人とのつながり

話を切り上げたいのに、会話のやめどきがわからないのはなぜ?米国の研究では、初対面の2人が話した会話のうち、2人とも同じときに終わりたくて実際にそこで終われたのは約2%で、相手が望む長さの読み違いは平均9分を超えていた

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的指針0件を整理
白いクロスのテーブルといすが並ぶ、静かなレストラン
Photo: Basile Morin / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

もう帰りたいのに、言い出せない。長電話を終わらせるきっかけがつかめない。そんな経験は多くの人にあります。研究では、会話が2人の望んだときに終わることはほとんどなく、相手がいつ終わりたいかも大きく読み違えていました。やめどきに迷うのは、あなたが不器用だからではありません。

3行でわかる

  1. 米国の研究で初対面の2人が自由に話した会話のうち、2人とも同じときに終わりたくて、実際にそこで終われたのは1.59%でした。
  2. 相手が終わりたかった時点の見積もりは平均9.38分ずれていて、人は相手の望みをほとんど読めていませんでした。
  3. 研究者は、終わりたい気持ちは相手を傷つけないよう隠されやすく、そのために2人の足並みがそろわないと考えています。

01 結論から言うと会話のやめどきがわからないのはなぜ?

会話のやめどきがわからないのは、相手がいつ終わりたいかという情報が、ふつうは互いに隠されているからです。研究では、会話が2人の望んだときに終わることはほとんどありませんでした。

会話を終えるには、2人の気持ちがそろう必要があります。ところが「そろそろ終わりたい」と口にすると、相手を傷つけるかもしれません。そのため、多くの人はその気持ちを表に出さずにいます。

お互いが本音を隠しているので、相手の望みは推測するしかありません。研究者は、これを「必要な情報が手に入らないために解けない、足並みの問題」と説明しています。やめどきに迷うのは、多くの人に共通することだと考えられます。

02 研究とデータでわかっていること会話は、望んだときに終わっている?

ほとんど終わっていません。米国の2つの研究では、望んだ長さと実際の長さのずれは、会話の長さのおよそ半分でした。相手が終わりたい時点の見積もりも、大きくずれていました。

1.59%2人とも同じときに終わりたくて、実際にそこで終われた会話の割合(米国の初対面の2人の実験、126組、2021年発表)
29.37%どちらか1人が終わりたいときに終わった会話の割合(同じ実験)
9.38分相手が望んだ会話の長さの、見積もりの平均のずれ(同じ実験)
46.83%2人とも、実際より早く終わりたいと思っていた会話の割合(同じ実験)

Mastroianni ら / ハーバード大学など(2021年)[1]

806人に、直近の会話を振り返ってもらいました。相手の79.16%は恋人・友達・家族でした。66.51%が「会話の途中で、もう終わってもいいと思った時点があった」と答えています。会話は平均13.97分で、望んだ長さと実際の長さのずれは平均6.60分でした。多くの人は、自分のほうが相手より先に終わりたかったと考えていました。

対象: インターネットの調査に応じた、英語を話し米国の文化になじみのある806人 / 限界: 振り返りによる回答で、相手の気持ちは本人の推測です。

Mastroianni ら / ハーバード大学など(2021年)[1]

初対面の2人に、1分より長く45分より短い範囲で、好きなだけ話してもらいました。2人とも同じときに終わりたくて、実際にそこで終われた会話は1.59%でした。2人とも実際より早く終わりたかった会話が46.83%、2人とももっと話したかった会話は9.52%でした。相手が望んだ長さの見積もりは、平均で9.38分ずれていました。

対象: ハーバード大学の研究参加者252人(126組)。45分まで話し続けた57組は分析から除かれています / 限界: 実験室での初対面の会話で、日常の会話と同じとは限りません。

Boothby ら / イェール大学など(2018年)[2]

会話のあと、人は相手が自分をどれだけ好ましく思い、一緒の時間を楽しんだかを、実際より低く見積もっていました。実験室で初対面の人どうし、大学1年生の寮の同室者、自己啓発の講座に集まった一般の人どうしで同じ傾向が見られ、寮の同室者では数か月続いていました。

対象: 米国の大学生や、講座に参加した一般の人 / 限界: 会話の終わり方そのものを調べた研究ではありません。

Gilovich ら / コーネル大学など(1998年)[3]

