課題や仕事に追われる時期ほど、AIに頼りきりになりそうで心配。中国の大学生690人の調査では、負担が重いと感じる人ほどAIへの依存の傾向が強く、そのつながりの6割は不安と先延ばしを通っていた

締め切りが重なる時期になると、気づけば何でもAIに聞いている。自分で考える時間がないから仕方ない、と思いつつ、このまま手放せなくなるのではと心配になる。そんな声は少なくありません。中国の大学生の調査では、負担の重さそのものより、その間にある「不安」と「先延ばし」がAIへの頼りすぎと結びついていました。
3行でわかる
- 中国の大学生690人の調査では、課題の負担が重いと感じる人ほど、AIを減らそうとしても減らせないといった依存の傾向が強くみられました。
- そのつながりの60%は、負担から生まれる不安と先延ばしを通る道すじで、いちばん大きいのは不安の道すじでした。
- 米英の大人1,035人の実験では、先延ばしている作業への気持ちを書き、小さな一歩とごほうびを決める約6分の練習で、「24時間以内にやる」見込みが少し上がりました。
01 結論から言うと忙しい時期は、なぜAIに頼りすぎやすいの?
負担が重いと不安が強まり、作業を後回しにしやすくなり、その先でAIに頼りきる傾向と結びついていました。忙しさは変えにくくても、不安と先延ばしの段階なら手を打てる可能性があります。
ここでいう「AIへの依存」は、AIを使う回数の多さではありません。「AIを減らそうとしたのにうまくいかなかった」といった、やめにくさの症状をたずねる質問で測られたものです。AIを上手に使って作業を進めること自体とは区別されています。
研究者たちは、課題の負担を「きっかけ」、不安を「気持ちの反応」、先延ばしを「行動を進める力のつまずき」と位置づけ、どの道すじでAIへの頼りすぎにつながるかを調べました。
02 研究とデータでわかっていること負担・不安・先延ばしは、どうつながっていた?
負担とAIへの依存のつながりのうち、40%は直接のつながり、60%は不安や先延ばしを通るつながりでした。不安を通る道すじが全体の28.6%で、いちばん大きな割合でした。
Jiang・Xu / 蘇州科技大学(2026)[1]
AIを使ったことがある大学生690人に、課題の負担感、課題への不安、先延ばし、AIへの満足感、AIへの依存をたずねました。負担が重いと感じる人ほど、AIへの依存の傾向が強くみられました。
つながりを分けると、直接のつながりが40.0%、不安を通る道すじが28.6%、先延ばしを通る道すじが17.1%、不安から先延ばしへと進む道すじが14.3%でした。さらに、AIに満足している人ほど、先延ばしとAIへの依存の結びつきが強くなっていました。
対象: 中国・蘇州の1つの大学の学生690人(17〜25歳、女性69.1%) / 限界: 一度きりのアンケートで、どちらが原因かはわかりません。AIへの依存が先延ばしを強めている可能性もあると著者たちが書いています。
Garg ら / カリフォルニア大学サンタバーバラ校(2025)[2]
先延ばししている作業を1つ挙げ、その作業へのいやな気持ちや理由を言葉にし、終えたときのよい点を考えたうえで、すぐできる小さな一歩、かかる時間、終えたときの小さなごほうびを決めてもらいました。
くじ引きで分けた比べる組(作業の場所などの中立な質問に答える組、作業名を書くだけの組)より、「24時間以内にその作業をやる」見込みが平均5.38対4.88と少し高く、作業への気分も少しよくなっていました。一方、作業へのいやさ、ストレス、やる気には、はっきりした差はありませんでした。
対象: 米国と英国に住む大人1,035人(平均39歳、学生は14%) / 限界: 実際に作業をしたかは測っておらず、差の大きさも小さいものでした。どの工夫が効いたのかも切り分けられていません。
Åsberg ら / リンショーピング大学(2024)[3]
スウェーデンの大学生2,209人を2組に分け、片方には自分の先延ばしの程度へのフィードバックと行動を変えるための助言を、ウェブで1回だけ届けました。2か月後、先延ばしの程度に2組ではっきりした差はありませんでした。
役に立たなかったと感じた人からは、助言を取り入れるのが難しく、続けて支えてもらえないと、やろうと思ったことを行動に移しにくかったという声が挙がっていました。
対象: スウェーデンの大学生2,209人(平均26.4歳) / 限界: 2か月後に答えた人は半分ほどで、結果が偏っている可能性があります。
03 まだわかっていないこと不安や先延ばしを減らせば、AIに頼りすぎなくなる?
