比べて落ち込む

SNSを見て「自分なんて」と悪いほうに考えてしまう。162人の実験では、別の見方を書き出す1回の練習で、悪い解釈が2週間後も減っていた

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わかっている度 ★★☆ 中研究4本・公的指針0件を整理
椅子に座ってノートに書き込む人の手元
Photo: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

友達の成功の投稿を見て「自分だけ取り残されている」。いいねが少なくて「誰にも必要とされていない」。SNSでは、そんなふうに悪いほうへ考えが走りがちです。米国の大学生162人の実験では、別の見方を書き出す1回の練習で、こうした悪い解釈が2週間後も減っていました。ただし、不安や落ち込みの症状そのものは、比べたグループと差がありませんでした。

3行でわかる

  1. SNSで比べて落ち込みやすい大学生162人の実験で、「別の見方を考える」1回の練習は、悪い解釈を減らし、その効果は2週間後も続いていた。
  2. 一方で、不安・落ち込みの症状や、人と比べる傾向そのものは、比べたグループと差がなかった。
  3. その場では、浮かんだ考えを1行で書き、「友達ならどう声をかけるか」で別の見方を2つ書くのが手がかりになる。

01 結論から言うとSNSを見て悪いほうに考えるのは、変えられる?

変えられる可能性があります。SNSの場面について別の見方を書き出す1回の練習で、悪い解釈が減り、2週間後も続いていた実験があります。ただし、気分の症状まで変わったわけではありません。

SNSには、あいまいな情報があふれています。いいねが少ない理由も、集合写真に呼ばれなかった理由も、画面からはわかりません。

わからない部分を、人は自分なりの意味で埋めます。比べて落ち込んでいるときほど、「自分がダメだから」「嫌われているから」という意味を選びやすくなります。研究では、この傾向を「否定的な解釈のくせ」と呼んで調べてきました。

変える方法として調べられているのが「捉え直し(リアプレイザル)」です。出来事の意味を、別の角度から考え直すことを指します。いいねを何度も確かめてしまう仕組みはSNSの反応が気になる記事で、比べたことを何日も思い返すときの方法は少し離れた視点で振り返る記事で整理しています。

02 研究とデータでわかっていること捉え直す練習で、何が変わった?

悪い解釈は減り、よい解釈は増え、2週間後も続いていました。一方、不安や落ち込みの症状、人と比べる傾向は、比べたグループと差がありませんでした。考え方を変える方法の効果は、306件の比較のまとめで小〜中程度でした。

162人SNSで比べて落ち込みやすい米国の大学生。1回の捉え直しの練習を試した実験(2023年秋に募集)
2週間後SNSの場面での悪い解釈が減った状態が、2週間後も続いていた
d=0.36考え方を変える方法が気持ちを変える効果。306件の実験的な比較のまとめ(2012年)
613人いいねの数を実験で変えた10代(平均14.3歳)。少ない側は拒まれた感じが強かった(2020年)

LadisとTeachman(2026年)[1]

SNSを1日に何度も使い、人と比べる投稿や「好かれていない」と感じる投稿に悩む大学生を、2つのグループにくじで分けました。一方は、オンラインで1回、捉え直しを練習しました。誕生日の投稿、いいねやコメントの数、集合写真、フォロワーが減る、他人の成功を見る、などの場面から3つを選びます。登場人物の悪い考えに「別の見方」を書いて返し、最後に自分の経験でも練習します。もう一方は、SNSの機能を比べて使い方の助言を書く作業をしました。練習したグループは、直後も2週間後も、SNSの場面での悪い解釈が減り、よい解釈が増えていました。SNS以外の場面(パーティーで見られている等)でも同じ傾向でした。取り残される不安(FOMO)も、2週間後に少し減っていました。

対象: 米国の大学の18〜23歳、平均18.8歳。約8割が女性 / 限界: 不安・落ち込みの症状と、人と比べる傾向は、比べたグループと差がありませんでした。練習したグループで、日頃の捉え直しの回数が増えたわけでもありません。追跡は2週間です。

Webbら(2012年)[2]

気持ちを整える方法を比べた、306件の実験的な比較のまとめ(メタ分析)です。考え方を変える方法は、気持ちを変える効果が小〜中程度でした(d=0.36)。中でも、相手の立場から見る方法の効果が大きめでした(d=0.45)。反対に、自分の気持ちにじっと集中する方法は、気持ちを悪くする向きでした(d=-0.26)。

対象: 気持ちを整える方法を比べた306件の実験的な比較 / 限界: SNSや人との比較に限った分析ではありません。

Leeら(2020年)[3]

10代の613人(平均14.3歳)に、決まった形のSNSのやりとりを体験してもらいました。いいねを少なく受け取るか多く受け取るかは、くじで決めました。少ない側の生徒は、拒まれた感じが強く、嫌な気分と、自分について悪い考えが増えていました。579人の別の実験でも同じ結果で、学校で仲間からいじめを受けていた生徒が最も影響を受けやすい傾向でした。

対象: 10代 / 限界: 用意された実験の場面で、大人や実際のSNSでの反応とは条件が違います。

Castillo-Gualdaら(2026年)[4]

スペインの16〜75歳1,707人を、全国の人口構成に合わせて集めた2024年9月の調査です。SNSの時間は、スマホの利用時間の画面で確かめました。不安・落ち込み・怒りとSNSの時間との結びつきは、人と比べる傾向と、思い悩む・最悪を考えるといった気持ちの整え方の癖が重なる人で強くなっていました。