人は、自分の心の中の状態が、実際より相手に伝わっていると思い込みやすいことがわかりました。うそをついた人は見抜かれやすさを、嫌悪感を覚えた人はそれが表に出ている程度を、実際より高く見積もっていました。研究者はこれを「透明性の錯覚」と呼んでいます。

対象: 3組の実験(うそ・嫌悪感・緊急時の行動) / 限界: 会話を終えたい気持ちを調べた研究ではなく、ここでは関連する傾向として紹介しています。

まとめると、終わりたい気持ちは隠されやすく、相手の望みも読めません。その一方で、人は「早く帰りたいのが顔に出ているかも」と心配しがちです。この組み合わせが、やめどきの迷いを生んでいると考えられます。

03 まだわかっていないことやめどきの研究で、わかっていないことは?

会話のやめどきを直接調べた研究は、まだ米国の2つの研究が中心です。日本の会話や、チャット・電話でも同じかどうかは確かめられていません。

  • 対象は米国の人だけでした。研究者自身も、ほかの人々や場面に当てはまるかは今後の研究で確かめる必要があるとしています。
  • 望んだときに会話を終えられた場合に、満足や関係がよくなるかどうかは調べられていません。
  • 文字のチャットや電話、オンライン会議でのやめどきは、この研究の対象外でした。
  • 透明性の錯覚の研究は、会話を終えたい気持ちを直接調べたものではありません。

04 今日からできるセルフケア会話を気持ちよく切り上げるには?

相手も早く終わりたいかもしれないと知っておくこと。終わりの時間を先に伝えること。終えるときにお礼を添えること。この3つは、研究の結果から考えられる、お金のかからない工夫です。

1

「相手も終わりたいかもしれない」と思い出す

初対面の会話では、約半分で2人とも実際より早く終わりたいと思っていました。切り上げたくなったら、相手に悪いと決めつけず、相手も同じ気持ちかもしれないと考えてみます。

目安 切り上げたいと感じたときに数秒

2

話し始めに、終わりの時間を伝えておく

やめどきに迷うのは、互いの望みがわからないためでした。電話や立ち話の始めに「15時までなら話せる」と伝えておくと、終わりの合図を出しやすくなります。

目安 会話の最初に一言・5秒

3

終えるときは、お礼と「また話そう」を添える

相手は、自分が思うより会話を楽しんでいたことが研究で示されています。切り上げるときは「話せてよかった、また話そう」と、その気持ちを言葉にして伝えます。

目安 一言・10秒

05よくある質問

自分から会話を終えると、失礼だと思われる?

会話を終えたことが相手にどう受け取られるかを直接調べた研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。ただ、初対面の会話の研究では、相手は自分が思うより自分を好ましく感じ、会話を楽しんでいたことが繰り返し示されています。人は相手の好意を低く見積もりがちなので、お礼を添えて終えることを必要以上に恐れなくて大丈夫です。

相手がもっと話したそうに見えるのは、本当?

当たっているとは限りません。初対面の2人が話した実験では、相手が終わりたかった時点の見積もりは、平均で9.38分ずれていました。自分と相手の望みの差も、実際の半分ほどにしか見積もれていませんでした。

家族や友達との会話でも、やめどきはずれる?

ずれています。米国の806人が直近の会話を振り返った調査では、相手の79.16%が恋人・友達・家族でしたが、望んだ長さと実際の長さのずれは平均6.60分でした。親しい相手でも、終わりたい時点はなかなかそろいません。

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出典

  1. Mastroianni AM, Gilbert DT, Cooney G, Wilson TD (2021). Do conversations end when people want them to? Proceedings of the National Academy of Sciences, 118(10), e2011809118. https://doi.org/10.1073/pnas.2011809118
  2. Boothby EJ, Cooney G, Sandstrom GM, Clark MS (2018). The Liking Gap in Conversations: Do People Like Us More Than We Think? Psychological Science, 29(11), 1742-1756. https://doi.org/10.1177/0956797618783714
  3. Gilovich T, Savitsky K, Medvec VH (1998). The illusion of transparency: Biased assessments of others' ability to read one's emotional states. Journal of Personality and Social Psychology, 75(2), 332-346. https://doi.org/10.1037/0022-3514.75.2.332