まだわかっていません。負担・不安・先延ばしとAIへの依存のつながりは一度きりの調査で示されたもので、不安や先延ばしを減らしたときにAIへの頼りすぎが減るかを確かめた研究はまだ見当たりません。
- 調査は中国の1つの大学の学生が対象で、働く大人や別の国の人に同じつながりがあるかはわかりません。
- 負担が重いからAIに頼るのか、AIに頼るうちに先延ばしが増えるのか、向きはわかっていません。
- 先延ばしの練習の実験は、「やる見込み」が上がったことまでで、実際に作業を始めたかは確かめていません。
- 先延ばしへの助言を1回届けるだけの方法では、2か月後の変化ははっきりしませんでした。続けやすい形が何かは、まだ研究の途中です。
04 今日からできるセルフケア忙しい時期に、AIに頼りきりにならないためには?
負担が重くなりそうな時期の前に、不安を書き出す時間と、先延ばししている作業の小さな一歩を決めておくことです。AIを使わないことより、自分で動き出すきっかけを先に作るほうが研究と合っています。
後回しにしている作業に、いやな理由を一言と「小さな一歩」を書く
1,035人の実験と同じ流れで、作業名、いやな気持ちや理由、終えたときのよい点、すぐできる一歩とかかる時間、終えたときの小さなごほうびを書きます。AIに聞く前に、この一歩だけは自分で始めます。
目安 1回6〜7分
不安が強い日は、心配ごとを紙に出して時間を区切る
690人の調査では、負担とAIへの依存のつながりで最も大きかったのが不安の道すじでした。気になることを箇条書きにし、考える時間を決めて、それ以外の時間は作業に戻ります。
目安 1日1回・15〜30分
「AIで一気に片づいた」気持ちよさに気づいておく
AIに満足している人ほど、先延ばしと依存の結びつきが強くなっていました。締め切り前にAIで片づけた日は、「本当は何を後回しにしていたか」を一行メモしておくと、次の一歩を早めに決めやすくなります。
目安 週に1回・1分
心配ごとの時間を区切る練習は心配を1日30分にまとめる練習、目標や時間を自分で決める習慣とAIの関係はAIに頼るうちに、勉強の不安や夜更かしまで増えそうで心配、すぐ答えがほしい気持ちとAIの関係はAIに頼るほど、自分でできる気がしなくなるで整理しています。
05よくある質問
忙しいときにAIを使うのは、よくないことですか?
使うこと自体がよくないとは言えません。690人の調査で測られたのは、「減らそうとしても減らせない」といったやめにくさの傾向で、使う回数ではありません。気になるのは、不安や先延ばしの結果として、自分で始める場面がなくなっていく形です。
社会人の仕事にも当てはまりますか?
まだわかっていません。研究は中国の大学生を対象にしたもので、仕事の負担でも同じつながりがあるかは調べられていません。働く人については、今後の研究が必要です。
先延ばしをやめる方法を読むだけで、変わりますか?
読むだけでは変わりにくい可能性があります。スウェーデンの大学生2,209人の実験では、先延ばしへの助言をウェブで1回届けても、2か月後の先延ばしの程度に、届けなかった組とはっきりした差はありませんでした。書く・決めるといった手を動かす工夫と組み合わせるほうがよさそうです。
つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。
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出典
- Jiang, S., & Xu, N. (2026). Is Higher Academic Workload Associated with AI Dependency? Investigating the Roles of Academic Anxiety, Procrastination, and Satisfaction with AI. Psychology Research and Behavior Management, 19, 634780. https://doi.org/10.2147/PRBM.S634780
- Garg, A., Shelat, S., & Schooler, J. W. (2025). Now I feel like I'm going to get to it soon: a brief, scalable intervention for state procrastination. BMC Psychology, 13, 1158. https://doi.org/10.1186/s40359-025-03388-3
- Åsberg, K., Löf, M., & Bendtsen, M. (2024). Effects of a single session low-threshold digital intervention for procrastination behaviors among university students (Focus): Findings from a randomized controlled trial. Internet Interventions, 36, 100741. https://doi.org/10.1016/j.invent.2024.100741