対象: スペインの一般の大人と10代後半 / 限界: 1回の調査の相関で、どちらが原因かはわかりません。

研究で使われた6つの場面を、「浮かびやすい考え」と「別の見方の例」に並べました。別の見方は、このメディアが作った例です。正解は1つではありません。

場面はLadisとTeachman(2026年)の練習で使われたもの。考えと別の見方の例は、このメディアによる作成。
SNSの場面浮かびやすい考え別の見方の例
他人の成功の投稿自分だけ遅れている見えているのは、その人の一番よい日だけ
いいねやコメントが少ない誰にも必要とされていない流れてきた時間や、見た人の忙しさでも変わる
自分のいない集合写真自分は呼ばれない存在だ別のつながりの集まりだったのかもしれない
誕生日の投稿が少ない友達は自分を大切に思っていない投稿しない人も、気持ちは別の形で持っている
フォロワーが減った嫌われた使い方を変えた人や、整理しただけの人も多い
投稿の見た目がそろわないセンスがない見た目を気にしているのは、自分だけかもしれない

03 まだわかっていないこと捉え直しで、落ち込みまで軽くなる?

まだわかっていません。紹介した実験では、悪い解釈は減っても、不安や落ち込みの症状は比べたグループと差がありませんでした。大人や日本での研究も見つかりませんでした。

  • 解釈の変化が、時間をかけて気分の改善につながるかは確かめられていません。追跡は2週間でした。
  • 実験の対象は米国の大学生で、約8割が女性でした。社会人や中高年、日本の人に同じ効果があるかはわかりません。
  • この論文が紹介している先行研究では、「SNSの写真は加工されていて、よい面だけが載っている」という注意書きを見せても、うらやましさや気分に効果がありませんでした。知識として知るだけでなく、自分で別の見方を書く練習が必要なのかは、比べて確かめられていません。
  • AIで作られた画像や文章が増えたSNSで、比べ方や解釈がどう変わるかを調べた研究は、まだ見つかりませんでした。

04 今日からできるセルフケア悪いほうに考えた、その場でできることは?

浮かんだ考えを1行で書く、友達にかける言葉として別の見方を2つ書く、落ち着いた日に自分の場面で一度練習しておく、の3つです。いじめや嫌がらせは、捉え直すものではありません。

1

浮かんだ考えを、そのまま1行で書く

「いいねが5つしかない。誰にも必要とされていない」のように、場面と考えを分けて書きます。次のステップで別の見方を考えるための準備です。

目安 30秒

2

友達が同じことで悩んでいたら、と考えて別の見方を2つ書く

実験の練習でも、登場人物に「別の見方」を返す形を使っていました。自分のことだと厳しくなりがちでも、友達あてなら言葉が見つかりやすくなります。上の表の例を使ってもかまいません。自分を責めてしまうときは自分への思いやりの記事も参考になります。

目安 3分

3

落ち着いている日に、自分の場面で一度練習しておく

実験の練習は、最後に自分の経験で練習する形でした。最近SNSで落ち込んだ場面を1つ選び、悪い考えと別の見方を書いておきます。次に同じ場面が来たとき、書いたものを読み返すだけで済みます。

目安 1回10分

捉え直しは、いじめや嫌がらせ、ひどい言葉を受け入れるための方法ではありません。研究で使われた練習でも、そうした被害には使わないよう注意書きがありました。被害を受けているときは、信頼できる人や相談窓口に話すことを優先してください。SNSから少し離れる方法は取り残された気持ちの記事にあります。

05よくある質問

SNSを見て落ち込むのは、考え方が悪いから?

そうではありません。いいねが少ないと拒まれた感じが強くなることは、実験でも確かめられています。あいまいな情報を悪いほうに読むのは、多くの人に起きることです。考え方は、練習で少しずつ変えられる部分の1つです。

「SNSはよい面しか載っていない」と知っていれば平気?

知っているだけでは足りないかもしれません。注意書きを見せる実験では、うらやましさや気分に効果がありませんでした。自分の場面で別の見方を実際に書いてみる練習では、悪い解釈が減ることが確かめられています。

捉え直しは、無理に前向きに考えることと同じ?

違います。悪い考えを打ち消すのではなく、ほかにもありうる見方を並べることです。どれが本当かわからないとき、最悪の1つだけを選ばないための練習と考えるとよいでしょう。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Ladis I, Teachman BA (2026). Development and evaluation of a digital single-session reappraisal intervention to shift negative self-focused social media interpretations. Behaviour Research and Therapy, 200, 105007. https://doi.org/10.1016/j.brat.2026.105007
  2. Webb TL, Miles E, Sheeran P (2012). Dealing with feeling: a meta-analysis of the effectiveness of strategies derived from the process model of emotion regulation. Psychological Bulletin, 138(4), 775-808. https://doi.org/10.1037/a0027600
  3. Lee HY, Jamieson JP, Reis HT, Beevers CG, Josephs RA, Mullarkey MC, O'Brien JM, Yeager DS (2020). Getting fewer "likes" than others on social media elicits emotional distress among victimized adolescents. Child Development, 91(6), 2141-2159. https://doi.org/10.1111/cdev.13422
  4. Castillo-Gualda R, Rathje S, Ramos-Cejudo J (2026). Social comparison and maladaptive emotion regulation are associated with poorer mental health in social media users. Scientific Reports, 16, 9479. https://doi.org/10.1038/s41598-026-40371-3