあと30週間の間に回復した人(速い回復22人、ゆっくり回復19人)
2,631人同居していない恋人との別れと心の状態を毎年調べたドイツの18〜47歳(2009〜2019年の調査)

Gehl ら(シャーブルック大学ほか、2024)[1]

交際中の若者1,385人を1年間追い、その間に別れた196人を調べました。別れの1か月後の対処の仕方を5種類に分けると、「自分を責める・自分のことを繰り返し考え込む」対処が多い人ほど、1か月後と3か月後の落ち込みと不安が強くなっていました。「受け入れる・見方を変える・前向きさを保つ」対処が多い人ほど、落ち込みは少なくなっていました。別れる前の落ち込みや不安の強さを考えに入れた分析です。気持ちを話す・助けを求める対処や、問題を避ける対処は、ほかの対処と合わせて分析すると、はっきりした関連は残りませんでした。

対象: カナダ・ケベック州のフランス語がわかる18〜25歳196人(女性163人、平均21歳。2020年3〜9月に募集) / 限界: 観察研究で、対処の仕方が落ち込みを生んだのか、落ち込んでいる人がそうした対処をとりやすいのかは区別できません。

Verhallen ら(フローニンゲン大学医療センター、2022)[2]

別れて2か月以内の女性87人に、30週間、2週間ごとに落ち込みの質問票に答えてもらいました。落ち込みの変化は4つの型に分かれました。ずっと低いままの人が38人、強かったあと速く回復した人が22人、ゆっくり回復した人が19人、強い落ち込みが続いた人が8人でした。強い落ち込みが続いた人は、ずっと低かった人に比べて、くよくよと同じことを考え込む傾向(反すう)が強くなっていました。一方、自分の気持ちを落ち着いて振り返る傾向には、型による差はありませんでした。

対象: オランダの18〜34歳の女性87人(交際6か月以上、精神疾患の診断なし) / 限界: 女性だけの少人数の研究で、強い落ち込みが続いた人は8人と少なく、強い結論は出せないと著者自身が書いています。

Preetz(ドイツ、2022)[3]

ドイツの大規模な調査で、同居していない恋人と別れた前後の変化を、同じ人の中で比べました。別れたあと、生活の満足度は男女とも下がっていました。男性は別れた直後に落ち込みが強まりましたが、1年後の調査ではその差は見られなくなっていました。女性は、落ち込みにはっきりした変化はなく、下がった生活の満足度も翌年には元の水準に戻っていました。男性の生活の満足度は、その後の年も別れる前より低いままでした。

対象: ドイツの18〜47歳2,631人(別れ1,609件、2009〜2019年の毎年の調査) / 限界: 調査は1年に1回で、別れてから数週間〜数か月の細かな変化はわかりません。

ひとりの時間が長引いて気持ちが沈んだままのときは「孤独な時期が続いて、気持ちが沈んだまま戻らない」、同じことを何日も思い返してしまうときは「少し離れた視点で振り返る方法」も参考になります。

03 まだわかっていないこと考え込むのをやめれば、早く立ち直れる?

まだわかっていません。紹介した研究は、対処の仕方と落ち込みの関連を追ったもので、対処を変えると回復が早まるかを確かめた実験ではありません。日本の人を対象にした追跡研究も見当たりませんでした。

  • 落ち込みが強いから自分を責めやすいのか、自分を責めるから落ち込みが続くのか、向きははっきりしていません。
  • カナダの研究は女性が8割以上で、オランダの研究は女性だけです。男性の回復の道筋は、ドイツの調査以外では詳しくわかっていません。
  • 結婚や同居をしていた相手との別れは、ここで紹介した研究の中心ではありません。別れの事情によって、回復の速さは変わる可能性があります。

04 今日からできるセルフケア立ち直れないとき、何から始めればいい?

まず「立ち直れない自分」を責めるのをやめることです。研究で落ち込みと結びついていたのは、自分を責めて考え込む対処でした。受け入れる、見方を変える方向へ、少しずつ考えを向けます。お金をかけずにできます。

1

「まだ引きずっている」と責めそうになったら、言い方を変える

「いつまで落ち込んでいるんだ」を「大事だった関係だから、時間がかかっている」に言い換えます。研究では、自分を責める対処が多い人ほど落ち込みが強かったためです。研究で直接試された方法ではなく、結果から考えた工夫です。

目安 気づいたときに10秒

2

「なぜ」を繰り返していると気づいたら、場所か作業を変える

「なぜ自分はだめだったのか」と同じ問いが回り続けるのが、くよくよ型の考え込みです。気づいたら、立ち上がる、外に出る、手を動かす作業をするなど、いったん切り替えます。

目安 1回5分

3

「この関係でよかったこと・次に大事にしたいこと」を1つ書く

起きたことを受け入れ、見方を変える対処が多い人ほど、落ち込みは少なくなっていました。責める材料ではなく、残しておきたいことを1行だけ書きます。書くのがつらい日は休んでかまいません。

目安 1日3分

4

2週間ごとに、気分を10点満点でメモする

オランダの研究では、落ち込みの多くは数か月かけて軽くなっていました。毎日の上下ではなく2週間ごとに比べると、少しずつの変化に気づきやすくなります。

目安 2週間に1回、1分

話せる相手を少しずつ取り戻したいときは「昔の友達に連絡したいけど気まずい」も参考になります。

05よくある質問

失恋から立ち直るまで、どれくらいかかりますか?

人によって大きく違います。オランダの女性87人の研究では、別れから30週間の間に、落ち込みがずっと低かった人、数か月で回復した人、強い落ち込みが続いた人に分かれました。ドイツの毎年の調査では、男性の落ち込みの上昇は1年後には見られなくなっていましたが、男性の生活の満足度はその後も低いままでした。

失恋のことを友達に話すと、早く立ち直れますか?

研究でははっきりしていません。カナダの196人の研究では、気持ちを話す・助けを求める対処は、ほかの対処と合わせて分析すると、落ち込みとのはっきりした関連は残りませんでした。話すことが悪いという結果でもありません。話したいときに、話したい相手に話してかまいません。

元恋人のことを考えてしまうのは、よくないことですか?

考えること自体が悪いとは言えません。オランダの研究では、落ち込みが続いた人に強かったのは、同じことをくよくよ繰り返し考える傾向で、気持ちを落ち着いて振り返る傾向には差がありませんでした。考えが同じところを回っていると気づいたら、いったん切り替えるのが一つの方法です。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Gehl, K., Brassard, A., Dugal, C., Lefebvre, A.-A., Daigneault, I., Francoeur, A., & Lecomte, T. (2024). Attachment and Breakup Distress: The Mediating Role of Coping Strategies. Emerging Adulthood, 12(1), 41-54. https://doi.org/10.1177/21676968231209232
  2. Verhallen, A. M., Alonso-Martínez, S., Renken, R. J., Marsman, J.-B. C., & ter Horst, G. J. (2022). Depressive symptom trajectory following romantic relationship breakup and effects of rumination, neuroticism and cognitive control. Stress and Health, 38(4), 653-665. https://doi.org/10.1002/smi.3123
  3. Preetz, R. (2022). Dissolution of Non-cohabiting Relationships and Changes in Life Satisfaction and Mental Health. Frontiers in Psychology, 13, 812831. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.812831